アニメを見てナタリアの末路を自分なりに考え結果、助けてみました。
 完全なご都合主義であることをあらかじめご了承ください。

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 原作は読んでいませんアニメだけです。楽しんでいただけたら幸いです。



ナタリアがもし脱出に成功してたら

 ファックスから1枚の書類が送られてくる。

 その紙を取り、ナタリアは顔をしかめる。

 

「・・・こいつはまた厄介な獲物だねえ」

 

「知ってるのかい?」

 

 嫌気がさしたような口ぶりに切嗣は反応する。

 

「魔術師『オッド・ボルザーク』使い魔である蜂を使役し、グールを増やす死徒でね。魔術協会からも高額な賞金をかけられている」

 

「詳しいね」

 

「とにかく被害の規模がでかい。以前あいつがいた街は結局一つ丸ごとダメになった」

 

「街が・・・」

 

 その言葉に切嗣の過去の記憶が掘り起こされる。

 

 父の研究物をシャーレイが持ち出し、グール化した時のこと。

 被害を嗅ぎつけた魔術協会、聖堂教会の2つの組織が事を隠蔽するべくアリマゴ島のグール化した住民全てを皆殺しにしたあの事を。

 

「・・・・」

 

 

 

 ナタリアはスーツケースを持ち、空港へと向かった。

 パリの空港発ニューヨーク行き。これにボルザークが乗る。

 

 ナタリアは一度ボルザークを逃してるらしく、後始末は自分でやるとのこと。

 

 切嗣はナタリアでも失敗を?と言われそれだけ手強い相手だ、とナタリアは返した。

 

 ニューヨークにいるであろうボルザークの仲間を切嗣は掃除する仕事を引き受けた。

 

 以前は蜂の妨害のせいで取り逃がしたが、飛行機の中までは蜂を持ち込めないとふんだナタリアは機内でボルザークを殺す事を決定。

 

(ナタリアのことだ、今回は逃がす心配はなさそうだ。けど、念には念を入れておこう)

 

 

 ニューヨークで切嗣がボルザークの仲間を殺し、ナタリアもまたボルザークを静かに殺すことに成功していた。

 

「うっ!が・・・は・・・・」

 

(よし)

 

 殺したことを確認したナタリアは乗客の荷物置き場に向かう。

 荷物の中からボルザークの荷物を取り出し、床に置く。

 

「思ったより呆気ないものだねえ」

 

『最小限の手で仕留められるに越したことは無いよナタリア』

 

 切嗣と無線のやり取りをしながら催眠スプレーをケースの隙間から送り込む。

 死蜂を動けないようにするためだ。

 

 ある程度ガスを送り、ケースの蓋を開ける。

 

 目論見どおり死蜂は暴れ出さず、大人しくしていた。

 動けない死蜂にむけてナタリアは炎を放ち、燃やし尽くす。

 

「さて切嗣。客席にある奴の死体、どうやって運び出すつもりだ?」

 

『もう足は用意できてる。あとは急病の乗客を運び出す、お医者様がいればOKだ』

 

 荷物置き場から自分の荷物を取り出す。

 その中には白衣と聴診器が入っていた。

 

「無免許で良ければ。ふふっ」

 

 直後。後ろから足音が聞こえる。

 即座に反応しナタリアは腰に仕込んでおいた銃を抜く。

 

「ウ・・・ア・・アアア・・・」

 

 そこには死徒化したキャビンアテンダントがいた。

 

「くっ!」

 

『ナタリア?どうした?』

 

 無線が急に乱れ、切嗣は不審に思った。

 しばらくノイズが流れるが、すぐに戻った。

 よかったとひとまず安心するのも束の間。ナタリアの次の一言を聞いて切嗣は目を見開く。

 

「グールだ」

 

 

 

『なぜ?蜂は全て殺したはずじゃ・・・』

 

「あいつ、自分の体内に蜂を仕込んでいたのさ」

 

 グール化したキャビンアテンダントを射殺した後、ナタリアは言った。

 

『ナタリア、脱出を』

 

「何フィート上空だと思ってるんだ。生憎スカイダイビングの用意は――――」

 

『してある』

 

「何?」

 

『君の荷物に、緊急脱出用のパラシュートを無断で悪いが入れさせてもらった』

 

 ナタリアは自分の持ってきた荷物を手あたり次第にあさる。

 

「ふっ、これはまたご丁寧に」

 

 切嗣の言う通り、そこには確かに降下用の道具が入っていた。

 

「これなら何とかなりそうだ。けどグールはどうする?このままじゃニューヨークがとんでもない事になるよ?」

 

『それはこっちで手を打つさ、大丈夫』

 

 ズズンッ

 

 機体が揺れる。おそらく操縦席に死蜂が侵入し、機長をグールにしたことで操縦席が空いたのだろう。

 

「このままじゃ墜落しちまう。とりあえず明日、生きていたらまた会おう」

 

『死ぬなよ、ナタリア』

 

 

 

 一夜明け、早朝

 

 

 

『――――聞こえているかい坊や?寝ちまっちゃいないだろうね?』

 

「感度良好だよナタリア。お互い徹夜明けさ」

 

昨夜(ゆうべ)の君がベッドで安眠してたんだとしたら、後で絞め殺してやりたいよ』

 

 笑い交じりにナタリアは言った。

 

『さて、良いニュースと悪いニュースどっちから聞きたい?』

 

「良い知らせから話すのが、お約束だろ?」

 

『OK。まず喜ばしい話としちゃあ、とりあえずまだ生きてる。飛行機の方も無事だ。コックピットには割合簡単に辿り着けたんだが、通信機の修理に手間取っちまった。操縦の方は何とかなりそうだよ、セスナと同じ要領でいいならね』

 

「管制塔と連絡は?」

 

『つけたよ。はじめは悪ふざけかと疑われたけどね。やさしくエスコートしてくれるとさ』

 

「・・・悪い方は?」

 

『結局噛まれずに済んだのは私だけだ。乗員乗客300人、残らずグールになっちまった。コックピットから扉一枚隔てた向こう側は、すでに空飛ぶ死の都ってわけ。ゾッとしないねえ』

 

「ナタリア、そのまま管制塔の指示に従って運転してくれ。僕はその間に君を救うためちょっと離れる」

 

 ブツ、と無線は切れた。

 

 その後。切嗣は闇市に向かい、ある武器を購入する。

 その武器を持って船着き場に用意してあったモーターボートにエンジンをかけ、出す。

 

「よし、ここなら」

 

 位置を固定し、ナタリアに無線をかける。

 

「ナタリア、生きてる?」

 

『生きてるよ。それで、私を救う手段は整ったのかい?』

 

「ああ。5分後、君のその自慢の腕で強行突破した後パラシュートで脱出。できる?」

 

『簡単に言ってくれるねえ。5分後私は300体のグールを相手にするわけだよ?女にそんなことさせるなんて切嗣、あんた中々Sじゃない』

 

「・・・君に言われたくないね。とにかく頼んだよ」

 

 

 

 機内

 

 

「あと1分・・・」

 

 銃を装備し、ナタリアは機内時計を見る。

 切嗣が指定した時間をもうすぐ迎える。

 

「グールに噛まれず、死蜂に刺されず、重厚な扉を開けて脱出。結構な無理難題押し付けてくれちゃって」

 

 背中にパラシュートバッグを背負う。

 

「丁度5分。行くよ!」

 

 扉を開け、真っ先に見えるのは3体のグール。

 

 銃で適格に眉間を打ち、沈める。

 

 奥に進めば、さっきの倍の数のグールがいる。

 周りには騒ぎの根源となった死蜂まで飛んでいる。

 

「ガアッ!」

 

「ふっ」

 

 パンッ

 

「ウー」

 

「はっ」

 

 パンッ

 

 狭い機内。まともに動けるのは中央の通路だけ。

 ならば、中央に巣くうグールだけ確実に仕留め、進むだけのこと。

 

 死蜂は極力無視する。

 小柄で素早い蜂に気を取られていたらグールにやられる。

 接近し、刺されそうになった時こそ相手にする。

 

(私は生きて帰るよ。何がなんでも、必ず)

 

 その思いだけが、彼女を突き動かしていた。

 

 扉まであと5メートル、4メートルと近づくたびにグールの勢いは強くなっていく。

 だがそんな構うものかと言わんばかりにナタリアは進み続ける。

 

 ブーン

 

「っ!」

 

 パンッ

 

 自分に向かってきた蜂を銃で射殺す。

 蜂にさえ気を取らなけらばならない状態。

 

 それでも、彼女は進む。

 

「ああああああ!!!」

 

 出口まであと3メートル、2メートル、1メートル・・・そして、

 

「よしっ!」

 

 扉までたどり着くことに成功する。

 あとは開くだけ。

 

 だがそんなのお構いなしにグールは襲いかかってくる。

 

 この厚い扉を開くのは結構の時間がかかる。それまでグールが待ってくれる保証はない。

 

「けど、やるしかない・・・!」

 

 もう一つ用意してあった銃、サブマシンガンを取り出す。

 そのサブマシンガンをグールの足めがけて打ちまくる。

 

 グールの知能は低い。

 1体倒れればそれを跨ぐことをせずにつまずき、転ぶ。その繰り返しを予見しての攻撃だった。

 

 案の定、ナタリアの予想した通りになった。

 

「ウー・・・」「ヴー」

「ガー」「ヴヴヴヴ・・・」

 

「狙い通り」

 

 開けるなら今。

 そう思ったナタリアは扉を開き始める。

 

 だが飛行中の飛行機の扉を開ける事は普通に考えて不可能。

 

「普通なら、ね」

 

 そう。彼女は魔術師だ。

 普通がダメなら魔術、それが彼女だった。

 

 ギギギギギギギギ

 

 扉が開き始める。瞬間、もの凄い風が入り込んでくる。

 

 その勢いに屈せず彼女は跳躍、上空に舞う。

 

「切嗣ぅーーーー!!」

 

 

 

 

「ジャストタイミング。ナタリア」

 

 ナタリアが降りた事を確認し、切嗣はニヤっと笑う。

 闇市で仕入れた武器、スティンガーを持ち標準を飛行機に定め引き金を引き、射出。

 

 ドオオオオオンッ

 

 爆炎を散らしながら飛行機は爆発する。

 

 ナタリアはパラシュートを開き、水の中に着水する。

 ボートを走らせ、切嗣はナタリアの元に向かう。

 

「ナタリア、手を」

 

「悪いね」

 

 手を取りナタリアを引きずりあげる。

 

「坊やがパラシュートを用意してなければ今頃お陀仏ってわけか。借りを作っちまったねえ」

 

「よしてくれナタリア。僕は貸しなんて作った覚えはない。君が生きてくれただけで十分さ」

 

「ふん。結局ボルザークの死体は確保しそこねちまったよ」

 

「この有様をカメラで撮って送りつけるといいさ。それよりも帰ろう。今回はなんだかドっと疲れたから当分、仕事は休みたいね」

 

「同感。少しの間、殺しの仕事は休もうかねえ」

 

「決まりだ。カフェなんてどうだい?いいとこ知ってるよ」

 

「いいねえ。久しぶりにおしゃれしてこうかな?」

 

 ボートを走らせ、二人の殺し屋は去っていった。

 

 

 

 


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