貴方は英雄ですか? いえいえ。まだ一般ぴーぽーです   作:カルメンmk2

10 / 37


 今回は中途半端な部分で切れております。また、一部、原作に対してのオリジナル裏話も含まれておりますが、大筋では原作通りに進んでいきます。
 ミノタウロス戦まではな!!







爺と女神、鍛冶神に武器を売りにいく

 

 

 

「随分といっぱい貯めたね!」

 

 

 食材を買い、遅めの夕食を終えたから、ヘスティアはステイタスの更新を切り出した。

 断る理由などなく、二人は更新を終える。

 

「0じゃなくなってます」

「儂もじゃが…………ベルのほうが多いな」

「それは個人の差だよ。ベル君はまだ若いからね。初めは上がりやすいけど、ステイタスは高くなるにつれて上がり難くなるんだ」

 

 

 それが人それぞれの所以であるとヘスティアは言う。あるいは才能とも言え、恩恵ファルナは確かに強くはしていくが成長できる限界は同じではない。冒険者で一つ財を成そうとしても失敗し、発明家として同じことを成そうとしてもできなかった例が存在するのだ。双方とも、真逆の立場と夢であればそれなりに成せただろう。

 

 ステイタスが上がり難くなるというのは、当人の限界が近づいている状態だ。それ以上の強さになるためには偉業を成し遂げてレベルアップするほかない。

 しかし、このレベルアップというのが厄介で、生きるか死ぬかの瀬戸際のものが多い。

 要は格上を倒せという意味だ。

 

 

「無茶しちゃダメだよ? 少しずつ、確実に強くなればいい。時間はいっぱいあるからね」

 

 

 レベル2に上がれないものが殆どだと、ヘスティアは友神(ゆうじん)に聞かされたことがある。上がるチャンスは平等に訪れる―――いや、常に自分で選べる状態だが、選んで死んでしまうケースと心が死んでしまうケースが多い。

 レベルアップの確実な方法は徒党を組み、強いモンスターと戦える状況を作り出してもらう、あるいは共に戦い貢献することだと言った。

 

 

「大切な家族が死んでしまうのはね、寿命の時だけにしたいんだ。僕は神様だからね」

「神様……」

「しゃあなしじゃぞ。生きる時間そのものが違うからな。ま、悔いなく生きることじゃよ。そうすれば、笑って見送ってくれるじゃろう。当たって砕けろとか」

「いや、普通にベッドの上でだよ? 突撃して散るとか許さないからね!?」

 

 

 万歳突撃は大和の華であるが故に―――なんてことは言わない。生き残って、生きて帰って次を挑めばよいのだとも。

 

 

「ああ、そうだ。シグレ君! あの武器のことなんだけど。いいってさ」

「一昨日の今日で随分と、まぁ。これやあ、買い叩かれるか」

「ヘファイストスはそんなことしないよ! ちゃんと鑑定してくれるよ」

 

 

 ヘスティアはそう言っているが、商いと友情は別物だと永嗣は認識している。まして、働かずのぐーたら女神だったヘスティアをここに叩き込んだというのだから、その辺り―――主に、それまでの生活費ということで天引きされそうである。

 

 

「菓子折りぐらいは持っていったほうがええかのぅ」

「ん!? お菓子があるのかい?!」

「果物でも食っておれ」

「ベル君、剥いておくれよぉー」

「はは、わかりました。少し待っててくださいね」

 

 

 とりあえず、この曰くつきの品は売れそうである。あの連中、任務とか言うとったからの。出来れば溶かしてしまったほうがいい。それが金に変わるのならなおのことを善き哉善き哉。

 

 

「ヘスティアよ」

「んぐんぐ…………なんだい?」

「服屋に心当たりはないか? 着の身着のまま故、新しいのを買いたい」

「ちょっと待ってね――――――あ、これだ。大安売りしているお店のチラシ」

「どれどれ―――――これでええか。ベルはどうする?」

「僕は村で着ていた頃のものがあるので大丈夫です。――――そっか、朝から居ないのか……」

「なんぞ言ったか?」

「いや、明日どうしようかなって」

 

 

 ――――――――深く潜るつもりではなかろうな?

 しかし、何時までも一緒にいるというわけにはいかないし、少し増長しているきらいがある。ここらで恐怖を教えるべきかもしれん。

 

 

「二回目で一人は厳しいじゃろうが、これも修業に生活費のため。深くは潜らぬようにな」

「わかってますよ。成果を期待してくださいッ」

「しといてやるかの。一応、な」

「うわ、ひっどいなぁ」

 

 

 ―――――何もなければええんじゃがのぅ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明くる日、ベルとヘスティアの二人は寝ぼけで起きた。永嗣はすでに身支度を終え、礼拝堂で素振りをしている。

 

 

「――――あぁ…………?」

「――――うぉあああ………………?」

 

 

 互いに顔を合わせ、人語ですら無いうめき声で意思疎通を図る二人は、とても気が合うのだろう。

 そう、この地の文の最中でも彼らは会話しているのだ。

 

 ようやく頭が覚醒し始めたのか。二人は頭頂に「!?」を浮かばせて身支度を整え始めた。

 ぎっこん、ばっこん。がらがら、どたどた―――ちなみに現在の時刻は夜が明けて少ししたぐらい。農業系ファミリアの一団が畑へ向かうところだ。

 

 

「近所迷惑じゃの」

 

 

 地下から響いてくる喧騒に、怒鳴り込んでこなければいいがと見当違いのことを考える。冒険者を有するファミリア相手に狼藉を図ろうとする一般人はいないのだが、そこは弱者に優しかった世界から来たこの男。クレーマーになるかもしれない隣人隣家にどう対処しようか。無駄な労苦を考えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってきまーす!」

「気を付けていくんだよー」

「あまり深く潜るんじゃあないぞ」

「はーい!」

 

 

 装備を整えたベルは、朝食も取らずに迷宮へと向かっていく。

 日が昇り、家々で煙が立ち上がり始めたころだ。飯を食っていけとも言いたかった二人だが、肝心の食材が心もとない状況だった。朝市で買わせてもいいが、ヘファイストスに持っていく土産を考えればそれもできない。

 ある意味、ベルの本日の稼ぎが数日分の食費になるかもしれない。高値で買い取ってくれれば、その心配もないのだがと、永嗣は呻る。

 

 

「僕らも行こうか」

「そうじゃの。朝飯を集るなよ」

「ぎくぅ!」

「ヘファイストスとやら………随分と大変じゃったんか」

「ソンナコトナイヨー? ボクトヘファイストスハトモダチダヨー」

「そういうことにしといてやる。相応のものにするか―――」

 

 

 刹那、永嗣は抜刀した。

 天を斬り上げるかの如く、その一振りは空へと振りぬかれ、切っ先はある一点で止まった。

 

 

「ど、どうしたんだい! こんなところで剣を抜いちゃダメだよ!!」

「―――――お主は何もないか?」

「無いよ! だから剣をしまって!! ギルドの職員にバレたら……!」

「さよか」

 

 

 往来の中で突如抜刀。その殺気に冒険者たちは身構え、一般人を庇うように展開していた。だが、永嗣はそれを気にも留めなかった。留める必要もないほどに、双方の力量は隔絶したものであった。

 

 剣を収め、冒険者たちも武器を収める。なんだなんだとざわつくが、当の本人が殺気を抑えぬまま―――正しくは、彼が剣を抜いた相手に向かって飛ばし続けている。

 ヘスティアはこの子どもがここまで不快感を示す理由がわからなかった。何もいない虚空を睨み付ける。先ほどまでの年齢にそぐわない年寄りのような雰囲気は消え、バイト中に見た一級冒険者のような歴戦の風格を見せている。

 

 

(君は一体何なんだい? 冥界の女神、狂気…………彼らが目を付けるような存在なのかい?)

「――――大事なければ行くぞ。消えたからの」

「う、うん。行こう、か」

「……………すまんな。怖がらせたか。しかし、アレは剣を向けるに値する怖気よ」

「それじゃ答えになってないよ。どうして抜いたんだい」

「今、言うたじゃろ? 怖気が走る、とな。――――杞憂であればよいが……」

「…………深くは聞かないことにするよ。でもね? 僕たちは家族だ。だから一人で抱え込まなくていいんだよ?」

「――――神様じゃったの、そういえば」

「そうだよ! だから、僕に頼りなさい!」

 

 

 たゆん、と揺れる胸を張り、えっへん! とするヘスティアに彼は、そんな日が来なければええな。変なことになりそうじゃし、と少しおどけて見せる。

 それはヘスティアも解っていることだ。なにをー!と駄々っ子のようにぽかぽか彼の分厚い胸板を叩き、本来の力を発揮できない自分が彼の盾となることはできない。恩恵を失った彼に待ち受けるのは、その怖気の走るナニカによる終わりだろう。

 

 

「ささ! 早く売りに行って、美味しいご飯を食べるのだ」

「迷惑かけたから、昼食優先で行くか」

「わかる子どもを持てて僕は幸せ――――んんぅ?」

「どうした」

「あー………………んん? いや、なんでも………………ないかな?」

 

 

 彼が剣を向けた先、バベルの頂天。何も変わりが見えないような気もするが、何か妙な違和感がある。

 

 

「うん。無いよ」

「お前さんの紹介がなければ渡りがつけられんかもしれんのだ。頼むぞ」

「任せておくれ! このヘスティアにまかせておけば大丈夫っ!」

「だといいが」

 

 

 ああ、わかった。珍しいこともあるものだ。

 

 ――――バベルの頂天が見えるぐらいに、雲が無いなんてことが珍しいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ご無事ですか?」

「大丈夫よ。ありがとう」

「当然のことです。しかし、あの男は如何いたしますか」

「……………………しばらくは様子見よ。でも、邪魔なら排除なさい」

「承知しました」

 

 

 純真無垢な兎の隣に、血で汚れた孤狼。ああ、なんて奇妙な組み合わせかしら。

 

 ――あの透明な魂を私の色に染め上げたい。

 

 ――孤独な狼を飼い殺したい。

 

 

「――ホント………………ずるいわぁ…………ヘスティア」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バベルといえば要塞やら、迷宮に蓋をしているだけの構造物と思っていたが実のところは違ったらしい。

 

 

「ほぉ……………店が入っているのか」

「凄いだろ? この辺りは装備関係なんだ。工房自体は他の場所…………ファミリアによって秘密らしいけど、ここで販売してるんだよ。オラリオの装備は、外に渡れば危険すぎるからね」

「確かに。この剣も値段相応かはわからぬが、良い物だ」

 

 

 ショーウィンドウに並ぶ飾られた剣は、どれもこれもが切れ味も見た目もいい。見た目に関しては、細工師がいるのか非常に細かい細工が施されている。

 そして、ここに置いてあるのはオラリオでも五指に入る大派閥の一つ。ヘファイストスファミリアの上級鍛冶師ハイスミスが手がけた代物らしい。値段もコレ一本で豪邸が建つほどの価格だそうだ。

 

 

「そうだろう? 中には魔剣というものもあって、ものすごい希少なんだ」

「なんじゃ、それは」

「魔法を放てる消耗品の剣だよ。凄いものは海を焼き尽くした、とか云われるほどさ。まぁ、その魔剣を作っていた一族は没落してしまったけどね。だから、ハイスミスが作る装備はオラリオの中心近くにまとめてあるんだ」

「しくじったら?」

「その時は、最上位ファミリアがバベルの周囲に拠点を構えているのさ。到達するにしても彼らを相手にしなければならない。逃げるにしても、別のところから応援に来たファミリアと戦う羽目になるんだ」

 

 

 入手するにも外門から離れた場所まで侵攻しなくてはならず。例え、奪われたとしても今度は逃げられないように囲んでいる。何より、オラリオの外の冒険者はごく一部の例外を除いて、最高でもレベル3程度しかない。それも何十年一人の逸材といった形でだ。

 

 

「さ、この先にヘファイストスファミリアの入口があるよ」

 

 

 アンティーク調の大きな扉の鴨居には、英語ではない………………ラテン語か、もっと別の言語でヘファイストスファミリアと刻まれている。

 門番をしている冒険者たちは、こちらの姿を見るとわずかに身構え、ヘスティアを視界に捉えた瞬間、豚を見るような目をした。

 

 

「違うよ! ちゃんと用事があって来たんだよ!!?」

「――――どのような要件ですか?」

「うちの子―――ああ、僕にも家族ができたんだ。その子の顔見せと持ってきた武器を売り払いたいんだよ」

「! 失礼しました。神ヘスティア、遅ればせながら初の眷属。おめでとうございます」

「うん! ありがとうっ! で、ヘファイストスには話を通してあったんだけど………………何も聞いてないかな?」

 

 

 そう聞いてみると、門番は相方に会釈し確認に向かわせた。

 ややすると、門番が小走りに戻ってきて二人に中の応接室でお待ち下さい、と案内を買って出た。

 

 

「騒がしいけど、何かあったのかい? 日を改めるよ?」

「いえいえ。深層域からロキファミリアが帰還するとのことなので、彼ら用に装備受注の準備に追われております。何でも、大切断アマゾンが武器を壊したとかで……………」

「うわぁ……………かなりの業物だったよね? アダマンタイトだとか」

「はい………………それを聞いたゴブニュ様を筆頭としたハイスミスが現実逃避をしておりまして、先行した冒険者の報告を聞いていない――――忘れているようなのです」

「――――ごめんね」

「神ヘスティアのほうが先でしたので、お気になさらないでください。では、こちらでしばしお待ちを」

 

 

 重い沈黙が応接室を包み込む。

 ロキファミリアをいうのは、オラリオの二強の一つだったはず。資金力も半端ないだろうし、相応の上級者が存在しているはずだ。武器を失うほどの激戦を超えてきたというと、損失も計り知れないものではないだろうか。

 

 

「ロキめぇ……………なんて間の悪いやつなんだ!」

「突っ込むところはそこか?」

「そりゃそうだよ。僕とあいつ――――ロキは不倶戴天の敵なんだよ」

 

 

 北欧神話にヘスティアという神が出てくるのだろうか? ロキは聞いたことがあるが……………。

 

 

「男神じゃろ? なんぞ恋愛関連か?」

「男神? ………………いいね、シグレ君! 今度、出会ったらそう言ってあげるといいよ。赤髪で細目のお腹丸出しの格好してるからね。ビジュアル系ってやつなのさ」

「………………………何か言い忘れておらんか? 悪意満々にしか感じないのじゃが?」

「そんなことないよ。ただ、あいつが嫌いなだけだよ」

「真顔で言うぐらいか!?」

 

 

 

 

 






 もうそろそろ、怪物祭ですな。その前にロキファミリアとの諍い……………どうしようか(ゲス笑み
 と、カルメンです。少々早いですが、か・い・せ・つ!!に行くぞー。



『時雨永嗣』
 ベルが気づけて、こいつに気づけぬはずはない! と、どこかの神の視線に気づき、一撃を加えようとした。狂信者たちとの敵対フラグが立ちました!
 あと、エルフの服を処分すべく行動中。
 「アレか。アレだろう。お前さん、大将首じゃろう!!?」

『ベル・クラネル』
 永嗣と一緒だと深くは潜れなかった。でも、明日は居ない―――――取るべきものはただ一つ。
 「大丈夫。0で頑張れたなら、今ならもっと行けるはずだ!」

『ヘスティア』
 友神に渡りをつけ、ヒエラルキーの順位を上げようとした―――――のだが、ロキファミリアの思わぬ妨害(本人の勘違い)と友神からの信用の無さに泣きたいと思ったとか。
 地味に、ロキについて誤情報を教え込むという後日制裁待ったなしの運命を彼女は知らない。
 「いいかい、ロキ。僕はね………………君が大っ嫌いなんだよ!」

『街中での抜刀』
 バベルの頂天から感じた怖気に対し、殺すつもりで放った一撃。本来ならバベルすら一撃で斬るはずなのだが…………?

『視線の主と従者』
 主の方は二人に興味津々。従者は絶殺(ぜっころ)状態のとなっている。
 「濡れちゃうっ」
 「その行い、万死に値する」

『バベル内部』
 一定階層以上からは神々専用の施設となるが、それより下は人間も利用できる。
 内部には上級の生産型商業ファミリアの本店が多数展開し、危険物や希少品にオーダーメイド品などはこちらで販売する。理由としては、置いてある装備やアイテムが外敵の手に渡ることを防ぐのと、内通者の出入りを限定することにある。

『ヘファイストスファミリア』
 鍛冶神ヘファイストスが主神の生産系ファミリア。主神であるヘファイストスは実に人当たりがよく、誰に対して味方になるわけでもない、中立を保っている。
 構成員もほとんどが鍛冶師であるため、戦闘能力は中位だが、本領は装備の製造であるため実質的に彼らを敵に回すということは、オラリオ中の上位ファミリアを敵に回すということである。

『ゴブニュファミリア』
 ヘファイストスファミリアに勝るとも劣らない生産系ファミリア。職人気質の主神ゴブニュに影響されているのか、ヘファイストスのところより、職人気質のものが非常に多い。
 最近の悩みは、お得意の上客が作るも直すも整備するのも大変な装備を破壊しまくることである。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。