白龍皇と姉妹猫の大海賊時代   作:しろろ

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遅れてしまって申し訳ありません!
最近急がしくって・・・・・。

あと、今回も戦闘に入れず何とお詫びしたらいいのやら・・・・・。




7話 ナースは天使

 

「ヴァーリさん。海賊を追い払うだけでなく、怪我人の手当てまでしてもらって何とお礼を言ったらいいのか・・・・・」

 

 

ご老人・・・・・否、この町の長が曲がった腰を更に折り曲げる。

 

俺がアクメイト海賊団を追い払った少し後に、一部の町人とこの町長が様子を見に来たんだ。

 

黒歌と白音を愛でているところを見られて何とも気まずい雰囲気になったが、背を向ける海賊船を見て直ぐに歓喜に包まれた。

 

そして今、海賊を追い払った俺に町人がぞろぞろと集まりだして、町長が代表で話しているってところだな。

 

「気にしないでくれ、ただの自己満足だからな。それに手当ての事ならこの二人に言ってやってくれないか?」

 

「おお、それは失礼しました。お嬢さん方、改めて・・・・町の者を助けていただきありがとうございます」

 

深々と頭を下げる町長に、黒歌と白音はあわあわと手を振る。

 

「あ、頭を上げてほしいにゃん!私たちはただ放っておけなかっただけで・・・・・!」

 

「そ、そうですよ。お礼を言われるほどの事じゃありません・・・・・!」

 

面と向かってお礼を言われる機会が少ないせいか、二人のこんな姿は久しぶりに見た。

 

照れてる二人もたまらないな・・・・・・ん?

 

妹たちを微笑ましく見ていると、集団の中に鼻の下を伸ばしている輩を数名発見する。

 

まあ、見とれるのも無理はないか。

 

黒歌は見た目の妖艶さとは裏腹にどこか子供っぽくてよく甘えてくる。けれど、白音の姉としては頼りになるいいお姉さんだ。

 

白音は体は小さいけれど、どこか大人びている。俺と二人きりの時は服の裾をちょんと摘まんだり、膝の上に座ったり小動物のようだ。

 

まあ、つまり二人は可愛い。

その一言に限る。

 

この可愛さを共有できるのは嬉しく思うが、下心が見え見えなのが駄目だな。

 

お兄さんは妹たちを全力で守るぞ。

 

俺はその輩に向けて軽めの威圧をかけた。

 

「「「・・・・・っ!?」」」

 

すると、ビクッと体を震わせて辺りをキョロキョロと見渡し始めた。

よし、そうやって探し続けていろ。

 

俺は表情を変えずに内心で嘲笑する。

 

というか、勇敢に戦った男たちはスルーでいいのか?本来は俺よりもそっちを優先すべきだと思うんだが・・・・・。

 

ふと疑問に思ったので町長に問いかけると、『あっ』と声を漏らして男たちの側に駆け寄る。

 

 

いや、町長もう遅い。

 

 

他の町人も苦笑いを浮かべて後を追いかける。

 

これ程までに悲しいことはない。

酷く傷つき、気絶している男たちの瞼の隙間から、一筋の涙が流れているのは痛みのせいか、はたまた悲しみのせいか・・・・・・。

 

どちらにせよ、少し同情してしまう。

 

俺は悲しい怪我人達を病院まで運ぶのを手伝い、序でに海賊共に荒らされた港を魔力で元通りにした。

 

修復するには破壊される前の姿形を記憶しておく必要があるが、俺は記憶力に自信があってな。

アルビオンの記憶も頼りに、無事に再現させることに成功した。

 

当然周囲の人には驚かれたが『悪魔の実の能力だ』と言えば大抵納得してくれるのが現実。

だから多少は張り切っても問題はない。

 

因みに黒歌と白音は病院でお手伝いだ。

 

ナース服を用意してもらったそうで、着替え終わって見せに来てくれたときは俺の心臓がどうにかなるかと思ったぞ。

 

二人は何でも似合うからなぁ。

 

頭の中でナース服姿の天使のような可愛さの二人が鮮明に写し出される。

 

『よくその感情を表に出さないでいられるな』

 

アルビオンは感心と呆れ半々くらいでそう言う。

 

始終ニヤけてるよりポーカーフェイスを貫いた方がいいと思うけどな。

 

まあいい。ここでの作業も終わったことだし妹たちの頑張ってる姿でも見に行くか。

 

俺は港を後にして中心部へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

▽▼▽

 

 

 

 

 

手伝いが一段落ついた俺達は、今病院の入り口にいる。

 

ナース服だった妹たちは、黒歌が黄色い帯の黒い着物、白音が赤い帯の白い着物に着替えている。

どちらも丈が短く膝上だ。

 

ただでさえ露出が過ぎるというのに、黒歌はよく着物をはだけさせる傾向にある。

 

無論、俺がその度に正してやるけどな。

 

しっかりと正しい着こなしをしている黒歌と白音は大事そうに袋を抱える。

 

「この服、本当に貰っていいのかにゃ!?」

 

「もちろんよぉ!あなた達のお陰で凄く助かったもの!」

 

口調は女性のそれだが、容姿は筋骨隆々でスキンヘッドの男。

 

俗にいうオカマというやつか・・・・・初めて見た。

 

この男・・・・・女?いやオカマはこんななりでも腕の立つ医者らしい。

その剛腕で救ってきた人の数は数えきれないほどで、数年前まではどこぞの雪国で技術を磨いていたとか。

 

彼の経歴に興味があるが、まずは言っておかなきゃいけないことがある・・・・・。

 

俺は彼の大きい肩にポンと手を置く。

 

「ナース服・・・・・眼福だった!」

 

「うふふ、喜んでもらえて何よりよ」

 

俺達はガシッと握手して厚くて硬い友情を築いた。

 

彼の外見こそ凶悪そのものだけど、やはり人は中身だな。あ、だからってオカマが好きという訳じゃないから誤解しないように。

 

「白音、これでヴァーリを看病して悩殺するにゃん・・・・・」

 

「はい、姉さま。では仙術で兄さまの気を少し乱して風邪にしましょう・・・・・」

 

黒歌と白音が後ろでコソコソと話し合ってる。

 

仙術がどうとか言ってる気もするが・・・・・よく聞こえない。

まあ、特に変なことでもなさそうだから大丈夫か。

と、疑問を頭の隅に追いやる。

 

その後、俺達は軽く雑談してからもう一度お礼を言って彼と別れた。

 

 

 

 

 

▽▼▽

 

 

 

 

 

気づけばもう太陽が赤みがかっていた。

俺達は町長の用意してくれた宿で各自リラックスしてる。

 

一人一部屋割り当てられているが、就寝までの間は俺の部屋に集合という形になっていた。

 

黒歌はベッドにうつ伏せ。

俺はソファに座って白火の手入れ。

白音は俺の膝に頭を乗せてうつらうつら。

 

「二人とも、眠いなら部屋に戻ってもいいんだぞ?明日は早いんだから、疲れをしっかりとらないと」

 

「ん〜、じゃあ今日はここで寝るにゃん。部屋に戻るのも面倒だし」

 

「私も・・・・・」

 

黒歌と白音は気怠そうにそう言った。

 

こらこら、ここには俺しか居ないからってだらしない・・・・・と、言いたいところだが今回は仕方ない。

 

二人の頑張りに免じて許そう。

 

白火を鞘に納めて壁に立て掛け、軽い白音を持ち上げて大の字に寝ている黒歌の上に乗せた。

 

「にゃっ!何か重いものが・・・・・!」

 

「・・・・・姉さま、怒りますよ?」

 

「スミマセン・・・・・」

 

ドスの効いた声を向けられた黒歌は、清々しい程に潔く謝る。

 

これじゃあどっちが年上かわからないな・・・・。

それに、異性に対して『重い』は禁句というのを改めて認識しよう。

 

うっかり口を滑らせたら最後、どうなるか分かったものじゃない・・・・・。

 

密かに胸の内に留めていると、不意に手を引っ張られてベッドに引き寄せられる。

 

「ヴァーリも一緒に寝よ?というか、抱き枕(ヴァーリ)がいないと寝られないにゃん」

 

「ええっと・・・・俺はまだ眠くないというか・・・・・抱き枕なら白音がいるし、何よりベットが小さいじゃないか」

 

「じゃあ、こうすれば問題ありませんよね?」

 

白音はこれでもかと俺の腕に抱きついてくる。

しかもいつの間にか猫耳と尻尾を生やしているとは・・・・・。

 

くっ・・・!なんてフワフワな毛並みなんだ!?

 

それに加えて黒歌も人獣型に。

俺にこの誘惑が耐えられるのだろうか・・・・・?

 

 

 

うん、無理だな。

 

 

 

脳内で思案すること約5秒、俺はそのまま二人に挟まれて眠ることに決定した。

 

 

『これが・・・・・シスコンというものか』

 

 

シスコン?

ふっ・・・・・照れるじゃないか、アルビオン。

 

『はぁ、黒歌と白音に出会ってからいろんな意味で変わったな・・・・・』

 

なんだ、アルビオンが悲しいものを見るかのように言葉を吐く。

 

何故?

 

不思議に思っていると、アルビオンが『いや、気にしないでくれ』と言ったので特に気にしないことにした。

 

 

明日は順調に進めば火拳に出会える・・・・・・・可能性がある。

 

デビル・ディアスは火拳に返り討ちにされたと言っていたが、今もまだその島に滞在しているのか不安だ。

 

一応、町長から永久指針(エターナルポース)は譲って貰ったが・・・・・。

 

こればかりは運としか言いようがない。

 

龍を宿すものは強者を引き寄せる、そうアルビオンが言っていた。ならばこれに期待しておこうじゃないか。

 

親父達を抜かしてろくな相手に出会えた試しが無いがな・・・・・。

 

 

 


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