戦闘描写は、どうも苦手です。
それでも書きたいと思ってしまうのだから、おかしなものですが。
まだまだ至らない所もありますが、頑張っていきたいと思います。
新参者でしたが今年はありがとうございました。
来年もよろしくおねがいします!
胸騒ぎを感じたオールマイトが、同席していた校長を振り切り、向かった先で、現在USJで授業を受けている筈のクラスの生徒、飯田天哉と出会った。
そこで大まかなあらましを聞いた彼は、雄英高校へ向かう少年と別れ、USJへ乗り込んだのだ。
「もう大丈夫」
本日の活動限界は既にギリギリの時間となっている。
長期化すればそのまま己の、己が守る生徒達の危険に直結するだろう。
己一人の場合は恐怖などない。
己の生徒達に危機が迫るからこそ、恐怖した。
「私が来た!!」
それでも、その恐怖を見せるわけにはいかないのだ。
私は……平和の象徴なのだから。
「オールマイト。ダメです!あの仮面の敵!!」
間一髪の所で、梅雨と峰田と共に助けられた出久だったが、不安を隠せない様子で、敵達と戦おうとするオールマイトを押し止めようとしていた。
「ワン……っ!僕の腕が折れないくらいの力だったけど、受け止められた!きっとあの人……」
「緑谷少年」
不安のままに続けようとした言葉は、たった一言の言葉で打ち消された。
「大丈夫!」
向けられた、陽気な笑みに何故か安堵を覚えてしまった。
水辺にいた子ども三人を救けるついでに、オールマイトに殴りつけられた主犯の男、死柄木は、外れた腕を拾い上げながら、思ったほどの力を持たないオールマイトに、光明を見いだしていた。
(先生は言っていた。……オールマイトは弱っていると)
どうやら本当のようだ。確信を抱いた死柄木は、手元にあったイレイザーヘッドを奪われて尚、棒立ちのままの木偶の坊に、命令を与える。
「フレイア。オールマイトをやれ」
簡潔な一言。それしかそいつには必要はない。
先生が死柄木に与えたそれは、この状態ならば死柄木に忠実な人形だった。
自発的に行動できないと言う欠陥はあるが。
その言葉を聞くや否や、フレイアは動いた。オールマイトもそれに気づいたのか、生徒を庇うように自ら前に出る。
「
攻勢に出たのはオールマイトの方が先だった。
「
両手を交差させて振り抜く動作で敵に二擊を与える技。その最中にフレイア、と呼ばれた敵もまた動いた。
超高速で動くオールマイトの動きに同調して、交差してある腕に掌を添え、そのまま跳躍。オールマイトの上を飛び越えたのだ。
「ムッ!!」
視界から消えた相手に、一瞬目線を泳がせたオールマイトの隙を見逃さず、背後から腹部へと貫手を食らわせようとする。
「これは……かなりの」
しかし黙って貫かれるオールマイトでも無かった。
「早さだな!!」
相手の位置を目視するやすぐさま反転し、貫こうとする手首を弾き、もう片手で腹部へと一撃を入れたのだ。
普通の敵ならそこでオールマイトの拳が繰り出す風圧に負け、吹っ飛ばされるだろう。
その間に態勢を整えるのがオールマイトの作戦だった。
「なに?!」
しかし拳が直撃したはずの敵は、吹き飛ばされること無く、その場に留まりあろう事か、己に一撃入れた筈のこちらの拳を片手で掴んだのだ。
「無駄だよ。オールマイト。そいつに自我は無い。あんたにやられる恐怖なんか、微塵も感じないようにできてるんだ」
死柄木の声が自慢げに響き渡る。
「なるほど……それは」
彼の説明に言葉を返したオールマイトに、しかし焦る様子はない。
「やりやすい!」
捕まれた手を逆に利用して、オールマイトは敵にバックドロップを繰り出した。
ズドンと、上がる土煙はまるで爆発の後のような様相となっている。
それを見ながら出久達三人は、相澤先生を背負い、入り口へと向かっていた。
「何でバックドロップが爆発みたいになっているんだろうな……やっぱりダンチだぜ!オールマイト!!」
安堵から饒舌に喋る峰田に、梅雨も同意するように静かに言葉を零す。
「私たちの考えすぎだったのかしら……凄いわ」
しかしその中で、出久だけは不安を拭いきれないでいた。
(『殺す算段があるのかもしれない』……たとえ蛙吹さんの言ったとおりだったとしても、今僕らにできることは何もないんだ)
脳裏に過ぎるのは、オールマイトと今も対峙しているであろう三人の敵。
その内の一人に、出久は手も足も出なかった。それが現実なのだ。
(寧ろ……人質に取られでもしたら足手纏い以下だ。敵への憶測よりも……オールマイトを信じるんだ……!)
それがおそらく、今の出久達に出来る最善。
(でも……!)
脳裏に再び過ぎるのは朝チェックしたニュースの内容。敵の襲撃を受ける前、先生達が隠れるようにして話し合っていたこと。
(あの話し合いの中で、13号先生が、ひっそりと立てた三本指は……!)
『私のヒーローとしての活動限界は、今や一日約三時間ほどなのさ!』
約一年前。初めてオールマイトとあった日に、彼が話してくれた秘密。その中で出てきた言葉。
(きっと、使いすぎたとかの話なんだ……本来ならばもう……!)
生徒達の浮かべる安堵の表情と、嘗てのオールマイトの顔が、この時出久には同時に見えた。
『私が笑うのは、ヒーローの重圧。そして内から湧き出す恐怖から、己を欺くためさ』
それは……出久だけが、知っている秘密。
「くっ……!」
図らずも起きたそれは、事態の硬直を意味していた。
「そういう感じか……!」
歯噛みしたオールマイトは、完全に動きを封じられていた。
バックドロップは、確かにフレイアと呼ばれる敵に直撃した。
しかし、無骨な仮面に罅こそ入ったものの、彼は空いていた片手をコンクリに押しつけただけで、体へかかるはずだった床への衝撃を防いだのである。しかも。
(なんだこれは……!?離れん……!!)
オールマイトがバックドロップを決めるために利用した敵に捕まれた掌が、まるで接着剤でも付けられたかのように、敵と接合してしまっていた。
敵自身も一向動く気配がない現状は、結果としてオールマイトの方が、動きを封じられることとなったのである。
「コンクリに深く突き立てて動きを封じるつもりだったか?……でも、それで封じられんのはお前の方だ。……良いね。期せずしてチャンス到来だ」
含み笑う死柄木の声に、オールマイトも己に迫る危機に直面せざる負えない。
(ここまで……なのか……っ!)
年若い男の敵を前に、己の無力を噛みしめた、その時。
「オールマイトォ!!!!」
その声は、響いた。
(緑谷少年……!!)
あくまでまっすぐに、己を慕う声に。
(君って奴は……っ!!)
絶望的な状況は変わらない。それにも関わらず、笑みがこぼれた。
「退っけ!邪魔だぁ!!」
オールマイトに駆け寄ろうとした出久の前に躍り出た黒霧を、爆風と共に押さえつけたのは、爆豪だった。
「デクっ!!」
ドンと、黒霧の体を床へ押しつけたのと同時に、パキパキと音をたてて、フレイアの体が凍っていく。
「てめぇらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」
床にも広がる氷結に、ギリと無意識に死柄木が唇を噛む。
「……っ!」
咄嗟に気づいて避けた先では悔しげに切島の顔が歪む。
「くっそ!良いとこねぇ!!」
悔しげな様子も隠そうともしない切島は、個性なのか鋭くなった手を構えて、周囲を警戒する。
「スカシてんじゃねぇぞ!モヤモブが!!」
啖呵を切る爆豪の掌は依然、黒霧から離れない。
「平和の象徴はてめぇら如きにはやれねぇよ」
言い切る轟の声はどこか凜としていて。
「かっちゃん……みんな……!」
出会ってまだ何日も経っていないはずなのに、出久の身を包んだのは安堵だった。
泣きたくなるほどに、嬉しかったのだ……!
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ヒントは本文の中にあります。
次の話ではもう少し分かり易く書いていくつもりです。