貴方は英雄ですか? いえいえ。まだ一般ぴーぽーです   作:カルメンmk2

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 これにて怪物祭編は終了です。次はエピローグ、そして次章に突入です。

 いうなれば……………灰被りと―――みたいな?




細かく×鋭く×重く=鉄・拳・聖・裁!!

 

 

 ――――どこのファミリアの人なんだろうか?

 兎と揶揄され侮られる、ベル・クラネルは猿のモンスター、ゴールデンバックを一方的に殴りつける女性が気になってしょうがなかった。

 決して薄いとは言えない胸当てを、彼女は簡素な手甲(ガントレット)のみで割り砕いていた。いや、割り砕くというより、初撃で罅が入って、モンスターの脹れる筋肉に耐えきれず………というのが正しい。

 

 

「重くいくわよッ!」

 

 

 モンスターの懐へ踏み込んだ足が地面を踏み砕き、下から小さく、鋭く振りぬかれた拳が、モンスターを宙に浮かす。魔石をやられれば死ぬのは分かっているのだろう。モンスターは十字を作るようにして魔石があるだろう胸の中心を守った。

 それは正しく、片腕を完全にひしゃげさせて悲鳴を絶叫する。彼女は慈悲など与えない。慈悲を与えるべきは|迷える子羊―――あるいは、愛を知らぬ悲しきもの。

 このケモノはナニかしらの愛を与えられている。であるなら、愛を知らぬ悲しきもので無し。

 

 

「鋭くいくわよッ!!」

 

 

 殺意に気づき、大きく飛び退こうとするモンスターに、鋭く踏み込む。そのまま、右ストレートを振りぬき、モンスターを家屋の壁に叩きつけた。

 一際、異色の色を放つ柱にぶち当たり、モンスターはライダーことマールをにらむ。彼女は目の前に、自身は筋肉を膨張させ、歯を食いしばり、亀のように防御を固めた。

 侮りなどはとうに消え、その体を食い殺してやると言わんばかりの眼光が、防御の隙間からマールを睨み付ける。

 マールはそれを恐れることもなし、軽い足取りで彼女の二倍はあろうかという太い腕の肉盾を前に構えた。

 

 

「細かくいくわよッ!!!」

 

 

 肉を殴打する音が、鈍い音が木霊する。

 細かく、丁寧にマールはモンスターを殴打していく。全身を使った拳の一撃は体格差なんてものは知らぬと、モンスターを釘付けにした。釘とは拳の事だろう、彼女の。少しでも防御を崩せば胴体へと殺到する。細かく、重く、鋭い拳の嵐は拳でもって貼り付けにした。

 

 あとは潰されていくだけ。

 それを少しつまらなそうに見る女神も、マールの強さに猛る感情を御そうとしている猛者も、あばら屋同然の家屋からのぞき込む者も………。

 終着が見える戦いに、それぞれの想い(未練)、もしくは思い(策謀)を抱いていた。

 しかし、それもここまでだった。

 ――――上から兎が刃を逆手に飛び降りたのだ。

 

 

「――――殺った………!!」

 

 

 突き立てられた刃、ヘスティア・ブレードはモンスターの分厚い頭蓋を貫通し、その脳天に突き立てられた。

 身体を防御の姿勢に取ったまま、モンスターは動きを止める。

 ベルはずっと見ていた。今までずっと見ていた。陰に隠れ、モンスターの意識から外されるため、攻めをマールに任しきっていた………男らしくないと思いながら。その結果は見ての通りである。

 脅威度の圧倒的に低い、脅えて来る気配のない相手に割く意識が持てるほど、マールは甘くない。放たれる一撃一撃は体を硬化させなければ、諸共に引き千切るぐらいの威力を持っている。

 

 あるいはこうも考えていたのかもしれない―――いざとなれば弱いのを狙えばいい、と。

 異常強化されたゴールデンバックは尋常ならざる回復能力を備えていた。現に、マールの拳打に耐えていたのは回復のリソースを全て腕にと脚に使っていたからだ。面白いことに、わずかな時間で状況に対応したという驚異の成長である。

 

 マールもそれに気付いていたのか、諸共に押しつぶす作戦に出たのだ。後輩のような炎を出すことは出来ない。捕まるつもりもないが万が一にも捕まってしまうと、あの年齢詐称青髪罵詈雑言作家(キャスター)になんといわれることか。私が有利属性なんだぞ、あのやろー!

 

 

「―――ふぅぅぅ………よくやったわね」

「貴女こそ、えっと…………」

 

 

 まぁ、個人で解決する気もなかった―――わけではないが、こんなにも真っすぐできれいな心の善人が成長するために手を差し伸べたのだと思えばいいだろう。

 で、その少年に自分は名乗っていないことを気づく。ルーラーは何も言っていなかったか。

 

 

「マール、マール・ライダーよ。マールでいいわ」

「はい。マールさん、お強いんですね!」

「うふふふ。女性に強いなんて言っちゃダメよ? か弱いんですから」

「え?」

「か弱い、よねぇ?」

「は、はい! そうです! か弱い可憐な女の人ですッ!!」

「か弱くて可憐だなんて、持ち上げ過ぎよっ」

「はぁ………?」

 

 

 それぐらい言わないと、このモンスターの末路みたいになりそうだったからとは、口が裂けても言えない。僕は神様のところに帰りたいのだ。

 

 

「――――まぁ、少し離れていなさい」

「え―――」

 

 

 気づけなかった。

 死んだと思ったはずのモンスターが再び動き出した。

 

 

「ッッ、魔石を砕かないとダメだったか!!」

「むしろ、正気に戻った(・・・・・・)、というのが正しいわね」

 

 

 雄叫びを上げ、暴れまわるモンスターに、ベルはマールの言葉が信じられなかった。

 正気ではないはずだ。理性もない、暴れまわる――――あ、確かにそうだ。そうだと考えれば、自分の勘違いがわかった。ダンジョンのモンスターに理性とか知性などないのだと。

 

 亡き祖父や、村の皆が言っていた、本当に恐ろしいのは地上で繁殖し、知恵をつけたモンスターだと。ダンジョンのモンスターは強いし硬いし素早いが、策略を使うわけではない。

 ヒトの襲撃から経験し、知略を学び、試行錯誤しているモンスターのほうが何倍も危険なのだと。

 そこに力が加われば、最早手遅れ。

 ゆえに、一定以上の大きな魔石を外に出さないよう管理しているのだと。

 

 

「早く止めないと!」

「その通りだけど………今回の下手人に任せなさい」

「それじゃあ遅すぎますよ!!? 何もしなかったらどうするんですか!?」

「心配無用。十人はいないし、下手人も守るために容赦なく、斃すわよ」

 

 

 向こうも気付いたようだし、ここで終わりね。

 マールの言った通り、モンスターは何かに気づいたようで、家屋の屋根を踏み抜きつつ、屋根伝いに跳んで行った。定期的に崩れる音を聞きながら、ベルはふと何かを忘れているような気がしてならない。

 幾何かして、ベルは何かに気づいた。

 ――――――あ………ああ!!?

 

 

「僕の武器っ!!?」

 

 

 モンスターの降り立った地点で、巨大な火柱が立つ。

 刺し処が悪かったのか、武器は脳天に突き刺さったまま。いずれは灰になるだろうと思っていたらこの有様だ。

 

 

「あら?」

「追いかけないと!? 神様からもらった大切な武器がー!!!」

 

 

 言うに及ばず、二人は駆け出したのである。

 ただし、一名は面倒事でも起きたのかと、若干の心配をしながら………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お怪我はございませんか?」

 

 

 二人が駆けだすその少し前、オッタルは不敬にも、神でありフレイヤを殺さんと飛び掛かってきたゴールデンバックを愛用の剣でもない大剣で滅多斬りにしていた。

 

 

「傷一つないわ。埃はかぶってしまったけど」

「申し訳ございません」

 

 

 巨体を裁いたときの破片で主神に傷一つ無いよう、とバラバラにしてしまったのが悪かったらしい。

 レベル7が剣を振る速度は想像を絶するほどのものだ。モンスターが地面に着地する前にバラバラどころか芥子粒同然に斬り裂いていく速度に、誇りが舞わないわけがない。

 肉と血しぶきは弾いたが、実体のない風は防ぎきれなかったのだ。正体を隠すためのローブが汚れただけで、特に汚されたとは言えないものではあるが………。

 

 しかし、オッタルはとんでもない失態だと頭を下げた。

 余計なことは言わない。申す訳が無いとは、言い訳ができないものだと宣言しているからだ。

 実直な己の最高の眷属に、フレイヤは頬を綻ばせ、面を上げるように言い、彼の筋張った頬に手を添えた。

 

 

「気にしなくていいわ。貴方は務めを果たした。剣姫ですらできないことをしたのだから胸を張りなさい」

「………はっ……!」

 

 

 もう少し力を抜いてほしいところだがこれもオッタルの良さであり、その不器用さがアクセントになっているのだ。

 ―――さぁ、どうしようか?

 

 

「自然に出会える理由が出来たわね」

「直接渡すほうが言うん章に残るかと思われますが?」

「ん~…………もっと熟してからのほうがいいかしら。それとも―――――ここで持っていっちゃいましょうか?」

 

 

 艶やかな視線の先にはモンスターを倒したことで、魔石とわずかな灰、そしてヘスティア・ブレードが転がっている。真っ黒………ではなく、光の加減次第でいくつもの色に輝く見事な逸品だ。

 オッタルにそれを持ってこさせればなるほど、だから彼女はバベルから出てこなかったわけか。

 

 フレイヤはこのヘスティア・ブレードを睨み付けるように見つめていた。

 オッタルからすれば、妙に重くて、切れ味の欠片も見せないこの武器でよくもアレを断てたと褒めてもいいぐらい。それほどに鈍らでしかなかった。

 だが、聞くと神ヘファイストスが直接鍛った神の武器らしい。だとすれば、特殊な鍵が付いているのだろうか。

 

 

「ヘスティアの神の力(アルカナム)神の血(イコル)…………そこまでするのね」

 

 

 アダマンタイトとミスリルを混ぜ合わせたもの―――だろうか? 金属や鍛冶については専門外なために断言はできない。ただ、神々だからこそ感じる(わかる)力が内包されている。

 なるほど。これはヘファイストスやゴブニュといった鍛冶神でなければ造れないモノだ。

 正統な持ち主とともに成長していく武器など、子どもたちにはまだ早い。造れるほどの子どもが育っていない。

 

 

「そうね。ええ、そうしましょう。そうは思わないかしら、貴女?」

「何の打算もなく………というのならいいでしょう。ですが――――」

 

 

 畳んだ旗槍をもって、ルーラーことジェーンは現れた。

 意味深な流し目と即座に実行する魅了。

 調べはついている。彼女はどこのファミリアにも属していない。一定の地域から姿が消え、その足どりを誰にも追わせない。

 ギルドの職員を篭絡し、男神を食い漁り、女神に嬌声を上げさせてなお検討の付かなかった彼女の主神。商人や外の子どもたちを使うには時間が足りなかったが、恐らくは主神などいない。単なる小娘だ。それも極上の………。

 

 

「やっぱり、綺麗な色の魂ね。燃え盛る白と黒の炎。相反する色でありながら、それぞれに輝きを抱いている………………堪らないわぁ」

 

 

 オッタルが動き出す。レベル7の脚力、瞬発力、筋力、あらゆるセンスを駆使してジェーンを取り押さえようと迫る。フレイヤの背後にわずかな土煙を残し、オッタルはジェーンの背後に現れ、その華奢な腕を丸太のような剛腕で極めた。

 まさしく鮮やか。膝裏に蹴りを入れ、平伏せと膝をつかせる。

 悠々とフレイヤは歩いてきた。ジェーンが現れた時点で彼女はローブを脱ぎ、いつもの格好に戻っている。戻っているのに、ジェーンの眼からは拒絶と侮蔑が滲んでいた。

 

 ―――ああ、ゾクゾクする………!

 

 

「イイ眼ね。そうなるものかと耐える瞳。穢れを知らない乙女。やっぱり素敵よ貴女」

「その寵愛を受け入れろ。フレイヤ様はお前も選んだ」

 

 

 ぬらりと妖しく光る真っ赤な舌、桃色に染まった頬にふっくらとしている唇。

 フレイヤはジェーンにキスをした。それは深くした。彼女の心を染め上げるように、舐って、舐って、舐りつくすようにキスをした。

 彼女のだ液を啜り、あるいは自分のだ液を飲み込ませ、啄むようにソフトであれば、貪るようにディープにした。常人なら理性も尊厳も何かも蕩けて、股を勃たせるか、濡らすか。常人としての生活など決して送れない、フレイヤの魅了という権能を直接与える神の毒。

 

 ―――さぁ、どうかしら?

 

 フレイヤが目にしたのは底冷えする極寒の蒼い瞳だった。

 次の瞬間、彼女はオッタルに命じた。自分を連れて逃げなさい、と。

 

 

「――――――――ッ!!!」

 

 

 ―――神をも焼き殺す猛火が奔った。

 彼女を燃料にして、朗々と燃え盛る炎は凄まじい火柱を生み出し、意志を持つようにうねりを上げる。

 熱量はぎしぎしと体の節々が痛むフレイヤを責め立てた。オッタルは一切の容赦なく、主神を抱きかかえ、地面をけり砕くほどの勢いで離脱したのだ。

 

 うねる炎が、無人となっているダイダロスの貧民街を焼き尽くしていく。戸板しかない窓から、傾いた家戸から、隙間だらけの家の隙間から。

 炎は何もかも焼き尽くすように侵入し、灰と真っ黒な残骸を生み出し続けていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕らが見たのは煤だらけのジェーンさんと見たこともないような大きさの魔石に僕の武器だった。

 武器よりも、あの火柱の中で煤まみれにしかなっていないジェーンさんの凄さが僕を驚かす。マールさんはすぐに駆けより、回復魔法らしきものを無詠唱で使っていた。

 

 

「アレ使ったの?」

「少し、侮りすぎていました。前衛向きではないとは言え、ああもなるとは…………未熟ですね」

「あたしもなんで前で戦っているのかしらね」

「―――――アーチャーやアサシンには敵いませんね」

「ちょっと? どうして話を逸らすのかしら?」

「精進が足りませんね!!

「こっち見ろや後輩?」

 

 

 僕もマールさんは前衛型だと思います。それも武闘派の。

 

 

「聖女的に暴力はいけないと思います!?」

「残念。今のあたしは夏仕様(サマー)よ」

「矜持はいずこへ!?」

「聖女だっていくつも顔を持っているものよ。そのうち貴女もキャスターとか、JKとか出るわよ」

「え、ええっ!? 私は字が読めないのですが……………」

「………………………今度勉強しましょうか?」

「……………はい」

 

 

 キャスターてなんだろうか? でも、JKには抗えない魅力を感じる……………!!

 

 発情兎(むっつりベル)がJKの響きに何かを受信しそうな雰囲気を出していると、ジェーンは何とはわからずに首を傾げているがマールは、ああ………まぁ、可愛くても男だものね、と生暖かい視線を向けている。

 よくもわからない、そんな二人に置いてけぼりのジェーンはベルの武器を拾うことで仲間に入れてもらおうと思った。

 

 

「あの! これ、貴方のですね?」

「あ、そうです! よかったぁ……………うん、溶けてない!」

「それは何よりです。ところで、何故呆けていたのですか?」

「え? ………………………死んじゃったお爺ちゃんが語りかけてきたような気がしたんです。それこそとある国の変態(しんし)が生み出した究極幻想(ファイナルファンタジー)って」

「ふぁいなるふぁんたじぃ?」

「ふぁいなるふぁんたじぃ、です」

 

 

 ―――JDは後腐れが無いぞ! 成人じゃしな!

 お爺ちゃん、それはダメだよ! なんか胡散臭いところから被害妄想染みた脅迫まがいの抗議が来そうだよ!!って、あれ? マールさんはどこに行ったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はアレにしましょうか」

「アレにするの?」

「そうですよ。手に入れたら、こんな街からおさらばしましょう。お姉ちゃんと旅行でもしましょう」

「旅行より甘いお菓子が食べたい!」

「外でも食べれますよ。だから、ジャック(・・・・)。アレを手に入れましょうね」

 

 

 ゆらり、ゆらり。二つの小さな人影はいずこかへと姿を消した。それを監視する狩人を知らずに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オッタル!」

「不覚を取りました………! お怪我はございませんか?」

「少しヒリヒリする程度よ。神の力ですぐに治るわ。それよりも貴方の火傷、そちらのほうが問題よ」

「御身が無事であれば問題などッ―――ぐぅう!!!」

「もう少し耐えなさい。ヘグニとヘディンが――――」

 

 

 ――――それならここに居るわよ?

 

 どさっ、全身火傷だらけのオッタルと、白い肌がうっすらと赤く腫れあがるフレイヤの前に襤褸切れが投げ捨てられた。単にそれだけだ。

 そも、彼女にとって、瀕死のとても厄介な(・・・・・・)重傷を負ったオッタルを追い越すことは容易い。こちらを嗅ぎまわってる連中もご丁寧に装備の意匠まで統一しているのだから………ご覧の通り、聖女(レディース)なりの挨拶(メンチ)から始まる交渉術(にくたいげんご)で聞いただけなのだ。体に聞いただけである。

 

 ―――――つまり……………触らぬ(ねこかぶる)聖女(レディーズ)に、その後輩に手を出したこと自体が間違いだったのだ。

 

 

「うちの後輩が世話になったわね。ちょっと、お礼しに来ちゃったわ」

「お逃げください………ここは私が……!」

「待ちなさい」

 

 

 フレイヤは神威を放った。送還されないぐらいの全力で、目の前の凶女を退けようとした。

 魅了は使わない。使ったところで、神をも殺すあの禍々しい炎を出した無礼者の先達だ。効きはしないだろう。だったら、発狂か自我を喪失させるぐらいに強力な神威で切り抜けるべきだ。

 残骸はダイダロスの住人が好きなようにする。ここは動けない女が独りでいるには恐ろしい場所。

 

 

「弁えなさい不埒者。神に対しての狼藉は許され―――」

「何言ってるのかしら、この色ボケアーパー?」

「ッッ………跪けッ!!?」

「鬱陶しいわね」

 

 

 まるで羽虫でも払うように、哀れみも憐憫も浮かべないその瞳、その表情(かお)で彼女はフレイヤたちに近づいていく。

 神威は相手を動けさせなくするだけではない、人を呼ぶためにでもある。

 あと少し。もう少し。動きを止められれば、ガリバー兄弟かアレンが来てくれるはずだ。はずなのに……!!

 

 

「止まりなさい!止まれ!!!?」

「イイことを教えてあげる」

「ひぃッ!!?」

 

 

 もはや動くこともままならないほど弱り切ったオッタル―――主にフレイヤの神威のせいで―――を無視し、彼女はフレイヤの前に立った。

 ぱきり、ぱきり、と何かの音がフレイヤの心胆を寒からしめる。

 

 

「――――私たちにとって、神はただ一つ。主のみ。故に神を騙る愚か者には――――その愛とお言葉と御意思を説きましょう」

 

 

 迫りくる黒い物体。最後にフレイヤが見たのはソレだけ。

 記憶でも失ったのか、彼女は藍色の髪を見ると強張るようになったという。特に眼を見ると一層激しく震え、怒りに震えるようになった。

 

 ―――あの眼! あの言葉! 元凶どもめ! ここまで来たか!!? また奪うのかッ!!?

 

 その真意をしる存在はどれだけいるのだろうか?




 予定した終わりとはだいぶ違いますが、こんなものかと思われます。
 連休とかにいじくりたいですねぇ……。

 ちなみに、幾つかのネタバレみたいなものが散見していますがそれを拾うかどうかは作者のモチベ次第ということでご容赦ください。
 では、解説行ってみよー。



『ベル・クラネル』
 原作とは違い、称賛されることもないがミノタウロス以上の化け物と交戦したことでトラウマは若干の克服を見せている。
 ゴールデンバックを圧し潰しかけた女性と背中を押してくれた女性のことを探すが………見つかるかどうかはわからない。
 蛇足だが、ヘスティアに「JK、フゥウウウ!!」と毒電波を吐いたところツインテールでしばかれたとか。
 「素敵な響きYeah!!」


『ジェーン』
 裁定者(ルーラー)を名乗る金髪碧眼の少女。なんと、字が読めないらしく、一種のトラウマだとか。
 こいつ、あの子やろ? と思うが間接極められると生半可な覚悟では動けないため、躊躇しているところをフレイヤにファーストチッス(誤字にあらず)を奪われた。その怒りは黒い炎となって、下手人を焼き殺さんと燃え盛ったという。
 「これはわが憎悪によって――――」


『マール・ライダー』
 もちろん偽名の姉御。マジ姉御。今の状態はサマーバケイションッッ!!
 そもそも、信じる神は一人だけなのdから神を名乗る連中に慈悲など要らない。信仰心とはときに狂気と謳われるものだ。
 当人曰く、か弱くて可憐な女性―――だと(のたま)うが見合いとか結婚式とかで猫被ったレディースと大差ない。その上、筋力Dのくせにやたらと拳が重いため、クラス詐欺とかステータス詐欺とか言われる。
 「いやね? うちの姐さん、僕を鉄砲玉か何かと勘違いしとるんですわ。いくら竜種だからって甲羅を叩き割るような姐さんを聖女だなんて――――」


『フレイヤ』
 マールによってトラウマを植え付けられた被害者。ただ、自業自得、因果応報と断じれるのも当然というぐらい、前科がある。
 ジェーンの炎は傷の直りが遅いため、しばしの間、社交界に出ることはなかったという。
 「――――――――おのれぇぇえええ………」


『オッタル』
 都市最強の冒険者…………なのだが、不意打ちと護衛対象のせいでジェーンを倒せなかった。都市最強は伊達ではなく、ジェーンの背後をついて関節を極めるなどの技量を見せた。
 しかし、彼女の炎によって霊薬(エリクサー)でもわずかな治癒しか見込めないダメージを負ってしまった。
 「ぅぐぅぅぅぅぅ……!」


「ヘグニとヘディン」
 襤褸雑巾なう。喧嘩は相手を見てから売りましょう。
 「「それだけ!?」」


『二つの人影』
 一人は合法。もう一人は非合法。お医者さん嫌い。お母さんどこ?
 近づいたらマジヤバイ存在だと言っておこう。


『ヘスティア・ブレード』
 アダマンタイトとミスリルの合金で造られた神造武器とも言える短刀。短刀と述べているが、実質的には小太刀ぐらいのサイズがあり、表面には神聖文字(ヒエログリフ)が掘られている。
 フレイヤの見識は正しく、ベル専用の武器であり、眷属の永嗣が持ったとしても鈍らな鈍器としか使用する価値が無い鉄くずとなる。
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