それと半ニートも何故かさほど日を空けずに投稿してしまったようです。
なぜこうなった……
俺とティナは今、とんでもないものを見付けてしまっていた。
それは磁力によって破壊されたロボットの中心部にあった、謎の装置。
そして、赤い癖字で注意書がされたそれの名は……
『GV除去装置』。多分グレートヴァンソウコウ除去装置、つまりは一切の痛みを伴わず絆創膏を剥がせる装置………じゃなくて、ガストレアウィルス除去装置だろう。
いまだにウィルスそのものへの抜本的対策のないガストレアウィルスを除去装置出来るとか、正に夢の発明だよな。
まぁぶっ壊れてるけど。
俺がついさきほどに磁力で押し潰して壊したんだけど。
で、その機械のおまけのようにそれによりかかっている変なヤツ、室戸
だがしかし彼女はとんでもなく優秀な代わりに時々アホなことをするから手が付けられないという特徴があるのだが……今回もそれだろうな。この騒動の原因は。
まぁ多分今回については顔を真っ赤にして寝てるし、微妙にこの辺も酒っぽい匂いがしてるから、きっとガストレアウィルス除去装置を完成させて、完成したことが嬉しくて祝い酒を飲んで酔っ払って、変なロボットをノリで作って、自慢したくてウチにきた……ら、ロボット潰されるわガストレアウィルス除去装置壊れるわで散々な目に遭って気絶したってところだろう。
正直あまりにおかしすぎて笑えてくるけどな。
世界有数の天才が酒に酔って自分の発明を自分で破壊へ導くとか、どんだけアホなのよ。
「おにーさん、これって……」
………ティナ、それは言うな、いや言わんでやれ。
コイツが自分の凡ミスで世紀の大発明をぶっ壊してしまったとか、笑い話にもならないからやめてやってくれ。
特に自分のミスが原因で壊してしまったものが、実は発表すれば世界が変わってしまうようなレベルのとんでもないものだったんだから、尚更言わんでやれ。
「そうじゃなくてですね……よっと」
ティナは、菫先生の胸元からUSBのようなものを取り出して、俺に渡してきた。
………なんじゃねそれ。普段大抵のものは頭の中に記憶するか、あまりに汚いせいで本人以外には読めない謎言語で書いた書類に記憶しているはずなのに珍しい。
とりあえず先生が珍しい行動をしたということは何かしらとんでもないものを発明したという事なんじゃなかろうか。
まぁ、そうじゃない可能性を考えて電気を操る力の応用技を使って情報を読み取ってみるが……これは一体なんなんだ?
ガストレアウィルス除去装置について書いてあるのはまぁなんとなく理解できるが、これはまったくもって訳が分からんぞ。
『惚れ薬の製造法』『ノートパソコンを用いた的中率の高い未来予知法』『人間の感情への科学的介入法』とか、コイツは一体何を研究しているのやら。
………いやまぁ、少なくともマトモな目的では無いだろうけども。この先生サマは仮にも、マッドサイエンティストなんだしな。
たとえば惚れ薬だとしたら適当な奴に死体の良さを広めるとか言って死体に惚れさせそうだし、未来予知なら他人の家に行って『明日死ぬから死体をおくれ』とか言うだろう。
他人の感情に介入出来るようならきっと想像もつかないようなとんでもないことをやらかすだろうし……正直なところ、俺程度のアホな脳みそじゃ何をやるかは分からないがな。
しかしどう考えてもロクなことじゃあないのは確実だろうよ。
だからきっと、正義を重んじる一般人ならきっとこのUSBを破壊して菫先生に使えないようにするんじゃないかと思う。
だが俺は違う。
一般人とは違って、壊しはしない。ただ消すだけだ。
先生の技術力であれば粉々にしても復元されかねないので、それが不可能なレベルで、完膚なきまでに消し飛ばす。
それこそが最高の処分方法なんだ。多分。
「そーゆーわけでドーン」
そんな訳で、超電磁砲を弾丸の方に気を遣わず全力で発射する。弾はもちろんUSBでな。
……ちなみに俺の超電磁砲の威力について解説をさせてもらうと、超電磁砲の速度は常に全力全開よりはかなり抑えた感じにしていて、大体全力の二割くらいでやっている。
分かりやすく比較対象を作ると、いつもの超電磁砲は基本的に音と速さを比較できるが全力の超電磁砲じゃ音ではなく光と比べないといけないんだ。速すぎるから。
ただ、基本的に俺は全力で超電磁砲を使用したりはしない。
なぜかといえば、空気摩擦によって弾丸が燃え尽き、マトモに弾丸が飛んでいかないからだ。
ただまぁそれは、裏を返せば射程を求めさえしなければ全力で撃っても良いということにもなるんだが。
射程カッスカスだけど、当たればステージIVくらいは消し飛んでくれただろう、超電磁USB砲。
出来ることなら先生が起きているときにやって、ざまぁとでも言ってやりたかったくらいだ。
「……うーん……何をして…いたんだね私は……」
「チッ」
「酷いなケンシロウくん。いきなり舌打ちとは」
「殺しますよ?」
何故このタイミングで起きやがった先生。これはもうちょい空気を読んでUSBが消える瞬間を見るべきだっただろうに。
それとティナ、お前はナチュラルに銃を向けるな。人殺しだけはダメだと何度言えば良いんだ……いや正直なところコイツはマジで殺した方が世界の為なんじゃないかと薄々思わなくもないけどさ。
しかしこんなのを処分するためめティナの手をわざわざ汚す必要はないわけで……
「助けてくれ蓮…シンタローくん!」
……なんだろ、今ものすごく確信犯的に名前を間違えられた気がする。
一瞬正しく蓮太郎と呼び掛けてやめたよな?な?
よろしいならばテメェを今から人間として見ねぇ。そうすりゃ人間じゃないから人殺しにはならん。
さぁやろうぜティナ!
「えっちょっ蓮太郎くん!今のは軽いボケだよ!」
今更弁解したところで遅いぜ。
すでにお前には死刑判決が出ているんだ。今から焦っても意味はない。
「……今回はこれの他に、惚れ薬のサンプルを持ってきたんだ!君達みたいな人間で実験しようと思っごふっ」
テメーまだそんなもん隠しとったのかい。
今すぐ提出しろやそんな危険なもん。ボッシューじゃボッシュー。
お前に惚れ薬なんざ持たせたらロクなことにならんのは目に見えてるしよ………おっと。
受け取る瞬間にうっかりバランスを崩してしまったみたいだな。
危ない危ない、何が起こるか分からない薬品を使われてしまうところだった………セーフセーフ。
ん?なんだね先生。そうニヤニヤして何を企んでいるんですかねとりあえず今すぐ情報ゲロれやゴルァ。
「いやー、実はね……その蓋は遠隔で開けられるんだよ(キリッ」ポチッ
俺がよく分からんがとりあえずヤバいなとか思って騒動の原因である先生の首根っこを掴んでみるが、先生は慌てるそぶりも見せずにツメに偽装していたなんらかのボタンを押した。
すると持っていた惚れ薬サンプルの蓋が開き、良く分からんが気持ち悪いことだけは間違いない強烈な臭いを発し始めた。
「(キリッじゃねぇよとんでもな……」
そしてこれ……どう考えても違法だろ……と呟こうとして、自分の視界が狭まっていくことに気付いた。
いやなんでやねん……あぁ、なるほど薬の作用か。
意識も朦朧としているし、これは惚れ薬というよりいわゆるレイプドラッグとしての使い道の方で優秀そうだな……主に、嗅がせるだけで作用することとか、俺みたいな超人(少なくとも最近じゃガストレアと戦いすぎてトリヒュドラヒジン辺りよりかは弱い毒ならば完全に無効化出来るようになってきたしこう呼んでも問題無いだろう)にも効くこととかさ。
ただ、それを自分の友人で実験するなよ……やるならこの前言ってたチャーリーにやってやれやこのクソ野郎が……
俺は、朦朧とする意識の中ひとまず直感でなんとなく安全そうな方向に移動して倒れると同時、意識を手放したのであった……
先生め、覚悟してろよ……今度笑顔で先生のとこの記録媒体全部ぶっ壊しに行ってやる……
おまけ:蓮太郎式データ読み取り法。
1.記録媒体(人間の脳含む)に触れる。
2.微弱な電流を流す。
3.読み取ったデータを強引に変換し、脳内で閲覧する。
なお元ネタは禁書。どこぞの第三位も似たようなことやってたしね。