「のう提督よ、ちょっと良いかの?」
「あん? 何だ利根、今ちょっと取り込み中なんだが」
「いやいやちょっと待て、その現在取り込み中のお主の行動について聞きたいんじゃがの、お主は一体何をしておるのじゃ?」
「あ? んなもん見て分かんねーか? 釣りだよ釣り」
「……釣りぃ?、何ぞ地面に四角い穴掘ってミョーンと不自然に釣り糸伸ばしてるそれが釣りぃ?」
「あん? お前知んねーの? 例え1マスでも水張ってりゃ魚は釣れんだぞ? っと来た……何だよ、またネームタグかよ」
「待つのじゃ!? 何じゃ1マスでも釣りが可能て!? むしろ名札ってのっけからマ〇クラネタ垂れ流すで無いわっ! リアルじゃこんな水溜りに糸垂らしても何も釣れんからな!? 物理的に色々おかしかろ!?」
「そんな事言われてもなぁ、釣れるモンは釣れるんだから仕方ねぇだろ? っと今度はハリセンボンか、ちっ、秋刀魚はやっぱ無理かぁ」
「秋刀魚ぁ? 何で秋刀魚なんぞ釣ろうとしておるのじゃ?」
「ああ? いやお前大本営からのお達しでだなぁ、合計30匹秋刀魚釣れって指令書が回って来たんだよ、ほれ」
「なんじゃと? なになに……『どーんっ!揚げ揚げで大漁です!』、何じゃこれは?」
「なんつーか微妙に腹立つ作戦名だろ? 上層部はアレだ、バカしか居ねーのかって思っちまうわ」
「て言うかその命令書見て1マス釣りするお主も大概じゃと我輩は思うのじゃがな……」
「まぁいざとなったらゲンさんに頼んで船出して貰えばいいんだけどよ……ってまた来た、む……今度は……ちっと大物みたいだぜ?」
「おおう、物凄く竿がしなっておるの! 何が掛かっておるのじゃ!?」
「こりゃ結構な獲物っぽいな……んじゃちくっと本気だすぜ! うるぁっ!」
「しむっしゅしゅしゅー!」
「しむっ!? なんじゃ!? しむって!?」
「あぁ?……ちっ、なんだよ外道か、リリースだリリース」
「しむ……しむ……しゅしゅしゅ~……」
「待つのじゃ!? おまっ……いいい今の!? 今のぉっ!?」
「あ? 何だようっせーな」
「今の艦娘ではなかったか!? リリースって何じゃリリースって!?」
「食えねー獲物はリリースが釣りの基本だろーが、てかあんなちっこいの見た事ねーし、第一こんな1マス釣りで艦娘なんか釣れる訳ねーだろ?」
「いやいやいや! あれ確かに艦娘じゃったぞ!?」
「あーあーもーまた利根ちゃまのファンタジー理論炸裂し始めまちたー、はいはいわかりまちたー、わかりまちたからちょーっと黙ってまちょうねー」
「くっ……何か無性に腹立つ言い方をしよるの、まぁ良いわ、それよりもちょっと今良いかの?」
「あん? どした何かあったか?」
「何かあったかじゃのーてじゃの、その……お主の肩に乗っておるその……」
「ん? ピエトロがどうしたんだ?」
「いやそっちじゃのーてじゃな、反対側に乗っかってるもう一匹の妖精はどうしたのじゃ……」
「まーた妖精とか言ってる、こいつは妖精じゃなくてイッポリートっつーバイトだ」
「またぞろおかしな事をいい始めよった、何じゃバイトって、今度のはどこで行き倒れておったのじゃ」
「うん? いやほらウチもそろそろ人員の拡充とかその辺りやった方がいいかなって思ってよ、タウン情報誌に募集出したんだけどよ」
「タウン情報誌にバイトを募集する海軍拠点もどうかと思うが、それに応募してくる妖精もどうなのじゃ」
「だーかーらぁぁ、こいつはイッポリートっつってんだろ!」
「あーあーもういい、分かった分かった、それでそのイッポリートには何をさせるのじゃ」
「取り敢えず何ができるかって仕事させてみたんだが、コイツは建築関係が得意みたいでな、ちくっと執務棟の改装とか諸々を任せてみた」
「執務棟ってログハウスの事か? うむ? ……特に何も変ってないように見えるのじゃが」
「見た目はな、あー、そこのほら、入り口に近付いてみ」
「入り口て……うーわ!? 何じゃ触れてもせんのに勝手にドアがパタンと開きおったぞ!?」
「相変わらずウチは資材がカツカツだからな、大掛かりな拡張はできねーけどよ、それでも生活環境辺りからぼちぼちと改善してこうと思ってよ」
「だからって普通のドアが勝手に開くのはどうなのじゃ? これ反対側じゃと開いたドアで顔面殴打せんか?」
「そこは慣れるしかねぇな、後はほら、出撃ドックとかの利便性向上とかもしてみた」
「……出撃ドックじゃと? それはあの便所エレベーターの事を言っておるのか?」
「それだよ、お前前から便所便所うるさかっただろ?」
「……まぁ言うておったの」
「んでその辺り別なルートで漁協に行くシステムを構築しようと思ってな」
「ほぅ? 別ルートとな?」
「おう、そこのほら、執務棟脇に俺が設計してイッポリートが全自動出撃システムを施工したんだけどよ」
「全自動出撃システムぅ? ってあの掃除用具が入ってそうなロッカー染みた箱の事を言っておるのか?」
「ああそれだ、ちょっと脇のほら、そこのレバー引いてみ?」
「レバー? この意味あり気に地面から生えておる棒はレバーじゃったのか、ってうーわ!? ロッカーの床がパカンって抜けて下が縦穴になっておる!?」
「緊急時にエレベーターを利用してちんたら降りていくのもアレだと思ってよ、シュート式の抜錨システムを組んでみた」
「組んでみたって大丈夫なのかこれ!? 底がまったく見えんぞ!?」
「重力加速をそのまま利用して海に射出するのはこの前作った母艦の抜錨システムからヒントを得た技術なんだけどよ、そいつはその改良型だぜ?」
「あの銀河〇道染みたレールで射出するヤツか……で? これは何をどう改良したと言うのじゃ」
「おう、それは縦穴の途中に服と艤装がセットしてあってだな、飛び込んだら下へ滑ってる間に着替えから艤装の着装までスパーンとやってそのまま海へ飛び出すって仕組みだ」
「は? 服や艤装を着装って……」
「これだと寝てる時に深海棲艦から襲撃されても一々着替える手間もねぇし、レバー引いてから約10秒程で抜錨できるからな、ほら便利だろ?」
「いやいやいや待つのじゃ、ここをスポーンと落ちれば全て装着できるって、入る時にはどうするのじゃ?」
「あ? 入る時って……そのまま入ればいいじゃねーか、ちゃんと重力加速も計算してっから危険はねぇぞ?」
「そうじゃのーて、これ艤装だけじゃなく服もセットなのじゃろ? て事は入る時服とか着ておった場合はどうなるのじゃ?」
「あ? 何言ってんだお前、んなもん裸で入るに決まってんだろうが」
「はぁっ!? それってどういう事じゃ!? 我輩は抜錨の度に裸でいそいそ出て行ってこの玄関脇に設置しておるロッカーに入らねばならんのか!? 何で我輩が裸で外に出らんといかんというのじゃ!?」
「何でってそういう仕様なんだから仕方ねーだろ? もー艤装とか諸々セットしちまったしよ、少なくとも一度は使用しねーと予備の服も艤装もそのまんまだぞ」
「何をしておるのじゃお主は!? バカか!? バカなのか!?」
「結構便利だと思うんだけどなぁ、ほら、お前パンツとか履かねぇしよ、それなら着替えの仕組みも簡素化できるわって思って作ったんだけどよぉ」
「いつも言っておるが我輩はちゃんと履いておるからなっ! 何じゃ履いておらんて! そんな状態でスポーンと海に飛び出したら色々見え放題で大惨事では無いかっバカもんがっ!」
「あーあー分かった分かった、このシステムは改良の余地ありって事で改修しとくから、取り敢えず一度は使用してくれ、でねーとマジお前の服と艤装そのまんまになっちまうから」
「くっ……結局一度は裸で使用せねばならんのか、いやパンツをセットしておらんのなら下着姿で飛び込めばよいのか……」
「あ、それパンツ履いた状態を想定して計算してねーから、履いたまま飛び込んだらその……な、重力がその、股間辺りに集中するっつーか、食い込むと言うか色々とよ、大変な事に……」
「アホかっ!? 結局一度はノーパン抜錨せねばならんのかっ! 何で我輩がそんな恥を忍ばねばならんのじゃっ!?」
「いやだってお前寝る時いつもマッパじゃねーか、だからてっきり下着は着けない派だとばかり……」
「何でお主が我輩の睡眠事情を把握しとるのじゃ!? 別に寝る時くらい自由にしても良かろ!? 我輩も自由になりたい時もあるのじゃ!」
「まぁこの設備専用の装備もあるにはあるんだがよ、その辺りは安心していいぜ? ほれ」
「またダクトテープか!? それ貼っ付けたら事後に毛が色々とえらい事になるからヤメよと何度言えば理解するのじゃ!? それに何じゃこの絆創膏はっ!?」
「お前ブラも着けてないだろ? それじゃ服との摩擦でほら……な? なんなら上も下も絆創膏にしてみればどうよ?」
「どうよ? じゃないわっ!? ブラもちゃんと着けておるわっ! 一体お主は我輩を何じゃと思っておるのじゃ!?」
「いやその、特殊な性癖してんなぁとは思ってたけどよ……その辺り筑摩から色々事情聞いてたからな、察してやってくれってよ」
「それどこの筑摩が言っておるのじゃ!? 何じゃ我輩の何を察するというのじゃ!?」
「すまん、幾らお前にでもそれは言えない」
「筑摩ぁぁぁぁぁぁ! 一体こやつに何を吹き込んだのじゃ筑摩ぁぁぁぁ!」
「あ、それとこんなのを預かってたのを忘れてたわ、ほれ」
「……何じゃこれは、『航空戦隊フラット5特別会員優待券』じゃと? てかこれ龍驤って名札付いておるんじゃが……」
「いやそのアレだ、お前の色々をほら先輩んとこに相談したらよ、その……な? 胸部装甲に悩みを持つ艦娘の互助会が発足したから、常々悩んでるだろうお前も参加してみたらどうだと」
「サブロオオオオォォォォォォォォォォオオオオオ!!」