「のお提督よ」
「何だ利根」
「昨日まで何も無かった表の断崖に巨木がニョッキリと生えておるのじゃが、お主アレに何か心当たりはないかの?」
「あーアレか、あれはほら、防衛施設」
「……防衛施設とな?」
「おう、一見何の変哲も無いこの巨木、実は枝葉に偽装された奥には監視施設が設置されている」
「監視施設? ってうーわ! 何ぞ木の上に小屋が乗っかっとるぞ!? 何じゃアレは!」
「いや軍事拠点としてはアレだ、哨戒活動だけじゃ業務としてはナンだと思ってよ、定点監視の設備を建てようかと思った訳でだな」
「ああ、毎日
「べべ別にネタ拾いの為に作ったんちゃうわ!」
「と言うかバイトで沖へ漁に出てるのを哨戒とか言ってみたり、監視塔とか言いつつツリーハウスを作ってみたりとお主は一体何をしたいのじゃ?」
「バッカお前、このご時勢監視塔みたいなモン堂々とおっ建てちまったらご近所さんから苦情が来ちまうじゃねーか!」
「だから何で軍の防衛拠点がそこまで卑屈に運営せねばならんのじゃ!? お主はいつも気を使う部分が病的におかしいぞ!」
「まあまあそれは横に置いといてだな、アレは見た目ただのツリーハウスだがな、機能的にはちゃーんとした防衛施設になってるんだぞ」
「コヤツ話を誤魔化しおった……てかお主昨日『南の島○フローネ』のDVD見とったな? まさかアレか? あのフ○ーネのお家に触発されてツリーハウスを作ったとかなんて事はあるまいな?」
「まぁ確かにあの髭親父の物作り魂に対抗意識を燃やしちまった感は否定出来んけどよ」
「と言うか何でお主が建造する施設はいつもハ○ス子供劇場のアニメが元になっておるのじゃ!? おかしかろ!」
「まぁそのお陰で色々施設が充実してきた訳だし、ほらこの監視塔も内部はちゃんとした作りになってるだろーが」
「ちゃんとしたって……何で窓にハンドルが生えたクロスボウが設置してあるのじゃ?」
「それを回せばボルトが連射出来る仕組みになっている、ついでに
「その意味あり気に壁から自己主張しておる棒はレバーじゃったのか!? て言うかこんな原始兵器でお主は一体何と戦うつもりなのじゃ? 麓のフルプレート漁師相手に戦争でも仕掛けるつもりなのか!?」
「あ? バッカお前そんなの深海棲艦相手に決まってるじゃねーか、ゲンさん達相手にこんな武器なんぞ通用する訳ねーし、もしやるとしたらお前最低でも
「深海棲艦よりも脅威度が高い漁師とか我輩らの存在意義が皆無ではないか!? リーとかチーを殴り飛ばす
「あーあー落ち着け、な、ほらそんなカリカリしてっとほら、ストレスパーンでこっそり続けてる下半身ダイエットに支障が出るかも知れねーだろ? ほらこれでも食って落ち着け、な」
「何でお主が人目を忍んでやっておる我輩の秘密を知っておるのじゃ!? と言うかこんな制服を着とると脚のラインがキモになって来るのじゃからしょうがなかろ!……ったく、む、これはチーズスフレではないか!?」
「おう、ヤギミルクとピーコ達の卵量産が軌道に乗ったからな、砂糖や小麦粉は物々交換で入手可能になったしスイーツに関してはもうバッチリだぜ」
「そうか、うむそうか……それは何と言うか何よりじゃの!」
「あーそれから利根よ」
「何じゃ?」
「あの、なんつーかケツ振りダンスっての? 一生懸命やるのはいいんだけどよ、ブランチ基地でやるのは止めとけ、声とか反響しちまって漁協とか
「ケツ振り言うな! て言うか我輩が下半身ダイエットに勤しんで既に一ヶ月は経過しておるのじゃが……もしや、ずっと?」
「おう、まぁその前にチチ揉み音頭を止めさせちまってたからなぁ、その上ケツ振りダンスまで止めさせるのはちょっとと思ってよぉ」
「だから一ヶ月も我輩の赤裸々な活動が聞こえておったのにそれをずっとスルーしておったと!? 何でお主は変なトコで気を回すのじゃ!?」
「いやほら、な、漁協のオバちゃん達も暖かく見守ってやれっつってたし、ほらシュガー○ット、おばちゃん達からの差し入れ」
「全然嬉しくないわっ! 何じゃその全周囲から生暖かくウォッチされとる状況は……我輩涙が止まらんぞ」
「まぁそんな落ち込むな、今度アレだ……銭湯とかであるあのベルトでプルプルするヤツ、あれ作ってやっから、な」
「ベルトでプルプル? ああアレか、何じゃお主そんな物作れるのか?」
「おう、確か在庫であれ作れそうなブツがあったと思うから多分大丈夫だと思うぜ?」
「……のう提督よ、その在庫とは何じゃ?」
「うん? ああそれな、んとその辺りは色々事情があってだな」
「やはり今日もその一言が出るのか……で? その事情とは何じゃ? 言うてみよ」
「ん、ほら今んトコ気温が低いから食材の備蓄に問題は無いんだが、これから先その辺りヤベーんじゃねーかって思ってよ、
「食材の備蓄から
「そんで散策ついでに新たな狩場も開拓しとくかって山の裏側まで足を伸ばしてみたんだが」
「
「で、そこで宝の山を見付けてしまった」
「……宝の山ぁ?」
「おう、何だかあっちは人目が無い山間部が広がっててよ、どうもここの山向こうはどこぞの業者が産廃を不法投棄してるらしくてだな」
「待つのじゃ、お主の言う宝の山と言うか在庫というのは……」
「電化製品の山、凄くね?」
「お主はどこぞのリサイクル業者のオッサンか!? 我輩らは特別国家公務員じゃぞ!? その手の輩も取り締まらんといかん立場の者が不法投棄の現場を宝の山とか言うて、はしゃいでおったらダメダメではないか!?」
「いやしかし利根よ、お前の部屋にあるエアコンも、一階のシアターシステムもオール電化キッチンも、全てあそこから持ってきたヤツをリサイクルした物なんだが」
「最近やけに小屋が文明開化しつつあると思ったらそんな事をしておったのか!?」
「おう、基本ウチは電気ガス水道のライフライン関係と事務用品の支給以外は予算が組まれてないからな、その辺りは自前で何とかしねーとどうしようも無ぇだろ」
「防衛拠点の運営としてそれは一体どうなのじゃ……」
「知らねーよんなモンは、大本営の事務方にでも聞いてくれ」
「何じゃそれは……まったく、それで提督よ」
「あん? 何だよ?」
「そのリサイクルしてるブツで生活が潤っておるのは判ったのじゃが、その在庫という言い方はどうなのじゃ? まるで商売人の様な物言いではないか」
「あん? そりゃお前拠点って基本工廠で作ったブツとか余剰品を売っぱらって予算獲得してるって先輩から聞いたからよ、ウチでもホラ、その辺り何かビジネスをだな」
「サブロオオオォォォォォォォ!」