繋いだ手と手が 紡ぐもの   作:雪宮春夏

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ハッピーバレンタイン!
番外編扱いで書き上げました、雪宮春夏です。
かなりの原作改変……いやいや、原作でもまだ出ていないナンバースリーをねつ造してしまいました。
ごめんなさい。(。>A<。)
ですがこの人の立ち位置は始めの頃から決まっていたので。神野の悪夢で絡むかどうかはまだ未定ですが、この出会いがかっちゃんにどう影響を及ぼすのか、楽しみにして頂ければ嬉しいです。


番外編
爆豪の職場体験


「正直、僕は君のこと、大っ嫌いなんだよね」

そう言い放った人物の背後の壁は一面ガラス張りになっていて、そこに呆気にとられた爆豪の顔が映った。しかしその顔は次いで眉を顰め、その後に苦々しい様子で言葉を発する。

「……指名したのあんただろうが……」

「そうだよ。大っ嫌いだから指名したの」

悪びれる様子もまるで無く、言い放った男の姿は若い。二十代前半だろうか、コスチュームできっちりとしている爆豪とは対照的に、白のジーンズと、薄紫のパーカー姿は、どう考えても休日の若者だ。まかり間違ってもヒーローに。……しかも、国内で上位三人の内の一人に数えられるヒーローには見えない。

「こう言うのって、しっかりとした理念とか、目的とか無いと、大体指名先の有名度とかで選ぶでしょう?ナンバーワンのマイト君は君たちの学校の教職に就いているんだから選択外。二位のエンちゃんは同学年に実子がいるからそれ以外は見向きもしない。そうなると、君の指名先で一番有名度があるのは僕だと思ったんだけど……違うかな?爆君」

「……その呼び方止めろ。なんかムカつく」

「目上の人間にはせめて敬語を使おうか、かっちゃん」

ギリギリと歯ぎしりしながら、爆豪勝己は己の選択が間違いだったのでは無いかと自問した。

戯けたような言動。人をおちょくった笑み。その上先刻から付けられるムカつくあだ名の数々。

どう考えてもうまくいける相手ではないだろう。

ナンバースリーというその知名度だけで選んでしまったが、元々彼本人の情報はほとんど外には出回らない。

メディアに出るのは彼のサイドキック達がほとんどで、彼らはファンクラブまであるほど情報は豊富だ。

だからナンバースリーも、彼らと似たような奴だと思ったのだが。

白蘭(びゃくらん)さん。曲がりなりにも彼は貴方が指名したんでしょう?嫌がらせをしたい気持ちは止めませんけど、話を進めてくれませんか?僕も暇じゃ有りません」

膠着しかけていた2人の間を取り持ったのは、白蘭……そう呼ばれたナンバースリーの座る椅子の真横、秘書官のように彼の傍らに立っていた、茶髪に、眼鏡をかけた、地味目な見た目の優男だった。

「酷いな、正ちゃん。僕としてはしっかりとおもてなし(嫌がらせ)するつもりだったんだよ?大体挨拶ぐらいはした方が良いって言ったのは君だろう?」

本音を隠しもせずにむくれる姿はまるで子どものようだが、正ちゃんと呼ばれた男の方は慣れたものだったのだろう。これ見よがしに溜息をついてから、爆豪に向き直った。

「気分は悪くなっただろう。済まなかったね。しかしこれは必要なことだったから、気を悪くしないでくれ」

明らかに非を全て己に付けられる形になった白蘭は、納得は出来なかったのだろう。話を進めようとする男の言葉をこれ見よがしに遮った。

「ちょっとちょっと正ちゃん!気分悪くなったの明らかに僕でしょ!?僕一応ここの所長だよね!?その僕に対してその口の利き方はどうなのさ!!」

「文句があるなら僕らに丸投げしている諸手続、管理運営その他、全部自分でもできるようになってから言って下さい!!!」

阿修羅も青ざめるほどの迫力で所長であるはずのナンバースリーを言い負かした彼は、このヒーロー事務所の事務処理を一手に担う運営の要の人物である。

「僕は入江正一(いりえ しょういち)。ヒーローでは無いけど、この事務所は一応、僕と彼の共同運営という形を取っているんだ。そしてそこにいる我が儘男は知っていると思うが、国内ナンバースリーヒーロー白龍(びゃくりゅう)。本名は白蘭だが、それは特に覚える必要は無いよ」

きっぱりと言い切った正一に、白蘭はさして気にする様子も無く、やれやれと肩をすくめた。

「まぁでも、君に興味があるのは本当だよ。……君は昔の僕によく似ているからね」

薄笑いで呟かれた言葉の真意が分からず、眉を顰めた爆豪に気付きながらも、白蘭は大袈裟ともとれる動きで、爆豪に笑いかけた。

「……取りあえず、ようこそ。フィオーレヒーロー事務所へ♪」

 




あ……ダメだ。
ナンバースリーヒーロー……この人、絶対爆豪で遊ぶ気だ。
ベストジーニストの時と違う意味で、来る場所間違えたと思うかも……(苦笑)
彼のサイドキック達がクッション材になってくれることに期待。
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