古明地さとりは覚り妖怪である   作:鹿尾菜

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depth.91さとり巫女になる(撹乱篇)

この日、私は珍しく人里に1人で来ていた。

華恋の修行は一旦お休み。見回りも彼女1人で行わせている。

こうして少しづつならしてあげないとずっと私と一緒になってしまいますからね。

一応監視兼護衛としてお燐が見ていますから何かあっても大丈夫でしょうね。

 

それにしても……いつ見ても人里は良いものですね。

人間の営みが折り重なり生まれるこの衝動。わかる人はなかなかいない。

まあ私のそんな戯言は置いておきまして、人里に来た理由をしっかりと果たさないとですね。

 

とは言えどそれはほとんど私用であって大事なものではない。寄り道をしながらのんびり歩くとしましょうか。

 

貸本屋に続く道を歩いていれば、ついつい道を外れてお店に入ってしまう。

道具がたくさん置いてある割に売り物として値段がついていないお店だったり

骨董品…というより何に使うかわからないオブジェクトが置いてある店だったり。はたまたSCPのような謎の人形ばかりが置いてある店だったり……

興味に引っ張られてなかなか足は進みません。

それもまた、目的のない歩きにはつきものの話。だけれどそれがあっているかどうかは分からないのですけれどね。

 

そんな事をして少しだけ財布の中身を減らしていれば、ようやく目的にしていた場所についた。道を外れに外れどうやってここまできたのかは思い出せませんがまあそんなものでしょう。

目の前にある看板は他の店と同じく木製色であまり他と変わらない。

そこに書かれた甘味処の文字もまた、何件か知っているごくありふれたもの。だがそれらは他のものに比べ少し新しい。

最近できたお店でこいしやお空が美味しい場所だと進めていたので一度は行ってみたかった場所。

扱っているものは少し変わったものが多いと聞いているが果たしてどのようなものでしょうね。

 

店員に案内され注文を聞かれる。何を選べばいいか分からないのでとりあえず店員に任せることにする。

店の中は閑散としているが私以外の客のちらほら。

私の隣の席にも一応居る。

 

いるのだが服装が少し独特すぎて目を向ける気力が起きない。

白いシャツとポケットのついた黒いワンピース。そして魔女特有の三角帽子と箒。間違いなく魔法使い。あるいは魔女。

その向かいに座っているのは普通の町娘のような子だけれど少し気配が違う。どうやら霊力が強めに出ているらしい。

あれじゃあ普通の人には見えない霊も見えちゃいますね。

 

と、注文を頼んでのんびりとしていれば隣に座っている客の噂話が耳に入る。

「そっちの方でまた出たんだって?」

「ん。呉服店の方と合わせりゃ5件目だって」

「あたしらも気をつけないとなあ……」

5件目……一体なんでしょうね。

 

「失礼、貴女達の話に興味が湧いたものでして」

気になったら話に乗り込んでいくしかない。

身を乗り出して彼女たちの方に体を傾ける。

「あ……えっとおたくこの里は初めて?」

魔女スタイルの女性がやや困惑しながらも返答をしてきた。

「ええ、ついさっき来たものでしてね」

 

「そっか、じゃあ夜に気をつけた方がいいぜ」

 

「ねえそんなんじゃ伝わらないってば」

 

町娘の言う通り夜が危険だという事くらいしか伝わらないですよ。

「そっか…じゃあよそ者だけど特別に……冗談だってば怒るなよ」

 

え?怒ってませんよ。基本的に無表情なだけであって睨んでもいませんし…勘違いしないでほしいです。それに私が余所者なのは仕方ないことですからね。

「私が言うわ。えっとね、最近人の惨殺死体が見つかるようになってね」

「惨殺死体?」

珍しいですね。人里の中でそのようなことが起こるなんて…慧音さんとかもいるでしょうに……

「犯人は捕まってないと……」

 

「うん、噂では家の中で殺されてるらしくてね」

家の中でですか。珍しいですね。普通なら外で辻斬りのような事をするのが多いですけれど…

 

そういえばお燐がぼやいてましたね。

人里で死体を見つけてくる事が多いのだが最近の死体は損傷が激しすぎるとか。

後は同族同士なのか少し獣の臭いが混ざっていたとかなんとか。

「そういうわけだ。あんたも気をつけなよ」

フードの上から魔女に頭を撫でられる。

いくら身長差があるからって少し乱暴です。

「犯人捕まると良いですね」

 

「人間だったらな………」

 

まるで人間じゃないような言い方ですねえ…どこまで知っているのでしょうかね魔女の人は。

「となると人外ですか」

 

「その可能性の方が高いってだけだがな」

それでも有力ですよ。人外かそうじゃないかで対応は完全に違いますからね。

 

もう少し話をしていたかったものの、注文していたものが来てしまった挙句

「あまり物騒な話は似合いませんよ」

と店員に釘を刺されてしまい会話は続かなくなった。それ以降も向こうは話題をなるべく避けていたためかたわいもない事に花を咲かせていた。

もちろん私だってそれに混ざってたわいもない話をしていましたよ。ですがそれとは別に思考を回していることもまた事実ですけれど。

 

さて、夜に1人づつ惨殺死体になる…確か似たような事案は小さな集落

ではかなりあるのですけれどここまで大きい里で起こりうるかと問われれば微妙ですねえ。

ですがそれしか分からない。だって慧音さんはすぐに動くはずですから…妖怪が絡んだら絶対に1日2日で鎮圧可能だ。それが出来ない…あるいは手を焼いているということはきっと妖怪がらみではなくもっと面倒なもののはず。

とすれば…候補は絞れる。その中でも最も有力なのはやはりこれしかない。

「……人狼ですかね」

人狼といえば私の記憶では人狼ゲームがおなじみだけれど本来の人狼というのはかなり危険な存在である。

 

基本的にあれは実体がない。というより動物霊の一種である。

人間の味をしめた狼の怨霊が地上を彷徨い人間に憑依することで誕生するのが人狼。それも憑依された本人に自覚はない。意識の外…つまり寝ている合間に狼は行動を起こすので例え私が記憶を想起したところで覚えてはいない。

最近村の中で惨殺死体が増えているのもまたその可能性が強い。

だとすれば獣の臭いが付いているというお燐の証言とも一致する。

 

それと厄介なのがあれは複数の怨霊が群れをなしているという事だ。

怨霊の多くは単独で行動することが多いのだが狼…それも人の味を覚えた狼の怨霊は群れで行動することが多い。

だから複数人が取り憑かれているというのも当たり前だったりするのだ。

「人狼?それって狼のことか?」

 

どうやら隣の魔女に聞かれていたようだ。

「正確には人間の味を覚えてしまった狼の怨霊です」

 

「怨霊…ですか?」

 

「ええ、正確には怨霊に取り憑かれた人間を指しますがね」

 

事例の数があまり無いですし大きな村や町には出没しないですからね。

「それってお祓いで追い払ってもらえばいいんじゃない?」

町娘っぽい子が目を輝かせる。なんですかその目は…これで事件解決だやったねじゃないんですよ。

「そう簡単にはいきませんよ。だれが人狼なのか分かりませんし、一度取り憑かれて行為に及んでしまうと怨霊は人間の魂と強く結ばれてしまうのでお祓いで取り除こうとすれば人間の魂まで一緒に切り離されてしまいます」

 

「そんな……じゃあ手遅れじゃないの」

ええ、手遅れですよ。まあ人間の味を覚えた狼自体が殆どいないですから対人狼用の術が無いというのも問題なんですよね。

「人狼になってしまったら殺すしかないんですよ」

 

それにしてもこのパン美味しいですね。中にクリームが入っていて…甘いです。

 

 

 

 

さて、食べ終えたことですしそろそろ行きましょうか。あまり長く居座っても邪魔になるだけですからねえ。

お金を置いて席を立つ。そんな私を引き止めるかのように魔女が声をかけてきた。

「ちょっと待って。あんた…やけに妖に詳しいようだけれど」

 

「ええまあ…職業柄そうなりますねえ」

 

「ってことは……妖怪退治の人?」

 

違いますけれどね。まあ否定してもなんにもなりませんし黙っておくことにしましょうか。

「ではでは……」

 

 

 

 

 

 

 

夜の闇は平等にすべてのものを包み込む。

そんなものに飲まれるものかと蝋燭の光がいくつか闇を照らそうとするがそれもすぐに見えなくなってしまう。

ルーミアさんなら喜びますけれど慣れない環境は辛い。

そんな闇でも狼はよく見渡せる。

私は今人里に来ている。もちろん華恋には内緒でですよ。

いつもの外套も羽織ろうかと思いましたが面倒なのでやめておく。それに……相手によっては外套が邪魔になりますからね。

 

丑の刻と言われるこの時間帯では流石に灯をともしているものなど人里でも殆どなく、昼間の町並みは全く見えそうになかった。

さて、向こうが動くとすればきっと灯もつけないで歩く私。出てきてくれれば相手がなんなのかは見当がつく。

 

暗闇の中で私の巫女服が風も無しに揺れる。

何かが通った証。同時に漂う獣の臭い。間違いなさそうですね。

 

「こんばんわ。ちょっと訪ねたい人がいるのだけれど」

そう問いかけて見たが返事はない。その代わりに荒い息遣いが帰ってきた。

「そうね……今の貴方のような人」

息遣いが消え見えない相手が動き出す。

どうやら1人だけのようですね。

私をまだ人間と誤解しているようですが…はてはて?

 

飛び込んでくる。

短刀を引き抜き構える。

想定していた通りの位置に相手の腕が当たり硬いものと接触する。

わずかに散った火花が相手の姿を闇夜に浮かび上がらせた。

 

それは若い男だった。

肌は青白く見開かれたその瞳は何も映していない。憑依されて操られている時の典型だった。

火花を散らす原因は彼が持つ包丁。

それを弾きながら一旦後ろに下がる。

うめき声のようなものを残し再びやつが駆け出す。私を襲うのは不利と判断して逃げ出したようだ。

「全く……狩人は苦手なんですがねえ」

逃げ出す相手を追いかける。だが少し進んだ途端相手が反転してきた。

完全に速度に乗ってしまっている。回避するのは難しい。

なら…一旦やり過ごす。

刀を構えたまま左手で腰から拳銃を取り出す。

今回のために消音器を取り付けている。騒音で誰かが起きてくるということはないだろう。

狙いをつけずに3発撃ち込む。

抜けた音がして銃口が明るく周りを照らす。

相手の肩に掠ったのをはっきりと見る。次の一歩で体を捻り、相手の横を通過する。

通過する際に刀を突き立てておくのを忘れない。

手から離れていってしまったがそれはしっかりと相手の腕に突き刺さっていた。

 

 

低く鋭い悲鳴が上がる。それは人間のものではなく、獣のそれだった。

もう一丁銃を出す。両手に構えたそれで、呻き声のする方に何発も撃ち込む。装填段数はそれぞれ15発。先程3発使っているので27発。全弾を叩き込む。何発かが命中したらしく甲高い悲鳴が立て続けに起きる。

マガジンが空っぽになりスライドが跳ね上がる。

 

うめき声も気配も消えている。どうやら完全に事切れたらしい。

確認のためにゆっくり近づく。

相手が動く気配も生命の息吹もない。

完全に宿主ごと死んだらしい。

「さて…この遺体をどうしたものやら」

 

どうしようか悩み回収しようとした瞬間。

私の体は後ろに跳ね飛ばされた。左手に持っていた銃が衝撃で放り投げ出される。

「あ…ぐっ!」

体が地面に叩きつけられ肺が押しつぶされる痛みが走る。

同時に体がまた空中に投げ出される。

体を捻り四つん這いで着地する。

 

「そういえば……1人だけなんて確信なかったですね」

 

乱入してきたのはもう1匹。どうやら組んでいたらしい。

だが私を跳ね飛ばしただけで一体何をしようとしたのだろう。あそこでなら私を斬ったりすることだってできたはずだし喰らうことだって不可能ではなかったはずです。

体をあげて一向に動かない相手を見つめる。

 

肉か何かが引きちぎれる生々しい音がする。そして強くなる血の匂いと咀嚼する音。

心臓でも潰したのか…何かが弾ける音がする。これは間違いようもなく…先程私が殺したやつを食らっている音だった。

「……同族を喰うなんて……」

私の言葉を無視するかのようにそれを食い続ける相手。

服についた汚れをはたき落とし落としてしまった銃を拾う。

通りの真ん中に落ちていたそれを回収しマガジンを落とす。

土の地面に落ちたそれらは鈍い音を立てて沈黙…代わりに新しいものを装填する。

向こうも喰らい終わっただろう。恐らく私に目標を変えるか…このまま逃げるか。

でもその前に顔を拝まないといけませんね。

音のする方に向けて駆け出す。

それに気づいたのか向こうもその場を飛びのく。

だけれど遅い。思いっきり蹴りをお腹に叩き込む。柔らかい感触がして私の体が反動で吹き飛ばされる。直前に手で受け止められたらしい。

建物の壁を足場にして体制を整え再度攻撃。

今度は右手に持った銃で相手を狙い撃つ。向こうも構えていないと流石にさっきのは厳しいらしい。

銃口から光が溢れ、相手の顔を照らし出す。

「……え?」

相手の顔を見て、一瞬だけ動揺してしまった。

その一瞬が命取り。

隙をついた相手が私のお腹に膝蹴りをめり込ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想郷縁起

55冊目第31項

 

 

古明地さとり

種族、覚り妖怪

 

能力、心を読む程度の能力

 

人間への好感度、良好

 

危険度、皆無

 

地底を治める者であり種族を問わず多くの妖怪に影響力がある。

幻想郷の中でもかなりの古参であり本人曰く奈良時代から生きているらしい。

交友関係が広く山の頂点である天狗を含め妖怪の賢者、鬼の四天王、博麗の巫女、河童とこちら側では真偽が把握できない程である。

 

 

まず彼女の事を記す前に知っておいて欲しいことは 現在幻想郷に住む妖怪の中で最も異質な存在だということである。

 

人間に対してはものすごく友好的であり人間側として妖怪を倒すこともあれば逆に人間を脅かしたりするなど妖怪らしくもありそうでない存在である。

古明地さとりと遭遇しても命を取られたりする事はまず無い。むしろ危険から守ってくれることの方が多いから安心してほしい。

八雲紫談

 

無表情で何を考えているか分からず不安になるものの性格は非常に温厚であり、誰にでも優しく接する。ただし家族や友人と認めている存在を傷つけると如何なる手段を行使し相手を追い詰め破滅へ導くとされている。本人談にてもいくつか壊滅させたりしたそうなので事実であると思って良い。

結論としては下手に手を出さない方が良い。

 

物静かで戦闘を好まない性格のようだが一方では鬼とよく戦っているとも言われている。

以下に証言をいくつかまとめてある。

 

 

古明地さとりは戦闘が嫌いだとか戦いたくないとか言ってる割に戦いになると容赦がない。

天狗談

さとりが戦いに身を投じたら相手に同情してしまう。

そもそも素手のみで藍と渡り合えるのが異常である。

八雲紫談

力は弱いけど戦いには強いそんな奴だね。勿論、弱点はあるがそれを狙ったところで戦いが有利になることはない。ほんと食えないやつだぜ。

鬼談

 

よく人里で料理を振舞ったり野菜の育て方を教示していたり祭り事への積極的な参加と人間味がある。何も知らない状態では妖怪とは思えない非常に人間に近い珍しい妖怪だ。

現在は山の麓に旅館を構えているが、大体は地霊殿にて地底の管理を行っている事がほとんどである。

 

 

戦闘においては中距離から近距離での戦闘を得意とする。

河童が作ったとされる特殊な武器を使用することが大半であるが、短刀を使った近接戦闘も同時にこなす。また自らの記憶を想起することにより今までに見てきたことのある攻撃をそのまま再現することが可能だという。

さらに能力を利用した心理戦にも長けており、実際妖怪の合間でも何人かが精神崩壊に陥ったと噂されている。

戦闘能力は高いので無闇に喧嘩を売るのは避けた方が良い。

最近は目撃情報が減っておりどこで何をしているのかなどの動向が掴みづらくなっている。

噂では巫女をやっているとかいないとか。

 

服装は専ら和服の上に外套を着ている。覚り妖怪である証のサードアイも普段は外套の中にしまってあるので覚り妖怪であることが露見しづらい。

 

 

多くの妖怪から恐れられている。

本人は誤解だと言っていたが実際のところは無自覚なだけかもしれない。

 

さとりは味方にすれば心強いけれど敵に回しては絶対にいけない。

毎年のように何名かが被害にあっている。

天狗談

 

勝てなくはないもののそのために払わなければいけない犠牲が多すぎるしそもそも勝てる気がしない。

 

陰陽師の集団すら追っ払った挙句地底の化け物やらとサシで戦ってる存在なのだから強いのは当たり前。その上敵対すれば確実に天狗と鬼まで敵に回す妬ましいわ。

妖怪談

 

そこまで酷いことはしないんですけれどねえ……たかだか精神を壊すかトラウマを植え付ける程度なんですけれど。

本人

あのヒトは自覚がないしバーサーカーなところが多いからねえ。

黒猫談

 

 

 

古明地こいし

 

種族覚り妖怪

 

能力心を読む程度の能力

 

人間への好感度、良好

 

危険度、皆無

 

古明地さとりの妹でありこちらもかなりの古参である。ただし100年ほど前にさとりとともに現れる以前は目撃情報もなく全てが謎である。ただし、彼女自身は純粋な妖怪ではなく半妖である。

姉とは違い旅館の女将をやっている。

交友関係はこちらも広く、さとりと同じで確認しきれない。

 

さとりと同じく人間との関係は良好でありよく妖怪から人間を助けることが多い。

ただし悪戯をする事もあるので少し注意してほしい。

 

さとりと違って彼女はどちらかといえばこちら側の存在に近く、同時に少しだけ危ない。

八雲紫談

 

こいしは良い子ですよ。時々羽目を外しすぎたりしますけど明るくて癒されます。

さとり談

 

性格は無邪気で明るいらしく誰にでも気さくに話しかけるとのこと。

比較的温厚らしくあまり怒ったりはしない。何か事があってもその場を和ませながら怒る為か彼女の周りでは揉め事が起こりにくいと言われている。

ただしこちらも家族が傷つけられると激昂する。

 

また能力の使い方が少し独特であり、相手の深層心理を読み相手の行動原理を探るのだとか。

 

また洞察力が優れておりわずかな情報からでも大量の事実を言い当てる。その為探偵まがいの事を依頼されることが時々あるそうだ。

本人は上手くないからといって最初は断るものの押しに弱いので受けてしまうのだとか。

 

 

さとりと同じく多くの妖怪から恐れられているが本人は分かっていてそうしているのだとか。

ただし仲良くなると恐ろしいなんて噂が嘘のようだとの証言もあるので多くの妖怪が勘違い、或いは間違いを起こしているだけかもしれない。

ちなみに覚り妖怪という種族はこの2人しかいないらしい。

 

昔はこの辺りにも覚り妖怪も結構いたのだけれど…差別と虐殺で殆ど消えちゃったわね。

神様談

確認できた覚り妖怪はもう彼女達だけになってしまったわ。

八雲紫談

 

着物を着ている事が多いがそれとは別にフリルのついたスカートや浴衣などバリエーションに富んでいる。

噂では全てさとりが作ったのだとか。

 

戦闘では殆どが至近距離での斬り合いが多い。ただし魔術も使えるので中距離から長距離での支援戦闘もこなせる。

彼女が使う魔術は殆どが姉が作り上げたものであるようだが詳細なことは分からない。

また魔術による攻撃の種類などの細かいことも分かってはいない。

その為観測、本人が証言して確定しているものをここには記述する。

 

空間圧縮による収納魔術

複数の誘導弾幕を放つ攻撃魔術

広範囲への攻撃を目的とする殲滅魔術

気象現象を利用した攻撃魔術

簡易結界を利用する防御魔術

ただし本人は至近距離で双剣を持ち暴れる方が性に合っているのだとか。

 

あの子は…どちらかというとアーチャーしないアーチャーとか理性のあるバーサーカーなんですよ。

さとり談

意味がわからないとだけ記しておく。

 

 

火焔猫燐

 

種族猫又、あるいは火車

 

能力 不明

 

人間への好感度、中

 

危険度、中

 

さとりのペットとして飼われている猫の妖怪。

かなりの年数を得ている為かかなりの腕利きであると言われている。

ただし猫故か普段どこで何をしているのかが分からない。

愛称はお燐。

名前は鬼につけてもらったらしく僅かながら鬼の妖力が混ざっている。

 

お燐か?ああ、よく私の膝の上に乗って寝るぞ。

狐談

 

黒猫だからよく気味悪がられるけど根はいい奴だよ。ただ猫だから気まぐれなんだけどね。まあそれでもさとり達と比べたら結構常識ある方よ。

土蜘蛛談

 

性格は比較的温厚であるが気まぐれなので何をするのか予測がつかない。人間を襲うこともあることにはある。

ただし気まぐれなので出会ったからと言って襲われるとは限らない。

良くも悪くも妖怪らしい。

 

遺体を漁ることから火車とも言われているが生まれも育ちも猫又と分かりそうで分からない事を言っている。ただし火車を否定していないし死体を持って帰るのが趣味らしいのでやはり火車かもしれない。

本人自身どっちかわかっていないようだ。

 

服装は黒色をベースに赤と黄色のフリルがついたドレスを着ている事が多い。また長い髪を三つ編みか後ろで一本にまとめている事がほとんどである。

猫の姿ではしっぽのさきっぽが二本に割れやや赤みがかっているのが特徴である。

 

癒されるのは間違いないのだがどうしてみんな気味悪がるのかわからない

狐談

 

さとりと同じく河童が製造したと思われる大型武器を使用しており超長距離からの奇襲を行うことが多い。ただし動物ゆえに身体能力が高く爪を使った接近戦も易々こなしている。

 

気づいたらやられていたなんて事はあの猫の前では当たり前。特に視界が効かない場所ではどこから攻撃してくるか分からないから極度の重圧を与えている。あの子だけが戦わず勝つ手段を持っているとも言えるわ。

八雲紫談

 

 

可愛いので良くみんなに撫でられたりするのだが撫でるのが下手なヒトにはあまり近寄りたくないのだとか。

ただし黒猫なので人間からはやや恐れられている。実際最近厄がまとわりついているのか周囲で不幸なことが起こりやすくなったらしい。

要注意である。

 

 

霊烏路空

 

 

種族 地獄鴉

 

能力 喰らう程度の能力

 

人間への好感度 中

 

危険度 高

 

 

旧地獄、現地底の灼熱地獄後を管理している妖怪である。

生まれも育ちも純粋に地獄であり灼熱地獄の中で生活してしたため耐熱性が飛び抜けている。元々は灼熱地獄で罪人の魂を啄む鴉であったが重症を負ったところをさとりに助けられて以降忠誠を誓うようになったらしい。

あまり人前に出ることはなくどこで何をしているのかが分からない。

灼熱地獄後の管理があるため地底にいることは間違いないもの地上の旅館にて手伝いをしてる姿も見受けられる。

だがそれ以外の場所で彼女と遭遇したという事例は見かけない。

愛称はお空。

 

彼女自身地獄鴉であり鴉の姿をしていることが多いですが目が赤いのですぐにわかりますよ。

さとり談

 

鴉だから記憶力は悪いみたいだけれど…それでも頭の回転が早いから騙してなにかするのは得策ではないですよ。

天狗談

 

普段はおとなしいものの虫の居所が悪かったり不機嫌な時に遭遇すると普段とは想像できないほど荒っぽくなる。

そういう時に手を出すと地獄に引き込まれるので注意が必要だ。

ただし根は優しいので謝れば許してくれることもあるとかないとか。

 

お空は優しいからねえ。特に子供には甘いから結構許しちゃう事が多いよ。まあ途中から忘れているんだけどね。

こいし談

 

 

前述の通り灼熱地獄で育ったためか基本的に熱攻撃は効かない。

彼女曰く灼熱地獄でも生暖かいのだとか。

ちなみに灼熱地獄の温度は摂氏7000を超える為一般人が近づくのはオススメしない。

逆に冷たいものが苦手であり追い払う際には冬場で力も強くなった氷精か、雪女並みの冷気を持って来れば良い。

 

服装は白いシャツと緑色のスカートを履いていることが多い。ただし催し物の時は青色の浴衣を羽織っていたりその上から青色でハートのボタンがついたシャツを羽織ることがある。

それらの服は背中の羽を通せるように特殊な穴が開いている。

羽自体は隠すごとができないため人里に紛れ込んでもすぐにわかる。

 

 

戦闘はほとんどしない為かどれほどの強さを持っているのかはわからない。

彼女自身もどのように戦うかは毎回のように忘れているらしく基本的にその場その場の対処で済ませているようだ。

 

お空が戦ってる姿ってあんまり見ないからなあ…わからないや。

黒猫談

 

お空が戦った時は証人がだれ1人としていないからねえ…どんな戦いだったのかも本人は忘れちゃうから聞けないし…でもまあ安心して。彼女と戦う時はチリにしかならないから死体を持って行かれることはないよ。

こいし談

 

 

 

大妖精

 

種族 妖精

 

能力 悪戯をする程度の能力

 

人間への好感度 良好

 

危険度 中

 

霧の湖周辺を住処にしている妖精。行動範囲が広く様々なところで目撃される。

妖精の中でもお姉さん的存在でありよく他の妖精相手に世話を焼いたり遊び相手になったりしている。

本人自身もかなり大人びているのは自覚しているようだ。

 

ああ、彼女の片腕は私が作った義手だよ

河童談

 

多分妖精の中でも最も異質になってしまった存在ね。危険性はないから安心していいけれど……

八雲紫談

 

恐れられている程ではないが妖怪の合間では注意しておいた方が良いと言われている。また彼女の能力は最も妖精らしく、時々人間に対して悪戯を仕掛けることがある。

過激なものはあまりしないものの使い方を誤って殺してしまうこともあるので十分注意した方が良い。

 

 

緑と青をベースとしたワンピースを以前は着ていたものの数百年前から薄水色の浴衣に赤色のジャンパーを着ていることが多くなった。

ちなみに浴衣は特殊な作りになっているため高機動戦をしても問題はないと本人は言っている。

 

戦闘は基本的に短刀を使った近接戦闘を得意とする。

どうやら覚えられればほとんどの弾幕や攻撃は使うことができるし彼女自身は風と自然を操る攻撃が得意である。

だがこちらの方が確実に相手を倒せるからよく使うのだとか。

戦闘時に目が青色に光っていることがあると言われるが真偽は不明。本人も覚えていないらしい。

使用する短刀も特殊なものであり妖力により切れ味が増している。

刃先に触るのはご法度。

瞬間移動を使うことが可能であり不意打ちや相手を惑わす戦法を使う。

 

懐に入られる前に逃げた方が良いですよ。逃げれたらの話ですけれど…

さとり談

 

彼女に戦い方や瞬間移動などを教えたのは古明地さとりだと言われているが本人はそれについて一切話していない。

だが短刀の使い方がどことなく似ている。


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