「適量」と言う言葉が分からなくなってきております、雪宮春夏です。
ふがいない話ですが、切りの良い所まででお届けします。もしかしたら途中で細々とした修正を入れるかもしれませんが、そこはご了承下さい。
それでは長らく……本当に長らく、お待たせ致しました。
待っていて下さったというお心の広い方、本当におりましたら、誠にありがとうございます<m(__)m>
それではどうぞ、前置きばかり長くなりましたが、ご覧下さい。
「十代目を……連れ戻す方法が分かったって……」
「本当か!?小僧っ!!」
その言葉に、真っ先に反応したのは嵐と雨の二人の守護者。
それに対し、同じくその場にあった晴と霧は微動だにしない。
しかしそれは、彼等が無情にも何も感じていないと言うわけでは無い。
霧の守護者は片や有るか否かの微笑みを薄らと浮かべているし、もう一方は瞳を閉ざしたまま、口元を微かに緩めている。
晴の守護者はおそらく、言われた言葉を即座に理解できなかっただけだろう。もしかしたら幻聴かと疑ったのかも知れない。
そのどちらでも無いと漸く飲み込めたのか、固く握りしめた拳に力を込め、グッと歯を食いしばっている。
「それで……俺達は何すれば良いのだ……!」
しかしそこで叫び出すのではなく、冷静さを保っていることに、霧の片割れ、六道骸は僅かに瞠目した。
今までの己を変える、明確な意思表示にも見えたのだ。
「お主等には、説き伏せて貰わなければならない」
それに答えたのは、リボーンを肩に乗せていた盲目の老人。
彼の言葉にリボーンもひょいっと肩から降りる。それを確認して、老人はゆっくりとした動きで背中に括り付けていた袋を手に持ち、長机の上にそれをのせた。
「このリングの中に宿る……初代の守護者達をのぅ」
袋の中から取り出されたのは、彼等のよく知る、そして変わり果てたリングの姿だった。
タルボ爺。そう呼ばれる彼は、初代ボンゴレから仕えていると噂される彫金師……金属を加工し、アクセサリーを作れる職人である。
無論、噂されるボンゴレと関わり始めた時期は謎に包まれており、現在は当人しか知るものはいない。
少なくとも、九代目がドン・ボンゴレとなった時、彼は既に今と変わらぬ姿で
「ちょっと待て!何でそれをあんたが持っている!?」
動揺からだろう。幼い頃のように噛みついた嵐の守護者に、通信越しで九代目が制止をかけた。
目上である九代目の言葉で、口を閉ざしはしたが、その瞳は未だに納得が出来ないと物言いたげな視線を送ってくる。
「これは儂が十人目のボンゴレ……お主等の「大空」から、預からせて貰っておったんじゃよ……当人は捨て場所だと言うとったがのぉ……」
呵々と笑うその姿は、声だけを聞けば老爺の物とは思えないだろう。それほど溌剌とした物だった。
「捨て場所としては適任と思うたのじゃろうな。下手な場所に置き去りにしては、何者に利用されるか分からぬ。場合によれば新たな火種をも生みかねん。その点儂ならば野心は無く、こやつ等の扱いも心得ておるしの」
並べられた言葉の数々は、不満はあるものの、獄寺には納得の出来る物だったらしい。小さく口の中で何事かを唸りながらも、ひとまずは引き下がった。
「それでよ。さっき言ってた「説き伏せる」ってのは、どういう意味なのな?」
引き下がった獄寺と入れ違いに声をかけたのは山本武。社交性に優れ、誰にでも気安い空気は彼の非常時であっても効果を発揮していたようだ。
「その言葉の通りじゃよ。お主らは彼の世界へ行くためにはそれぞれのリングの守護者を協力を仰がねばならん」
彼の世界。獄寺が話の内容を整理しようとするように、小さく呟いている。おそらくそここそが、自分達のボスである綱吉が連れ去られた場所なのだろう。
「何故そこへ行くのにボンゴレリングが必要なのだ?極限に大勢で行ってしまえば良いでは無いか?」
不満を露わに訴える了平に、タルボは気分を害する様子も無く、呵々と笑った。
「異なる世界に入るのじゃぞ?並大抵の力では世界と世界を繋ぎ、その上渡ることは出来ん。よしんば渡れたとしても、どうやって再びここへ戻ってくるつもりじゃ?」
「成る程……さっぱり分からんぞ!」
自信満々に言い切る言葉ではないと感じるファミリー一同の心情には気付くこと無く、呆気からんと笑う了平に、自然と張りつめていた空気が緩む。
脱力するとも言えるだろうが。
「つまり……行ったは良いが帰りが困るという事態になりかねないと言うことですよ。ボンゴレを見つけ、いざ戻ろうとなった所で、元の世界がどれか分からなければ話にならないでしょう?……
僅かに眉をひそめながらも、骸は幼児に言い聞かせるような口調で、了平に言い含めていく。
「成る程。つまり目印だな!」
呆気からんと簡潔すぎる結論を出すこの男は本当に理解できているのか、思わず額を抑えた骸を見た者がいたか否かは定かでは無い。
「成る程。それでボンゴレリングが必要なことも、行けんのが俺達守護者だけだってのも分かった……。だがそれで、リングの中に宿っている初代の守護者達を説き伏せるって言うのはどういう事だ?」
平静を保ちながら一時的に黙って話を聞いていた獄寺がようやっと口を開く。
その簡潔なまでの質問に、タルボも簡潔その物で応えた。
「簡単なこと。初代守護者の承認は、そのまま主等への守護となる。……それが無ければリングが耐えきれぬのじゃ。何せ、
言外にそれほど異例で且つ、危険度の高いと言われたそれを、意図せず、何者かによって無理矢理と言う形で行われたであろう十代目の状態に思いを馳せてしまい、獄寺はグッと眉間に力を込めた。
彼を案じて泣くのは早いと分かっているからだ。
心配して泣くのは無駄でしかない。骸の言葉通り、彼の人は既に連れ去られた後なのだから。
彼の元へ行くための手がかりが掴めた事での嬉し泣きは早すぎるだろう。
そんなことは同じ世界に降り立ってからすることだ。
それを理解しているからこそ、獄寺がやったことはひどく明瞭なものだった。
「分かった。……どうすれば良い?」
その言葉を聞いたタルボは僅かに目を眇め……面白いというように笑う。
彼は当初、そこまでして追うか否かを尋ねるつもりだった。
しかし言葉にした嵐の守護者を始め、他の守護者達も皆、その方法があると知った時点で、迷いなく、その先の決断を導き出したのだ。
(十代目よ……たとえお主が信じられずとも、こやつ等はお主を信じ続けるようじゃのう……)
大空と天候……守護者とボスを繋ぐ確かな絆を認めて、
タルボは頬を緩ませ……答を呈した。
「炎を灯せればよいだけじゃよ。……儂が破片から新たに鍛え直す、新たなボンゴレリングにのぉ」
通信機越しにその答を聴いたボンゴレ九代目は、はっきりと己の表情が強ばっていることを自覚していた。
「本当に……そのようなことをするつもりですか?タルボ爺様」
問いかける声も、明らかな硬さを滲ませている。
「本当も何も……砕けたボンゴレリングでは、世界を越え、ボンゴレに辿り着くまで形を保てんよ。十人目のボンゴレを救うというのならば、鍛え直す事は避けては通れぬ」
矍鑠とした口調で突きつけられた事実に、九代目は、目を伏せた。
分かっているのだ。己の超直感も否定はしない。
しかしその行為は、下手をすればボンゴレの至宝たるボンゴレリングを完全に失わせる愚行になりかねない。
成功すれば確かに綱吉を救える道は開けるだろうが、未だ精神的にも盤石とは言いきれない年若き守護者達で、必ず成功するという見込みはなかった。
寧ろ失敗の確率の方がずっと高いだろう。
「九代目よ。どちらにしろ、選択肢は残っておらんのじゃよ」
駄々をこねる子どもに言い聞かせるような口調で、タルボは続ける。
「十人目のボンゴレがこの時代によんだ若きボンゴレによって、マーレの小僧が沈んだ。そやつ等か戻るべき過去の時代にあるマーレリングを封じるために巫女姫が命を落とした……残っているのはボンゴレだけじゃ」
トゥリニセッテ。世界の礎と呼ばれるその三つの秘宝の核たる大空の所有者が誰一人いない。それが何を引き起こすのか、九代目には予測が出来ない。だがそれは、九代目だけの事では無いだろう。
人の寿命は短い。
昔に比べれば長命となったとは言え、僅か百年。
およそ百年前、ボンゴレを創設したジョットがボンゴレリングの一角を担ってから、枷を嵌めた状態とはいえ、そのリングは仮の所有者を代替わりしながら時を紡ぎ続けてきた。
当然のことながら、それ以前の世界を知る者など、もうほとんど生き残っていないだろう。
(そう……だからこそ、それらの全てが眠っている時代の悲惨さなど、理解は出来ない……)
無論それは、誰に責められる事でも無い、当たり前のことだ。
体験していないことを理解することは難しく、その時代を未だ知る者がいたとしても、進んで見聞を広めるようなことはしなかっただろう。
それは今となっては悔やんでも詮無いことではあるが、それでもタルボは危機感を感じつつある。
(
ふと、タルボは見えない目線を空へ向けた。
日の光はいつもよりも弱く感じる。
雲が太陽を覆っているのか、それとも。
(それは……こちらの世界とて同じ事……)
目に見えない、しかし、確かに何らかの形で、異変は起きつつあるだろう。
一抹の不安を胸に抱えながら、それでもタルボは己の出来る「最善」の為に、動きだそうとしていた。
公式の方では活発に動き始めています。
そちらに刺激を受けながら(……栄養を貰いながらとも言う)こちらも少しでも浮上できるように頑張ります。
それではまた。