コールドスリープで遥か未来へ   作:いたまえ

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四十話 可能性

さて、和泉が仮眠をとってしばらく。

謁見の間にはホズルやシギュン、バルドにトゥルといったクリシュナの顔とも言える面々が集まっていた。

 

「あのイズミと呼ばれている身元不明の人物は、果たして信用してもよろしいのですか?」

 

謎のゴゥレムと一緒に、突如としてクリシュナ領内に現れたイズミを不審に思う人間は多い。

上記のセリフは、ザンスという名の執務次官だ。

貴族出身の彼だが、愛国心は人一倍。

和泉がクリシュナにとって害となり得るならば、どのような手段をとってでも排除するだろう。

 

「少なくとも、結論を出すには材料が足りないと私は思います。」

 

シギュンが、ザンスに向けて言う。

ここまでの短い期間、シギュンはそれなりに和泉の行動を注意して見ていたつもりだ。

怪しげな行動をとっていたようにも思えない。

シギュンやホズルに接する態度も、敵対心は感じなかった。

 

「し、シギュン様。お言葉ですが、スパイである可能性も捨てきれません。もしやアテネスの諜報員かもしれないのです!今一度、熟考いただけませんか!」

 

「…彼がもしスパイなのだとしたら、先の戦闘でアテネス兵を殺めたことの説明がつきません。もっとも、信用しきって良いわけではありませんが。ですから、結論を出すのはもう少し先にしましょう。」

 

「…はっ。かしこまりました。」

 

ザンスは、まだ納得していないものの、一応シギュンに従うようだ。

 

「今後の彼の扱いはどうするのですか?」

 

今度は、バルド将軍がシギュンに問う。

作戦をともにしたバルドとトゥル。和泉が操るアンダー・ゴゥレムの性能は、戦略的に喉から手が出るほど欲しい。

 

今後も和泉を部隊に組み込めるのであれば、ゼス率いるアテネス部隊を追い込むことも可能だ。

作戦成功率は確実に上がるだろう。

 

「とりあえずは、現状維持とします。なにかおかしな動きをしているようであれば、私に報告を。基本的にイズミが個人行動することがないようにします。両将軍、彼に悟られぬよう、監視をお願い致します。」

 

「承知致しました。」

 

バルドとトゥルが、各々敬礼で応える。

 

正直なところ、シギュン、ホズル、そして両将軍はそこまで和泉を危険視してはいない。

だが、それ相応の処置を行わなければ、納得出来ないもの達がでてきてしまう。

いわば周りへの配慮といったところか。

 

(これで、しばらくは大丈夫のはず。後は、イズミの行動次第ね。)

 

アンダー・ゴゥレムを起動させられる人物がいる。

それだけで、アンダー・ゴゥレム解析がかなり進展した。

もしも古代人の技術を解析出来たのなら、クリシュナのゴゥレムを強化することが可能となる。

アテネスにだって正面から渡り合えるほどの軍事力を有することも、夢ではない。

更に、ゴゥレムに限らず。今は耕運機すら魔力で動かしている。それら日常的に使用するものにも古代人の技術を組み込めたならば、クリシュナは今より遥かに豊かになる。

 

まさに、あらゆる可能性が凝縮されたような存在。

クリシュナに二台もアンダー・ゴゥレムがある事実。

これほど僥倖なことがあるだろうか。

 

(イズミ。これから大変だぞ。アッサム士官学校きってのマッドサイエンティストが、目を輝かせてしまっている。)

 

好奇心を抑えられていない顔のシギュンに、ホズルは苦笑する。

 

この後、和泉が会議室にて先の戦闘を詳細に報告したことで、軍のアンダー・ゴゥレムに対する評価が上がることとなった。

 




ぶっちゃけ、アンダー・ゴゥレムが二台って、若干チートですね。
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