コールドスリープで遥か未来へ   作:いたまえ

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なにやら新装版が発売されましたが、まだ購入できておりません。本編加筆修正とありましたが、どの程度なんでしょうね。

もしも私の書いたものと齟齬が生じる形となってしまっていても、どうかお許し下さい。


三十一話 自覚

「これが、ライガットさんが乗ったアンダー・ゴゥレムか。」

 

 わざわざ格納庫まで足を運んだ和泉。目的は、ホズルから聞いた『もう一台のアンダー・ゴゥレム』をその目で確かめるため。

 和泉が乗るゴゥレムと外見が似ているという話だったが、

 

「なるほどね、これはある種納得だ。」

 

 ゴゥレムを見て最初に目がいったのは、左の肩パーツ部分。

 そこには軍の紋章らしきものがあり、それはまさしく和泉のゴゥレムに刻まれているものと同一だった。

 

 すなわち、日本国軍ロボット部隊の紋章。

 

 まず間違いなく、ライガットの乗ったゴゥレムは、日本のものだ。

 

「…これは、なかなかどうして。」

 

 精神的にくる。基本的にはメンタルの強い和泉でさえも、今回ばかりは意識が遠のきそうになる。

 

 シギュン曰く、これは推定千年前のゴゥレムとのこと。

 しかし和泉からしてみれば、紛れもなく今現在開発されたばかりの最新兵器。

 

 今まで得た情報に加え、更にこの『ロボット』を見せられては。

 ここが和泉のいた時代から千年後の世界だと、ほとんど確定したようなもの。

 まだ疑わしい点は多々あるものの、そろそろ認めざるを得なくなってくる。

 

「千年もの間、俺はコールドスリープしてたってのか…。可能性に留めておくのと、いざ事実だと認めるのとではかなり違うね。」

 

 ひどく情けない声だった。

 これほど弱気になったのはいつ以来だったろう。

 

 もはや元の世界に戻ることも、幾多の戦場を共に生き抜いた仲間に会うこともかなわないのか。

 

(どうする。これから、千年後のこの時代で、俺は何をすれば良い。)

 

 コールドスリープさえしていなければ、和泉はとうに朽ち果てていたはずの存在。

 ライガットが暮らすこの時代には、本来いてはならないイレギュラー。

 

 なんの因果でこうなってしまったのか。

 

「イズミ、ライガットの機体はどう?」

 

 背後からシギュンに声をかけられた。

 力のない瞳で、振り返りざまにシギュンを捉える。

 

 ハイライトの消えてしまった瞳は、シギュンに恐怖を与えた。

 

「!ど、どうしたの…?」

 

 人差し指の第二関節あたりを唇に当てるシギュン。

 この行動にさして意味はないけれど、脳が本能的にリラックスしようとした結果だろうか。

 

「別に、なんでも。それより、シギュンさんこそこんな遅くまで大変ですね。」

 

 現在時刻は…正確にはわからないが、恐らく日付は跨いだであろう時間。

 シギュンだけでなく、ほかの作業員もまだゴゥレムの整備作業に従事していた。

 

「毎日のことなので、特に大変だと思ったことはないですね。それに今日は、ライガットに聞きたいこともありましたし。」

 

 シギュンが左を向く。

 和泉もシギュンの視線の先を見てみると、事情聴取されてくたびれた様子のライガットの姿。

 

「…ライガットがゴゥレムに乗るのは今日が初めてでしたから、色々と確認する必要がありましたので。それから、今までは起動すら不可能だったアンダー・ゴゥレムについての情報も得られましたし。」

 

「いや、まあ、わかってますよ。必要なことだというのは。」

 

 シギュンの言葉はやや言い訳しているようにもとれる。

 疲れきったライガットを見つめる和泉が同情している風だったため、思わず言い訳してしまったようだ。

 

 和泉は別段ライガットに同情してはいないが。

 

 農民がいきなり王都に呼ばれ、唐突にゴゥレムで殺し合いをさせられた。

 これだけ聞くと、普通に大変そうではあるけれど。

 

「そうそう、シギュンさん。一つ私からも言いたいことが。」

 

「?」

 

 首をかしげるシギュン。

 

「なんでしょうか。」

 

 和泉は気兼ねなく、遠慮なく、ただありのまま伝える。

 

「俺、このアンダー・ゴゥレムが造られた時代。約千年前からやってきたみたいです。」




ガハラジョーク、( ・∀・) イイネ!
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