和泉たちドラウプニル部隊を待ち構えていたのは、ゼスの部下である、リィ、アルガス、クレオの三名。
ゼスの予測したとおり、クリシュナ軍が西門から出撃したところを奇襲するのに成功した。
「さすがはゼス様。この地形といい、襲撃するにはもってこいだ。」
アルガスはプレスガンでクリシュナ軍を狙い撃ちながら、ゼスのたてた作戦を讃える。
一撃では仕留められないまでも、このままいけばクリシュナの部隊を壊滅ないし全滅させることだって可能だろう。
「にしても、いきなり15台もゴゥレムを出撃させるとはね。クリシュナもそれだけ本気なのか、あるいは焦りか…」
リィがそう喋る間にも、クリシュナのゴゥレムが一台大破する。
三人の頭に、敵部隊の全滅する姿がちらつく。
勝てる。確信に近いものを感じた。
こちらは3台。それだけの戦力で15台もの敵を倒したとなれば、自信を持ってゼスに報告ができるというもの。
はやる気持ちを抑えながらも、冷静に敵の狙撃を続ける。
問題が起こったのは、そんな、浮かれた気持ちでいる時だった。
「なんだ、あれは?」
アルガスの呟き。
見れば、たった一台のゴゥレムが、隊から離れてこちらへ向かってくる。
良い的にしかならないその行為。あのゴゥレムは何を思っているのか。
三人が同時にガンを構え、蜂の巣にすべく、弾を撃つ。
が、それらが敵ゴゥレムを破壊することはなかった。
「なにっ!!?」
ありえないほどの加速。ただ走っているようにしか見えないが、アテネスの軽量級ゴゥレムの最高速を上回っている。銃弾を置いてけぼりにするほどの、異常な速度。
そして、その速度からつながる大きな跳躍。全速力からの大ジャンプによって、クリシュナのゴゥレムは三人のいた崖の上まで到達したのだ。
「クレオっ!」
一番距離が近かったクレオに、クリシュナのゴゥレム、和泉が襲いかかった。
手に持つのはオーソドックスなランス。
クレオの乗るコクピット部分に、やや右上から突き刺さる軌道でランスが突き出される。
「きゃあ!こないでっ!!」
クレオは闇雲に機体をそらし、装備していたプレスガンでランスをはねのける。
どうにか即死を免れたものの、本来の用途ではない使い方をしたプレスガンは、完全に壊れてしまった。
バランスを崩したため、クレオはそのまま転倒。
「っち。やるな。…っと!」
腕を伸ばしきった姿勢の和泉に、アルガスが遠目からプレスガンを放つ。和泉は素早くランスを戻すことで防御した。
いくらかランスが凹みはしたものの、まだまだ戦闘に支障はない。
(せめて1台でも仕留めておきたかったが、ま。そう簡単にはいかんよな。)
まだ転倒したままのクレオに視線を向けると、即座に、和泉から庇うようにリィが間に入った。
その手にも当然、プレスガン。
(ったく、どいつもこいつも!)
素早くランスを投擲し、リィのプレスガンをはじく。
更にその場から前方へ大きく跳躍し、リィとの距離を詰めながら、アルガスの第二の射撃も躱した。
「なんだとっ!」
リィに気を取られていた和泉を、アルガスは仕留めたと思った。
少なくとも、ダメージは与えられるはずだった。
それが、まったくの無傷とは…
「リィ!!!クレオ!!!そいつから距離を取れ!!!!」
叫ぶアルガス。三対一なのだから、距離をとり、数を生かした戦法をとるのがセオリーだ。
アルガス本人も、崖を少しだけくだり、岩陰に身を隠した。
「悪いが、お嬢ちゃんたちは逃がしてやれないんだ。」
逃がしてしまえば、戦況が悪化するどころではない。
和泉がロボットの脚部のホルダーから、短刀を取り出した。
扱いやすさを重視した、投擲にも使える武器だ。
「なんなんだよ、お前!!」
リィは、和泉の投げたランスを拾い上げ、そのまま和泉につき出す。
勿論リィとしてもアルガスの指示に従うつもりではあったのだが、クレオが体勢を立て直すまではその場を離れるわけにはいかない。
「…ま、そう来ると思ったぜ。」
クレオを守るため、咄嗟に突き出したランス。突き出した「だけ」のランスは、あまりに実直。
よく動きを見て、下からランスをすくい上げるように短刀を滑らせる。
そのまま腕をかちあげ、リィの乗るコクピット部分をがら空きにする。
「しまっ…!」
リィが己の失敗を嘆いた。正確には嘆き終える前に、和泉の持つ剣が深々と、ゴゥレムに突き刺さった。
新装版って、買ったほうが良いんですかね??
書店で表紙を見るたびに、買いたい衝動にかられます。
両方買ってる人、いいなあ…なんて