半年近くの更新になりまして、大変申し訳もありません。
11月中旬頃から、前々から痛みを感じていた右腕全体の治療するために診察とリハビリを週2回、仕事の合間に病院に通っていました。
右手があまり使えない関係上、各作品の執筆が滞ってお待ちしている皆さまに迷惑をかけて申し訳ないと思っていました。
少しずつ良くなってきたから、これからは投稿する頻度をあげていこと思っていますので、よろしくお願いします。
カリーヌを含めた平賀家の者達が楽しかったアメリカ西海岸旅行から帰ってきてから、既に約一月が経った世間的にGWと呼ばれる大型連休初日の平賀家では某県に在る海人の父親
である平賀 才助の家へ向かうための支度をいまカリーヌがしている最中であった。
「才人。ティア。あなた達も遊んでいないで、早く支度しなさい。これから才助おじいさまのお家へ出掛けしますからね」
さっきから家中を走り回って二人仲よく遊んでいた兄妹にカリーヌは義父の家へ出掛けるから、支度するように声をかけていた。
「はい! 解った、母さん。ほら、ティアも一緒にお出かけする準備しよう」
そう言って才人が右手を差し出すとティアナは
「うん、才にい」
と、小さな可愛い声で返事しながら二人仲良く自分たちの部屋がある二階へ三階建ての平賀家に備え付けられていた、家庭内用小型エレベータに乗って上へ上がっていく。
子供たちが支度をすませて二階から下りてくるとカリーヌは
「支度は済ませたようだから、出発しましょう」
そう言うと、しっかり戸締まりをして駐車場にむかうと自分の愛車に子供二人を乗せて自宅を出ていった。
カリーヌが車を走らせ義父のいる某県秩父市の家に着いたのは丁度お昼前であった。
家に到着すると事前に連絡をうけていた平賀 才助が玄関前にいてカリーヌ母子を出迎えていた。
「おぉ~カリーヌさん。遠路遥々(えんろはるばる)不便な我が家へ来てくださってありがたいですのう」
「さぁ、あなた達、お祖父様にご挨拶しなさい」
カリーヌは息子と娘に義父である平賀 才助にあいさつ述べる様に促す。
「こんにちわ、じいちゃん! 」
と元気はつらつにあいさつする才人と
「こんにちわ。お、お祖父ちゃん……」
すこし、恥ずかしながらも微笑んだ瞳で挨拶した後ペコリと頭を下げるティアナであった。
「おぅおぅ、儂にあいさつくれて嬉しいのぅ。褒美に儂から才人とティアナに小遣いをあげるから、此方に来るとえぇ」
いつも通り才助は孫のふたりが自分の家にくると必ず渡す1万円を可愛い孫達に手渡していた。
「何時も有り難うございます。お義父さま……さぁ、二人ともお祖父様に有り難うと、お礼を言いなさい」
「いつもありがとう。じいちゃん」
「ありがとう、お祖父ちゃん」
母親に促されてお礼の言葉を述べる兄妹だった。
「いやいや、カリーヌさん。儂が好きでやってる事じゃから、無理に子供たちがお礼を言うことは無いんじゃよ」
すこし笑いを浮かべながら才助は息子嫁のカリーヌにやんわりと諭すように口を動かす。
「俺、母さんに言われなくてもじいちゃんに小遣いもらったら、嬉しいからお礼言うの当たり前だよう」
「ティアナも才にいと同じでお祖父ちゃんが大好きだから、お礼言ったんだよぅ」
「おぉ~儂のこと好きじゃと言ってくれて、嬉しいのう……いい子達だのう。才人とティアナは」
自分を慕う才人とティアナ。ふたりの孫の言葉に感激した才助は喜色満面の笑みをうかべ孫たちの頭を優しく撫でていた。
それから、カリーヌと才人にティアナの3人はゴールデンウィークの期間中平賀 才助の歓待をうけて、遊園地へ、デパートに高級レストラン等への遊びや買い物に食事へ連れって行ってもらうのであった。
ゴールデンウィーク最終日の午後2時頃。ここ平賀 才助の邸宅前にある駐車場「此度のゴールデン・ウィークはカリーヌさんと孫たちのおかげで、とても楽しかったですぞ………最期に儂からカリーヌさんにお願いしたい事があるのじゃが、聞いてもらえるかの? 」
「なんでも遠慮なく仰って下さい。お義父さま。私ができる限りご希望に添いますから」
義父才助の唐突な言葉に動じる事は微塵もなく、肝心の内容も訊かずに。余程信頼しているのか快諾したカリーヌである。
「……実はのう、カリーヌさんには儂がスイスのとある銀行に預け入れた預金で資産運用して、儲けたかなりの額の財産を生前贈与として、国に支払う税金分を除いた全額すべてをカリーヌさんに受け取って欲しいのじゃ……是が非でも……」
義父才助の言葉を聞いて、カリーヌは凄く言いにくそうな表情である質問を才助にする。
「……あの、お義父様……大変不躾な事をお訊ねしますけど、私にくださる予定の財産金額はとても多いのですか? ……あまりにも多額だと困るのですが」
「カリーヌさんに欲が無いのは解るのだがのう……それだから儂は是が非でもカリーヌさんに財産を託したいと思っている。それに、海人には儂の日本国内にある財産を引き継がせるつもりだから、カリーヌさんが気にする必要はまったくないからのう……あぁ、因みにカリーヌさんに渡す財産金額は約3千億円程かのう」
「えっ」と、才助が財産金額を言った途端。カリーヌは驚愕にみちた表情で呟いた。
「お義父様……その金額は私がもらうのには、あまりにも非常識すぎて無理があると思います……」
カリーヌが財産金額の多さに無理があり、困ると才助に正直に告げると。言われたその本人はというと…………。
「わははは、確かに世間的にはカリーヌさんが気にするのも無理はないほどの金額だからのう。だからこそ儂はカリーヌさんにこそ、この財産を受け取ってほしいと心の底から願っているんじゃ」
顔つきは笑っており朗らかな才助だったが、眼差しは真剣なのを読み取ったカリーヌは心内でこの事に関して本気で義父に対してどう返事しようかと、考えていた。
(何故、常識外れの金額財産を無理やり私に残すのか、理由は解らないけど………海人さんと結婚してから今までものすごく良くしてくれたお義父様がこれ程頼んでいるのだから、ここは引き受けるのが恩返しというものよね。カリーヌ……)
「……解りました。お義父様。そのお話謹んで承諾致しますわ」
決意した瞳で真っ直ぐに才助を見つめながら、カリーヌは了承の言葉を述べる。
「こんな爺の申し出を引き受けてもらい有り難いのう、カリーヌさん。これで最早思い残す事も無くなって、良かった」
と、そう言ってひとり納得した表情になっていた平賀 才助の横顔はどこか晴々とした何かをやり遂げたような落ち着いた雰囲気を漂わせていた。
夫である海人とは別にした海外資産を義父平賀 才助から譲り受ける事を承諾して直ぐに、カリーヌは才人とティアナ二人の子供たちを愛車に乗せると義父にあいさつを述べてから運転席に乗り込みシートベルトをするとキーを挿し込みエンジンを始動させて駐車場から静に車を発進して義父平賀 才助に軽く笑顔を振りまきながらこの場から出ていく。
まさか、これが義父との最期の別れになるとはこの時のカリーヌは夢にも思わなかった。
カリーヌたち母子が義父平賀 才助の家から帰ってきて数日が経ったある曜日の昼すぎ、平賀 海人宅に一本の電話が掛かってきた。
その電話を受け取って暫くした後のカリーヌは受話器を置いて、茫然と佇んでいた。掛かってきた電話相手による話の内容はカリーヌにとっては義父で大切な身内であった才助が家で倒れ先程救急車で搬送した先の病院で懸命の治療したところ既に手遅れの状態になっており、つい先程医者と看護師立ち会いのもと死亡が確認された事を病院まで一緒に付き添った近所の者の言葉であった。
しばらく時間が経って茫然自失状態からようやく脱して、 正常に戻ったカリーヌは直地に夫、海人が勤務中の基地へ連絡して丁度勤務時間の合間の休息していたところを至急電話口まで呼び出してもらい、父親の才助の訃報を伝えると搬送先の病院へ向かうために自身と子供たちの身仕度を急いで整え、車へ乗り込み発進すると目的地の病院へ行った。
カリーヌたちが義父才助が搬送された病院正面出入口から中のロビーへ入ると後ろから丁度到着したばかりの海人から呼び掛けられていた。
「カリーヌ、お、親父は本当にもうこの世には居ないのか? 」
さっき連絡受け取ったばかりの海人からすると、自分の父親がもうこの世の何処にも存在していない事がまだ信じられなかったので、妻のカリーヌに改めて確認のために訊ねていた。
「………私だって、まだお義父様が亡くなった事が信じられ無いけど……お義父様と昔からの古いつき合いのある方たちが、質の悪い冗談を仰る訳がないことを考えると、言うのも嫌ですけども………お義父様がお亡くなりになったのは、事実だと私はそう思います……」
カリーヌの本当はこんな事、何かの間違いで有ってほしいと思いたいところをぐっと我慢して才助が亡くなったのは事実だと言い切りながらも沈痛な表情をしていたのが海人が視ていて、痛々しかったと感じていた。
病院の遺体安置室へカリーヌと海人夫妻に子供たちが入室して平賀 才助と対面する。
「……あなた、お義父様はこんなに安らかな顔で眠っているのね……」
カリーヌがしんみりとした言葉で夫海人の顔を見つめながら述べると
「あぁ、そうだな……本当に親父のやつ、穏やかな表情で眠っているな……」
海人も何故か淡々とした表情で語っていた。
「さぁ、あなた達もお祖父さまに最期のお別れを言いなさい」
カリーヌが子供たちにそう告げると、才人が不思議そうな顔になってとある言葉を母親のカリーヌに対して喋り始める。
「……母さん。何でじいちゃんにお別れ言わなきゃならないの? 」
まだ5歳になって間もない幼い才人に人の死という事がどういうものか解らないので、母親にその意味を訊ねる。
「……あのね、才人。お祖父さまはこれからある所へ長い旅路につくために眠らないといけないから、そうなるともう二度と逢うことが出来なくなるからね、それでお別れのあいさつをお祖父さまにしてあげて欲しいの」
「えぇ、もうお祖父ちゃんに逢えないの? 」
大好きな祖父にもう逢うことが出来ないと母親の口から語られると、ティアナは悲しそうな顔になって呟いていた。
「悲しまないでティア、お祖父さまは人間なら誰でも一度は向かわなければいけない所への長い旅路に出ていくから、最期にティアと才人が笑顔で見送ってあげたら、きっとお祖父さまも喜んでくださるからあいさつしてくると良いわよ」
カリーヌの言葉に何かを感じたティアナが祖父才助が静に眠るベッドに近づき別れの言葉を囁くと、その姿を見た才人もとある言葉を呟く。
「ねぇ、母さん……俺もじいちゃんに最期のお別れを言ってくる」
そう言って、才人も妹と同じ様に祖父に別れのあいさつをしていた。
平賀家の全員が平賀 才助との最期の別れを済ませるのを見計らっていた担当医が平賀 才助の最終死亡確認をして、終えると
「………1○時47分を持ちまして平賀 才助氏の死亡を確認いたしました事をご家族の皆様立ち会いの元。ここに宣告します」
と担当医が告げると平賀 才助のご遺体が遺体安置室から運び出され、病院の裏口から待機していた海人が手配していた葬儀社の霊柩車へ丁寧に運び入れられて、平賀 才助の自宅へ向かっていく。
続く。
今年最期の投稿ができて、嬉しく思っています。
自分の拙い作品をお読み下さった皆さまにはとても感謝しています。本年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いしますね。
では、皆さまよいお年をおすごし下さいね。