提督と利根さん   作:zero-45
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なのかめ

 

 

「なぁ利根よ、聞いてくれ」

 

「なんじゃ、どうしたのじゃ?」

 

「今日バイト行った時にな、選別より割がいいからバイト乗組員として沖に出たんだけどよ」

 

「待つのじゃ、今なんと?」

 

「いや選別のバイトだと三時間でブリ一本なんだけどよ、今ほら漁業業界も過疎化が激しくてな、高齢化が進んでるとかで漁に出るバイトが結構あってだな、そっちは何と四時間でブリ二本に雑魚が欲しいだけ持ってっていいって待遇でな」

 

「いやそうじゃなくて、何で海軍の提督ともあろう者が漁船の乗組員なんぞしとるのじゃ!? お主は艦隊指令長官じゃぞ!? それがバイト漁師とか何をしとるのじゃ!?」

 

「いやちゃんと提督の仕事もしてんだろ、何言ってんだお前」

 

「朝一絵日記書いて訳の分からんオーパーツを組み上げているだけではないか! で、そのバイトを変更した話を何故わざわざ我輩に報告するのじゃ」

 

「いや、今日沖に出た時にイ級と鉢合わせした」

 

「……は?」

 

「漁場から帰る途中でイ級の群れが出現してだな」

 

「ままま待つのじゃ、イ級の群れじゃと!?」

 

「おう、ゲンさんの話じゃ最近良く見掛けるらしいんだが、なーんかアイツら船に併走してパチャパチャしてたんだがアレだな、イルカウォッチみたいな感じで」

 

「待たんか! 深海棲艦が漁船と併走してなんも被害が無かったのか!?」

 

「おう、特にこれと言って敵対行動はして来なかったな、て言うかゲンさんが余った雑魚とかバラ撒いたらバシャーンって感じで嬉しそうに跳ねてたけど」

 

「餌付けか!? 深海棲艦を餌付けしとるのか!? そのゲンさんというのは何者なのじゃ!?」

 

「あ? 第八亀丸の船長」

 

「漁師が深海棲艦を飼い慣らすじゃと……」

 

「おお、俺もちょっと餌ポーイさせて貰ったんだけどよ、あいつらギョゲゲーとか言って餌をジャンプキャッチすんのな、いやぁオモシレーなアレ」

 

「なぁ提督よ」

 

「ん? 何だ?」

 

「なんとなーく思ったのじゃが、もしやこの鎮守府は不要なのでは無いのかの……」

 

「いや、たまに人型が出るつってたから警戒はしてた方がいいかも知れんな、まぁ漁協の連中はたまにちょっかい掛けてくるヤツらが居たら銛で突いて追っ払ってるらしいが」

 

「おいいーーー! 何じゃその漁師は!? 深海棲艦の人型を銛一本で撃退しとるじゃと!?」

 

「まぁ俺もリンガとかパラオ辺りでヤツらと散々やり合ったけど、流石に銛はないわと思ったぜ」

 

「それは何と言うか銛とかそんな問題じゃないと思うのじゃが……と言うかお主は前線が長かったんじゃったな、内地で色々噂は聞いておったぞ……懲罰部隊に人外がおると言うてな、お主は一体アッチで何をしておったのじゃ?」

 

「懲罰部隊言うな、そうさなぁ、俺は大抵音響機雷とかで相手をダウンさせて丸太でシバくコンボで前線を構築してたっけか」

 

「止めが丸太とか力技にも程があろ、幾ら駆逐級と言うても相手は装甲でガチガチの深海棲艦なんじゃぞ? ほんに無茶苦茶じゃな」

 

「あ? 駆逐なら機雷なんか使わずに丸太だけで充分だろ」

 

「……何じゃと?」

 

「流石にチ級とかリ級辺りからは硬てぇからダウンさせねーとヤバいけど」

 

「ふぁっ!? リ級ってお主重巡級とガチで殺り合っておったのか!?」

 

「お前最前線舐めてんのか? あの辺りは駆逐艦でも金ピカが最低で、ヘタしたらブルマ戦艦とか被りモン空母とか団体で押し寄せてくんだぞ、チーとかリーなんぞで驚いてたらキリがねぇよ」

 

「チーとかリーとかそんな麻雀用語みたく軽く言うでないわ! 何じゃお主は本気で人外ではないか」

 

「まぁ俺の昔話は置いておくとしてだな、いやこっからがマジな話なんだけどよ」

 

「何じゃ、イ級ウォッチングが本題では無かったのか」

 

「実は凄い発見をしてしまった」

 

「……我輩物凄く嫌な予感がしてきたのじゃが、一応話は聞いておこうかの」

 

「いやさっきお前が言った様にアイツら無茶苦茶固い装甲でガードしてるだろ?」

 

「そうじゃの」

 

「んで何でかゲンさんとこにはイとかの外殻とかがゴロゴロ山積みにされててだな」

 

「……それで?」

 

「んでそれ使って鎧とか作ったら最強なんじゃないかと」

 

「提督よ」

 

「何だよ」

 

「最強は良いのじゃが、その鎧は誰が装着するのじゃ?」

 

「心配すんな、ちゃんと俺とお前の分は既に作ってある、ほらそこに」

 

「そこにってこの不自然にシーツが被さったコレか? ってうーわ! プレートメイルか!? フルプレートメイルかこれ!?」

 

「おう、これを装着したらお前、レ級ともガチで殺り合うのも夢じゃねーぜ?」

 

「待て、待て待て、お主こんな重量物を着て我輩に戦えと?」

 

「追加装甲ってのはアレだ、戦艦とか戦車の基本だろ?」

 

「お主基準の基本を我輩に適用するでないわ! こんな重たいモン着てたら戦う前に海へ沈んでしまうじゃろうが!」

 

「あ? いや大丈夫だろ? さっき麓の池で装着して試したけど立ち泳ぎとか余裕だったし」

 

「お主が大丈夫でも我輩は大丈夫じゃ無いのじゃ! てかこんな物着けて入水とか普通死ぬぞ? 一般人は海の底にまっしぐらじゃからな!」

 

「あーあー落ち着け、そんなカリカリしてたら折角改善した便秘がぶり返すぞ? ほらこれでも食って落ち着け、な?」

 

「何でお主は我輩のお通じ事情を把握しとるのじゃ!? ったく……む、これはカリントウかの、お通じの話題の後にコレとか何の嫌がらせなのじゃ……で、コレはまた漁師のオバチャンに貰ったのか?」

 

「いや、小麦とサトウキビの量産をしようと思ってな、それが成功した時に作るブツの試作って事でちょっと気まぐれで作ってみた」

 

「小麦とサトウキビじゃと? 裏の農地を拡大でもするのか?」

 

「いや、農地は現状の広さで大丈夫だと思う、後は雑草を刈って小麦の種を入手して、川っぺり辺りを探してサトウギビを探したらほら、魚の骨で骨粉を量産してだな」

 

「だから何でいつも唐突にマインク○フトネタをぶっ込んで来るのじゃ! 良いか? リアルで雑草を刈っても小麦の種はドロップせんからな? サトウキビなんぞ普通自生しとらんからな? コップン撒いても植物が一瞬で育つなんぞあり得んからな!」

 

「なん……だと、じゃ夜なべして魚の骨をゴリゴリして作ったこの骨粉は全部無駄だったと言うのか……」

 

「何ぞ夜中にゴーリゴーリ謎の音がしておったと思ったらそんなを事しておったのか!? バカか? ほんにお主はバカなのか!?」

 

「くっそ仕方ねぇ、一応コイツもカルシュウムだし、建材の補強とか地盤改良に転用しちまうか」

 

「本気で我輩お主の事が心配になってきたぞ……で、提督よ、このクソ重たいプレートメイルはどうするのじゃ? 我輩はこんな物着けて抜錨なんぞ絶対せんからな」

 

「あー仕方ねぇな、一旦バラして仕立て直して……ゲンさんトコの予備として使って貰うか」

 

「……予備?」

 

「おう、何か色々好評だったみたいでな、人数分拵えてくれって頼まれたから一応作って渡してあんだけどよ、今度から船のオッサン達は全員それ着て漁に出るっつってたぞ」

 

「漁師がフルプレートを着て漁業に勤しむとか一体何の冗談なのじゃ!? 何じゃその漁師共は! そんな武装をして何を獲ると言うのじゃ!?」

 

「さぁ? ブリじゃね?」

 

「一体どこの世界にガシャガシャと黒騎士の一団がブリ漁をするなんぞと言うクレイジーな漁船が存在すると言うのじゃ……」

 

「第八亀丸」

 

「あーもういい、分かった分かった、あの漁協で騎士の一団が乗っとる船を見掛けたら挨拶でもしておくでの、はいはい」

 

「しっかしコレどーすっかなぁ、お前が鎧着ないんじゃ無駄になっちまうなぁ」

 

「何じゃそれは……ガムテープ?」

 

「ほらお前あんなゴツい装備したら色々とシモが、なぁ、保護しねーとよ」

 

「我輩は履いておると何度言えば分かるのじゃお主は! 確認するか!? 見せんと信用せんのかっ!」

 

「いや鎧の採寸に必要な道具を先輩に頼んだんだけど、その時利根に鎧装備させるならデリケートゾーンの保護は必要だろってコレが同梱されてたんだが……」

 

「サブロオォォォォォォォ!」

 

 

 



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