ブレイブウィッチーズを見た時に何故か夜刀様とクロスさせたい毒電波受信。
そして生き恥を晒す行為に及ぶ……(白目)
夜刀様と正反対だよ! カッコ悪い生き恥だよ!(泣)
※注意:この作品は神座シリーズの設定を作者が独自解釈のもと、捏造設定を組み込んでおります。
明らかにおかしいだろ! と感じる設定もあるかも知れません。ご容赦を。
この作品の会話文は神咒神威神楽の文体を元にしているので違和感があるかもです。
1.プロローグ
──意識が浮上する。
「……此処は」
赤髪の偉丈夫が目を覚ます。眼前に映る空間は白。黄昏の浜辺では無く、『座』の様な超次元空間でも無い。
しかしその空間の在り様は『座』に近いものであると感じていた。覇道神である彼であれば、その性質がどの様なものかは直感で理解出来るだろう。
だが、彼にとって重要なのはそこでは無い。
「何故、俺は生きている?」
そう、何故彼が生きているか。これが最大の問題だった。
死後の概念が導入された永劫回帰、そして彼の愛する黄昏の女神の輪廻転生。特に輪廻転生は死後であろうとその魂は消滅する事は無く、次の生へと繋がる。
だがかの下劣畜生の法則、大欲界天狗道は死ねばそこで終わり。『座』に君臨する邪神の理に転生という概念は無く、死はそのまま魂の消滅へと繋がる。それが第六天の世界法則であり、完成してしまえば総ての生命が殺し合う世界と化す。そして最終的に波旬へと収束し全てが消え去ってしまう。
その最悪の理の危険性を十分に理解していたからこそ、天狗道の完成を防ぐと共に、次代を託せる存在を見つける為にこれまで無間地獄を展開していたのだ。
そして次代を託せる若い奴らが現れ、彼らに全幅の信頼を置いて世界から去りようやく御役御免かと思えば、いきなりこの空間の中に佇んでいた。天狗道との戦いで老成した彼だが、これほどの未知だと流石に困惑するものがある。
それとなく周りを確認するが、この空間に天狗道の理は感じない。という事は若い奴らは見事波旬を打倒したのだろう。根拠は無いが、夜刀はそう確信していた。
「波旬が討ち倒され、第七天の治世へと変わっていたのなら話は別だが……」
そこで一つの考えが浮かぶ。第七天へと治世が変わっているのであれば、転生も可能になっているだろう。恐らくではあるが、次代を託した彼らなら黄昏にも劣らぬ理を敷いている筈だ。
「だがこれでは俺が神格を保ったまま存在している理由が分からない。だが──」
しかし彼の考える理屈であるならば、人間として転生している筈の彼が神格を持ったまま存在している理由が不明になる。死んだ筈の彼の神格は転生と共に消え去っている事こそが必然。現状、この様な状況に置かれている事に対して彼が許す筈が無かった。
『一度死んだものは蘇らない』
彼の持つ死生観は死者が蘇る事を許さない。失って戻ってくるものに価値などなく、死者蘇生とは生に対する冒涜であり、死者が今を生きる者達を混沌に陥れるなど愚の骨頂。現在を疾走し、懸命に生きる刹那こそ美しい。それ故に在りし日、水銀が脚本する歌劇にて日常を取り返す為に黄金率いる修羅道へと立ち向かったのだ。
最早それも過去の事だ。天狗道から曙光へと治世が変わる超越の物語も。ならば、自分が此処に存在する理由は無い。『座』に就いている訳でもなければ天狗道の様な邪神の理の完成を防ぐ世界でもないのだ。
「奴が討滅され、新世界に成ったとなれば俺がここにいる理由も無し」
故に自害も厭わない。太極を展開していない今なら死者である筈の自身の存在への否定と死生観が合わさっている為に、“諧謔”を展開する事で自滅する事も可能だ。
ならば尚更、自身は消えるべきだ。波旬が消え、世界が平穏になったなら、奴よりはマシであろうが邪神である事に変わりない己は邪魔者以外の何者でも無い。そして自身を消し去ろうとして──
「──お待ち下さい! 夜刀様!」
声が掛けられた。
「──!」
声を掛けられた男、夜刀はその方向に顔を向ける。そこには一人の少女が立っていた。
──迂闊だったか。夜刀は自身の不覚を悟る。現状の把握と整理に没頭し過ぎた為に周りが疎かになっていた。覇道神である彼がその様な隙を晒すことなど無いのだが、現状が現状な為に仕方のない部分ではあった。
とは言ったものの、覇道神である彼を少女が害する事など一切出来ない。夜刀は生前の知識を頼りに少女を見て、その在り方を看破した。
「『抑止力』か。人型を
「い、いえ。貴方様と面と向かってお話をするのに人型を象らない理由などありません。それこそ不敬に値しますから……」
わたわたと慌てている少女を見て、こちらに対する実害は無さそうだと判断する。
それよりも気になったのは少女の謙虚な態度だ。害は無いとしても敵意が感じられないとはどういうことか。
抑止力とは基本的に強大な存在に対抗する存在。詰まるところ覇道神に対する自滅因子の様なものだ。だが世界法則そのものを塗り替える覇道神に単一の抑止力など無力も同然。それこそ水銀の秘術を行使した多次元宇宙規模のものでなければ害する事が出来ない。自滅因子というものが存在する理由の一つとして抑止力そのものがあまり役に立たないから、という事もあるのだろう。夜刀は知らぬであろうが、観測者なるものは第一天の治世からそれを理解していたのだ。
では抑止力がこちらに害を及ぼすつもりがないとなれば、どの様な要件があるのか。切羽詰まる表情を浮かべている限り、頼み事をしようとしているのは明白だった。後にも先にも消滅という末路しかない己の最後の道楽故か、話くらいは聞いておこうと彼らしくない事を考える。
「単刀直入に言おう、お前の要件は何だ。その様子だと余程の事があるのだろう?」
「はい……。貴方様でなければ出来ない事がございます」
「俺にしか出来ない事……?」
「──この世界に、『波旬の肉片』と『座の破片』が流れ着きました。これは、
「──何?」
座の破片、それに波旬の肉片、だと。それはどういう事だ。
夜刀は困惑する。波旬は
この世界に天狗道の理を感じない事に気を取られていたが、
「一つ聞くが、この世界は
「仰る通り、この世界は『座』によって構成された宇宙ではありません。次元の壁ではなく、『世界の壁』の外側にある宇宙です。
夜刀様がおられた神座世界よりスケールが遥かに小さいものの、単一宇宙として独立しています」
分かりやすく例えよう。自身に二つの本があったとする。それぞれが全く違う物語であるとしよう。
そして片方の物語は夜刀が存在していた神座世界、つまり大きな世界の物語『A』だとして、もう片方は小さな世界の物語『b』だ。
もしもAにbが含まれている『Ab』であるのなら、Aの世界を主軸とする物語の世界観にbは従わざるを得ない。Aによってbの物語が成り立っている為だ。
だが、Aの物語とbの物語がそれぞれ完全に独立しているのならばどうだ。Aが神座の交代劇を遂げたとしても、bには何ら変わりはなく『Ab』ではない為、bはそのまま一つの物語を進行していく。
つまりAの
まさか、『座』に影響されず独立した宇宙があるとは思わなんだ。しかし彼の生みの親である水銀が外宇宙から飛来し、第三天を滅却した事実がある為、それも十分にあり得る話ではあった。
「ならば、俺がいた世界に何があろうとこちらの世界には何ら影響は無い筈だが」
「はい、本当ならば波旬の肉片や座の破片が流れ着く事など無い筈なのです。原因があるとしたら、神座交代の際に起きた波旬の術技、でしょうか……」
卍曼荼羅・無量大数。
波旬が持つ唯一にして最大級の規模と威力を誇る最悪にして最強の術技。使えば全宇宙が消し飛び神座世界は諸共無くなっていただろう。最も、それは解脱を果たした凶月兄妹によって与えられた傷により隙を晒し、坂上覇吐の全力の一撃によって不発に終わっている。
だが少なくとも発動しようとした痕跡は残る。詠唱までした卍曼荼羅が何の影響も及ぼさない訳がない。
故に本来神座で起こったifに影響されることのない筈のこの世界に、神座すら認識出来ない極小の影響を与えたのだ。
「成程、
「恐らく、座の破片もそれによって生じたのだと思います。そして波旬が打倒された際に僅かな肉片がそれに付着し、亀裂へ流れ込んだのではないかと」
恐らくではあるが、肉片が自我に目覚めたのは座の破片に付着したからだろう。破片とはいえ元は神座。その機能が僅かに残り、第六天の一部がへばりいた所為で機能が歪な形へと変貌した。
これは天文学的数字の偶然であり、本来なら起こるべき筈ではない出来事。
では夜刀自身は何故此処にいるのか。これも偶然、なのだろうか。明らかにこの出来事に対する処置を施した様にしか思えない。偶然にも程がある。もしもこれがあの
第七天へと治世が変わる際に穢土に残留していた黄昏の法と共に己の神格が流され、それが世界の壁の亀裂へと流れ込んだとしても偶然だ。神格を保ったまま、それも全快状態で蘇るなどテレジアの無間衆合でもなければ不可能であり、新生に必要なかつての仲間達の魂は既にいない。
理由が見えぬ夜刀の蘇りの原因。余りにも都合が良すぎる。幸い、黄昏の女神に抱きしめられなければ死ねない水銀の様に自害出来ない訳ではないから、先程の通り自分への対処は自分で出来る。あくまでも“太極を展開する以前”であれば、の話だが。
自分の事などどうでも良い。残る問題は──
「聞こう。座の破片と
「……あれらはとある惑星に流れ着き、そこで今まさに中途半端な流出を行おうとしています」
「中途半端な流出、か」
恐らくこれは推測の域だが、座の破片は一種の超次元空間を形成するだけの機能しか無く、肉片は只々自己愛を振りまくしか出来ない人形にも劣る残骸だ。元々求道神の性質である波旬は畸形嚢腫があったからこそ求道の渇望を持つ覇道へと変貌した。そして肉片に畸形嚢腫など存在しないのだから、性質は明らに求道。それが覇道と化し、中途半端な流出しか行えないのは畸形嚢腫に全力の一撃を浴びせられた事への憤怒と、肉片そのものが単に満身創痍だからだ。
「ですが、中途半端といえども太極の位階。最初は満身創痍の状態なら私でも何とか出来ると思っていました。その直後、座の破片が流れ込んだ事によって神座世界の知識を得てそれは間違いだと思い知らされてしまって……」
「お前の判断は概ね正しい。太極を得ている者を打倒するには同じ土俵に上がるか、土俵から引き摺り下ろさねばならん。
「……当然そうなります、よね」
「もしそうなった場合、流れ出した太極が世界の壁を破壊し、
夜刀が危惧している事は唯一つ。肉片が何らかの切っ掛けで太極の強度が増してしまう事だ。波旬の細胞ならまだしも、『肉片』なのだ。満身創痍とはいえ、その強度が急激に増幅してしまう危険性は否めない。
肉片自身に
しかし、夜刀が太極を展開する事態になってしまうことは絶対に避けなければならない。
「最悪の状況になったと仮定して、奴を倒す為に俺が太極を展開したとしよう。確かに奴は倒せる。だがこの世界を地獄に変えることは避けられん」
「──その果ては、奴と大して変わらん」
「っ……!」
この世界の壁には弱点がある。外側には強いが、内側から別世界の法則を敷いてしまうと壁が脆くなってしまうのだ。世界が耐えられない程の質量を持つ覇道神であるなら尚更と言える。外側なら兎も角、夜刀が言った通り内側からなら容易く世界の壁を砕くだろう。
夜刀が太極を展開してしまえば壁を砕き、神座世界と衝突し、互いの
それは夜刀でなくとも同じだ。
「中途半端とはいえ、奴の太極が流れ出すのも時間の問題だ」
「私は、どうすれば……」
「俺の太極は邪神の理。新世界になった以上、本来消え去るべき化外だ。だがこの世界に奴がいるとなればそうも言ってられん」
その言葉に少女は僅かな希望を持って問いかける。
「私に、力を貸して下さるのですか?」
「あぁ。折角若い奴らが波旬を倒して築いた新世界だ。滅茶苦茶にされる訳にはいかない」
「そして、分かった上で事態を無視し自害などすれば共に戦ってくれた仲間への冒涜になる」
「夜刀様……」
最強の覇道神が力を貸してくれる。神座世界の知識を得た彼女は夜刀の功績がどれだけ凄まじいものかを知っている為、彼がどれほど頼もしいのか自覚している。暗雲漂う未来に確かな光明が差し込んだのだ。
「それに、
「お力添え、感謝致します。この恩は必ずや、誠意を持ってお返ししますので──」
「構わん。お前の力も必要になる」
「私の力も……?」
それはどう言う事なのか。太極を持つ者に対して役立たず同然の自分に何か出来ることがあるのか。
しかし疑問を抱くなど不要。力を借りるということはつまり対抗策があるという事。肉片が現状、中途半端な流出しか出来ないのなら方法があるのだ。
「打つ手はある。だが全てを左右するのは
夜刀も勿論支援は惜しまない。だが先程も言った通り、過剰な支援は肉片に夜刀の存在を察知される危険性が高まる。察知され確実に認識された瞬間、夜刀が無間地獄を展開する羽目になってしまう。
故に今を生きる人々に全ての命運が掛かる。それは夜刀が次代へ希望を託すかつての物語の焼き直しだ。まさか似た様なことをもう一度繰り返す事になるとは思わず、夜刀は内心で苦笑する。
「大丈夫です。あの星は夜刀様がいた星、地球に限りなく似ていますし、人々には力があります」
「私達が支援すれば、きっとこの世界の希望になってくれるでしょう」
「そうか。なら始めるとしよう」
「はい!」
夜刀は思う。
(──マリィ)
最早死者同然の自分が、世界を守る為に今を生きる人々を巻き込むなど邪神以外の何者でもない。
次への可能性、魂の連続性を絶やさない事。次代を担う者達を探す為に永い間戦ってきた。
その戦いがようやく終わったと思いきや、また別の戦いが待っていた。まさか波旬の肉片が敵だとは思いもしなかったが。
それ故に全くの別世界すら巻き込んでしまう事になる。おまけに彼らに命運を託すのだから、自分は弾劾されて然るべきだ。
だけど君はこんな自分でも許すだろう。邪神である筈の自分を
(永遠の君に願う──)
故に見返りなど要らない。
真実はたった一つ。亡くしてはならない
他には何も見えない、聞こえない。ただ忘れないだけだ。俺は君を愛している。それを忘れないだけで自分は救われているのだ。
(俺を高みへと導いてくれ)
君はもう永遠ではないけれど、それでも君への愛は何一つ変わらない。
だから新世界の為に生き恥を再び晒そう。以前と変わらず誰もいないこの宇宙でも。
そう、それこそが──
──俺の女神に捧ぐ愛だ。
オリ主タグについて。
一応、この物語の元はストライクウィッチーズであり、その原作の登場人物が主人公ではなくあくまで"夜刀様が主人公"なので、そういった解釈の元、オリジナルの主人公のタグをつけさせて頂きました。ご了承ください。
独自解釈&捏造設定の説明(一部)↓
・座の破片
神座のほんの一部がひび割れ、それが切り離されたもの。波旬の肉片が自我を持つきっかけになった。
座の破片という事もあり、魂の概念の導入と一種の超次元空間を形成出来るがそれだけの機能しかない。
波旬の肉片が付着し、それが一体化してしまっている為、専用の引きこもり部屋と化している模様。
・波旬の肉片
多分設定的に無理があるだろうとツッコミを入れられるラスボス。
本来ただの肉片であるのだが、太極に至った者の肉片である為、力がある。そして座の破片に付着した事で自我が芽生えた。とはいうものの、波旬の自己愛のみインストールされているだけなので波旬モドキでしかない。しかも満身創痍なので現在の強さは中伝夜行程度。
自己愛で世界を閉じつつ憤怒で意味不明に狂乱している状態なので夜刀様を認識する能力は波旬本人よりも鈍い。夜刀様もしくは抑止力が過剰すぎる干渉をしない限り気付かないので実はある程度の自由が効く。
自己愛インストールなので渇望は本来求道型なのだが、パシリに傷を負わされた事によって激おこぷんぷん丸状態になっている為、覇道型に変質している。
(. .)「んああぁあぁああぁあ! タンスの角に小指ぶつけたァ! 痛い! 痛すぎるゥ! んああぁあぁあぁあ!!!(大暴走)」
※ちなみに放置した場合最終的に強さは射干より若干強い感じとなり、夜刀様に感づいてムカ着火ファイアーになると太極値75くらいになる。満身創痍なのは変わらないが怒りでワケワカメになっているので無傷と変わりない状態に。
抑止力が何故藤井蓮を"西側"の蔑称である天魔・夜刀と呼んでいるのか。それは単に藤井蓮という神咒を知らないから。神座の知識を得たが、そこまで深く知っているわけではない。
Q.何故夜刀様は抑止力に自分が復活した理由を聞かないのか。
A.特に興味が無いから。世界の事ならともかく、自分の事を必要以上に聞く夜刀様はなんか違うと思うのです。
Q.夜刀様は全快状態?
A.全快。無間衆合で新生した直後と同じで、今の状態がそれ。
ちなみに藤井蓮の魂と夜刀様の神格はこの時点で別離している。
Q.自害出来るってどういう事?
A.流出位階到達前の獣殿が自傷して城が揺らいだという描写を取り上げ、捏造設定として太極展開前であるなら覇道神でも自害出来るという事に。展開した後は同じ覇道神でなければ殺害出来ない。(求道神も傷を与えられる)
詳しく説明すると長くなっちゃう!(白目)
敗北条件
1.波旬(肉片)が夜刀様の存在に気づく。(過剰な干渉をしない以上、無いに等しい)
2.夜刀様が太極を展開しなければならなくなる状況に陥る。(余程の事がない限り無い)
3.放置。(まずありえない)
……敗北条件ないんじゃあ(震え声)
勝利条件については次話以降に載せます。
あとはこの世界における覇道太極同士の鬩ぎ合いも次話以降に。