霊夢「煎餅一枚だけって言ったでしょ…今度おごってくれるなら許すわ」
魔理沙「わかったわかった。団子一本おごるぜ」
霊夢「魔理沙、どんどん食べていいわよ」
魔理沙(手のひら返しェ)
200話記念にカラーユさんから頂きました。
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「ここがさとりの家?」
いつも食事をするときに使っている部屋には、いつもはいない人達。
在るものは蝙蝠の羽のようなものを背中に生やし、またあるものは枝のような骨格に七色のダイヤのようなものがぶら下がった羽をしている。
そんな明らかに人ではない集団ではあるけれど私にとっては大事な招待客なのだ。
というより一方的に遊びに来たというのが実際のところだけれど。
それでもゆっくりくつろいでいって欲しい。
まあ貴族様には難しいことでしょうけれど。実際入り口付近でずっと立ちっぱなしのメイド長さんとか……座ってって言ってるじゃないですか。
「咲夜、貴女も座りなさい」
レミリアさんの言葉でようやく動き出した。
「承知しました」
少しだけぎこちない動きな気もするけれどそれでもその立ち振る舞いは華麗で華奢なメイド。
「メイド長…」
思わず口に出してしまった。小さい声で言ったはずなのに全員が私を向く。メイド長本人は驚いた顔を、レミリアさんはなぜかニヤニヤとこちらを見つめる。
「あらよく分かったじゃないの」
「なんとなくですよ」
実際知っていましたなんて言えない。いや言っても良いのだけれどあらぬ誤解を生みかねないからやめておく。
レミリアさんが妹と従者を従えて家に来たのは半刻前。
一応地底で通常業務をやっている時に家の方に人が来たなんだってこいし達が騒ぎながら来たものだから敵襲かと思いましたよ。
今度からアポとってくださいね。
紫の方に話はつけていたようですけれどこちらに紫から話通っていないので。藍経由で通るかと思いましたけれど忘れているのでしょうか?それかただ単に教えたくないだけか。多分後者でしょうね。ぶん殴っちゃいましたし。
でもあれは紫が悪い。
まあそんなことで……
「こいし、いつまでそこで睨んでいるの?」
扉を盾にして頭だけを出すこいし。何故そんなに警戒しているのでしょう?
「だって……スタンド使いが」
何を言っているのかしら?スタンド?んー?
訳がわからなかったので目の前に座ってお茶を飲むレミリアさんに聞いてみることにした。
「ああ…咲夜に頼んで少し遊ばせてもらったわ」
ああ…なるほど!ようやく理解できました!ってなんですかそのどうやったか当ててごらんなさい的な目は。いや私さとりですからね?見えますからね。
あ、運命操っているから見えづらくなっている。運命を操るってほんとだめですね。相性悪すぎです。まあ相性が悪い能力は使わなければ良いだけですけれど。
「スタンド云々言ったということは……階段を上っているところでいつのまにか階段の下にいたと言ったところでしょうか」
半分ほどが予測でしかないけれど、どうやらそれで当たりらしい。レミリアさんとフランの目が見開かれた。
どうやら当たりですね。でもそのあとも続きがあるようですね。咲夜さんの表情を見ていればなんとなく分かります。
「こいしのことだから…お空とお燐に何か伝えたでしょう?」
「え?うん……」
こいしに聞いてみれば一瞬戸惑ったものの正直に言ってくれた。
「こんな感じでしょうか。 “あ…ありのまま今起こった事を話すぜ『階段を上っていたと思ったらいつのまにか下りていた』何を言っているのかわからねーと思うが 私も何をされたのかわからなかった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえもっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…”でしょうか」
「凄いわね…殆ど合っているわ」
これには咲夜さんも驚いている。
「こいし、それが言えるなら彼女の能力だってわかるわよね」
「んーそれはわからない!」
なんでそこまで出て肝心の能力が出てこないのよ!お姉ちゃんびっくりよ!
「あら、なら咲夜の能力わかるかしら?」
レミリアさんと、そういうことはあまり言いふらさない方が良いと思いますよ。まあ知られたところで対処できるかどうかは分からないですけれど。
「……時を止めるとか時の流れを遅くするとか…でも気づいたら下に下ろされたということは空間干渉の可能性もありますね。体験してみないと詳しいとこは言えませんけれど」
知っていたとしても確証がない状態では断言できない。だからまだぼやかしておく。
「体験してみる?」
「体験するようなことでもないような気がしますけれど…」
「そうだよお姉様!私は咲夜が悪戯するってなったら大変なことになるよ!」
「失礼ですがフランお嬢様。私はそこまで常識はずれな事はしておりません」
ダウト。咲夜さんダウトです。なんで訳がわからないって顔するんですか。
「ちなみに悪戯とは……」
「私の靴をいきなりハイヒールに変えた」
あ、それはきつい。いきなりハイヒールを履かせるなんて鬼ですか。
「砂糖と塩を入れ替えられた」
……従者なのになんだか悪戯好きのようですね。でも本人がそれを悪戯と思っていないようなのですけれど…まさか塩紅茶飲むんですか?
「一度ベッドを爆破された」
「あれはレミリアお嬢様がどうしても起きなかったですし寝る前にも注意は致しました。悪戯ではありません」
まあそれはレミリアさんが悪いですね。
「だって飲みすぎちゃって二日酔いだったのよ」
「爆破した方が二日酔いも覚めて起きられて一石二鳥ですよ」
そんな一石二鳥嫌だ。
「フランもそれやられたわ…」
「フランお嬢様の場合朝早くに起こしてと申し上げられましたのでご要望の通りにしたまでですが…」
「なんでベッドを爆発させて起こすの!」
「フランお嬢様寝起きが悪いので能力使ってくるものですから」
起こすのが命がけ……
「そうだったの?……普段は自分で起きているから分からなかった…」
寝起きの悪さは眠りが浅かったりうまく体が休めていない証拠ですので早めに改善することをお勧めしますよ。
「お姉ちゃん寝ているところ爆破されたらどうする?」
こいしにしては珍しい質問ね。でも爆破されたらですか……
「すぐに持てる最大火力でどんな手を使ってでも黒幕を潰します」
「大げさすぎるわよ!」
レミリアさん何を言っているのですか。寝込みを襲うヒトはそれ相応の報復を受けて貰う必要があるんですよ。
「咲夜…さとりに手を出しちゃダメよ」
「畏まりました」
どこまで畏まったのでしょうか?澄まし顔のせいでわからない。
とまあ…いつまでも話し込んでいるわけにはいきませんね。時間も時間ですし夕食を食べに来たのでしょう。ならばそろそろ作らないといけませんね。
「では夕食の準備をしてきますのでくつろいでいってください。こいし、いつまでもそこにいないで。スタンドはもういいでしょ」
「うん……もう大丈夫なはずだよ!」
とか言いながらフランに引っ張られている。なんだろう…こいフラ?
文さんこういうのを撮るべきですよ。ええそうです。
「わたしも手伝います」
立ち上がろうとした咲夜さんを手で制する。
「咲夜さんは客人ですから待っていてください」
さて何を作ろうかしら。
ルーマニア方面の料理も作ってみたいしだからといってあまりにマイナーなものは知らないし作れない。だとすればなるべく簡単に出来そうなもので美味しいもの。それでいて初めて食べる人でも抵抗なく食べられるとすれば……
少しアレンジする必要がありますね。
さて少し時間がかかりますが…大丈夫ですよね。
台所で火の管理をしつつ残りの料理を捌いていると、奥の部屋が騒がしくなる。どうやら2人が帰ってきたようだ。もうそんな時間だったのね。まあもうすぐこちらも出来るし問題はないですね。
「おやいい匂いだねえ」
「うにゅ!お腹すいた!」
私の代わりに地底の業務を代行していた2人が戻ってきた。なんで真っ先にこの部屋に入ってくるのかは理解できないけれど。まさか手伝いに来てくれたの?気持ちは嬉しいけれど、もう仕上げだけだったりするから大丈夫よ。
「お帰り2人とも。ご飯の準備はこっちでやるから先に部屋に行っていなさい」
「「はーい」」
私の手元を少しだけ見て2人とも手伝えることがないと悟ったようだ。
鍋を煮込む手を止め一旦火を弱める。
料理自体はもう少し時間がかかる。先ずは冷奴でも出しましょうか。
いやあ…お豆腐を作っているお店が地底に出来たおかげで豆腐が入りやすいです。
戻ってみれば人数が集まっている為か部屋が狭く見えた。
まあ私のぞいて6人も入れば狭くなりますよね。ってレミリアさんは正座でも大丈夫なのでしょうか?一応椅子のある部屋もありますよ。
「……」
なんか平気って目線で言ってきた。じゃあ平気なのでしょう。
冷奴とおひたしを先に出して再び台所に戻る。
後はオムレツを作ってボルシチを盛ってで良いかしら…卵どれほど使うのか少し不安ですが……
さとりが持ってきてくれたおひたしというやつを摘んでいると、少し酸味のある香りが漂ってきた。
もうすぐ来るのかなと思っていたらやっぱりさとりが部屋に料理を持ってきてくれた。
「腕は相変わらずのようね」
目の前に差し出された料理を見て第一声がそれだった。余裕の構えとお姉さまは言うけれどどう見ても背伸びしているようにしか見えない。だって見た目なんて私とほとんど同じなんだよ?歳だって僅か5年違いじゃない。それでも喜んでいるように見えるのはやっぱり姉妹だからかなあ……
それに私達だけになれば甘えてくれるし甘えられる。
「大陸の食べ物?でもいつも作っているのとはなんだか違う…」
お空と呼ばれていた鴉が不思議そうにそれを見る。
私もそれにつられてじっくり見てみる。えっと…黄色いのは卵かな?その上からボルシチがかかっているように見えるんだけれど…
「オムレツとボルシチよ」
オムレツが何かはわからないけれどボルシチはフランも知っている。
確か私達が昔いた場所でよく食べられていたスープだっけ。スープにしては少しトロミが強いけれど。
でも美味しそう…香りが食欲を引っ張ってきてくれる。
「これもしかしてテーブルビートですか?」
「咲夜さんよくわかりましたね」
「咲夜なにそれ」
ビートって言われてもよくわからない。
「野菜ですわフランお嬢様。特徴的な赤色をしていてボルシチには必須のものです」
「トマトで代用しても良かったのですがトマトが切れていまして」
「逆にこっちがあったことの方が不思議ね」
そんなに珍しいものなんだ……
「紫が赤蕪と間違えて買っちゃったと言って持ってきましてね」
蕪じゃないんだなんだか蕪みたいだけれど。
「そんなことより早く食べよう!」
こいしちゃんの言う通りだった。美味しそうな食事を前にしてお預けは地獄だよ。
「そうでしたね」
1ヶ月前
「それで、私に異変を起こしてほしいと」
テーブルを挟んで向かい合った八雲紫に言いたいことを確認する。何度かこいつの式から手紙や詳細は聞いていたが本人から直接来たのは初めてだ。
「ええ、弾幕ごっこを幻想郷に広めるための先駆けとしてお願いできないかしら」
「あくまでお願いなのだな。拒否権は……その様子ではなさそうね」
拒否できる立場でないというのは百も承知。しかし異変を起こせなどと対価なしでできるものではない。
「勿論対価は用意しておりますわ。まずは貴方達の身の自由」
「軟禁解除だけか?」
それだけのために異変で道化を演じろと言うのか?流石にそれはこちらを舐めすぎだろう。対等な交渉の立場なら首が飛んでいてもおかしくはないぞ?
「そうね……一方的な押し付けじゃ困るでしょう。望みを言ってごらんなさい」
「望みか……ならば異変はこちらで好きにやらせてもらう。この私の名を幻想郷にきざみつけるためにもな」
テーブルの端に置かれていた山札から一枚だけカードを引き出す。
「ちゃんとルールに則ってもらえれば口出しはしませんわ」
続いて八雲紫も一枚だけカードを引いた。さて、運命はどう出るかしら?
一斉に二枚のカードがひっくり返る。
八雲紫のカードはスペードのエース。
「交渉成立ね」
「そのようだな」
私の手前で開かれたカードはジョーカー。
この結果が吉と出たのか凶と出たのかそれはまた難しい話だ。だが、どうやら運命の糸は私の手のひらにしっかり収まったというのは確かだ。
「今すぐと言われても異変は難しい。少なくとも1年だな」
「準備にしては時間がかかりすぎないかしら?」
「生憎だが私は打算で動くことはしない。確定した運命を導き出しそれを手繰り寄せるには念入りに手を回す必要があるのよ」
興味があるのかないのか分からない笑みを浮かべて八雲紫は席を立った。どうやら話は終わりらしい。
ならば私も帰るとしよう。
後に残されたのはトランプの乗った机のみ。それすらもどこかの光が落ちれば闇の中に溶けて消えていった。