コールドスリープで遥か未来へ   作:いたまえ

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四十一話 敵討ち

クリシュナ国が秘密裏に開発していたと思われる、謎の高性能ゴゥレム。そんな化け物と呼ぶべき相手を前に、辛くも逃げきることが出来たアルガスとクレオ。

二人は、残るアテネス部隊、ゼスとエレクトと合流して、これからの戦いをどのように行っていくかを会議していた。

場所は、クリシュナからそれほど離れてはいない。

今夜のところは、ここで一晩を明かすようだ。

 

まず、会議の冒頭に、アルガスからリィ死亡の報告がされる。初耳だったゼスやエレクトにとっては、かなりの精神的ダメージとなった。

 

ゼスだけは、合流した際にリィの姿が見えなかったことから、ある程度の予想は出来ていた。

 

「そうか…。彼女の最期を見たものは?」

 

幾ばくか、普段と比べてゼスの声がふるえているように聞こえるのは、決してアルガスの気のせいなどではあるまい。

上官として、せめて部下の最期くらい知っておかなければならない。

クレオを前にして問うべきでは無かったかもしれないが、

後回しにすることこそ、リィに対する侮辱だ。

 

「私たちの眼前で、クリシュナの新型に…。」

 

説明するアルガス。彼の脳裏には、リィが殺された瞬間の映像がよぎる。

「ゼス様っ!リィは、転倒した私を庇ってくれたんです!私さえ転倒していなければ、リィは!!リィは…」

 

アルガスに続くように、クレオが嗚咽混じりに叫んだ。

途中から号泣してしまい、とても言葉にはならなかった。

 

「私が、悪いんです…。リィは、私なんかよりもずっと才能があって。つねに凛として格好良くて……。」

 

「クレオ。今回のことは、隊長である俺の責任だ。君が負い目を感じる必要はどこにもない。だから、そう自分を責めないでくれ。」

段々とおかしな呼吸をし始めたクレオを見て、ゼスは思わずクレオが話すのを中断させる。

エレクトがそっと、クレオの肩に手をおいた。

まだ少女であることが、戦場においてどれだけ酷か、わからないゼス達ではない。

 

いっそ、ここでリタイアしたほうが、クレオの精神衛生上良いのではないだろうか。

ゼスが、作戦を続行出来るかどうか、クレオに確認しようと口を開く。

その、次の瞬間。

 

エレクトの手を優しく払い、クレオはスタスタと歩み始める。

俯きながら歩いていた為、その表情までは確認出来ない。

 

「ゼス様。すみません。今日は、もう休ませて頂きます。明日には、きっと回復しますので、どうかお許し下さい」

 

「………ああ。了解した。」

年端もいかぬ少女が、一晩で友の死をのりこえる決意をした。それを止めることなど、ゼスはおろか、エレクト達にも出来はしなかった。

 

…………

……

 

クレオが立ち去ってからほどなく。

ゼスはアルガスの報告の中にあった気になる点を詳しく聞くことにした。

 

「アルガス。リィにトドメをさしたのは、クリシュナの新型なんだな?」

 

「はっ!間違いありません。」

 

「そうか。」

 

クリシュナの新型といえば、まず思いつくのがライガットだ。魔力を持たぬ彼が、ゴゥレムを動かしていたと知った時は、かなり驚かされたものだ。

 

そして、クリシュナにはもう一人新型を操る人物がいる。

一度だけ交戦したものの、未だ謎に包まれた存在。

 

恐らく、この謎の人物こそが、リィを殺した張本人だ。

 

リィが死んだ同時刻、ある理由によって、ゼスはライガットと会っている。

となると、自然と残る新型ゴゥレムの搭乗者しか候補がいなくなる。

 

「あの時、俺が奴との戦闘を避けたせいで。」

 

大切な部下を一人、失ってしまった…。

 

命尽きる瞬間まで戦い抜いてくれた部下に、ゼスはあわせる顔がない。

 

(すまない、リィ。こんな駄目な隊長で。)

 

クレオには自分を責めるなと言っておきながら、ゼス自身自虐する。自分の不甲斐なさに愕然とした。

 

(それでも……。せめて、お前の敵は確実にとる。だから、もう少しだけ、クレオを見守ってあげていてくれ。)

 

天才と称されたゴゥレム搭乗士であるゼスが、今ここに、和泉を殺すことを誓う。

尽くしてくれた部下への、手向けとする為に。

 

 




エレクトさん、イリーガルユースオブハンズ!!!
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