僕のバンギラスは、少し変わっています。
色が黒く、ごつごつしている代わりに特徴的なとげとげが付いていません。
色違いのバンギラスだと思うのですが、みんな「そんなバンギラスはいない」って言います。
ご飯をあげても食べてくれません。よく見てみると、とても歯並びが悪く、とてもご飯を食べられそうな口ではありません。動くのもとてもゆっくりで、ご飯を食べていないせいじゃないかと心配になります。
でも、僕のバンギラスはとっても強いんです。
近所に住んでいるポケモントレーナーのお兄さんに頼んで、一度戦ってもらいました。
お兄さんのポケモンは、僕のバンギラスに色んな技を仕掛けてきます。でも、僕のバンギラスは全く怯みません。ただ、ゆっくりと歩みを進めていきます。
でも、お兄さんのエアームドのエアスラッシュを首元に食らって、少し怯んでしまいました。僕は心配になって、慌てて叫びました。
「バンギラス、はかいこうせんだ!」
バンギラスは、ぴたりと歩みを止めました。すると、だんだんと背びれが紫に輝き始めました。はかいこうせんは溜めが長いので、少しハラハラします。その間にも、お兄さんのエアームドはまた攻撃しようとしてきます。エアームドが迫ってこようとしたとき、バンギラスはグッと屈みこみました。
すると、口からものすごい量の煙を吐き出し始めました。すごく熱くて、エアームドは思わず再上昇します。
煙は、炎に変化しました。辺りはまるで火の海になり、エアームドは中々近寄れません。すごいです。
その時、バンギラスの下顎が割れました。僕はびっくりして心配になりましたが、バンギラスの吐いていた炎が、細く集まり、遂に紫に輝くはかいこうせんに変化しました。
屈んで真下に吐き出していたはかいこうせんは、地面に穴をあけ、バンギラスが顔を上げるとその動きに従って大地を真っ二つにしてしまいました。バンギラスははかいこうせんを吐き続けています。これが直撃してしまっては、エアームドも死んじゃうかもしれません。
僕は慌てて、バンギラスに止めるように叫びました。するとバンギラスが吐き出していたはかいこうせんは再び炎に、そして煙に戻り、やがて収まりました。
勝負はつきませんでしたが、お兄さんは僕の勝ちでいいと言ってくれました。でも、お兄さんはバンギラスを化け物呼ばわりして、逃げて行っちゃいました。ひどいです。
バンギラスは、燃え盛る炎の真ん中でまるで彫刻のように静かに立ち尽くしていました。
僕のバンギラスは、とっても強いです。
完
シン…ゲフンゲフン。
バン・ギラスですってば。