提督と利根さん   作:zero-45
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2018/05/16
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 ご指摘頂きました黒25様、CB様、坂下郁様、有難う御座います、大変助かりました。


にじゅうろくにちめ

「のう提督よ、ちょっと聞いても良いかの」

 

「あ? 何だ利根」

 

「いや工廠と言うか自動車整備工場のな、扉のとこに『夕張重工出張所』という謎の文字が書かれておったのじゃが、お主アレに何か心当たりはないかの?」

 

「ん? あああれな、いやなんか知らねー内にテリーが書いてたみたいなんだけどよ」

 

「……テリー? テリーって誰じゃ?」

 

「あ? そう言やお前に紹介してなかったな、ちっと前にほら、先輩がどこぞに飛ばされたじゃねーか」

 

「飛ばされたとか滅多な言い方するでないわ、あれは色々な事情があったと言うか、複雑な諸々が絡んでおると言うか、一応左遷じゃなくて異動じゃぞ」

 

「いやでも中将から少将になって、んで外地の拠点へ移ったんだろ? それって誰がどう見ても左遷じゃねーか」

 

「いやそれは……あぁもう良いわ、説明してもお主では理解できんじゃろうし、それで? それがどうしたらあの工廠に掛かっておるブレートに繋がるのじゃ」

 

「いやその先輩とこで働いてたヤツがどうしても内地に残りたいつってな、まぁ鎮守府には後任が来る事にはなってたらしいんだけどよ、ソイツの下じゃ働きたくないでゴザるって言い張ったらしくて、仕方なくこっちで面倒見てやってくれって送られて来たらしいんだよな」

 

「大坂からウチにか? その何と言うたか……えっと」

 

「テリーだテリー、ほら、お前の足元で敬礼してるだろ?」

 

「おぉこ奴か、ふむ、黄色のヘルメットに黒いツナギとな? 今まで見た事のないタイプの妖精さんじゃのう……って何じゃ提督、そんなジト目で睨んで」

 

「いや……もうお前のその妄想癖はどうらもなんねーなって思ったからよ、ピエトロとイッポリーと、それにテリーにも一応は言い含めてあっから」

 

「なんじゃその手遅れ感が漂うかわいそうな者を見る目はっ! 我輩は何も間違った事は言っておらんじゃろうがっ!」

 

「あーうん、まぁその妄想癖と露出狂さえ目を瞑ればお前は割りと普通なんだけどなぁ」

 

「露出狂ってなんじゃ露出狂って! 我輩はそんな特殊な性癖は持ち合わせておらんわっ! お主がいつもいつも余計な気を回して周りへおかしな事を吹聴するから生暖かい目で見られている事になっておると何故気付かんのじゃ!」

 

「あーあー分かった分かった、で? わざわざ修理工場のアレを聞きにきたのか?」

 

「こ奴……開き直って工廠の事を修理工場と言いおった、はぁ、まぁ良い、聞きたい事はそれだけじゃったのじゃが、ちと聞きたい事が今一つ増えた」

 

「あ? 何がだよ」

 

「いや、お主の前に鎮座している布を被せた面妖な何かと、その前に置いているやたらとゴツいバーベキューセットについてじゃ」

 

「これか? ああこれはちょっとした事情があってだな」

 

「今回もその台詞が出るのか……最早様式美を通り越してお約束になりつつあるの、それで? その事情とは何なのじゃ」

 

「いやほらこの前食堂を開店しただろ?」

 

「あーあの営業しているにも関わらず、毎日何故か賄い分しか食材を消費せん無駄なアレか」

 

「いやちゃんと客来ただろ?」

 

「道に迷ったハイカーが一組、携帯の電波も飛ばん言うて電話を借りに来て、それだけじゃアレじゃと気を使うてオニギリだけ注文してったアレか」

 

「結局よ、こんな人里離れた場所じゃ飲食店を経営するのは限り無く非効率だって気付いたからな、何とか集客効果のある目玉を用意しねーと詰むわって思ったからよ、それの解決策を模索してたんだ」

 

「原因をちゃんと把握しとるのに、そこから更に突っ込むとか最早パチンカスみたいな行動に陥っとるの」

 

「ばっかお前、商売ってのは人とは違う何かを武器にしなきゃ成功なんてできねーんだよっ!」

 

「それは何度も同じ過ちを繰り返す敗者の弁だと何故気付かんのじゃ……」

 

「そんな訳でロボを作ってみた」

 

「は? なんでそこでロボに繋がるのじゃ」

 

「テリーはどうやら大坂ではロボを作ってたらしくてな、軍事用ロボが作れるなら汎用型ロボ程度なら簡単に作れるだろうって事でな、作ってみた」

 

「いや作ってみたって……うーわ、布の下から……のう提督よ」

 

「何だ利根」

 

「これは一時期一部の者達の間で一世を風靡した先〇者というロボではないのかの……」

 

「あー、それはな、なるべくローコストでインパクトがあって、更には実用性を兼ねた設計をしたら偶然こんな形になった」

 

「偶然と言うかお主の感性と発想が、それを作った怪し気な輩達と同じだっただけではないのかの……」

 

「まぁ実用性もそうだが、インパクトを狙ったのも確かだしな」

 

「お主の感性から来たインパクト自体も随分埃が被る程古いと言うのは横に置いておくとしてじゃ、のぅ提督よ」

 

「あ? 何だ今忙しいんだよ」

 

「いやいや、お主一体何をしておるのじゃ?」

 

「あ? 肉焼いてんだよ、見て分かんねーか?」

 

「一体何をどうしたらロボと言い張るその面妖な何かの股間からピカーっとしとる光を調整しとるのを見て、肉を焼く行為に繋がるのかの説明を我輩にもして欲しいのじゃが」

 

「あーもー面倒臭せぇな、ほら、先ずロボの各部位には集光ミラーがあるだろ?」

 

「ふむ、この金属の筒状の物か」

 

「おう、それで太陽光を光ファイバーで腰部レンズへ集光させ、特別製のバーベキューグリルへ照射する、すると」

 

「すると?」

 

「グリル内の反射板が収束した光を熱エネルギーに変換させ、肉が焼ける仕組みになってる」

 

「……ほぉ? それは中々エコな作りじゃの」

 

「そしてこの方式なら遠赤外線効果で肉が柔らかく焼き上がるという効果も発揮する」

 

「ふむふむ、それは中々良く出来た仕組みじゃがの、提督よ、肝心の肉が全然焼けておらんようじゃが、これはどうしたと言うのじゃ?」

 

「ああこれな、まぁ肉が焼けるまで30分程掛かるからそれまでは待機になるな」

 

「全然焼肉の醍醐味が無いではないか、すると何か? 客が焼肉を注文して出てきた肉を網の上に並べたら、後は30分間延々と珍妙なロボの股間からゴツいグリルへビーム(仮)が照射される微妙な絵面(えづら)を延々と見せ続けられる事になるのか!? そんなの気が狂うてしまうぞっ!」

 

「まぁ待て、実はコイツには隠された秘密の機能が隠されている」

 

「……隠された秘密を再び隠してしもうたら機能として作用はせんのではないのか」

 

「コイツは普段バーベキューの番人でもある訳だが」

 

「いや、ちっとも肉は焼けとらんが、あくまでその路線でいくのじゃな」

 

「このリモコンをここに接続して、こう」

 

「股間からビーム(仮)を照射したまま、リモコンのコードを尻にぶっ刺した姿はロボとしてどうなのじゃと言うてもよいのかの」

 

「んでお前の車を持って来て」

 

「……のう提督よ、我輩物凄く嫌な予感しかせんのじゃが、どうしてその珍妙なロボの隠された秘密に我輩の車が必要になるのかの」

 

「まぁ見てろって、一旦ビームを止めて、助手席にセットして……」

 

「のう提督よ」

 

「ちっと待てって、もうすぐセットが終わるから……良し」

 

「良しではないわっ! なんで我輩の車の助手席にこんな訳の判らん物をセットしとるのじゃ!」

 

「あ? それはな利根、コイツはロボコックの体をした軍用兵器だからだ」

 

「車のボンネット越しに見える先〇者がシュール過ぎる……と言うか、股間から太陽光をビーっとしとるだけでコックと言い張るのはやめんか、全国のコックさんに怒られるではないか……」

 

「因みにコイツはおしゃべり機能も搭載している」

 

『はい、マイケル』

 

「だからマイケルって一体誰なんじゃ!? て言うかこれは単に車に積んでる例のアレをロボのスピーカーで出力してるだけではないかっ!」

 

「因みに車に搭載した時は5.1chシステムで臨場感がバツグンになる」

 

『『『新機能が加わりました』』』

 

「ただやかましいだけじゃ!」

 

「んでコイツの最大のウリは、リモコン操作で離れた位置から敵を迎撃できる事にある」

 

「迎撃……深海棲艦にか?」

 

「いや、ほら街には危険が一杯だろ? 例えばほら、お前がシ〇ムラにビッミョ~な服を買いに行くとする」

 

「微妙とか言うでないわ微妙って! むしろ我輩これから先の展開が読めてしまったぞ……」

 

「んで途中で喉が渇いてドライブスルーに寄ったとする」

 

「む……新たなパターンの話になりおったの」

 

「んでオネーチャンがローラースケートでガーっと注文を取りに来る訳だ」

 

「のう、何故提督の話は微妙にアメリカナイズされた設定がいつも話の端々に散りばめられておるのじゃ? 日本の、しかもこんな片田舎でそんなドライブスルーなんぞある訳なかろうが」

 

「んでバーガーとタコスを注文したりするだろ」

 

「いや喉が渇いておったのではなかったのか? なんでそこで無理にタコスなんぞを頼む必要があるのじゃ」

 

「するとこう……そこへ誰かに追われてきたマッチョガイとかヤベーカンジのヤツが拳銃片手に乗り込んできてだな、『おいお前! さっさと車を出せ!』ってカンジでトラブルに巻き込まれそうになったりした時によ」

 

「結局いつものパターンになっとるではないかっ! なんでいつもいつも我輩はシマム〇へ行く度に謎のマッチョガイが原因で事件へ巻き込まれなければならんのじゃっ!?」

 

「そんな時このロボの出番だ、見てろ」

 

「……のう提督よ、一応聞いておくが謎のマッチョガイが襲ってきておる最中に、そんな暢気によっこらせとロボを降ろしてる暇なんぞあるのかの」

 

「バッカお前、カプチーノなんてクソ狭い車にロボを搭載しようとしたら部品バラさなきゃ無理だろうが」

 

「バカはお主じゃ! 目的より手段を優先しとるからそんな致命的な欠陥が出来上がってしまうのじゃっ!」

 

「んで武装を……こう、セットしてだな」

 

「のう提督よ、ちょっといいかの」

 

「あ? ちょっと待て、ここのボルトを締めれば完成だから」

 

「いやそのロボの武装て、股間のビーム(仮)しかないのか?」

 

「だな、歩行のバランスを考えたら重心はここに集中させた方が安定する」

 

「て言うことは、我輩は街で謎のマッチョガイに襲撃される度に一々ロボを車から降ろして、武装をセットする為にロボの股間を色々弄り回さねばならんと言う事かの?」

 

「心配するな、他にもドリルとかビーム〇ーベル(仮)とかオプションユニットも今テリーが製作中だ」

 

「誰がロボの股間に装備する武装の多様性について議論しとると言うのじゃ! むしろオプションの切り替えの度に我輩はまたロボの股間を弄らねばならんではないかっ! 公衆の面前でロボの股間を弄るっておるのを誰かに見られる我輩の世間体を考んかっ!」

 

「いやお前って大本営の第一艦隊じゃボッチだったからロボとか作れば喜ぶんじゃないかって、先輩とこからほら、大量に設計図が送られてきたんだが」

 

「サブロオオオォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!」

 

 

 




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