楽しんでいただけたら幸いです。
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・・ある廃墟に、いくつかの機械が存在していた。
機械といっても、それらは全長7メートル程の、機械と呼んで良いのか迷うほど巨大なものだった。
第三次世界大戦を乗り切るため、日本が独自に開発したロボット。それが巨大な機械の正体である。
日本は水面下で、来たる戦いに備え、以前からロボット開発に着手しており、ついには実戦で戦力に数えられる性能を持つロボットを完成させた。
今、ロボットの登場により敵対国は日本への降伏を余儀なくされていた。
同盟国であるアメリカは、無論日本へロボットの研究資料を提示するよう交渉する。
が、日本は頑なにそれを拒み続けている。
いまやアメリカとの同盟関係はかなり複雑といえるものだった。
「・・・隊長。ここまで侵攻したんです。少し休憩といきましょうや」
廃墟に佇む三台の巨大ロボット。
そのうちの一台から、若い男の声が響く。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
おそらくは同じ部隊の仲間であろう他の二台は応答しない。
男の声が聞こえていないのか、微動だにせず一点を見据えている。
「ちぇっ。なんだよ、無視すんなよ~」
あくまで声をかけ続ける操縦士。
ここに至り、残りのロボットの操縦士が無言をつらぬく理由を悟ったようだ。
「まさか、敵襲か?」
すかさず、ロボット用に制作された巨大なライフルを、ビルの一角へ向けてかまえる。
ビルの影からは、敵国の戦車がロボットへ照準を定めていた。
「おいおい、すげえな!俺らに気配を察知させず距離を詰める戦車があるとはな!」
ライフルは常に戦車を捉えてはいるが、若い男の操縦士は誰が見ても油断していた。
敵の戦車はなおも砲撃の用意をしており、微塵も逃走する気配はない。
戦車とロボットの強さなど、比べるまでもない。
圧倒的にロボットが優勢だ。
それも、ロボットが三台、戦車は一台。
普通であれば撤退するであろうこの状況。
しかし、戦車は恐れもせず、ロボットへと接近する。
キュラキュラキュラ・・・・
キャタピラの奏でる音が、周囲にこだまする。
いよいよ射程距離に入り、戦車が大砲を放つその瞬間。
戦車の大きさを凌ぐ弾丸が、戦車を大破させた。
弾丸を放たれて、ようやく回避行動をとった戦車だが、あまりにも遅すぎた。
「はははは!そんなミニカーで、俺たちロボット部隊を相手にできるわけねーだろーが!!」
戦車を破壊したことで、気分を良くしたのだろう。
先ほどよりも声にはりがでている。
「あまり気を高揚させるな、石井一等兵。今お前が戦車をやれたのは、ロボットが強かったからに過ぎん。
けして、自分の実力だとは思わないことだ。」
別の操縦士の男が、敵を仕留めた仲間へ釘をさす。
「へいへい。わーってるよ!隊長さんは厳しいな、おい」
石井と呼ばれた操縦士が、ライフルの銃口を下げた。
「とりあえず、この辺りにはもう現地民もいまい。敵を撒き、休息としよう。」
隊長の指示により、他の二台も後を追うように移動を開始する。
今の戦闘を、一部始終観察されていたことは知る由もなく・・・。
戦車をあえて破壊させることにより、少ないロボットの戦闘データをとることが敵の作戦だったのだ。
こうした些細な積み重ねが、後に取り返しのつかない展開を招くこととなる。
三人は廃墟を抜け、見通しの良いポイントにて疲れを癒す。
が、そこには既に100以上の戦車が配置されていた。
三台のロボットを囲むように近づいてくる戦車。
もともと隠密性に特化した戦車であるため、完全なる包囲網が完成してしまった。
強力な兵器といえど、無敵ではない。
三台のうち、一台。
高橋という三人目の操縦士が乗ったロボットは、死角から迫ってきた砲撃により、無情にもコクピットを粉砕される・・・