おいおい、やめろよ。
照れるだろ?
アルカニス「褒めてませんよ!!バーカ!!」
ー冥雷王サイドー
くそ……やられた。
先日、渓流に人間の気配がすると思い、来てみればまさかタマミツネがいたとは……。
しかも奴め、何故(なにゆえ)人間となんか共に行動しておるのだ?
あの下等生物如きの何が良いのか……。
まぁ良い。
いずれにせよ、奴を殺すことにした。
どうやら、奴めは我を挑んできたハンター共とは違う何かを感じおったが、腕は歴代一を言っても過言ではなかったな……。
それに奴らは一人と一匹で行動しよる。
ならば、目には目を、歯には歯を。
冥雷王『こちらも本気で逝くぞ……よいな?』
我がそう言うと、月をバックに一頭の天翔る竜が舞い降りた。
其れはある時、森を自分が持つ毒によって砂漠と化させた者……。
?『うるっさいわねぇ……そっちが呼び出したんでしょ?偉そうに指示しないで冥雷王。私は私のやりたいようにやるんだから』
……相も変わらず口のうるさき女よ……。
だが、戦力としては問題なし。
……それでも厳しいとなれば【あの方】から頂いたこれを使うとしよう。
冥雷王「さて……宴の時間だ……」
今夜は死色に染まるであろう……。
さぁ、覚悟するが良い、人間。
我の尾を斬り落とした事に後悔するがよい……。
ーサイドアウトー
ーカケルサイドー
ニャクモ村に来て早一週間が経つ。
俺の傷は既に完治しており、今はこの村にある農業の作業を手伝っている。
農業アイルー「ニャア〜、カケルさん、毎度助かるニャ」
カケル「いえいえ、俺が出来るのはこれぐらいしかないです」
俺は今作業服に着替え、畑を耕し終わったところだ。
この土地は肥料が良く、よく育つ。
なのでここで作られる御飯は美味い。
歓迎会された時に運ばれた飯はかなり美味しかった。
……ただ、凛華が酒を飲みすぎてめっちゃ酔ってたけど……。
でも、あれはマジでびっくりした。
俺に抱きつくなり、甘えてくる。
その時、凄く甘い匂いがした記憶は今も尚鮮明に覚えてる。
工房アイルー「カケルさーん!!武具の鑑定が終わりましたニャー!!」
遠くから声が聞こえる。
振り返ると工房姿をしたアイルーが手を振っている。
カケル「あぁ!今行く!!ありがとう!!」
そして今は俺の武具について鑑定が出来るようになっている。
武器の性能と防具の性能、そして発動スキルを見たかったので鑑定してもらっている。
俺は着替え室用のテントで私服に着替え、武具屋へ向かう。
・・・
・・
・
武具屋。
ここは武器や防具の加工、生産、そして強化を行える場所である。
ヒゲアイルー「おぉ、来たかカケル殿」
そして話しかけてきたヒゲの立派なアイルーはみんなから【親方アイルー】と呼ばれてるアイルーだ。
このアイルーがこの工具エリアの責任者である。
それに、元オトモ武具生産商人だった彼だが、一目でハンターが使う防具や武器の生産法を覚えたらしく、また一目で武具の性能を見分けると言われてる何かと凄いアイルーである。
リンカ「あ、カケル。おかえり」
そこにいたタマミツネこと凛華が俺を見るなり、ニッコリと笑いながら俺に近付く。
……今一瞬狐耳が見えたぞ。
カケル「凛華。眼帯の調子はどうだ?」
リンカ「視界良好!……と言いたいけど視力が戻らないんだよね……」
今の凛華だが、眼帯を付けている。
親方アイルー特注品で桜のような華をイメージして作られた眼帯だ。
カケル「そうか……」
可哀想に見えてきて、俺は少し凹む。
リンカ「そんな落ち込まないでよ。カケルのせいじゃないし、何しろボクは元気だよ?武器も作ってもらったし」
そんな彼女でも満面な笑みで装備してある武器【狐双刃アカツキノソラ】を見せる。
素材は……恐らく自分から分けたのだろう。
親方アイルー「おーい、イチャイチャしてねぇでこっち来いよぉ!」
リンカ「いちゃ……っ!?」
カケル「あ、悪い」
……なんか凛華が顔を赤くしてるが……。
カケル「ほら、行くよ?」
リンカ「あっ……待ってよ!!」
俺が親方アイルーに近付くとやや遅れて凛華もあとを追う。
カケル「それで……どうだった?」
親方アイルー「いや……正直に言えば素材がわからん。どこで手に入れたか知りたいぐらいだ」
カケル「えっ……?」
素材がわからないだって?
いや、まぁ確かにこの武具はゲームに存在しない物だから流石にわからないか……。
親方アイルー「だが、一応性能は読めたぜ」
カケル「本当か!?」
それは助かる……。
親方アイルー「けどよ……これも少し特殊なんだよ。こんなの見たことがねぇ」
カケル「そ、それでどんなスキル構成なんだ?」
リンカ「ボクも気になる……」
凛華も興味が湧いたのか顔を覗かせる。
親方アイルー「いいか、よく聞けよ。
まず、防具によるスキル構成だが……
【挑戦者+3】
【攻撃力・大】
【業物】に【心眼】が付いてるがここから本題だ。
……【臨機応変】と言うスキルがあるんだが……」
臨機応変?
なんだそのスキル?
親方アイルー「こいつは特殊すぎる。
状況によってスタイルが変わるスキルだ」
リンカ「何それ!?反則じゃん!?」
確かに、凛華の言う通り。
本来、ハンターに一人ずつスタイルがあり、それぞれ立ち回りが異なる。
人が多く使ってるギルドスタイル。
狩り技に特化したストライカースタイル。
飛翔し、空中攻撃を得意とするエリアルスタイル。
そしてピンチをチャンスに変えるブシドースタイル。
だが、この臨機応変というスキルは状況に応じてスタイルが変化するというもの。
つまりは、ギルドの効果で武器が使いやすく、狩り技が三つセット出来、宙を舞って敵を落とし、ブシドーで回避する……これが一つにまとまってると意味すれば……強い。
カケル「だからあの時、ブシドーとエリアルが出来たのか」
なら、あの冥雷王の件に納得出来る。
親方アイルー「驚くのはまだ早いぜ?次の武器も問題だ」
まだ他にあるのか?
親方アイルー「この武器の名は知らん。ただ、攻撃力が【270】あって、【龍属性が50】ある」
カケル「攻撃力高っ!?」
それアカムトルムのレベルじゃないか!?
親方アイルー「そして切れ味を調べたが……空色だ」
リンカ「空……?今までは紫じゃないの?」
親方アイルー「空色は紫の上だろう。しかも加えていえば紫のゲージが長い」
カケル「…………」
な、なんかもう……チートじゃないか……。
空色って確か……フロンティア産じゃなかったか?
親方アイルー「と、とにかくだ。これ大事に使ってくれ」
カケル「そ、そのつもりだ」
そうでもしないとまた厄介なことになりそうだし……。
農業アイルー「カケルさん!!大変だニャ!!」
っ!?
農業アイルー!?
凄い慌ててるがどうしたんだ?
リンカ「ど、どうしたの?」
農業アイルー「さ、魚が!!魚が皆死んでるニャ!!」
全員「っ!?」
その発言に全員が目を見開き、農業アイルーを見つめる。
そしてその農業アイルーの後ろにグレンが現れる。
グレン「話は聞いたニャ。とにかく全員農業エリアに移動するニャ」
工具作業をしていたアイルー達は手を止め、すぐに農業エリアに続く道を走っていく。
猫にとって魚とは大きな栄養となるので、皆必死になっている。
カケル「凛華!行こう!」
リンカ「うん……!」
俺は凛華の手を引っ張り、アイルー達と共に歩みを進める。
・・・
・・
・
カケル「これは……っ!?」
農業エリアに着いた時には遅かった。
大きな水溜りに住む魚が皆死んでいる。
リンカ「どうして……こんな……」
魚を主食にする凛華は残念そうに見つめている。
アイルー達も耳と尻尾が垂れ下がり、落ち込む。
グレン「……この水溜りは元々渓流に流れる川を利用して貯水してるものニャ。でもあそこの水は綺麗に保ってる筈ニャ」
リンカ「だとしたら……渓流の川に異常が……?」
カケル「可能性があるな……」
しかもよく見れば少し紫掛かってる。
……となれば、ロアルドロス亜種か?
カケル「俺、ちょっと様子見てくる」
リンカ「あ、ボクも行くよ」
カケル「助かる、ありがとう」
リンカ「相手の正体が明らかになってない以上、戦力をあげた方がいいと思うから……」
となれば、他は残りか?
グレン「オイラも行くニャ。こう見えて、昔はオトモやってたんだニャ!!」
お、グレンも手伝ってくれるのか?
グレン「ここはこの村の長として懲らしめてやりたいニャ!!」
グレンが持つ木刀を上に掲げると他のアイルーも耳を立て、叫んだ。
「グレンさん!!やっちゃって下さいニャ!!」
「僕達はこの村の警備に当たるにゃ!!」
「カケルさんもリンカさんも負けちゃダメにゃ!!」
「生きて帰ったら飯を作るニャ!!」
……今一瞬死亡フラグが建った気がするが、考えるのはやめよう。
グレン「では行くニャ!!二人共、宜しくニャ!!」
カケル「おう」
リンカ「うん」
アイルー達の応援をバックに俺らは渓流に向かった……。
・・・
・・
・
渓流6。
前にここでガーグァを狩猟したり、魚を釣ったりして食料調達していたが……。
リンカ「なに……これ……」
前とは比較出来ないほど荒れ果てていた。
木々は腐り折れ、小型モンスターであるジャギィとジャギノス、そして大型モンスターであるドスジャギィやクルペッコ、さらにロアルドロスまでみな息絶えている。
そして極めつけは川が紫色になっている。
恐らく、死体やら木々を見る限り、相手は間違いなく毒属性持ちだ。
カケル「酷い……」
俺はその光景を見てその一言に尽きる。
グレン「……やっぱりおかしいニャ」
それに対し、グレンは目を鋭くさせ、呟く。
グレン「最初はロアルドロス亜種の毒汚染により起こったものかと思ってたけど、奴にここまで強力な毒を持ってるわけないニャ」
確かにそうだ。
ロアルドロス亜種が持つ毒はせいぜい虫を殺す程度しかない。
だが、今回の毒は小型だけでなく大型まで殺害してる。
リンカ「ねぇ、ちょっとこれを見てよ」
凛華が死体に近付き、こちらに手招きしてる。
俺とグレンは凛華に近付く。
リンカ「これ、どう思う?」
その死体はドスジャギィ。
だけど、異なる点が一つある。
カケル「……焼かれてる?」
焦げ臭いのだ。
自慢の襟巻が焼かれ、焦げているのがわかる。
となれば、相手は毒を持ちながらも炎を扱う……。
……まさか……。
グレン「っ!!上ニャ!!」
グレンの唐突な叫びに皆が上を向く。
そしてそいつは滝の上に佇んでいた。
全身を覆う緑色の鱗、鋭い翼爪、瞳は焼けるようなオレンジで背には棘が生えている。
ここまで見ればリオレイアだが、それは違った。
所々にやや紫色になっている鱗があり、甲殻がより鋭くなっており、極めつけは尾の先にある棘が紫色で毒を纏ってる。
その竜がこちらを見下している。
カケル「紫毒姫……っ!!」
一目で分かった。
それは二つ名持ちのリオレイアだった。
紫毒姫『ゴオォォォォォォッ!!!!』
紫毒姫は咆哮を出すと飛翔して、俺達の前に着地し、こちらに近付く。
リンカ「カ、カケル!!後ろ!!」
カケル「なにっ……!?」
しかもそれだけでは無かった。
後ろを振り返れば奴がいた。
グレン「冥雷王!?さ、最悪だニャ!!」
それは尻尾を失ったラギアクルスの二つ名【冥雷王】だった。
しかもタイミングを図ったかのように現れた。
こいつら……グルだったか……。
紫毒姫『グルル……』
冥雷王『シャアァ…』
二頭はゆっくりと近付き、間合いを狭くさせる。
グレン「こんな時は!!こやし玉!!」
グレンはポーチからモンスターの糞と素材玉で調合したこやし玉を冥雷王に当てる。
ベチャッと弾ける音が聞こえると冥雷王から異臭が放たれる。
冥雷王『グオォッ!?』
嫌いな匂いを当てられた冥雷王はそのままエリア7へと移動した。
グレン「カケルさん!!リンカさん!!あの冥雷王を追ってくれニャ!!」
リンカ「グ、グレンちゃんは!?」
グレン「オイラはここで紫毒姫とやりあうニャ!!」
カケル「無茶なッ!?」
アイルー一匹で紫毒姫で挑むなんて無謀すぎる!!
グレン「それでもやらなきゃダメニャ!!オイラはニャクモ村筆頭!!ここで引き下がれば筆頭の名が汚れるニャ!!」
カケル「グ、グレン……」
彼の猫目を見る。
闘士を燃やしている目をしていた。
……本気だ。
カケル「……分かった。だけど命を粗末にするなよ?」
グレン「分かってるニャ!無理だと感じたら退くニャ!!」
カケル「……凛華。行こう」
リンカ「で、でも!グレンちゃんが!!」
涙目になってる凛華を撫でながら俺はいう。
カケル「彼はあの村を守るため、あの村の筆頭のためそう言ってるんだ。俺達が邪魔するところじゃない」
リンカ「……わ、分かったよ!グレンちゃん!!頑張って!!」
俺は凛華の手を引っ張り、エリア7に向かう。
グレン「任せるニャ!!」
紫毒姫『ガアァァァァァッ!!!』
グレン「!!」
しかし、紫毒姫も痺れを切らしたのかこちらに向かって突進してくる。
グレン「おいコラァ!!お前の相手はこのオイラだニャ!!」
対してグレンは角笛を取り出し、紫毒姫を挑発する。
紫毒姫『グルルル……!!』
見事に挑発に引っかかった紫毒姫はグレンを一睨みして、突進してくる。
その様子を見て俺達はエリア7へと向かっていった。
さて、ここから少し長くなりそうだ。
アルカニス「そうですね。これまだ前編ですよね。もしデータが消失したらどーするんですか?」
失踪確定。
アルカニス「…………マスター、ちょっとそこで仰向けになってください」ニコッ
え?こう?
アルカニス「……ふんっ!!」グシャッ!!
おぉふっ!?
ちょっと!?
何踏んでんのお前!?
アルカニス「失踪?許しませんよ。お気に入り登録されてる人達に迷惑です」グリグリ……
痛い痛い痛い!!
死神でも痛いよこれ!?
アルカニス「とにかく、気まぐれで書いてるとしても責任はあります。最後まで書いてください」
わ、わかったよ。
あとアルカニス。
アルカニス「はい、なんでしょう?」
……今日、黒と紫の縞なんだね。
アルカニス「〇ァック!!!」グシャッ!!
ギャアアアアアアアアァァァ!!!!
ー次回に続くー