コールドスリープで遥か未来へ   作:いたまえ

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キャラクターの性格も探り探りやってます


五話 大島博士

 何時間経過したのだろう。

 ただ待たされていた和泉にとってはかなりの長時間に感じられただろうし、ロボットの性能をひたすら確認していた美由紀にとってはあっという間だったかもしれない。

 

 和泉がロボットを選択してから三時間。美由紀は依然として作戦に使用するロボットを決めかねていた。

 

「おいおい、白川さん。いい加減に決めてはくれないだろうか。

お前が悩めば悩むほど、戦況は悪化していくぜ。」

 

 腕時計を確認しながら、和泉は作戦プランを脳内にて幾度もシュミレーションする。

 美由紀があと三十分でロボットを選択できなければ、本作戦から彼女を外さざるを得ない。

 

 ロボットに命を預けるのだから、悩むのは当然。ながらく戦場を離れていた美由紀ならばなおさらだ。とはいっても、和泉は美由紀という戦力よりも時間の方が大切だと考えている。

 

 兵は拙速を尊ぶ。

 

 時間を浪費して敵にロボットを運び込まれてしまえば、いくら美由紀が最高の戦力となろうが関係ない。

 

「はいあと三十分な。」

 

「な、なんですって!もうそんな時間なの!?」

 

 和泉が制限時間を設けたことで、美由紀の行動がいささか素早くなった。ように見える。

 

 美由紀は自分の優柔不断な性格に苛立ちながらも、ひたむきにロボットを選ぶ。

 

「これはバランスが良いけど、一つ一つの能力が平均以下ね・・・」

 

 三十分ではロボットを決められないのではないか。美由紀が諦めかけたその時。一人の研究者が近づいてきた。

 

「やあ、大柳くん。」

 

 白衣を身に付け、目の下にはくまを蓄えた、いかにも研究者といった風情の壮年。

 

「・・大島博士!!」

 

 彼こそが、不可能とされたロボット兵器開発の立役者。大島京助博士そのひとである。

 

「博士、ちょうど今この女性パイロットのロボットを・・・」

 

「ああ。わかっとるよ。」

 

 和泉が大島に現状を説明しようとするも、大島はそれを制す。

 

「若い衆から連絡があってな。格納庫に中尉たちが居座り、ロボットを一台一台貶してまわっている、とな。」

 

「そ、それは違うんですよ!」

 

 確かに美由紀があーでもないこーでもないと言っていたのは事実だし、研究者側からすればロボットにケチつけているようにも聞こえる。いや、むしろケチつけているようにしか受け取れない。

 

「困るんだよ。うちの研究員のやる気を削ぐような行動は。」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「もうしわけございません!!」

 

 和泉と美由紀がそれぞれ頭を下げる。そんな二人を見て、大島は二度頷いた。

 

「君たちが満足いくロボットを用意していなかったのは我々の責任でもある。」

 

「いやいや。うちのバカ娘が優柔不断なだけですよ!」

 

 美由紀の頭を押さえ込むようにして、無理やり頭を下げさせる和泉。

 美由紀の不機嫌そうな顔が目に浮かぶが、今は大島との間に溝を作らないようにするのが先だ。

 

「それで。結局ロボットは決まったのかね?」

 

 蓄えたあごひげをさすりながら、大島が問う。

 

「いいえ。まだ決まっていません。」

 

 美由紀がありのままの事実を口にする。その返答を聞き、大島は満面の笑みをうかべる。

 

「そうか、そうか。実はな。今さっき完成したばかりの機体があるのだがね。・・・試しに操縦してみてはもらえないだろうか。」

 

「大島博士が直々に調整した機体ですか!!?」

 

 驚きを隠そうともせず、和泉が訊ねる。大島はロボット完成後、そのデータを他の職員に引き継ぎ、次の段階。ロボット用の武器開発に力を入れるようになった。

 大島がまた新たにロボットを開発したというのは、和泉にとって驚くべきニュースなのだ。

 

 三人はそのロボットのある地下へと降りてゆく。下へと続く階段を一段降るたびに、最新式のロボットの全貌が顕になってゆく。

 

「あれか・・。でかいな・・・」

 

 思わずもれた声は、和泉のもの。 

 

 今までのロボットは全長七メートル前後といったものばかりだったが、最新式のそれはゆうに十メートルは超える大きさであった。

 

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