アクアさまも可愛いけど、自分はアイリス姫ですかね。
モチのロン、妹キャラとしてです。
「そう、ゼスには逃げられてしまったのね。」
王城では、恒例の報告が行われた。その後、シギュンは個人的にライガットの元へ赴いていた。
「ああ。さっきも報告でイズミさんが言ってたけど、アテネスの援軍が現れてな。そいつが凄え強かったみたいで…。」
立場上、ゼスを逃したことは責められかねないものの、ライガットとしてはゼスが生き残ったこの状況に、少なからず安堵している。
「漆黒のゴゥレムね。イズミの操るアンダー・ゴゥレムと互角以上に渡り合う敵がゴロゴロいるのは、流石アテネスといったとこかしら。それでいて一切素性も明かされていない…。厄介ね。」
シギュンは顎に手をあて、ふむぅ…と唸る。
「俺もデルフィングの搭乗者として、もっともっと強くなんないとな。」
報告の際、和泉は美由紀のロボットについて明言していない。クリシュナの不利を招こうと、美由紀を追い詰める発言は出来なかった。
先日和泉とした会話で、ライガットは以前よりも戦う覚悟を決めたつもりだ。今もゼス生存に内心安堵してはいるが、次に戦場で相まみえることになったら、言葉より先に刃を交わすことが可能なくらいには。
「ライガット。これはいい忘れていたのだけど…。」
「なんだぁ?またお説教か?」
「違うっ!」
ライガットとしては冗談のつもりだった一言を、シギュンは強く否定した。虚をつかれたライガットは無意識に後ずさる。
「すまんシギュン。続けてくれ。」
「うん…。その。」
凝視しなければわからない程度に頬を赤らめて、シギュンはモジモジしたまま言葉を紡がない。10秒くらい沈黙が続き、ライガットが喋りかけようとしたと同時に、シギュンもライガットの顔を正面に捉えた。
「…おかえりなさい。」
次に出陣したとして、今度も必ず生きて帰ることを、心に決めざるを得ない程に眩しい笑顔だった。
……………
………
報告後、和泉は新部隊編成において重要な案件があるとの報告を受け、参謀長なる人物に呼び出されていた。
「ある人物をゴゥレムに乗るように説得してもらいたい。」
どうやらクリシュナで新型ゴゥレムの開発に成功したものの、慣らすのにとれる期間は1週間。そんな短期間で乗りこなせるようになる人物となると、大分限られてくるようだ。
王城の内部に存在する牢獄へ、数人の整備士達と向かう。牢獄の中に、件の人物が収容されているとのこと。
和泉に説得係として白羽の矢が立ったのは何故か。今回のアンダー・ゴゥレムの戦いぶりは軍上層部の印象に残り、アンダー・ゴゥレムを軸に新部隊を編成することが決定した。これから説得しにいく人物も、新部隊の一員として編成される予定らしい。
「アンダー・ゴゥレムを中心とした新部隊編成ね。悪くない狙いですな。」
牢獄までの道のりは複雑ではないものの、距離が結構ある。道中の暇つぶしに、和泉が隣の整備士に話しかける。
「ええ。アンダー・ゴゥレムは未だ解明不十分なものの、既に実戦で潜在能力の高さを証明済ですからね。シギュン様が御期待なさるのも無理からぬこと。」
「ふぅん。」
同じアンダー・ゴゥレムを駆る和泉。ここはシギュンの私情が感じられる。あくまでアンダー・ゴゥレム用にと武器が試作されてるが、実質デルフィング用として使いたいに違いない。
「そこはいいや。一旦隅に置いとく。で?新部隊編成でなんで牢獄?囚人でも起用するんですか?」
「その通りです。此度の新型ゴゥレムは扱いが難しく、乗りこなせる【可能性がある】人物も限られます。」
「これから訪ねる囚人さんが、乗りこなせる可能性があるってわけか。」
一応納得して、和泉は言葉を切った。黙々と歩くと、目的の牢屋にたどり着いた。
鉄格子の向こうには、真紅の長髪を持つ青年が座り込んでいる。
いつだったか、和泉に唐突に襲いかかってきた男に似ている。というか、本人だ。
「こ、こいつは…!」
「また会ったな、及第点。」
及第点、とは、和泉のことか。
赤髪の男は和泉に不名誉な呼び名をつけていたらしい。
「誰が及第点だ!脱獄者め。」
綺麗な月が印象的な夜に、ジルグと和泉はお互い自己紹介を済ませている。和泉は、ジルグがあの時近いうちに再開するかもと言っていたことを思い出した。
「ジルグだったか。お前、ゴゥレム乗るのうまいの?」
身体能力は人間の壁を突破しかねないレベルだったが、ゴゥレム乗りとしての力量は未知数。
「さあな。」
「自分の力量も把握してないとか、三流じゃん!やだぁ。」
そっけないジルグにムカつき、露骨に煽る。なんの理由もなく殺しかかってきたことを根に持っているのだろう。しかし、ジルグは気にも留めない。
「何の用だ。お喋りしにきただけ、なんてことはないだろう。」
「それ。実はさ、完成したばかりの新型ゴゥレムを乗りこなせる人材を探してて。参謀長さんがお前を起用したいんだって。」
「参謀長…ね。そういうことか。」
「どういうことだ?」
ジルグは立ち上がり、鉄格子の扉前まで近づく。
「たまには期待されるのも悪くない。いいだろう。その話、受けよう。」
「まじか。割とすんなり。」
いきなりプレスガンを発射してきたこともあり、ジルグに不信感を抱いて和泉は、交渉がすんなり済んで肩透かしをくらった気分になる。
参謀長の名前を出した途端、ジルグがにわかに微笑んだように見えたのは錯覚か。ともあれ目的は果たせた。
ジルグ が なかま に なった。