《ツイスターロジック》タータンチェックの君とグレンカートの僕は。 作:白米と私。
昨日の事を思い出してはベットの中で頭を振り、忘れようとした。
(あんなのは隆じゃない、違う人だったんだ…!!)
けれど、何度違うと言い聞かせても僕の頭は記憶の塗り替えをしようとしない。というよりは、出来ない。
違うと言えば違うと言うほど鮮明な記憶が僕を蝕んでゆく。違う、絶対違う…。そんなはずが無い…。
気がつけば、時計の針は深夜2時半を指していた。
「ぜんっぜん寝れなかった…」
あろう事か僕はあのまま悩み続け、全く寝ることが出来なかったのだ。我ながら何をしているのだろうか…。
(最悪…)
今日結局1日、学校で隆を意識して避けてしまい、学校で隆と話すことは出来なかった。まあ、責任は自分にある訳でありまして。だって隆は僕が見ていたなんて知らないのだから。というか知ってたら怖いよ…。
(隆に絶対不安がられてるって…)
悩めば悩むほど見えない糸が僕の周りを絡み合っていき、僕の場所を奪っていく。助けてなんて言える人は僕にいない。
結局は自分が悩んでいるだけではどうにもこうにもならないのだ、自分は男。そうやって今まで生きてきたじゃないか。出来る、心配なんていらない。大丈夫、大丈夫…。
この日はなんとかぐっすりとは言えないものの、眠りにつくことが出来た。
朝がいつものようにくる、今日は話そうと思いながら通学路を歩いていく。
もうすぐ学校の校門に辿り着くというところで、僕は見てしまった。隆と羽奏ちゃんが、手を繋ぎながら歩いているところを。
「えっ…?」
僕の目の前を二人、仲良さそうに。そう、まるで恋人のように、校門をくぐり抜けようとしている。
二人はとても笑っていた、幸せそうに。僕は蚊帳の外だ。
(あーあ、隆には敵わないなぁ。僕がどんなに頑張って、足掻いても、どうせ美味しい所は全部取られちゃうんだよ?
そんな奴、【友達なんかに、要る?】)
「!?」
僕がその光景を見て立ち止まっていると、僕なのに、僕じゃない声が聞こえた。あれは、僕?よく分からない。
ただ、人として、思えた事があった。
《隆なんか、『要らないや。』》
あんな奴は、要らないんだ。あんな人間の最底辺にいる奴。いらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらない…
僕は何を思ったか、目の前に居た羽奏ちゃんを隆から引き剥がし、隆の頭を僕のたくさんの教科書の入った重いバックで、殴った。
突然の事に隆も驚いた様で、「!?」と顔に書かれていた。羽奏ちゃんも「何してるの!!??」と、大声を出していた。だけど、僕が聞こえたのはその二言だけ。僕は隆を殴っていたから、音も鈍くて、とてもとても表現しにくいものだった。羽奏ちゃんは目をつぶり、耳も手で抑え、音が聞こえないようにしていた。体は震えていた。
別の生徒が先生を呼び、僕が先生に叩かれ、止まるまで隆は僕に殴られ続けた。止められた時に見た隆は最早隆ではなく、血塗れの人間の顔、体だった。
僕の登校バックも鮮やかな紺色は、隆の血で真っ赤に染まっていた。
「あ…、ああああああああああああああああ」