ハーメルンでもこの作品を載せることにしたので、これからよろしくお願いしますね。
感想をくださいました方たちのご指摘をうけまして、一話から五話の前書きと後書きに載せていた寸劇がシリアスな本編の雰囲気が台無しになっているとの事なので
もしかして楽しみにしていた方がおりましたら? 申し訳ありませんが削除いたしますので、ご了承下さい。
作者よりの報告でした。
ブリミル暦6226年。ニューイの月。フレイヤの週。虚無の曜日。
此処ハルケギニアはトリステイン王国ヴァリエール公爵邸では公爵夫妻の生後3ヶ月になる三女。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』嬢の誕生を祝ったお披露目パーティーが催しされていた。
「カリーヌ。今日のルイズのお披露目パーティーではよく招待客の接待をしてくれてありがとう。さぞ疲れているだろう、早く寝室に戻って休んでほしい。
あとの事は全てわしとジェロームでやっておくから、ルイズのところへ戻りなさい」
ヴァリエール公爵は妻のカリーヌにパーティーで招待客の貴族たちの夫人及び令嬢方の相手をして疲れている様子だから気遣って早く休むように言うのでした。
「それではお言葉に甘えてさきに休ませてもらいますね。あなた」
カリーヌがお休みのあいさつを述べて、ルイズが眠っている自分の寝室へ向かう妻の背中を見つめていた事が
まさか16年に及ぶ別れになるとは、ヴァリエール公爵はこの時点では夢にも思っていなかった。
自分の寝室へ入るとき、カリーヌはグッスリ眠っているルイズを起こさないように、静に扉のあけ閉めをして靴音をたてないようにそっと豪奢なベビーベッドに近づいていくカリーヌなのでした。
「ウフフ…よく眠っているわね。ルイズ」
寝室に入ってすぐにカリーヌは部屋の奥の窓際に置かれたベビーベッドの上に寝ている
まだはえ揃って間もない柔らかなピンク・ブロンドの髪に可愛い寝顔をしている生後3ヶ月の娘。ルイズ・フランソワーズのぷにぷにとした赤ちゃん特有の柔らかなほっぺをきれいな白魚のようなスベスベした人指し指で軽くツンツンとつついていた。
「可愛い、ルイズ……あなたは此れからどんな素敵な女の子になっていくのか、楽しみだわ。でも私みたいになるとちょっと困るわね? 」
カリーヌはルイズを見つめて将来どういう女の子になっていくのか
想像しながら微笑みをうかべやさしい柔らかな声で語っていた(カリーヌそっくりの性格だとちょっとどころか、ヴァリエール公爵家…トリステイン…ハルケギニアにとって、大迷惑になる事まちがいなし)。
カリーヌがルイズの将来のことでいろいろ思案していると、突如
『カチッ』『コチッ』
『カチッ』『コチッ』
『カチッ』『コチッ』
『カチッ』『コチッ』
と部屋のどこからか、時計の針を刻むような音がしていた。
「これは一体なんの音かしら……発生源はルイズ宛のプレゼントの辺りからするみたいね? 」
カリーヌはプレゼントが山のように積まれたテーブルに近づくと、風のスクウェア・メイジなのでその優れた耳をたよりに
音がすると考えられる。丁寧にピンクのリボンでラッピングされたとある十サントくらいの大きさの箱をあけてみると
中身はごく普通の小型の置時計であった。
(見てくれは普通の置時計みたいだけど……念のためディテクト・マジックで調べてみたほうが良さそうね)。
カリーヌは戦闘用の杖剣ではなく、普段持ち歩いている。
長さ十サントくらいのタクトの杖をドレスの中の大腿の位置に身につけてある。
ガータベルトに付けている隠しフォルスターから引き抜くと、置時計にむけて魔法の呪文を唱えた。
(…魔力はないみたいだけど…何か嫌な予感がするわ)
カリーヌが置時計に対して何か悪寒を感じていた時
突然ルイズが寝ているベビーベッドの上に縦2メイル横幅1メイルくらいの光輝く楕円形の鏡みたいな物体が現れた。
(これは召喚魔法のサモン・サーヴァントの鏡じゃないの? なぜこれがルイズの間近に出てくるの……それにこの置時計からはドロドロとした悪意の塊しか感じないわ…早く何とかしないと…)
カリーヌが少し考えている間にも召喚の鏡が段々とルイズめがけて下りてきていた。
「私の可愛いルイズを連れ去られてなるものか!! 」
カリーヌは左手に置時計をつかみ、自身の上半身でルイズを庇うようなかたちでベビーベッドに覆い被さっていた。
そうすると召喚の鏡は瞬時にカリーヌを包み込むと跡形もなく消え去っていた。
その時ちょうどカリーヌの部屋の前の廊下を通っていたメイドが
扉からまばゆい光がもれてきていたので、夜分こんな時間に失礼と思いながらもノックを数回したのだったが
しばらく待っても返事がなかったので、さいわい鍵がかかってなさそうみたいなので怒られることを承知でドアノブを回してみると
扉を開いてから中の様子を窺うと部屋の奥から声がするので、見てみると
ヴァリエール公爵夫人が、鏡のようなモノの中に吸い込まれ消え去ったのを目撃していたのであった。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「どなたか、どなたか来てください! 奥様が、奥様が、カリーヌ奥様が! 」
ヴァリエール公爵邸に若い女性の何かを引きさくような叫び声を聞きつけて
公爵を始めとした大多数の家臣と使用人たちが、騒ぎの発生場所であるカリーヌの寝室に集まっていた。
「これは一体、何事が起きたのだ!? 何故ルイズが泣いている……それにカリーヌは何処にいるんだ!? 」
「あぁぁぁん、あぁぁぁー、ふぇぇぇぇぇ~ん」
母のカリーヌがこの世界か消えたことが本能的に解っているのか、火がついたみたいにルイズは泣き叫んでいた。
このあとヴァリエール公爵は夫人の寝室はもちろん。邸内と庭を隅々まで
家臣と使用人全てを動員して調べ尽くしていたのですが見つからず。
更に内密に領内や国中を捜索していたが、それでもカリーヌ夫人を発見することはできず、2ヶ月後には捜索は打ち切られた。
「お父様! なぜお母様の捜索を打ち切られたのですか!? それともお母様のことはもう、諦めてしまわれたの! 」
烈火の如く怒りをあらわにしてヴァリエール公爵に詰めよっている女の子は年の頃は11歳くらいで
腰先まである長いみごとな金髪の持ち主の美少女の名はヴァリエール公爵家の長女
『エレオノール・アルベティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール』であった。
「お父様にもヴァリエール公爵としてのいろいろなお立場があるとは思います……でも、このままではルイズがあまりにも哀れで可哀想です。
私やエレオノールお姉さまと違ってお母様のお顔も知らないで育つのですから……」
先ほどの金髪の美少女。エレオノールの妹と思われる女の子はふんわりとしたピンク・ブロンドの髪をしているものすごく可愛い美少女は
『カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』その人である。
「エレオノール。カトレア…わしだとてカリーヌを捜すことを諦めた訳ではない……しかし、このまま何時までも失踪あつかいにしておくことも出来ない……
ルイズが成長して母親が行方不明のままだと、あの娘が傷つくと思えてならない。それにマリアンヌ王妃様がカリーヌがいなくなったことに薄々気づきはじめているのだ。
それならばいっそ世間的に産後、身体の状態が悪くなり亡くなったことにしようと考えている……
だからといって諦めているわけじゃない! いつか必ずカリンはわしたちの処へ還ってくる。そう信じて待とう……
それまでは、エレオノール。カトレア。ルイズ。お前たち三人の事はわしが世間の悪意すべてから護ってみせる…だから今はがまんしてほしい…」
ハルケギニアのトリステインで消え去ったカリーヌを捜して見つからず。ヴァリエール公爵が苦悩していたころ
時は少し巻きもどって、召喚の鏡の中に吸い込まれ消え去ったカリーヌは、いきなり見知らぬ場所に投げ出されていた。
「……此処は一体どこなのかしら? 」
とっさに大切な娘ルイズを護るため、とった行動により召喚の鏡に吸い込まれ投げ出された場所は昼と思われるのに
それを感じさせないほどの、辺り一帯は鬱蒼とした樹木が生い茂って僅に30メートル四方の空地があるばかりであった。
(……なぜこんな薄暗い森の中にいるのかしら…
それにさっきまで夜の我が家に居たというのに、今は暗いけど見知らぬ場所にいるのはどうしてなの? ………)
鏡の中に吸い込まれたあと、気づくと見も知らない場所に投げだされたカリーヌが
周囲を見渡しながら頭の中でいろいろ考えていると、左手に持っていた置時計から
『カチッ』『コチッ』
『カチッ』『コチッ』
と時を進める針のカン高い音が先ほどよりも大きく鳴り響いていた。
カリーヌは左手にもっている置時計からうすら寒いモノを感じて、すぐさま空中高くへと力いっぱい放りなげたが時すでに遅く十メートル辺りで
『ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン』
と辺り一帯に大音響を発して大爆発をおこしその爆発によって生じた破片の一部が高速で、カリーヌの後頭部を直撃した。
「しまった! 私としたことが……これじゃ間に合わない……」
カリーヌが舌打ちした直後 『ズシュッ』と鋭い音がしてカリーヌの後頭部に小さくて先が尖った破片が突き刺さっていた。
「うぐっ」とあまりの痛みに堪えかね、カリーヌは思わず短い呻き声をあげた。
対策をたてる間もないほどの突然の爆発だったので、とっさに右手でもった杖で素早く呪文を唱え
風の障壁を展開するのでしたがほんの僅か遅れたために
頭の部分が間に合わず小さな破片が後頭部に突き刺さり、段々とカリーヌは自意識をなくしかけていった。
(このまま何もしないで…死んでしまうの? ……絶対にそれはできない…生まれて間もないルイズをおいて逝くわけには……それに…エレオノールとカトレアも……それから…あのひとだって………ここで…しっかりしないと……でも…だめ……あぁ…もう…意識が……薄れて…いくわ……………)
カリーヌは後頭部に突き刺さった破片のせいで頭から血を流しながらも
自分を待っている家族たちのために最後まで気力をふりしぼって意識を保とうとしていましたが
とうとう力尽きて身体全体が崩れるようなかたちになって地面に倒れた。
カリーヌが意識をなくし地面に横たわってすぐに
甲高い独特の音を発した一機のヘリコプターが狭い空地へ見事に降りてこようとしていた。
これが後に二人の可愛い女の子をもうけることになった、ある男女の運命の出逢いの始まりであった。
続く。
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烈風:平賀 カリーヌの開幕でございます。