貴方は英雄ですか? いえいえ。まだ一般ぴーぽーです   作:カルメンmk2

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 本格的な参戦まであと少しです。ちなみに、モリさんもアーサーも俺のところは来てくれなかったよ……。



 賛否両論がありましょうが、こういうものだと思って諦めるがよい!


爺、聖処女と出会う

 

 

 

 夜も更けて、流石に今日はもう出てこないかと暇神どもが家路についたころ。いつもより多く稼いできたベルはステイタスの更新を終え、手渡されていた羊皮紙に写るソレに呆けた顔をしていた。

 

 

「すっごい上がってる………!」

「ほう、なかなか。実に上がっているな」

「スキルはないけど、ステイタスは全部で300は上がりましたっ」

 

 

 成長を喜ぶ二人とは打って変わって、ヘスティアは何度目かの頭痛をこらえていた。

 

 

(―――――新しいスキルが増えてる。それも、もう一つと重複するようなやつじゃないか!!?)

 

 

 ベルに渡したものではない、本来の、素のままの写し書。彼に対して、ちょっと女の子にちょろいんじゃないかな?! と頬をむくれさせたいぐらいの希少(レア)スキル。

 それだけでも暇神どもの玩具確定だというのに、今度の希少スキルはそれにプラスするものだ。

 

 

登頂者(チャレンジャー)………挑む相手と憧れの相手が強いほど、ステイタスと経験値の補正が入る。また君なのかい、シグレ君)

 

 

 絶対に、そこで笑っている年寄りのような青年が原因だ。これが知られたとなれば、どのようなことが起きるか。考えたくもない。

 これは燃やそう、と暖炉にくべる。弱小でも相当な強さを持つ自分たちでも、徒党を組んで襲い掛かってくるファミリアには勝てない。数は暴力で、それらを構成するのが冒険者ならなおのことだ。なんか返り討ちにしそうで怖い気もするが、兎に角、今は目立ちたくない。

 

 でも、彼らの主神として応援してあげたい。嫌な思いはアポロン(粘着質な神)で慣れているから、多少のことは大丈夫だ。癒してもらえれば………多分……。

 

 

「二人とも聞いておくれ」

「ん?」

「なんですか?」

「知っている通り、昨日のことで一躍有名人なシグレ君は色んな神々に興味を持たれている。中には僕がインチキをしたのではないかって言うのもいる」

「ほぅ…………それは、なんとも………なんともなぁ………」

「怒りは抑えておくれ。だから、僕は彼らのもとへ打って出るよ。ちょうど、ほら」

 

 

 行くつもりもなかったが、状況が状況だし、仮にもオラリオでは上位のファミリアが主催する定例会。ガネーシャの壮行会の知らせを見せた。

 

 参加費無料、神限定、ドレスコード無し、ビュッフェ形式の食事会も併催します、それがガネーシャだ!

 

 などと、象の仮面をつけたデフォルトのキャラクターが日8(にちはち)スタイルで描かれている。

 

 

「ここで弁明しようと思う。それに、早めに参加すると言えばシグレ君も自由行動できるようになる」

「すまんの。あんまりに鬱陶しいと斬ってしまいそうでな」

「それやったらただじゃすまないからやめてね? 女神のお願いだよ?」

「善処する」

「それは全くもって保証できないって、意味じゃないか!」

 

 

 本当にやりかねない。彼なら本当にやりかねない……………………!

 

 

「ベル君! 君が止めるんだよ? わかったね!!?」

「努力しますっ!?」

「必ずって言っておくれよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言っても、すぐではないか」

「あと一週間近くあるからね」

「昔は気配を消すのは得意じゃったんだが、こちらに来てからは何故かダメでな」

「冒険者だから感がいいんじゃないかい?」

「ううむ。どうだかの」

 

 

 時は3日ほど過ぎて、ガネーシャの催しまで一週間といった頃。ヘスティアの宴の参加は広まり、いくらかの暇神どもはその日に聞けばいいと退散していった。

 しかし、残る連中は待てない連中。まさしく神々、我慢は嫌い。思い通りにならなきゃ許せないと騒ぐ始末。いい加減にしろと、ヘスティアが怒鳴り散らしてもご褒美です! とほざいて舐められる。

 

 そういえばと昔は気配を消すのが得意だったのだと、強行突破をかけようとしたのがつい先日。それは叶わず、連中に囲い込まれ、不躾に服をめくろうとしてきた一人を軽く血祭りにあげて、ギルドから呼び出しを食らうという状況に。そして、何故かこちらが悪いと言われた理不尽に、心の閻魔帳にギルド絶殺(ぜっころ)と記すこと記すこと。

 

 

「――――どうして神が居なくなったのか、解る気がするの」

「生前は神がいなかったのかい?」

「右も左も、上も下にもどこにもおらんかったよ」

 

 

 信じている馬鹿どもは存在しておったがな、と吐き捨てる。

 まるで神を憎むかのような態度に、一抹の不安を覚えるが自分のところに居るのだから、心底憎むわけでもないのだろうと忘れることにした。

 しかしながら、いい加減、外に出たいのだと、永嗣はヘスティアに愚痴をこぼす。

 

 

「でもねぇ………」

迷宮(ダンジョン)まで突っ切るか、豊饒の女主人で暇をつぶすか」

「お金のかからない方法プリーズ」

「ならば迷宮―――ああ、そうだ。これに行くとするか」

 

 

 ふと思い出したように、彼はタンスの引き出しをあさり始めた。紙のこすれる音が少しして止まり、一枚のメモ用紙を手に戻ってきた。

 

 

「青髪に言われたここにでも行ってくるか」

「そういえば、そんなこと言っていたね。道は分かる?」

「んんー…………………七番通りの木漏れ日の里の横道を入って、パラケルスのアトリエを左に、そこから3軒目とな」

「木漏れ日の里なら知ってるよ。静かで、店内に緑の多い喫茶店さ。店内限定の貸本もやってるよ」

「本が好きなのか?」

「暇もあったし、もともと好きだからね。アトリエのほうは知らないかな。横道を入ろうとも思わないし」

「ふぅむ」

 

 

 裏路地に行かせるということは、この場所が知られたくないのか、用意できなかったゆえの妥協か。

 考えても仕方ない。鬼と会えば鬼を斬ればいい、と永嗣はヘスティアの言葉をメモした紙を革袋に入れて、紐で留めておく。ほとんどの装備を本拠地(ホーム)に置いておいたのは正解だと思い、数打ちの長剣を帯びて外へと向かう。

 

 斬っちゃだめだからね!!? ふりじゃないよ!!? と聞こえたがどうしたものか。

 欲しい玩具を見るように、爛々と目を輝かせ、彼らは永嗣を包囲しようとする。

 それを無抵抗に許すほど彼は愚かではない。

 神々の前で永嗣は一瞬にして消えた。音もなく消え、彼らはその姿を見つけることすら叶わなかった。

 それは歩法の究極の一つ、縮地のようなもの(・・・・・・・・)だ。

 

 

「鈍間どもめ。飼い犬が射なければその様よ」

 

 

 彼らが集まるはるか遠く、廃教会がある区画への入り口に立つ永嗣は神々を嘲笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 といっても、流石に街中の神々は想定外である。思ったよりも外に繰り出している連中の多さと来たら、蟻の如くである。なけなしの金で帽子を買い、目深に被ってすれ違うそれらに見つからぬよう、気配を殺す。

 かつては出来た雲霞(くもかすみ)の如く静かであった無が今は出来ない。老いからの生命力不足か、心が乱れているのか。前者なら仕方ないが後者なら由々しき問題である。

 心の乱れは刃の乱れ、それでは斬れぬと、平静を乱す諸悪の根源共に憤り、また乱してしまう。

 煮ても焼いても蒸しても喰えないなと呟いていれば、ヘスティアの言っていた木漏れ日の里らしきものが見えた。

 

 

「ここか?」

 

 

 店内に緑が多いと言っても、外から中の様子など見えるわけもない。かろうじて、店先にあるオープンテラスには植木や鉢植えが置いてある。ここだろうか?

 

 

「………ここじゃな。看板が出ておる」

 

 

 横道もどこかにあるのだろうかと見回すと、確かにある。

 脇目も振らず、横道に入ると思ったよりも綺麗に掃除された路地裏である。飲食店の路地裏なんてよほどのところでない限り汚いものだと見ていたが、ここの店主はそういうのには厳しいらしい。

 

 決して広くはないが、狭いと言うには微妙に広い道を歩いていくとパラケルスのアトリエがあった。フラスコと試験管の描かれた吊り看板がキィキィと音を鳴らしている。

 ―――が、ここで問題がある。

 

 

「左、3軒目………どこじゃ?」

 

 

 どうにもおかしい。左と言っていたが、左に3軒と店も家もない。あるのは気が遠くなりそうなぐらいに長い壁だ。だが、アトリエの横にこれぞ脇道と言うべき脇道がある。

 人一人通るのがやっとなぐらいに狭い道。横歩きでしか行けないぐらいだ。

 

 

「行くべきだの」

 

 

 剣を抜いて潜り込むその姿は、滑稽と言うほかはなく、ずいぶん昔のゲームに登場するキャラクターのような動きで奥へ奥へと進んでいく。

 効果音が付けばカサカサ、なのかワチャワチャというものか。壁で丸見えにならない分、救いがある。一生ものの恥だ。

 

 進んでいくと終わりが見えた。剣を突き出して煽ってみるが、特に反応はない。待ち伏せや不意打ちを考えた場合、無理な体制で出てきた時ほど危険なことはない。飛び出ようにも、こんな大の字で横歩きの状態ではたかが知れている。

 ええい、ままよ! と飛び出れば別に何もなかった。あったのは―――

 

 

「―――――教会………望遠鏡付きの?」

 

 

 黄金の十字架に鐘楼、鮮やかなステンドグラス。これだけならば教会だが屋根から筒のようなものがバベルへ向かって飛び出ている。斜めにだ。

 大砲、と例えるには美しすぎて、望遠鏡というにはバベルなんぞを見る意味があるのかと思う。

 木製の扉の周りに表札も何もなく、ドアノッカーが付いているだけの簡素な造り。こんな場所にこんな建物がなぜあるのか?

 

 

「――――あやふや、か? なんというか…………森の中で花畑を見つけた?」

「そういう類のものだからな」

 

 

 聞き覚えのある声。なにゆえ、奴がここに居るのだろうか? ああ、行けと言っていたのだからおかしくはないか。

 

 

「とりあえず、この剣をどかしてくれないかね」

「すまんすまん。その曲刀がなければ断ち切れていたんだがの」

「ふっ………随分と嫌われたものだな」

 

 

 嫌ってなどおらんよー、と永嗣はムメーの曲刀から剣をどかした。未熟なことに長剣が少し欠けている。全く持って未熟である。

 

 

「ふむ。やはり剣の腕は素晴らしいな」

「そっちの剣もな」

「素直に受け取っておこう。ただ、お前の格に武器があってないようだ」

「それでも得物を壊す時点で三流じゃよ」

「耳が痛いな。私は使い捨てる側でね」

 

 

 そこは人それぞれだと反応すると、それもそうだなと返事する。

 屈強な男が二人、変な小芝居でもしているようでシュールだ。

 ムメーは本題を切り出した。

 

 

「入りたまえ。ここの主も居るからな」

「扉を開けてもらえるかの」

「暗殺も不意打ちもする気はない。だが、ここは信用のためにそうしようか」

 

 

 ギィっと扉が音を立てて開く。外のステンドガラスから鮮やかに変化した光が礼拝堂の中央を照らしていた。

 ほう、と美しさに感心していると、祭壇の前に跪き祈りを行っている者がいた。

 美しい、と思わず声が出てしまう。愛する妻とはまた違う、芯のある神々しさがこの場によく合っている。

 

 

「ルーラー」

「―――――来ましたか」

 

 

 上品な楽器の声とはこういうものか。ルーラーと呼ばれた女性はその金色のおさげを揺らして、こちらに向き直った。青い瞳に輝く金髪。先のアイズ・ヴァレンシュタインとはまた違う美しさである。彼女が人形のような美しさなら、目の前の彼女は意思ある美しさだ。

 

 

「ようこそ、お待ちしておりました」

「初対面だが?」

「ええ、今は(・・)ですが……」

 

 

 かなり変形的な甲冑を着込む彼女は、その右手に槍のような物体、布を巻いたソレを持ってこちらに歩いてくる。

 

 

「ジェーンといいます。そしてようこそ、我らの隠れ家―――」

 

 

 

 

 

 

 ――――天文台(カルデア)へ―――





 手早く解説行きますよー。てか、試験が大変だ。切実に(涙


『時雨永嗣』
 暇だ。なら、あの場所に行ってみようかと行動中。
 教会から出る際、土ぼこりを立てて離脱し変装している。あと、武器募集中なう。
 「じゃぷにか暗殺帳というものがあってな?」

『ベル・クラネル』
 ステイタスの上昇が激しくなった今日この頃。現時点でDに到達する項目もあるとか。
 ここ最近の悩みは武器が貧弱で、短剣よりもショートソードか小太刀ぐらいのものがあっているかもと感じ始めている。
 「やふぅううううううう!!」

『ヘスティア』
 金欠気味で、早く迷宮復帰してほしいと火中の栗になることを決めた女神。
 一張羅が欲しいがそれも買えないと思うけど、大事な家族のためにもプライドなんて捨ててやるとよい女神である。(馬鹿にするともれなく、妖怪命置いてけの出没率が上昇するので注意してください)
 「振りじゃないからな? 絶対に振りじゃないからね!!?」

『パラケルスのアトリエ』
 アレとは関係ないが、すべてが無関係というわけでもない。薬品類を売っていて、その出所は不明である。
 もう一度言うが、キャスターなのに剣でぶっぱしてくるアレはおりません。

『ムメー』
 ロキファミリアの仲間からの追及を避けるべく逃亡中。古巣へと戻っている状態―――なのだが、これもまた予定調和なのかもしれない。
 「彼は物事を先延ばしするきらいがあるが、やることが無ければそれを消化しようとするからな」

『ジェーン』
 いったい、何ダルクなんだ? ジャンデルセンになるのだろうか、このオラリオで。
 「異教徒いっぱい―――――主の聖名において―――」「やめなさい」

『天文台』
 またの名をカルデアといい、バベルの方向に向かって天体望遠鏡らしきものが突き出ている教会。
 また、非常にあやふやなものであり、そこにありそうでそこにない、という奇怪な錯覚を受ける。
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