ダンガンロンパ ~reality~ 空想で少女は何を見る   作:超高校級のネタ体質

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続いてしまった…。


プロローグ Part2

 

……………。

……………………。

……………………………。

 

「……うにゃ?」

 

私は変な声を出して、目をさました。

朝があまり強くない私の頭と視覚は、寝起きでぼんやりとしていた。

 

「…だるい。どんだけ寝てたんだっけ…?あ、飛行機の時間…。」

 

起きてまず思い出したのは乗るはずの飛行機の存在だった。

寝過ごしたかな…。スタッフに事情を説明したら乗せてくれるかな…。て言うか寝ている隙に荷物は盗まれてないよね?あ、良かった盗まれてない…。

 

「…あれ?」

 

のんきに考えていた私はある違和感に気がつく。

 

「静かすぎる…。それに確か、椅子の前に机なんてなかったよね…。」

 

まず、寝る前は他の客も少なくなく多少賑わっていたはずの空港が静寂に包まれていた。

これだけならまだしも寝る前にはなかったはずの机の上に自分自身がうつぶせになるよう寝ていたのだ。

 

「いくらなんでも、変すぎるっしょ。」

 

私は少し気になって周りを見渡す。そこで気がついた。

 

「ここ…どこ?」

 

私がいた場所は人っ子一人もいない学校の教室だった。

なるほど、これなら確かに静かなのもあり得る。人の賑わう空港ならまだしも、人っ子一人いない、壁の窓に位置する場所に鉄板がどこで売ってたのか分かんない通常の物より大きなネジが止められた監視カメラ付きの教室じゃあ静かなのもしょうがない。

 

「…まぁ、いっか。取り敢えず探検してみて出口探そう。」

 

もしもここに銀色の魂を持った眼鏡をつけた侍みたいなツッコミがいたら「いや、あっさりし過ぎだろ!」とか的確なツッコミをくれるだろうが、私はどちらかと言うとボケに属する人間だ。気にしない方向に行く。

 

「失礼しま~す。」

リュックとキャリーバッグを持った私は扉の前までてくてくと歩いていき扉を思いっきり開けた。

力を入れすぎてちょっと扉から変な音したけど多分大丈夫。

 

「うわっ!?」

 

あ、大丈夫じゃなかった。どうやら教室の直ぐ側に人が歩いていたらしく、驚いてしまったようだ。見たところ私と同年代ぐらいの男子高校生だ。

…なんで彼の頭にアンテナが立っているのだろう?寝癖?

 

「oh, I’m so sorry. Are you all right?(ああ、ゴメンなさい。大丈夫かしら?)」

「え、あ、英語!?あ、アイキャノットスピークイングリッシュ。」

「あ、日本人?ごめん、日本語で大丈夫だから。」

「う、うん。」

 

目の前に居る男の子はどうやら私と同じく日本人だったらしい。慌てて片言英語で対応するのを見て私は彼に修正を入れた。

まだアメリカに居るもんだから中国人とか韓国人かと思ったんだけどな。

 

「それより大丈夫?ごめんなさい、驚かして。」

「う、うん、大丈夫だよ。ちょっと驚いただけだから。」

 

素直に謝る私に青年はそう優しい一言をくれた。

 

「ねぇ、君も希望ヶ峰学園の新入生なのかな?」

「は?」

 

…どうしよう、なんか私のせいで彼の頭がイカれちゃったらしい。

 

「え、そうじゃないの?」

「そもそもここって日本じゃないですよね?」

「え?」

「ん?」

 

…あれ、違うの?もしかして私、アメリカから日本に瞬間移動したの?ヤバイ、私はどうやら知らず知らずの内に瞬間移動を身に着けてしまったらしい。

 

「ゴメンちょっと待って。まず、希望ヶ峰学園のことは知ってるよね?」

 

取り敢えず今ここで話を混乱させるのは良くないだろう。私は彼の話に合わせることに決めた。

 

「ええ、まあ知っています。」

「キミは、この希望ヶ峰学園に選ばれてきた生徒、……それかその家族だよね?」

「今、私の背を見て付け足しましたね?一応これでも高校生ですからね?」

「ご、ごめん。」

 

確かに私の身長が女子高校生の平均どころか中学生の平均身長に届くかも分からないのは認めるが見た目で人を判断しないでほしい。

そもそも私のどこに若く見える要素があるのだろうか。

155cmに満たない身長、自他ともに認める童顔、縞模様の水色パーカーにゆったりとした少しブカブカの長袖長ズボン、ボサッとした髪を可愛らしいピンクのヘアアクセでまとめた黒髪でどう見ても高校生……にはちょっと見え難いですね。

少なくとも中1に見えるわ、はい。

 

「希望ヶ峰学園に選ばれたかはよく分かりません。気がついたらここの教室で眠ってたので記憶が曖昧で…。」

「え、もしかしてキミも?」

「…もしかしなくても貴方も気がついたらここに?」

「うん、実はそうなんだ。学園の玄関まで来たら突然目の前が真っ暗になって…。」

 

わぁ、すっごい偶然。殆ど状況がおんなじじゃないデスカー。

 

「…もしかしたら他の人も同じ状況に居るのかもしれませんね。」

「そうかもね…。ねえ、一人で行動するのも不安だし、一緒に探索しないかな?」

 

え、それってデートのお誘い?ウワーアカシチャン嬉シイナー。

…ツッコまれないボケはまあ置いといて、この状況で一人になるのはたしかに不安だよね。ここは乗っておこうかな。

 

「うん、それが良いかもしれませんね。そうしましょうか。」

「そっか!ありがとう、えっと…。」

「ああ、そういえばまだ自己紹介をしていませんでしたよね。私の名前は明石玲香です。一応これでも女子高校生です。」

「うん、わかったよ。よろしくね、明石さん。」

「よろしく。それで貴方のお名前は…。」

 

…ここで、名前を聞くのは実は一つ確認したいこともあったからなのだ。

もしも、もしも私の予想が違わなければ、彼の名前は恐らく…。

 

「ボクの名前は苗木誠。この希望ヶ峰学園には超高校級の幸運として選ばれたんだ。」

 

「……そうですか。よろしくお願いしますね。苗木さん。」

 

――――――やはり、私の予想は間違いではなかったようだ。

 

誰もいない教室、窓に取り付けられた鉄板、監視カメラ、現実には存在しないはずの『希望ヶ峰学園』、超高校級の高校生、そして…超高校級の幸運、苗木誠。

 

これらのキーワードが示す答え、それは現実にはありえないであろうこと。

 

 

どうやら私は、アメリカから日本どころか、ダンガンロンパの世界に瞬間移動してしまったようだ――――――――――。

 

 

普通だったらそんなことに気がついたら人は目に見えて慌てるだろう。

私もこんな淡々と喋って入るがかなり動揺している。

正直叫びたい気分だ。

もしも苗木君が今目の前にいなければ恐らくパニックになっているだろう。

 

 

 

 

 

でも、

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、いっか。あとで考えよう。」

「??明石さん、何か言った?」

「さあ?きっと空耳じゃないかな?」

 

私は前を歩く苗木とぼけてみせる。

このことは取り敢えず保留にしておこう。そして、思い出した時に考えよう。どうせ、時間はまだあるんだし。

 

「ところで明石さん、」

「なあに?」

「明石さんはどんな肩書で希望ヶ峰学園に選ばれたの?」

 

うわぁ…、そこ聞いちゃうかぁ…。

 

「そ、それが、そこらへんも記憶が曖昧なんですよ。どんな肩書だったのか全ッ前覚えてないです。」

「そっか…。思い出せると良いね。」

 

思い出すも何も、そんな記憶欠片もないんだけどね…。

 

「あー、あそこ、人が集まってませんか?ちょっと行ってみましょう!」

「え、あ、ちょっと!」

 

私は話題をそらす為、苗木君の手を掴んで玄関へと走っていった。

 


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