烈風:平賀 カリーヌ   作:ポギャン

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 約10ヶ月ぶりの投稿になりまして大変申し訳ありません。

去年の9月に頭部に怪我を負いまして、それから小説を執筆するために大事な集中力が長らく低下してしまい……以前のように復帰するのにだいぶ時間を要しましてお詫び致します。

これからは出来れば月二回くらいのペースで投稿したいと思っています。

それでは長い間お待たせしました。十話:カリーヌの16年その三Aをお楽しみ下さいね。




十話:カリーヌの16年その三A

 

 カリーヌが子を身籠り妊娠2ヶ月だと解ったその日の平賀家は早朝から慌ただしかった。

 

何時もよりも早い朝ごはんを急いで済ませて、平賀親子三人は支度をするとすぐに家を出て車を飛ばして海人の実家へカリーヌに子供ができた事を父親の才助に報告しに行くのであった(海人は昨日あさからのほぼ1日近くの勤務を勤めたシフト上の関係で今日1日は休みになっていたから実家に行くことが出来た)。

 

 

「おぉ、海人よ。でかした。結婚して間もないというのに子供をこしらえるとは、正直思ってもいなかったわい…フハハハハハハ………」

 

息子夫婦に子供が新たに誕生するという報告をうけ平賀 才助はとても喜んでいた。

 

「来年春頃に産まれてくる予定の孫は女の子と息子に先ほど電話で聞きましたぞ

 

カリーヌさん。儂はありがとうと言いたい。女の子の孫が欲しかったからのう」

 

「お義父様に喜んで戴きまして、私も嬉しいですわ」

 

カリーヌは才助に褒められて嬉しい表情をみせている。

 

「父さん。待望の女の子の孫ができて嬉しいのは解るけど……カリーヌにとって、これからが大変なんだよ……あまりはしゃぎすぎるのも俺としてはどうかと思うけどな……」

 

妻が父親が待ち望んでいた女の子を身籠ったとはいっても、妊娠2ヶ月だからこれから何か起こるかもしれないのに、楽観するのはまだ早いと才助に向かって少し海人は苦言するのだったが……。

 

「馬鹿者!? そんな事はお前に言われなくとも、重々承知しとるわ。それでも儂は嬉しいんじゃ………それをカリーヌさんに言うて何が悪いのじゃ。人間、嬉しい時は素直に喜ぶのが一番何じゃ……まったく、理屈ばかりこねおってからに……」

 

才助は嬉しさに水を指す息子に文句を言いきっていた。

 

「……お義父様。海人さんも私の身体を心配して下さっての物言いですから、赦して下さい」

 

カリーヌは険悪な雰囲気ななりかけた夫と義父の間を取り持つ。

 

「子を身籠ったカリーヌさんに心配をかけるのもなんじゃし……それに儂も少し言い過ぎた……赦せ、海人」

 

才助は神妙な面持ちで息子に軽く頭を下げて謝罪する。

 

「……俺の方こそもう少し言葉を選んでれば良かったんだ……済まない、父さん」

 

海人もばつが悪そうな顔で父親に素直に謝っていた。

 

仲良くなった二人とカリーヌと才人の四人を中心に、この日は平賀家に待望の女の子の孫ができる祝いとして、近所中から人々が集まり夜遅くまで豪華な料理の数々にいろいろな種類のアルコールが多数用意されて、華々しい宴会が続いた。

 

翌日、アルコールが抜けきっていなかった海人は父親が手配したハイヤーで勤務地の厚木基地へ向かい。妊娠中のため、お酒を呑まなかったカリーヌが夫の愛車に才人を乗せて都内の家まで運転して帰っていく。

 

「カリーヌ……君は妊娠中だから、くれぐれも安全運転で行くんだよ」

 

「はい、あなた。才人も一緒ですから、気をつけて運転しますわね」

 

車の運転免許を習得したての妻に対して心配する夫であった。

 

「酒を呑んで無かったら儂が送って行くのじゃが……済まないのカリーヌさん。役にたてなくて……」

 

「そんなに気にしないで下さい。お義父様。お気持ちだけで嬉しいですから」

 

息子の嫁と孫の二人をアルコールのせいで家まで送れず、申し訳ない顔をしている義父に気にしないで下さいとカリーヌは述べていた。

 

カリーヌが海人の子を身籠ってからいろいろな出来事があったがその話はまた後日詳しく語られる事もあろう。

 

この日からあっという間に約7ヵ月が過ぎ去って桜が満開の季節を向かえた頃、その日は丁度カリーヌが海人に嫁いで約9ヶ月後のAD:199X年4月2日の世間一般的には桜の花が満開に咲き誇る春の陽射し午後、日本の首都のとある病院内の産婦人科の一室でいま静に1つの命が誕生をむかえていた。

 

 

『おぎゃあ』『おぎゃあ』と元気な泣き声だして、母親平賀 カリーヌのお腹から予定より一月早く生まれ出てきたのは緋色の髪(所謂オレンジ色の髪)をしたものすごく可愛い女の子赤ちゃんだった。

「よく無事に産んでくれて、ありがとう……カリーヌ………俺はうれしい」

 

顔がうれしさのあまり、笑顔でいっぱいになっている海人は妻のカリーヌに感謝して労いの言葉を述べていた。

 

「あなた……喜んでくれてすごく有り難いのですけど………海人さんも名を考えていた事を知ってはいたけど……この子の名前はわたしに名付けさせてほしいの。既に決めている名が有るから」

 

ベッドの上で産まれたばかりの赤子を抱きながら微笑む、最愛の奥さんカリーヌの言葉に夫の海人は…………。

 

「……カリーヌがこの子に素敵な名前をつけてくれるのなら、俺に異存はないよ」

 

海人は妻のカリーヌの好きなように新しく産まれた娘の名前をつけるように、許可をだす。

 

「……今から言います………この子の名前は『ティアナ』……『平賀 ティアナ』ですわ。海人さん」

 

産着に包まれた愛娘に『ティアナ』と名付けたカリーヌは笑みを満面にうかべた表情で夫の平賀 海人に高らかに宣言するのであった。

 

「……『平賀 ティアナ』なんて素敵で良い響のなまえなんだ! 」

 

ものすごく良い表情になって海人は愛しい妻が名付けた娘のなまえを大声で叫んでうれしがっていた。

 

後にハルケギニアで『戦慄のティア』という二つ名で呼ばれ、特に男たちから怖れられる程の数奇な運命をたどる様になる? 可憐なメイジの女の子がいま此処に誕生した。

 

平賀 ティアナがこの世界に生まれ出てきて丁度1週間後の平賀家のとある一室から「ふぇ~ん」と可愛い赤子の泣き声が先程から邸宅内に広がるように響き渡っていた。

 

「かあたん。ティアがさっきから泣いてるよ」

 

「どうしたの、ティアナ。よしよし、泣き止んで……お腹が空いているのかしら? さっきミルク呑んだばかりなのに、もう呑まないといけないのかしらね」

 

カリーヌはしょうがないと言う表情をしながらも、授乳のためにブラウスのボタンを外し小振りだけど美乳の左側の乳房をティアナの小さな可愛いくちびるに寄せると「うんぐ、うんぐ」とティアナは母親の乳首に夢中で吸い付くように母乳をむさぼる。

「かあたん。ティアお腹空いてたんだね。気持ちよく飲んでるよ」

 

凄い勢いで母のカリーヌの母乳をむさぼるように飲み干す妹の髪を優しく撫でる才人であった。

 

「ウフフフ……よく飲むわね。ティアは」

 

自分の左乳房に美味しそうに吸い付く娘を微笑みをうかべながらカリーヌは見守るように優しい瞳でみつめていた。

 

ティアナが誕生して約1年がすぎた桜の花が満開の4月の第1週の花見日よりのとある曜日。淡い陽射しが照りつける午後の時間帯に平賀一家の家族四人が都内の桜の名所の公園を訪れていた。

 

「うわぁ~父たん。母たん……しゃくらがきれいだよ」

 

「そうだなぁ、才人。確かに満開の桜はきれいだ………でもな、この世で一番きれいなのは誰が何をいってもカリーヌ母さんなんだよ! 」

 

周囲に花見客が大勢いるのも構わず臆面なく大声で自慢するみたいに宣う夫に対し、言われた当の本人はあまりの陳腐な言葉に気恥ずかしさを感じていた。

 

「あなたったら、こんな所で言う事じゃないでしょう……は、恥ずかしすぎるわ」

 

産まれて1歳の誕生日をむかえたばかりの娘が安らかな寝息をたてて眠るベビーカを押す手を離して、恥ずかしくなって朱に染まる顔を隠すように両手で覆うピンク・ブロンドの(既に三十路をすぎていたけど、心は永遠17さいの初々しい? )奥さんがここに一人いた。

 

和気あいあいとした雰囲気を過ごしていると、あっという間に楽しい時間がすぎさり平賀家の家族は公園をあとに家路につく。

 

 

あれからティアナが産まれて既に2年の月日が経った頃の平賀家の庭先では、4歳の才人とその妹のティアナが母親カリーヌからある事象を見せられていた。

 

「じゃあ、今から始めるからちゃんと見ておくのよ」

 

そう言うとカリーヌは目の前でキラキラ光る瞳を輝かせて見つめるまだ幼い子供ふたりに言い聞かせるように述べると直ぐにとある呪文を唱え杖を振るった。

 

「エア・コンプレッサー」

とカリーヌが魔法の名を叫ぶと平賀邸庭の丁度、真ん中辺りに置かれていた。縦60㎝。横40㎝。厚み30㎝の鈍い光を放っていた真新しい鋼の物体のほぼ真ん中に

 

大気を切り裂くような甲高い音が発生した直後には既に直径約10㎝の穴が開いて、直撃による高温の熱が発生して金属が焼けた独特の臭いが庭全体に充満している。

 

「………かあさん…………すごい、すごい……スゴすぎるよ! 」

 

才人はまだちいさな瞳がまん丸くなるほど、大袈裟な表情を浮かべながらカリーヌがたった今行った行為に対して大きな声で叫び、手のひらどうしを力強く叩きあって喜びを露にしていた。

 

「ママ……すごい……すごい……ママ……すごいよにいたん」

 

ショートカットの緋色の髪にものすごく可愛い天使の笑みをうかべ自分の母親を感嘆のまなざしで見つめ。隣にいる最愛の兄、才人にまだ拙いながらも鈴を転がすかの様な涼やかな声をだしている乳幼児は平賀 ティアナ満2歳であった。

 

「ふう~……少しやり過ぎたかしら? 事前にsilentの魔法を掛けていたから音はしなかったはずだけど………臭いの方は仕方ないとはいえ、誰か消防署に連絡しないでいて欲しいわ」

 

カリーヌは自身がうち放った魔法の威力に驚きの表情を見せながらも、家の近所に対する対応にも余裕の言葉をつぶやく。

 

(でも、まさか……この魔法にこれ程の威力が有るなんて………正直、思っていなかったわね……テレビの教育番組もバカにできないないわ)

 

カリーヌが先程子供たちに披露した新しい魔法のあまりの力に心の中でいろいろ考えていたのでしたが、元々のキッカケは息子才人に付き合って一緒に観ていた某公共放送局の教育channelのとある番組の中で解説していた出来事が新魔法を開発する発端だった。

 

あれは丁度今からひとつき前の未々寒い寒風吹きすさぶ3月始めの季節が春にむかう頃のとある小さな出来事が始まりであった。

 

「ねえ、かあさん。今から始まる番組を一緒に観ようよ」

 

才人が朝食を食べ終わって、リビングで少し一息いれて暫く経った頃、ちょうどそこへティアナを寝かしつけた後、食事の後片づけに掃除洗濯を手早く済ませてリビングにやって来た母親に一緒にテレビを見てほしいと元気な声でお願いしていた。

 

「一緒に観るのは良いけど、いったい何を観るの。才人」

 

「かあさん。今から始まるのはスゴくわくわくするやつだよ」

 

なんの番組かと訊ねる母親に対し、才人はまだ4歳の子供だからまったく要領が得ない言葉をつぶやくばかりで、カリーヌにとっては解らない事だったが

 

それなら今から始まる放送を観れば言いかとひとり納得したのかふかふかのソファーに座り才人を膝に乗せてリビングに置かれている大型のブラウン管テレビを番組終了まで見つめていた。

 

「かあさん。おもしろかったね」

 

才人は陽気な声で母親に語った。

 

「……………ええ……凄く良かったわよ。才人…………」

 

さっきまで観ていた放送番組の内容の凄さに息子からの問いかけにも半ば上の空みたいなかんじで、カリーヌは返事をする。

 

「かあさん。眠くなったから、部屋で寝てくるね」

 

「………そ、そう…じゃあ寝てきなさい。お昼ご飯ができるころに起こしに行くから……お休み」

 

眠気が出てきたから自室ですこし睡眠すると言って、カリーヌの許可を得て才人がリビングをあとにすると残っているカリーヌは先程観ていた番組の中のとある出来事がいまだに頭の中から離れないでいた。

 

(……機械で空気を圧縮して彼処まで威力を出せるなんて……科学の力はなんて凄いのかしら……どうしたら良いのか解らないけど……

 

さっきの事を上手く応用して私の風魔法で再現できないかしら? あれをモノにできたら、一対一の戦闘なら『カッタートルネード』よりも魔力もそんなに使わなそうだし、威力も『エア・カッター』以上にはなるわね……)

 

カリーヌはとある教育番組中の出来事から新しい魔法を作成する決心がついた。

 

カリーヌが作ろうとしている新魔法とは主に日本を始めとしたある程度の工業製品を作れる国々なら、ごく一般的な工場、主に旋盤機械を扱う所であれば普通に置いてあるはずの『エアコンプレッサー』と言って、主な用途は機械周辺に間とわりついた金属部品の切り屑や機械表面に付着する機械油などを空気の気圧を高め圧縮した固まりを連続して送りだし吹き飛ばす一台有れば便利な空気圧縮器をモデルにする魔法の事である。

 

カリーヌは一月程の日程を使って試行錯誤の末、ようやくさっき今日の昼すぎに家の庭で夫の親友? または悪友の早瀬 平八郎の伝でとある大きさの鋼の板を手に入れて、それを実験標的に用いて新魔法『エア・コンプレッサー』の試し打ちをして見事命中させ、貫通するという目的をやり遂げていた。

 

後日平賀家所有地のとある山奥の場所で夫、平賀 海人にその完成した新魔法『エア・コンプレッサー』を披露すると

 

「…………カリーヌ……頼むから絶対に何が有ってもどんな悪人だろうとも……人に対しては撃たないでくれ、頼むから……」

 

と新魔法の絶大な威力を目の当たりにした海人は口が酸っぱくなるほど、奥さんのカリーヌに言い聞かせる程の凶悪な威力を誇る新魔法であった。

 

「海人さんが仰るなら人相手には絶対使わないとあなたの妻として、いまここに永遠的に誓うことを宣言しますわね」

 

カリーヌは愛する夫。海人を前にして新しく開発した新魔法『エア・コンプレッサー』をどの様なことが有ろうとも人に対して絶対使用しない事を永久(とわ)に誓った(ただし、後年ハルケギニアに帰還した時にオーク鬼、トロル、オーガ、コボルト等の亜人やドラゴンを始めとした幻想種相手には容赦なく撃ちかますなどして悪名をハルケギニア中に轟かせるのはまた別な話であった)。

 

 

 

 

続く。

 

 





 今回のお話に出てきた『エア・コンプレッサー』という魔法はこの作品だけのオリジナル設定の魔法ですので、こんなの有り得ないと思う方も居るでしょうが、そこのところはご容赦下さる事をお願い申し上げます。

この『エア・コンプレッサー』と言うオリジナル魔法は自分の昔のアルバイト経験の体験を元に考えたものだから、筆者自身も原理仕組みなどはハッキリいって殆ど解っていないので、その辺りの解説は出来ないからご勘弁下さいね。

だから、本来脳筋体育会系頭の持ち主であるカリーヌも自分が開発した新魔法を全く理解していないから

学術的に新しい魔法として、風メイジ達が修得する事は出来ないでしょうね……ただし、娘のティアナは水と風の適性を持って生まれてきたので、母親同様使うことはできます。

まあこのオリジナルスペルは対人に使用すると物凄く凶悪な威力を発揮しますから人相手には封印するみたいですよ。

カリーヌとティアナの二人はね……でもその代わりにフネとか要塞や亜人に幻想種に対しては遠慮なく使用予定ですね。

因みに風風風水のスクウェアすぺるで、カリーヌ基準での性能は最大射程約20リーグ(20キロ)で厚さ約50サント(50㎝)の特殊合金を撃ちぬくほどの威力を発揮する予定ですね。

次はカリーヌの16年その三Bでお逢いしましょう。

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