脳無ファンの方すいませんと、取りあえず謝っておきます、雪宮春夏です。
……いるんでしょうか?
……いやまぁ、何を好きになるのかは人それぞれですので。
フレイズの詳しい事は後々本編の方でかたりたいと思います。
それではどうぞ、ご覧下さい。
あちらこちらで火の手が上がり続ける街並みを眺めながら、死柄木は満足げな笑みを浮かべた。
「良いね……最高じゃないか。フレイズは」
与えられた新しい玩具の性能を喜ぶ子どもの歓声に耳を傾けながら、黒霧は言葉を投げかけた。
「貴方も参加なさっても構わないのですよ?死柄木弔」
炎が切れれば動けなくなるフレイアと異なり、死柄木の行動は何の制限をされているわけではない。
先生は何よりも死柄木の意向を尊重するからだ。
それは当然本人も知っている事実。故に前回のように、自ら成すことを好む死柄木ならば、真っ先に飛びだすだろうと思っていたから黒霧は言葉を投げかけたのだが、それを死柄木は鼻で笑った。
「馬鹿か。俺は怪我してんだぜ?だから奴らを持ってきたんだよ」
そう。死柄木が先生に強請ったのはまだ実験段階だった数体のフレイズと呼ばれる戦闘兵器だった。
それを使ってヒーロー殺しのやろうとしていることを滅茶苦茶に壊そうとしているのだ。
『気に入らないものはぶっ壊しても良いんだろ!?』
嘗て他ならぬ先生自身が死柄木に対して教えてくれた言葉を引き合いに出せば、僅かな間を置いたものの、先生は概ね了承し、実験段階だったフレイズを死柄木に与えてくれた。ただし……。
「けど、あいつがセットってところだけは気に入らないけどな」
先生は、あいつを貴重と称したが、死柄木にはあの生意気な子どものどこにそこまでの価値があるのかは理解できない。
先生の調整を受ければ動くことの出来る道具だが、逆に言えば時間制限という欠点を抱える欠陥品でもあるのだ。
死柄木としては使い捨てであっても使い勝手の良いフレイズの方がよっぽど重宝できる存在である。
フレイアの使う「死ぬ気の炎」と、フレイズの体内から放出される炎の関係性は先生から教えられてはいないが、そんな
「夜が明ければ、世間はあんたのことなんて忘れるぜ……!」
笑いながら死柄木が見渡す
「ヒーロー殺し……!!」
そして、己が愉しめれば、それで良いのだ。
回転し続ける思考の中で出久が辿り着いた可能性には、何も確証などなかった。
(考えすぎかもしれない!……でも、動かずにはいられない!!)
本職のヒーローでは無い出久には、目の前の現実しか分かることは無い。
それは、ヒーロー殺しの現れた街で、フレイアのような力を持った者達が暴れているという事実だけ。
(この街でおそらく……僕だけが考えられる不安……
雄英の施設内に敵の一派が侵入してきた事は大々的にニュースとして取り上げられたものの、被害が施設一つのみであったこと。また、襲われた雄英生に大事が無かったこと。その上、襲われた場所自体が雄英高校というヒーローの集まる独立的な組織のみであったことから、
(模倣犯とは考えにくい!
そこから導き出される可能性。
(この街に今、ヒーロー殺しもいて)
そしてその中で、飯田君が来ない、来られない可能性……それは。
(ヒーロー殺しを
そして出久の、その予想は当たってしまった。
「緑谷君……何故……!?」
飯田君の声を背に、出久はヒーロー殺しから視線を外すことは出来なかった。
飯田に刀を向けるヒーロー殺しを視認した直後、壁を蹴り、最短距離で彼らの争う路地裏へ飛び込んだ出久は、そのまま地面に足を着ける前に拳で一撃、ヒーロー殺しに入れていた。
その衝撃で両者に空いた僅かな空隙を縮められないように警戒しながらも、飯田の質問に答えるため、また、ヒーロー殺しとやり合う時間を稼ぐ為にも、出久は言葉を紡ぎ始める。
ワイドショーでやっていた内容。ヒーロー殺しが、襲撃に使う場所の傾向。そして
あの現場から飯田君が通ったであろう路地裏の場所。
後はグラントリノの教えによって習得したばかりの方法で強化した体で、虱潰しに探していたのだ。
「動ける!?大通りへ出よう!!プロの応援が必要だ!!」
相手が離れたにも関わらず、起き上がる様子の見せない飯田の姿に、出久の思考は以前見たワイドショーの内容に飛ぶ。
彼が抱いた予感は的中した。相手の個性によって、飯田は身動きがとれないのだと言うのだ。
(飯田君だけじゃ無い!もう一人……!?あれは、プロのヒーローか?!)
思った以上にこちらに不利な現状ではあったが、ヒーロー殺しが眼前にいるという意識が強かったお陰か、出久は辛うじて表情を変えること無く、相手に対峙できていた。
これは訓練ではない。目の前にいるのは既に何人もの人間に手をかけた犯罪者なのだ。僅かな気の緩みがそのまま、出久達の危険に直結するだろう。
「手を出すな……緑谷君!」
ヒーロー殺しが動きを見せず、それを警戒する出久もまた、無闇に動けない状況の中で、飯田が放った予想外の言葉に、出久は次の言葉を失った。
「……何を、言っているんだよ?」
僅かな空隙の後に、出久が絞り出した声には、困惑の色が隠せずに現れている。
あそこで手を出していなければ、飯田は間違いなく目の前の相手に殺されていた筈だ。彼の相手に兄を傷つけられた事は知っているが、まさかその相手に、殺して欲しいなどと思った訳では無いはずだ。
疑惑を色濃くする出久に続けて飯田が発した言葉は、この非常時にも関わらず出久の思考を止めるには十分な力を持っていた。
「君には関係ないだろう……!!」
このまま出久が立ち去れば、待つのは死のみという状況だ。それが分からないはずが無いにも関わらず、飯田は顔を歪ませて呟いたのだ。
「仲間が、「
僅かな笑い声と共に言葉を紡いだヒーロー殺しは、乱入してきた少年に声をかける。
助けようとした筈の少年に拒まれた彼は、それでも、ここから離れようとする素振りは見せない。恐怖に足が竦んだのか、それとも。
「……だが俺には、こいつらを殺す義務がある。ぶつかり合えば当然」
まるで見定めるように、少年に向けて鋭い殺気を当てる。
「弱い方が淘汰される訳だが……どうする?」
背を向けた瞬間に、ヒーロー殺しは残りの二人の息の根を止めるつもりだった。ヒーロー殺しの処罰対象はあくまでヒーローを騙る
ヒーローに憧れるだけの子どもはその対象外だ。
「逃げろ!緑谷君!!言ったろう!?君には関係ない!!」
こちらの殺気は感じ取れたのか、焦ったような声で標的の子どもが声を上げる。
自らの可能性を捨て、仇討ちという私怨にてヒーロー殺しに挑んだ愚かな子どもだ。
他の存在におかしな影響を与える前に
選別の邪魔をしようとする子どもに、不快感を抱き、先に息の根を止めてしまおうかと考えかけたヒーロー殺しの意識に、割りこんできたのは子どもの叫び声だった。
「そんなことを言っていたら、ヒーローは何も出来ないじゃないか!!」
その言葉は、一方の子どもを責めるようでも、己を鼓舞するかのようにも感じられた。
「……それに、オールマイトが言ってたんだ」
向けられた少年の口角が僅かに上がっていた。
ファインディングポーズを構えて、子どもは明確な意志をこちらに向けている。
「余計なお世話は、ヒーローの本質なんだって!」
「くくっ……あははははっ……!!」
出久の言葉に、突然ヒーロー殺しは笑い声を上げていた。
そんな反応をされる理由が分からず、彼の一挙一動から目をそらせない出久に考慮することなく、ヒーロー殺しはまるで独白のように言葉を零していく。
「面白いな。
誰と出久を比較しての言葉なのか、それは出久にはよく分からない。ヒーロー殺しはそんな当惑を気にすることもなく、言葉を続ける。
「皮肉だな。
天を仰ぐかのように刀を振り上げ、ヒーロー殺しは獰猛な笑みを浮かべた。
「お前は良い。お前は生かす価値がある……!」
目の前で起きたことは、飯田天哉には俄に信じられない事だった。
距離を詰めるヒーロー殺しに出久は一気に懐へ入り、ヒーロー殺しに彼の脇差しによって切りつけられるよりも早く、視界から外れ……彼に拳の一撃入れたのだ。
緑谷出久の個性は未だに不明瞭な部分が多いが、その能力は決して高いものではないというのが、今までの飯田の感想であった。
(だがこれは何だ!?……あの動きは……まるで、爆豪君のような……!!)
だが僅かに見えた光明は、より強い絶望によってかき消された。
出久の動きが突然止まったのだ。
飯田からでは何をされたのかは分からない。
しかし、ヒーロー殺しの放った次の言葉で否が応でも状況は分かった。
「お前は……生かす価値がある。……こいつらとは、違う」
淡々とした声音。それでも、自分達が殺されるのだという事を疑うことは出来なかった。
「ちくしょう!!やめろぉ!!」
出久の叫び声がはっきりと耳に届く。それでも人を殺めることになれたヒーロー殺しの刀はぶれる事は無い。
「…………うぅ!!」
眼前に刀を向けられる飯田には、最早見ていることしか出来なかった。せめて、目を逸らすことだけはしてはいけないと思った。
恐怖に目を逸らすことだけはしてはいけないと思った。
「……!!?」
何かを感じたヒーロー殺しが、上に跳躍した。その時。
飯田と出久。それとヒーロー殺しを分離するように、一直線に氷と炎が迸ったのだ。
「……次から次へと、今日は良く、邪魔が入る……!」
心なしか、苛ついたかのようなヒーロー殺しの独白に被さった声はしかし、その独白とは逆に、落ち着いた涼やかなものだった。
「緑谷。こういうのはもっと……詳しく書くべきだ」
それは、出久が敵の目に隠れて、飯田とのやりとりの中ではなった、救援要請に応えたもの。
「遅くなっちまっただろ」
次回からはオリジナルが多くなると思います。
以前から言っていますが、春夏は原作と被るところはどうぞ原作で楽しんで下さいという方針なので。
では、ここまでお読み下さりありがとうございました。
次はいつ頃になることやら(笑)