“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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とっくのとうに本文は出来ていた筈なのについ投稿を忘れていましたすいません。
というかSAOの方がノってきて集中しすぎてた……

まぁ、とりあえずどうぞ。


戦う理由

……イライラする。

さっきから無性にイライラする。

深い理由なんかないし、そもそもどう考えてもイライラする理由はさっき負ける寸前まで追い詰められたからだが……本当にイライラが収まらん。

この電撃の力を手に入れてから初めての強敵。いや、同格以上の相手だから油断していたというのもあるが……何より俺は準備が足りていなかった。

弾丸は選別してないし、特殊な装備も身に付けてない。そして作戦も立てていなけりゃ得意なフィールドに引きずり込むことすらしていない。

そりゃ負けるわな。

結構昔、俺に戦闘を教えてくれた師範も行っていたよ。実戦においては何より事前の準備といかにペースを握るかが重要になるってな。

ハハ、俺は今回そのどれも出来てない訳だ……

あーあ、クソが。イライラしてイライラして堪らねぇ。

今すぐにでも全部の力を解放して周囲に無差別な破壊でも振り撒いてやりたい気分だぜ。

 

まぁ今ここでそんなことをやったって俺が損するだけだがな。ここ俺の家だし。

ついでに言うと今イライラしする一方で全力で凹んでティナに慰めてもらってるところだしそんなことは出来ないよな……

俺は自分で不意に思い付いた無差別破壊から思考を逸らして、とりあえず次に刃物野郎に攻められた時にどうするかを考えておく。

この家は俺の領域だが、誘い込んで攻めるのは論外だ。万が一でもティナに被害が及ぶのは我慢ならない。

それじゃどこで戦うか……それについてなら割とすぐ思い付く限りで、2km圏内に1つあるスクラップ置き場もといスラム街というのも中々に良いかもしれない。

なにせスラム街というものは根本的にスクラップが多いもんだから、超電磁砲の発射数を増やしまくることも難しくない。

それにそこなら周囲に被害がいってもそこまで困らないしな。

なんたってスラム街だ。聖天子の奴はあまり良い顔をしないだろうが……しかしこういう戦闘の舞台にするなら一番優れているだろう。

主に戦闘の被害を被られても俺は痛くも痒くもないという理由で。

 

ついでに言うなら、スラムならクズと鉄には困らないしな。

俺は様々なことに使えるパーツが多くてお得だし、その上クズも勝手に消える。

まさに一石二鳥だ。

だから俺はスラムで戦う……は、良いがどうやって誘導しようか。

よく考えると何も考えていなかった。

ただ単純に刃物野郎を誘い込むのは難しいだろう。

しかしな……難しいなら難しいで、相手が自分からそっちに行ってくれることを祈るのみだ。

別に何もしない訳じゃないが。

いくら相手が絶縁体で身を包もうと、あくまで物体であることに変わりはないのだから適当な鉄屑を熱して道を作ればある程度は誘導できる……だろう。戦場に必ずはないがな。

だが今は他に有効な作戦が無いのも事実だ。

アイツの特徴を刃を出すものだと思い込んでたのが痛い。

まさか絶縁体で全身を覆う、いやむしろ体そのものを絶縁体にするようなことが出来るなんてな。

それにしても、俺はアイツのように体を電気に変換して○ックマン的なことは出来ないのに、アイツには出来る理由はなんだろうか。物理的な形と質量のあるものを操る力だからなのか?

いや、まだ試していないだけかもしれないな。

俺の電撃であればある程度一般的な形のあるモノとしても使えるし、それを意識的に俺の体そのものを電気に変えれば……あるいは。と言ったところだろうか。

しかし戦場でそんなことをぶっつけ本番でやるのは、圧倒的実力差があるときだけだろう。

相手が自分より圧倒的に弱いならそれによるデメリットがあってもある程度負けずに済むし、圧倒的に強いなら強いで出し惜しみをすることが出来ないから、自然にな。

 

だったらあの刃物野郎にどうやって勝つのか。

具体的な方法は思い付かない。

あの状態は絶縁体で体を覆っているようなもんだから電撃は効かないし、どうやら超電磁砲にも耐えるくらいの防御力もありそうだ。

だとすると俺の手札は純粋な格闘戦くらいしかないが、それに関しても刃物野郎の使っていたあの急加速をなんとかしなければどうにもならないだろう。

磁力、論外。電撃、論外。超電磁砲……少なくともあんな急加速をしている相手に当てるのは難しいしあれで直進されたら一発撃つ時間すらない。

となるとやはり格闘にお鉢が回って来るが、俺はお世辞にも格闘が滅茶苦茶強いとは言い切れない。

何せマトモな格闘戦を行うのは少なくともあの時以来になるし、今じゃ技の多くを使えない。

代わりに存在する電撃やら何やらも悉く使えん。

あぁ、どうしようもないなこりゃ。

俺はいっそ潔く負けてやろうかとすら考えはじめていた。

「……おにーさん、今『いっそ潔く負けてやろう』とか考えませんでした?」

 

うげ、見透かされてた?

そりゃいかんな。ティナに情けないところは見せたくない(既に手遅れであることから巧妙に目を逸らした)。

でもどーすんだ本当に。

俺の考えうる限り、勝つ方法なんざ思い付きもしねぇ。

まぁ、絶縁体であってもどうにもならない高出力の電撃を喰らわせてやればなんとかならない訳じゃないんだが、俺が喰らわせた電撃とかは相当にえげつない出力だった筈なのにあのモードには通じなかった。

どうする?

「私、これでもおにーさんが負けるのはこの世で私だけだって言ってくれたこと、結構誇らしく思ってたんですよ?」

 

……いや、どうするも何もないか。

ティナにこう言われちゃ逆らえねーよな。

俺が自分で言ったことすら忘れているようなことを誇らしく思ってくれていたのは予想外に嬉しいが、まったく……こう言われると期待は裏切れねーよな。

 

だったら勝たないとな。

 

たとえ薄汚い手を使ってでも、たとえティナ以外の全てを裏切ってでも、あらゆるプライドを捨て、手段を選ばず、貪欲に勝ちを奪い取る。

きっと今の俺をかつての師匠たちが見たら嘆くだろう。

だがそんなのは関係無い。

俺はティナの信頼に応えなきゃいけないんだ。

ティナが信じる人類最強は負けない。

常勝不敗で最強無欠。それが人類最強であり、ティナの信じる俺だ。

そう思うと、なんだか肩の力が抜けてきた気がする。

「……ありがとな、ティナ」

 

「お礼なら全部終わったあとに1日私に甘えて過ごしてくれるだけで良いですよ」

 

「それいつも通りじゃね?」

 

そして俺は、存分に体も心も休まった(ただし端から見れば幼女に甘える変態にしか見えない光景である)と感じて立ち上がり、軽く体を伸ばした。

 

……バケモノによるバケモノの討伐、ね。

良いじゃないか。

人類最強の相手はバケモノくらいが丁度いい!

卑怯だろうがなんだろうが勝ちを奪うのが戦いだ。

その精神を危うく忘れるところだったぜ。

だが、それを思い出せれば話は早い。

俺は頭の中で瞬時に姑息かつ卑怯で薄汚いと自分でも思う作戦を立てるのであった。

 




そういえは数日前にブラック・ブレットも原作カテゴリ一覧から外されたようですな。
まぁどう見てもアクティブに投稿ペースが早い作品がこれとあと数件もない感じだったし……仕方ないのか?

クッ……道理で幼女が足りねぇわけだ!
(意訳:ブラック・ブレットはいいぞ。だから書こうぜブラック・ブレット!)

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