打ち鳴らせ!パーカッション   作:テコノリ
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第7話 暇なの?

 今頃パーリー会やってんのかな。音楽室でいつものように練習をしながら、ぼおっとそんなことを思う。

 因みにパーリー会というのはパートリーダー会議の略であり、パートリーダー会議とはパートリーダーが集まって行う会議のことだ。うん。そのままでなんの説明にもなってないな。でもそのまんまでいいか。伝わるさ、きっと。

 

 

「あれ、なんで黒田いるの?」

「黒田先輩どうして居るんですか?」

「パーリー会行かなくていいんですか?」

 

 

 お前らもうちょっと言い方考えろよぉ。いや万沙子はいいんだけど、最初の2人酷くない? ここに俺が居ちゃいけないみたいな言い方でしたよ。

 まあパートリーダーなのに会議行っていないのは事実なんですけどね。

 

 

「時間を無駄に使うパートリーダー会議へのアンチテーゼ。代理でナックルを派遣した」

「あんたマジで何やってんの」

 

 

 良いではないか良いではないか。てか本当にただの時間の無駄だろ、どうやって抗議するかなんて。それなら自己を認めさせる努力をした方がよっぽどましだ。ということで、ナックルにも伝言が終わったら戻ってくるように言ってある。

 ……あれ、俺前回のラストに晴香の為に頭使うとか言ってた気がするな。あれは嘘だ。いや完全に嘘ではないのだが。ほら、一人欠けてたら会議終わらせやすいじゃん? そういうことでお願いします。

 

 

 

「も、戻りました」

「お帰りー。お前どした?」

 

 

 パーリー会に代理として派遣していたナックルが帰ってきたのだがなんか様子がおかしい。

 ガクブルなんですけど。あそこに稲川淳二でもいたの? 怪談話にはまだまだ早いと思うんだが。

 

 

「篤ぃ、お前のせいで場が凍り付いたぞ。小笠原めっちゃ怒ってて怖かった……」

「あいつが怒るなんて珍しいな。行けば良かった」

「お前がちゃんと行ってりゃ小笠原は怒ってねーんだよ! そして田仲が机に突っ伏してめちゃくちゃ笑ってた」

 

 

 ああ、あすかならあり得るなそれ。あすかが突拍子も無いことをしたら俺が大笑いしてるし、お互い様だけど。

 それぞれがそれぞれの笑いの琴線に触れるんだよな。そして自分は絶対やらないって思う。

 

 

「そういや、何か収穫あったらプリーズ」

「トランペット、トロンボーン等、一部のパートが練習してない。理由は確か、パートリーダー会議で方針を決めている最中だからだと」

 

 

 そうかいそうかい。じゃあちょっくら行ってこようかな。下手くそとまでは言わないが、手放しで称賛出きるほどの実力があまり無い方々の元へ。

 そう思って音楽室のドアに手を掛けた俺をナックルが慌てて止めようとする。

 

 

「ちょっと!? 篤? どこ行くんだ?」

「えーっと、ああ、あれだ。雉を撃ちに行ってくる」

「雉?」

 

 

 ドアを閉めた向こう側で、何で練習サボってまで居るかどうかもわからない雉を撃ちに行くんだ? との声が聞こえる。

 流石に部活中に本当に雉を撃ちに行くほど馬鹿じゃないし、そんなことしかねない奴だと思われてるの? ヤダこわい! ちゃんと解説しておくと、『雉を撃ちに行く』というのはお手洗いに立つことであります。女性だと『お花摘みに行ってきます』になる。

 彼女らが居そうな教室に足を伸ばしこっそりと中を窺うと、案の定居た。何て言ってやろうかと考える時間も惜しく、無遠慮にドアを引く。

 

 

「ちわー」

「黒田先輩!?」

 

 

 俺の突然の訪問に教室内がざわめきたつ。三河屋でーすってボケたかったのに、そんなことが出来そうにも無い雰囲気だった。

 うわー、皆凄え睨んでる。ここに更に爆弾投下したらどうなるんだろうか。

 

 

「方針決まるまで練習しないってお前らさー、暇なの?」

「なっ!」

 

 

 図星だなあ。恐らく時間をもて余している間していたことといえば、滝先生への文句だろう。暇さえあれば影口かよ。女子ってこわいなあとおもいました。

 

 

「せ、先輩こそパートリーダー会議出ないで何やってるんですか」

「あんな下らない事で時間を無駄にするくらいなら、練習してた方が遥かにマシだよ。或いは自らのどーっでもいい正義(笑)を振りかざしてる奴らの所行くかだな」

 

 

 無駄なことに同じだけ時間を費やしたとしても俺とお前らじゃあ出来が圧倒的に違う。だから俺はこんな所で説教じみた事をしていられる。それに、自分に都合のいい理論を振りかざす奴らには敵対心や反抗心で動かせるのが一番早いし効率がいい。

 だから最後にトドメの様にこう言って立ち去ろう。

 

 

「まあお前らが持て余した時間をどう使おうが興味ないけど、俺みたいな奴に簡単に煽られたくなきゃやる事やってれば?」

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 音楽室に戻っている時に副部長に捕まった。何でもこれからパートリーダー会議で決まった事を部員に知らせるとか。

 あすかの事だから予想は出来たけど、お前俺が廊下に居ても何も疑問に思わないのな。大体わかっていたんだろう。

 

 

「パートリーダー会議の結果、取り敢えず次の合奏まで練習してそれでもサンフェスへの参加を認めてくれないのであれば先生へ抗議する、ということになりました」

 

 

 下らない。実力がないのに出てどうするんだ。例年通り恥を晒したいのか。そんなのことを思っていると、件の方がやってきた。

 

 

「おや、皆さん集まってどうしたんです? 合奏ですか?」

「あ、いえ。パートリーダー会議をやっていたので……」

「そんなものは他に時間がある時で良いでしょう。それより皆さん、これからジャージに着替えて下さい。着替えたら楽器を持ってグラウンドに集合です」

 

 

 パートリーダー会議を時間の無駄とあっさり切った滝先生。というか、その後何て言った? ジャージに着替えてグラウンドだと。いつからこの部は運動部になったんだ?

 そういうのを考えるのは後にしよう。吹奏楽部の男子は男と思われていないのだ。だからこうしないといけない。

 

 

「逃げろ! さもなくば濡れ衣を着せられる!」

 

 

 脱兎の如く教室を立ち去るのだ。

 

 

 グラウンドへ行ってから俺たちに課せられた使命はトラック一周90秒以内。確かに吹奏楽部は文化部の割に体育会系の要素はかなりあるけども、

 

だからって

 

だからって

 

 

どうしてこうなった。




リアルが充実してないのに忙しいのが悪いんだ……。
遅れてごめんなさい。頑張ります!


篤のおちゃらけてない面も徐々に出て行きますね。





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