駄文注意
駄文注意。
「どうしたもんかなぁ。」
彼はそう心の中でつぶやいた。目の前の状況を受け入れることを脳が嫌がっている。あぁ、それは自分が面倒くさがり屋だからか。はぁ、本当にどうしたものか。いや、僕はこんな状況に陥ることは嫌だし、想定すらしてなかった。まさかあの時の軽い一言がこんなにも自分を追い詰めるなんて。
あぁ、満月がきれいだなぁ。青く輝いてて前世のものとは大違いだ。これは、周りにある光が少ないこととか影響してるんだろうか。お酒の肴にでもしたらよさそうだ。あっ、ダメだ。俺、坊主だったわ。なんかぶつぶつ聞こえんなぁ。まぁ、いいや。今は、この月をずっと眺めてたいから「ねぇ、安珍様。先程から空を見つめたまま動きませんがわたくしの話はきちんと耳に届いておりますか。ねぇ、安珍様。」
んっ?なんか聞こえるなぁ。いいや、無視無視。
「ふふっ、そうですか。追い詰められているのに随分と余裕ですね。そういうことならわたくしにも考えがあります。そう、あの川なんていかがでしょう。深さも申し分ありませんし、何より、水がきれいです。一緒に逝きましょう。」
「ちょっと待とうか。清姫。君はあれだね。夜這いの時もそうだったけど行動力ありすぎじゃないか。君はまだ幼いんだからまだまだ時間はあるはずだ。だからね、もうちょっと、ゆっくり生きてみよう。そう、それが良い。」
「なんだ、聞こえてるんじゃありませんか。聞こえているんなら返事ぐらいしてもいいんじゃありませんか。」
「いや、それについてはすまなかった。月が美しくてね。つい、見とれてしまっていたんだよ。まぁ、君も負けず劣らず美しいけどね。」
「ふふっ、ありがとうございます。でも、月より美しいと言わないのはあなた様らしいですね。」
「それはね…僕は自然が好きなんだ。人間、妖怪、神なんかよりよっぽど綺麗だ。まぁ、人間の汚さっていうのもたまにほしくなるけどね。」
「そうですか。ところで、なんで私を置いて行ったんですか。必ず、向かいに来るといったはずなのに。」
彼女の眼にはうっすらと涙がうかんでいた。どうやら、本気で悲しかったらしい。
「それは、勿論めんどくさかったから……っていうのは嘘で、そうだな、僕はまだ自由に生きていたかった。理由があるならきっちり断れよって話なんだけどさ。でも、君の親父さん、明らかに僕のこと殺す気だったぜ。僕が、もし、君のことは好きじゃないから連れていくことはできないなんて言ったらさ、君、泣くだろう。そしたら、あの熊みたいなおっさんの鉞が僕の首スパッとやっちゃうよ。」
「そういうことだったんですね。なんだ。私のこと嫌いだったわけじゃなかったんですね。」
「まさか、君みたいな絶世の美少女、嫌いになるわけないだろう。たとえ性格が悪くたって嫌いにはならないさ。なんて言ったって美少女だからねっ。まっ、君は気立てもいいし、性格はいい方だと思うけどね。行動力ありすぎってところは難点だけど。」
「最低です。その可愛い女の子だったら誰でもいいっていう姿勢。気に食いません。」
「べっつにー。君に好かれるために生きているわけじゃないからね。」
「なっ、なっ、何を言うかと思えばっ。私には、手を出さなかったくせに、よくそんなことを言えますねっ。どうせ、未経験なんでしょうっ。見栄ばっかり張って、まるわかりなんですよ。」
「はっ、どどど童貞ちゃうし。マジめっちゃプレイボーイだかんな。なめんなっ。第一、手出すわけねーだろ。てめーの寸胴ボディに興奮する奴なんて重度のロリコンぐらいだわっ。」
「プレイボーイ?ロリコン?なにかは知りませんが、馬鹿にされてるのだけは伝わりました。ムキーーー。こうなったら徹底抗戦です。安珍様だからといって手加減しません。」
「ほぅ、今まで手加減なさっていたんですねぇ。あれっ、でもすごい汗ですよ。手加減されていた割りには随分とお疲れのようですが大丈夫ですかーー。」
数十分後.......
「「はぁ、はぁ、はぁ。」」
「とにかく、私、清姫はあなた様が心配ですので旅にお供させていただだきます。」
「はぁ、なんでそうなったなんだよ。ていうか、俺は自由に生きたいって言ってるだろ。」
「えぇ、ですから私はあなたの旅の指針になにも干渉いたしません。あなたがどこへ行こうとも。誰を連れてこようと。その…誰と床をともにしても…。とにかく、あなた様一人では心配と言っているのです。いいから、連れて行ってください。」
「ふぅ、しょうがない。君は何を言ってもあきらめなさそうだ。なにせ、若さゆえか、君独自のものか、面倒くさがり屋の僕からして見れば、とんでもない行動力の持ち主だからね。」
「ふふっ、ありがとうございます。安珍様。では、これからの旅、よろしくお願いいたします。」
「あぁ、お願いされた。それじゃあ、坊主の修行はやめて、長い休暇へと洒落こもうかな。」
彼らは、歩いていく。背後には青く光る満月があった。満月の月光は彼らのいく道をうっすらと明るく、まるで母が子を包み込むかのように照らしていた。
続かない