《ツイスターロジック》タータンチェックの君とグレンカートの僕は。 作:白米と私。
「はぁ!?まじかよ…。」
「うん。本当なんだ…。」
「いやーぁ、やったなぁ!」
「あはは、こんなに楽しいんだね。」
「そりゃあ、そうだとも。」
「「あはははははは!!!」」
僕の名前は、今野いおら。いま高校2年生なのだが、僕は初めて、「恋」というものをした。それで今、親友の佐藤隆に相談を持ちかけてみたところである。
「ってか、それってガチの話?」
「当たり前だよ〜。」
「すげぇな…生まれてこのかた恋すらしたことのないいおらが恋をするとは…。」
「…僕、DISられてる?もしかして。」
「まあ、気にすんな。」
(いや、気にするからね?)
今隆は、ばっちり恋をしていた。同じクラスの青葉栞に一目惚れなんだとか。
「今日も相変わらず絶賛片想いしてるねー。」
「うるせぇな」
「ハイ。」
片想いというのがはっきりしているわけは、隣のクラスの穂紫晴加を栞ちゃんが好きだって分かっていること。
でも、そうだと分かった上でまだ好きでいられるという隆は、凄いと思っている。僕は多分、じぶんの好きな人に僕じゃない別の好きな人が居たら諦めてしまう。
だって、叶わないと分かっている相手にわざわざ片想いをずっとしている必要なんてないと思うから。それでも好きだって言い張れる度胸など僕は持ち合わせていない。
ちなみに僕の好きな人は、同じクラスの鈴木羽奏ちゃん。毛先のくせっ毛が可愛らしかった。性格も明るい、僕とは正反対の子だった。世間では、自分の持っていない性格の持ち主を人は好きになると言っていたが、改めて確かにその通りだと思った。
僕は羽奏ちゃんと違って、積極的ではないし、何か特技がある訳ではない。強いていうなら、僕は羽奏ちゃんと同じ吹奏楽部に所属していて、僕はトランペットのソロをよく貰う。羽奏ちゃんはホルン担当で、僕と同じくホルンのソロを貰っている。羽奏ちゃんの奏でるメロディーは、はっきりと耳に残って、今、この瞬間でも頭に思い浮かぶほどだ。僕の個人的な感想として、羽奏ちゃんが一番生き生きと吹いている曲は、ホルスト作曲の、『惑星』から、「木星」だと思う。この曲は、コンクールの自由曲に選ばれたのだが、この曲を少し顧問の先生がアレンジして、トランペットとホルン、オーボエとフルートのソロと、2パートでのソロを作った。トランペットのソロは楽しそうだったから、特に頑張った。結果から言えば貰うことができた。その時、2パートでのソロ、トランペットとホルンのソロのホルン担当が、あの羽奏ちゃんだった。この時まだ、トランペットの事ほどしか頭になかった僕は、羽奏ちゃんのホルンの音を聴いて、これほどまでにない衝撃を受けた。順番は、まず僕のソロ、次に羽奏ちゃんのソロ。最後に2人でのソロだったのだが、僕のソロが終わった後、すぐに入る羽奏ちゃんは、とても「生き生き」していたのだ。僕は羽奏ちゃんのソロ終了後の2人でのソロが一番楽しかった。2人で奏でた音が、音楽室の隅から隅まで届き、廊下を超え、隆のいるテニス部の練習場、校庭にまでばっちり届いていたとのこと。(隆曰く、どっちの音も大きくて、ばっちりだった!らしい。)
それからだ。僕が羽奏ちゃんに興味を持ったのは。奏でる音はもともと好きだったが、今度は「羽奏ちゃん」を好きになった。近くを通りかかるだけで、顔の火照りが出てきた。自分でも驚きだが、隆から見ると、僕は羽奏ちゃんに「ゾッコン」のようで。僕も隆も驚いていた。
コンクール当日。県北地区の大会をまずは突破しなければ県大会へは行けない。緊張感の張りつめた中、僕たちの演奏は始まった。出だしは順調。盛り上がりもばっちり決まった。そろそろ僕たちのソロが来るというところで、僕たちの一小節前に入る楽器が、入ってこなかった。僕はびっくりしたものの、ソロを吹き終わる。羽奏ちゃんのソロとも会場全体に響きわたっていた。ついに2人で演奏する局面へ。2人の合わさった音は、何ともいい音色だった。それこそ会場の外まで届いたんではないかというほどの音だった。自分でも実感が湧かなかったが、楽しかった。
結果は、無事県大会出場。みんなでワイワイとしていた。僕も同じトランペットの仲間たちと嬉しさを共有していたら、後ろから声をかけられた。ん?と後ろを振り返ると、そこには羽奏ちゃんの姿があった。
「やったね!いおら君!」
そういう君の顔は、光り輝いていた。多分この時だろう。君を「好き」だと実感したのは。
「うん!やったね!」
2人でハイタッチをした。そして後ろに向き変わると、ニマニマと笑っているトランペットの仲間たちがいた。
「お似合いですよ!ふーふー!!」
「ちょ!うるさいなぁ!」
心の中で、満更でもない自分が笑っていたのを、覚えている。
続く!