“プロモーター序列第一位”里見蓮太郎の物語   作:秋ピザ

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へい、久しぶりの日常パート……が、しかし久しぶりすぎて何書くか決められず一週間以上かかっちまったぜ。

それはともかくとして、二巻の部分を穴埋めするストーリーをざっくり考え付いたので、この一章エピローグ的なやつが終わったら即座に二巻の内容に入ると思います。


ダメ人間“たち”の祝勝会:前編

東京エリアにある我が家。

スコーピオンを倒したあとダイジェストにしても許されるんじゃないかってくらいにおまけで大量のガストレアを葬って帰宅した俺を出迎えたのはなんだと思う?

マスゴミだ。

家に帰るなり大量にマイクを向けてくるし勝手にカメラに撮すし、はっきり言って死ねと伝えたかった。というかマジで全員感電死させても良かっただろう。

だが大人でイケメンでなおかつ気分が良かった俺は妥協に妥協を重ねた結果……マスゴミどもを殺すことなく、ただマイクとカメラを全部規格外の(俺的感覚では)しょぼい電流で破壊するだけに留めたのだ。ピンポイントに大体1000Vくらいのやつを。

つーかわざわざティナが俺を迎える準備をしてくれているのにそこを血で汚すわけがないだろうが。

殺るならどこか遠くにいる時くらいにするさ。

……さぁて、お楽しみの我が家に入るとしますかね。

 

俺はカメラが壊れて慌てているマスゴミ共を磁力で引っ張って退かしながら無駄に広めの庭を歩んでいく。

その足取りは意識もしていないのに非常に軽く、今なら何事もないように世界新が出せるんじゃないかとさえ錯覚させた。

今はそれほどに気分がいい。もしガストレアが襲ってきてもノールック落雷程度で済ませてやれそうなくらいに気分がいい。

あぁ、帰ったらまずはどうしようか。ティナにいきなり抱き付いて脱力するのも良いけど、ティナのことだから何かコスプレをしてくるという可能性も十分考えられるな。

随分と前の話だが、東京エリアが危うく滅びかけた事件を苛立ち紛れの落雷連打で敵を消し飛ばして止めたその日には……確か天誅ガールズ(赤穂浪士討ち入り×変身ヒロインもの。何故か俺の所に居着く『呪われた子供たち』は全員これにハマる傾向にある)のピンクのコスプレをしてたっけ。

あの時ノリノリで決め台詞言われた瞬間は危うく可愛すぎて死ぬかと思った。

ティナの金髪が衣装と絶妙なコンビネーションを発揮したあの時の光景を俺は金輪際忘れることが出来ないだろう……思い出す度に若干理性と意識を保てなくなることがあるけれども。

 

まぁそんな過去のことは置いといて現在に目を向けてみようじゃないか。

ティナのことだ、今回もコスプレを用意しているだろう。

俺の記憶によるとティナはこれまでにいくつかのコスプレを披露してきたが……多分まだメイド服とかセーラー服とかそのテのコスプレはまだしていないし、それで来るだろうか。

あるいは最近偶然過去の映像が残っているのが発見されてファンが狂喜乱舞しすぎて一瞬社会現象になりかけたご○うさのコスプレか。

最近ちょうど見たのがその辺りだからヤマを張るならそこだと思ったが、さてどうなのやら……

見て確かめるとしようか。

俺はポケットから鍵を取り出すことすらもどかしく、磁力で強引に鍵穴を合わせてドアを開けた。

そしてその先で待っていたのは……

「「おかえりなさい」」

 

神社とかで時々見るような巫女服を身に纏った、二人の姿であった。

……当然ながら、俺は萌え死んでしまい(意訳:頭に血が上って失神した)次に目が覚めるのは翌日になるのだが……少し損をしたような気がしてならない。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

目が覚める。

確か昨日は帰ってきた途端に巫女服姿のティナと……しまった名前が分からん……拾った子を見て萌えすぎて気絶したんだったか。

気絶した理由はまぁ、多分疲れきってたのと自宅に帰ったことによる安心感も少々含まれるだろうがな。

ある意味実に俺らしい気絶の理由だ。

俺はそんなことを考えつつ、自分が今どんな状況にあるのかを確認する。

まず見なくても分かるのはティナが膝枕してくれていて、足にもう一人がしがみついていること。あとここがベッドの上じゃなくて無駄に座り心地が良くてゆっくりできる広めのソファ(一応ベッドとしても使える)であることだな。

そしてなんとなく見渡して分かったことは……

このソファを置いてあるリビングは現在祝勝会の準備がされていて、祝い事っぽいムードがあることだろうか。

 

あー、かなり申し訳ないことをした気がする。

というかせっかく二人が準備してくれたってのにうっかり気絶してそれを不意にするとかもったいなさすぎだろ俺よ。せめて祝勝会終わってから泥のように17時間くらい寝る程度にしろっての。

……まぁ、過ぎたことを気にしても仕方ないな。

とりあえず一旦“現在”という物に目を向けよう。

膝枕されているから非常に眠りやすいこの現状に、な。

つまりは二度寝しy……

「……ぁふ……おはよう…ございます…おにーさん……」

 

……っと。どうやらティナが目覚めたようだ。だったら二度寝は出来ないな。

せっかくティナに甘えまくれるチャンスだと言うのに寝て無駄にするなんてありえ……なくもないが出来れば普通に甘えまくりたいんだよ!

こちとら昨日はなんか自分自身のヤバそうな部分に触れたりゾディアック殺したりオマケで群れを殺しまくったり忙しすぎたんじゃあ!ちぃとばかし休ませてくれよ!

……具体的にはティナの膝の上でティナに抱き付きながら頭撫でられて、な。

俺は昨日帰ってきていきなり寝てしまったせいでロクに甘えられなかった分を取り戻すかのように思いっきり甘えることにした。

端から見れば恐ろしく犯罪的な光景だし、実際ギリギリ合法だけど拾った子については少し違法だからな……まぁ違法だからと言って俺を逮捕することは出来ないが。

なんせ人類最強だからな。機嫌を損ねりゃ命はない人間TOP3の筆頭だからな。俺。

そんなことを考えつつ、体を半回転させてうつ伏せになり、全力で甘える体勢に以降する。

正常な思考なんざ忘れてただただ堕落しきった状況をエンジョイ出来るように。

 

「……起きていきなりこれは珍しいですね、おにーさん」

 

いや、そんなに珍しいか?この流れ。

 

「ちなみにいつもなら少し会話を挟んでからこうなることが多いです」

 

細かい所までよく見てんのな。流石はティナ。1年以上堕落しきった生活を共に過ごして来ただけのことはあるな。

なんというか、ここまで覚えてもらえてると凄く健気に思えてくるなぁ……

俺はティナの腹に顔を埋めつつ、頭を撫でられる感触をしばらく楽しんだ。

時間にすると……感覚では二時間くらいだろうか。

もしかしたらもっと長いかもしれない。

そして、俺が全力で甘え始めてから約二時間以上、もう少し楽しんだらそろころ起きようかなと思い始めた矢先、昨日寝たとき着替えなかったせいでポケットに入れっぱなしの携帯がサイレンのような着信音を響かせたことで強制的に至福の時間は中断された。

正直言って電源切っておきゃ良かった……というか高圧電流のすぐそばにあったのに何故問題なく動作しているのかは非常に謎だらけだが……とにかく電源を切っておけば良かったと、俺はこの時ものすごく後悔した。

なんせもう少しで最高の気分で朝を迎えられそうな(もう朝っていうか半ば昼くらいだろうがな)感じだったのに、それを無理矢理邪魔されてしまったからである。

しかもこの音ってことは……あぁ、間違いない、アイツだ。

 

……ならば出なくて良いな。

俺はいまだに鳴り続けて耳障りな携帯の電源ボタンを長押しし、シャットダウンする。

それにより騒音を撒き散らし続けていた携帯が完全に沈黙し、部屋の中に再び静寂が取り戻される。

……が、残念ながら、俺の至福の時は戻ってこなかった。

それは何故かというと、そう、サイレンのような音のせいで緩みまくっていた気分が無理矢理締められて空腹を自覚したからだ。

 

……その、なんだ。

アイツに次会ったら本気でデコピン(額が砕ける)してやろうと思う。マジで。

 




聖天子ちゃん逃げて超逃げて。
実は最後の電話は聖天子ちゃんが蓮太郎くんに式典やらなにやらの予定を伝えようとした結果のものだったりするんですねこれが。
しかも時間帯的には割と常識的……な筈なのに超ピンチ。大変だぜ聖天子ちゃん。

……さて、この物語も一章が曲がりなりにも完結ということになりますが……二章ではこれまで以上に堕落度とダメ人間度高めで行きますので、これからも応援よろしくお願いします。

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