長谷川 晴海
内閣電脳調査室実行部隊・長谷川班の主任調査員。21歳。
さる海外の有名大学を16歳で卒業し、電調へとスカウトされた男。
『文武両道』を地で行く男で、電調でも十指に入る戦闘能力と明晰な頭脳を併せ持つ"天才"。
性格も沈着冷静で、淡々と任務を遂行する。ワイヤー付きの特殊合金製ナイフを使った近接戦闘を得意としており、潜入任務にも実力を発揮する。
その頭脳から、かつてはDr.Gの正体ではないかと噂になったこともあるが、彼は否定している。
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先日、『平成ジェネレーションズFINAL』を見てきました!
いやぁ、近年稀に見る『神映画』でした!!
特にラストシーンのアンクの表情で思わず涙してしまいました……
まだ見ていない方はぜひ劇場で、この感動を味わってください!!
さて今回は―――――
いろいろありすぎて大増量、その字数、なんと2万7千字超!!
次回以降につながる重要な要素をまとめて詰め込んだ結果こうなってしまいました……
動画サイト的に言えば『ネタが多すぎてタグに困る』といったところでしょうか……
今年最後の大増量!!電調VSジャークウェブの決着と、新たなる謎を送信……!!
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『バキューン❤!バキューン❤❤!!バキューン❤❤❤!!!』
ルージュ部分を器用に動かして、バグッチャーが私を狙って連続でビームを放つ。このバグッチャー、今まで戦ったバグッチャーよりもケタ違いに大きいけど、意外に素早い!
『イツデモマエムキ!マエヲムイテアルキツヅケルコト!』
『……また!』
『5つの誓い』のひとつ、『プリキュアたる者、いつも前を向いて歩き続けること』―――――
でも―――――!
『その誓いは、そんな乱暴なモノじゃない!』
『ウルサイウルサイウルサ~~~~イ!!!!!』
バグッチャーはそうわめくと、ジャンプして私の上から躍りかかった。
単調な攻撃―――――私は跳び退きながら、両手にイーネルギーを集中する。
『そんな、『前にあるモノを全部壊していく』ようなことッ……!』
牽制に、私は2発の光弾を撃った。バグッチャーにまっすぐ向かって行ったけど―――――
『アイスルコトハ、マモリアウコト!』
そう叫んだバグッチャーは、胴体から生えている腕で、周りにいるザコッチャーをがしりと掴んだと思うと、光弾の『矢面』にかざした。
光弾が着弾して、爆発とともに、ザコッチャーが消滅するのを見た。
このバグッチャー―――――ザコッチャーを盾にした……!
『!……』
《ヒドい!》
私は思わず息をのみ、メモリアが悲痛な表情で叫んだ。
相手は『敵』だけど、それでも、盾にされたザコッチャーが哀れすぎる。こんなのが『守りあうこと』だなんて、曲解もいいところ……!
『ククククッ!勝つためには手段を選ばんかッ!!
『!……そんな風に、誰かを、何かを平然と犠牲にして勝ったって……目的を果たしたって、そんなの―――――』
『『過程』に頓着するなどッ、愚劣の思考にして『結果』に到達出来ぬ
『……っ……!』
つまりは『何をしようがお前等には関係ない』って言いたいんだろうけど……
目の前の『理不尽』、それを見て見ぬふりするなんて、そんなことできない……!
「憎たらしいが……正論だな」
『……オジサン……!?』
私の後ろから、オジサンが淡々と言う。
「上司の命令を聞くのが部下の基本的な務め……それが大人の―――――『会社』ってヤツのルールだ。『会社』という巨大な『装置』を動かすために、人間は『歯車』に徹しなきゃならねぇ……自分勝手に"歪んだ"り、"欠けた"りした『歯車』が幾つか雑じってるだけで、会社は立ち行かなくなる―――――」
『それを認めろっていうの!?』
「―――――でなけりゃ、『社会』はとっくに壊れてるさ―――――まだ子供のお前達には、理解するには苦しいかもしれんがな。だが、認めなきゃならねぇ時が……『大人にならなきゃいけない時』は必ず来るのさ……その時
『だから……だからって、こんな理不尽が許されていいはず、ない!』
―――――その通りだ!!
あたりに響くこの声―――――
私は思わず空を見上げた。
黄金色に光り輝く無数の蝶が羽ばたき、バグッチャーに襲い掛かり、連続で爆裂する。
『グガガガガガガガガガガ!?!?』
そして私の隣に降り立った、黄金色のシルエット―――――
『お待たせ、メモリアル!』
『デーティア……!』
その髪型とコスチューム―――――
"キュアデーティア・レモネードスタイル"だ!
それにさっき、レモネードフラッシュを使ってたよね!?『プリキュア講義』の成果が出てるみたい!とりあえず、助け出したプリキュアたちのことから先に教えてあげたのは正解だった感じかな……?
『話は聞いてたよ……僕にとっても不愉快だった……『近くにいたお前が悪い』って理由で盾にされるなんてたまったもんじゃないからね……!』
デーティアは立ち上がって、光に包まれて元の姿に戻ると、私にふっと笑いかけてきた。
『だから、見せてやろうよ……!どんな理不尽にも、『正しい心を持った力』は、絶対に負けないコトをさ!』
そう―――――
どんなに正論を並べ立てたって、口で理屈を言っていたって―――――
こいつらの―――――ジャークウェブがやってることは―――――『悪いコト』なんだから。
『"プリキュア5つの誓い"……さっき、僕も聞いたよ』
『え??』
……どういうこと?
さっきまでここにいなかったデーティアが、どーして"プリキュア5つの誓い"のコトを知ってるの?
『仕組みはわからないけど……ある程度離れてても、僕達ふたりの間なら、ある程度の意志疎通ができるみたいなんだ。前に浜辺で戦った時……僕の言葉、ハッキリと聞こえてなかったように見えたけど……キミが『わかってくれた』から、もしかして……と思ってね』
『あ……!』
思い出した!
確か、4体のバグッチャーを相手にするために二手に分かれた時、デーティアが言った言葉。実のところ、ドップラー効果みたいな感じになって、『耳では』ハッキリと聞こえてなかった。
でも、ほとんど同時に、私の脳裏に流れた声は、間違いなく覚えてる。
(こっちの2体は僕が!キミはそっちをっ!!)
コレって、双方向通信……のようなモノかも。最近のバトル系アニメや漫画でよく見るようになった『念話』のようなモノってことなら、便利この上ない……!
でも、今までのプリキュアで、こんな
『戦う者……『戦士』の"誓い"を、戦いの手段"そのもの"の方便にするなんて、誓った人間に対する冒涜だ……!!』
スパムソンを睨み上げながら、デーティアが叫ぶ。
『フンッ!妄言をッ!!"誓い"とは即ち勝利の鉄則ッ!!我々の御大将カ
『"託した者"の心を知らずに、"誓い"を語るなッ!!……見せてやる、"正義の誓い"を!!!』
デーティアは相当頭にキてるみたい。普段の"男の子"らしい語気で叫ぶと、一足飛びに間合いを詰める。
そして、右の拳を握り締め―――――
まるでスポーツの大会の選手宣誓のように高らかに叫んだデーティアは、バグッチャーの"台車部分"の真正面に、イーネルギーをまとったパンチを打ち込んだ。直前、スパムソンが飛び退くのが見えたと思うと、10メートルを超える巨体のバグッチャーが、ワイヤーアクションのように吹っ飛んでいた。
『な……ッ!?』
瞠目するスパムソン。着地したデーティアが言い放つ。
『今の一撃、あの巨体なら容易に捌けるハズだよ。……朝ごはん、食べたの?』
『朝食ゥッ!?何を口走ると思えばッ、そのような些末をッ……我等ジャー
『甘ァいッ!!』
デーティアはびしっ!とスパムソンを指差し、一喝した。
『朝ごはんは、一日のコンディションを決める大事なエネルギー源!胃袋が空っぽのままじゃ、勉強にも身が入らない!戦いだって同じだ!"腹が減っては戦が出来ぬ"!!朝食を制する者は、文武両道を制するんだ!!』
『生意気ィッ!将軍たる小官に対して訓示のつもりかァッ!?』
デーティアはそれには答えず、大ジャンプでバグッチャーの上を取った。バグッチャーはデーティアを視線で追ったけど、途中で何かに怯んだように、その単眼をぎゅっとつむった。瞬間―――――
思い切り振りかぶっての、脳天へのチョップ振り下ろし!怯んだバグッチャーが、打ち込まれた場所を両手で押さえながら、1歩、2歩、そして3歩と後ずさる。
『何だッ!?……何の光ィッ!?』
見ると、デーティアは『ドヤ顔』だった。そして、目の前に伸びている長い影―――――
陽がだいぶ傾き、太陽の輝きが西から差し込んでいた。
『太陽の力さ。この光と熱、優しい匂いと暖かさ……僕達人間だけじゃない、地球に暮らすたくさんの生き物たちを照らしてくれる大きな力なんだ!』
つまり、沈みかけてる太陽の光―――――『西日』を利用して、相手の目を眩ませたってことかぁ……
でも、どーしておふとん?……そりゃまぁ、よく晴れた日におふとんを干せば、すっごく気持ちよく眠れるのはナットクだけど。
『単なる眩惑戦法に聊か大仰ッ!!バグッ
バグッチャーはラブキッスルージュの部分をぶんぶんと左右に振って体勢を立て直すと、デーティアに一直線に、足音を響かせながら突撃する。
デーティアは今度は後ろへとムーンサルトのように大きくジャンプした。そこに、4台の黒塗りのクルマが、デーティアの後ろから走ってきた。デーティアの横を走り抜けた車の運転席から、スーツ姿の男の人が素早く飛び出し、残った無人のクルマが、次々にバグッチャーの足元に衝突して、炎を噴き上げ爆発する。それを見て取ったデーティアが呟くのが聞こえた。
『注意一秒、怪我一生……まずは身近な危険にこそ、油断せず、気を配らなければね……。車だって見方を変えれば、人の命を奪う"怪獣"になる……!』
『む、無人在来線爆弾……ッ!?』
私は思わず、前にテレビのロードショーで見た『シン・ゴジラ』のコレを思い出した。『ヤシオリ作戦』でゴジラの足元にツッコんでいった珍奇極まりない、でもって物スゴく現実的な兵器―――――
でも、デーティアの言ってることは理に適ってる。ジャークウェブが出てきた今はともかく、普段、平和な日本で怪獣や宇宙人に襲われる、なんて機会はまずありえなかったろう。となると、一番身近で、命を奪いかねないものといえば―――――クルマしかない。
『その特攻精神には敬意を表するがッ、人間共の持つファイアーパワーを幾ら
『―――――それはどうかな?』
デーティアの言葉通りに、煙と炎を噴き上げる車から、バグッチャーは2歩ほどよろめいた。
『質量と衝撃は確かな威力……簡単には捌けないからね』
『くッ……!!』
『勝機は見えたぞ、スパムソンッ!!』
デーティアは立ち上がって、バグッチャーのミサイル部分目掛けて、まっすぐに飛び上がった。
その時、バグッチャーが周囲にいたザコッチャーを掴んだ。
『マモリアウコト!』
また盾にする気だ!でも、デーティアはひるむことなくそのまま突っ込んで、両手にイーネルギーを纏わせて、チョップで素早く、バグッチャーの両手首を斬り落とした。それも、ザコッチャーにはかすり傷すら加えずに。
『ほぅッ……!貴官も孤高の
『勘違いするなッ!!』
デーティアはまっすぐにスパムソンを見据える。
『初めから誰かに頼りっぱなしの他力本願で、コトを成し遂げられると思うな!ましてや他人を利用して、何も思わない奴が孤高を語るなッ!!まず自分を信じて、信じ抜いて、ギリギリまでがんばって、ふんばって、どうにもこうにもならない、そんな時にこそ、本当の仲間が……ヒーローが助けてくれるんだ!『"最後"に信じられるのが自分だけ』じゃない……『"最初"に信じられるのが自分だけ』なんだ!!ひとりぼっちは『出発点』、最後に辿り着く『終極』であってはならないんだ!!』
これって、一部のプリキュアにもあてはまる気がする。
初代のふたりとか、最初から『ふたり』のプリキュアもいるけど、最初は『ひとり』から始まるプリキュアの方が圧倒的に多い。
そして、仲間や友達を増やしていって、最後にはその『絆』で世界を救う―――――
最後にたどり着くのは、『みんなで分かち合う平和の喜び』。それも、『ひとり』から始まった大いなる『伝説』なんだ―――――
『そしてこれが、最後の誓いだ―――――』
ッ……!?
私は目を疑う光景を目にした。
デーティアはバグッチャーを視線に捉えて放さないまま、すっと屈んで、両脚のブーツをニーソごと脱いだ!?
そ、その、いいの!?プリキュアだよ!?私が今まで見た限り、変身してからコスチュームの一部を脱いじゃったプリキュアっていなかったハズだよね!?
地の文でツッコんでる間に、デーティアは脱いだブーツとニーソをそっと置いて、屈伸運動と伸脚運動をこなして、軽くその場で3回ほど軽快に飛び跳ねて、力強くバグッチャーを睨み上げた。
裸足のデーティアは駆け出し、『とぉッ!!』と、バグッチャーの遥か上まで大ジャンプして―――――
空中で縦に横にと回転とひねりを加え、勢いのまま、バグッチャーの頭、ちょうど車の運転席部分へと右足で蹴り込んだ!それでも勢いは止まることなく、そのまま30メートルほど引きずって、ビルの外壁に衝突してようやく止まった。
バグッチャーは目を『×』にして、その場にへたり込んだ。しゅた!と着地したデーティアの横に、私は駆け寄る。
『何故だッ!?何故裸足の飛び蹴り如きにッ、我がバグッチャーが圧されるのだッ!?』
『……プリキュア以前に』
デーティアは自信に満ちた
『鍛錬で培った成果は嘘をつかない。さっきの足刀は、純粋な僕の修行の賜物……プリキュアの力を敢えてセーブするために、靴も脱がせてもらった』
その言葉に、私はちらりと私が今履いてるブーツを見た。確か足の裏、土踏まずの部分に、大ジャンプする時に使うイーネルギーの噴射口がある。これもまた、他のプリキュアには無い、『ちょっと変わったトコロ』。
それだけじゃない。腰回りやブーツ、グローブの付け根にも、イーネルギーの噴射口がある。そもそもココに、どーやってイーネルギーが回ってきてるのか、未だにナゾだ。
『ぬゥゥゥ……ッ!貴官が先程から口走る標語の如きその語句ッ、一体何だと云うのだッ!?』
うん、それ私も気になってる。高らかにデーティアが叫んだそれは、まるで"プリキュア5つの誓い"のよう。
ニーソとブーツを履き直して、デーティアは勝気に笑んで、こう答えた。
『……51人のプリキュアの中で唯一、"光の巨人"と同じ名前を持つプリキュア―――――『
『な!?なんですとーーーー!?!?!』
……正直、素でオドロきました……ッ!
プリキュアのルーツのひとつ―――――ある意味、プリキュアの『大先輩』であるウルトラマンが、こんなお言葉を残していたなんて……!
それにしちゃ、プリキュア5つの誓いと比べたら、具体的で実行しやすいコトばかり。スパムソンに同意するわけじゃないけど、『誓い』というよりは、おじいちゃんやおばあちゃん、それか学校の先生の、小さな子ども達への戒めのような、そんな感じ。
『"誓い"とは、ヒトを"縛る"モノに非ず!ましてや、他者を傷つけ、踏み台にして、保身に走る言い訳にするなど言語道断ッ!!』
『ならば何だと云うのだッ!?』
『……"願い"だッ!!』
デーティアは、堂々と言い切った。
『"願い"ッ……だとッ!?』
『そうだ!先を往く者が、いずれ自分を目指し、後に続き、同じ道を歩んでくる者に、惑わされ、悩み迷うことのないように、言葉として残す道標、それが"誓い"なんだ!』
そっか―――――
キュアエースも、『壁』にぶち当たっていたキュアハートたち4人に"5つの誓い"の言葉を授けて、高みへと導いていた。結果、4人は新たなるステージに進んで、それはやがて、キングジコチューを打ち倒す力になった。
エースに……ううん、彼女に宿っていたアン王女の"願い"―――――それが、言葉としてエースの口をついて出ていたモノだったのだとしたら―――――
『フンッ!!そのような"妄想"に何の力があると云うッ!?そのようなモノが、
スパムソンの怒声と同時にバグッチャーが体勢を立て直して、ルージュ部分の側面を開いて、連続でビームを発射する。
その攻撃を、私とデーティアは素早く左右に跳んで躱す。
『確かに、"誓い"そのものに、相手を倒したり、自分や誰かを守ったりする力があるわけじゃない……それに、"誓い"をきっちり守ったところで、本当にウルトラマンやヒーローになれるなんて保証もないさ……でも!』
巻き起こる爆発の中を、私とデーティアは一直線に駆け抜ける。
『ウルトラマンジャックやキュアエースの"誓い"を聞いた僕とメモリアルが、お前たちジャークウェブと戦っているこの『今』が!"誓い"が決して無駄じゃないこと、その証明だ!!"誓い"は確かに、僕達の心の中に息
『デーティア……』
プリキュアの誓いと、ウルトラマンの誓い。
女の子の誓いと、男の子の誓い。
ふたつの誓いは、かつて別々のヒロインとヒーローが、別々の子どもたちに向けて送ったメッセージ。
こうであってほしいという、ささやかな"願い"。
強く、優しく、たくましく成長してほしいという、確かな"祈り"。
私はキュアエースから、デーティアはウルトラマンジャックから、確かにその願いと祈りを、託されたんだ。
違っているようで、その根本は同じ、『メッセージ』を。
そう―――――これは、
『
奇跡
『私……"プリキュア5つの誓い"、あんまし守れてないかもしれないけど……でもね、こうありたい、なりたいって、出来る限りがんばって……『前向き』に、『誰かに優しく』して、『お互いに守り合って』、『自分を信じて、後悔しない』ように、心掛けてきたんだよ?……今、本当に私はプリキュアになれたけど、まだまだ見習いだし……『一流のレディ』なんて、程遠いし……でも―――――』
私は、胸のイーネドライブにそっと手を当てた。心の中のメモリアが、笑ってるのがわかる。
メモリアも同じなんだね。エースの"5つの誓い"を、心に刻んでいたのは―――――
"エースバグッチャー"を見据えて、私は確かな決意とともに宣言した。
『あなたがくれた誓いの言葉で……私は……ううん、私とメモリアは強くなれたの!あなたがくれた『愛の力』が、もっと遠くまで、もっと高くまで、私達を動かしてくれる!たとえ暗闇に不安が揺れ動いたとしても、正義は絶対揺らぎはしない!あなたを取り戻すことで、それを証明して見せるから!!』
見ててね、亜久里ちゃん―――――
あなたの"誓い"をこの胸に、私たちは戦う!!
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NPC MITSUAKI MASUKO
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「理想論言ってくれる……」
俺の目の前で繰り広げられる、超常の世界が現出したとしか思えない戦いと、その合間に差し挟まれる論闘。
"P1"と"P2"が言ってることはまさしく空想、子供の理屈。現実味も根拠もへったくれもない。
対して、"敵性C-ORG"の言葉の殆どに、癪に触りこそすれ納得が行ってしまうのは何故なんだ?
―――――いや、考えるまでもない。理由は至極単純だ。
―――――俺が『大人になっちまった』からなんだ。
昨日、俺がこの"プリキュア"達と初めて会った時に感じた苛立ちの正体こそ、これだ。
俺は理論を言っている。正しいルールを言っている。モノの道理を説いている。
普通の子供なら、大人が正しい事を言って聞かせてやれば、大抵の場合納得する。その時点で納得しなくとも、じきに『嫌でもわかる』。
しかしこいつ等は、それを頑なに認めようとせず、駄々を捏ねて突っ撥ねる。それでいて、『突っ撥ねられて、無理を通せてしまう』ほどの力と、得体の知れない説得力を、こいつ等は持っちまってるんだ。それが、この上なく不愉快だったのかもしれない―――――
俺がかつて、『大人の身勝手』ってヤツに屈服しちまった、そんな過去から来る
《でも、それがいいんですよね♪》
耳元の通信機から、井野の声が響いた。
《"プリキュア"のキモって、ソコなんですよ。ほら、大人の世界―――――つまり『社会』って、いろいろ小難しいんですよ。いろいろ考えなきゃなんないですし》
「……当然だろ。いつまでもガキじゃいらんねぇんだよ」
《"プリキュア"シリーズに出てくる悪役って……"それ"を突き付けてくるんですよ。どうせ頑張っても無駄だ、夢は叶わない、未来は明るくない、現実を見ろ、絶望しろ、って》
「なるほどな。実に"教育的"だ」
《そんな悪役に、プリキュアたちが……子供達が勝てる理由って、何だと思います?》
その問いに俺は答えられなかった。「いや……」としか返せなかった俺に、井野はこう言った。
《『
「……!」
《元々、子供向けのアニメです。将来こうなりたい、ああなりたいって夢を持ってる子供たちに、幼い時から『大人の現実』を突きつけること―――――それって、子供の夢を奪うコト―――――つまりは『悪』です。だからこそ、そんなコトを突き付けてくる『大人の世界そのもの』を、プリキュアでは『悪役』に仕立てたんです。そして、夢を持った、理想を持った子供達の写し身であるプリキュアたちが、そんな『理屈』を吹っ飛ばして、笑顔で勝つ―――――『大人の理屈に子供の理屈が勝つ』……それが、プリキュアの
そんな目線でコイツはアニメを見ていたのか。正直、俺は井野を『ただのオタク』としか見ていなかったが―――――
井野の語る『プリキュア論』は、今の俺の心に、深々と突き刺さるようだった。
《仮面ライダーカブト……天道総司さんのおばあちゃんも言ってました!『子供の願い事は未来の現実。それを夢と
―――――そうかも、知れないな。穢れを知らない子供には、汚れ
確かにそうかもな。現にあそこでふんぞり返っている"敵性C-ORG"は、次々と"プリキュア"に現実論を語って、"プリキュア"の言葉を『妄言』と嗤う、まさしく『人間では無い』奴だ。
それを覆して、見返して、一泡吹かせてやるには―――――その『妄言』が持つ力とやらで、屈服させるほか手段は無いだろう。
そして、それを行使できるほどの力を持つモノ―――――それは―――――
「"プリキュア"―――――か」
今、俺達の力の及ばぬ相手と戦う、2人の少女。
未知の生命体と融合を果たして、人の殻を破り進化した、先駆者たる存在。
あの2人に、すべてを委ねるしか無い―――――
「………………ッ……」
―――――とでも言うと思ったか、クソッタレが……!!
そもそもあの"敵性C-ORG"がここを襲撃した理由の一つは、俺への意趣返しだ。これでもちっとは責任感じてんだよ……!!
"P1"と"P2"……いや、"プリキュア"……!
俺達は確かに連中に対してはほとんど無力で、好き勝手に蹴散らされるに等しい存在かも知れない……
だがな、そんな俺達にだって、『電調』のメンバーっていうプライドやメンツってモンがあんだよ……!!
それにな―――――
『上司が部下を使い捨てにして当然』なんざのたまうヤツにデカい顔させんのも癪に障る……!パワハラ前提のブラック上司かよ、テメェは!!
プリキュア!トドメは譲ってやる!!だからせめて―――――
この銃の中に残った最後の"AXV弾"―――――
あのデカブツにブチ込ませろや―――――!!
『気づかぬとでも思ったかッ、
拳銃を構えた次の一瞬―――――"敵性C-ORG"の義手の前腕に
喧騒の中、タァン、という乾いた裂音が、厭な響きを以って俺の鼓膜を震わせる。
右の上腕が焼け付くほどに痛み、視界を赤黒い液体が横切っていった。
「し、主任ィィィィィィィン!!!!」
絶叫する佐藤。仰け反ってブッ倒れた俺に、駆け寄るのが見えた。
そして、吐き捨てるようにヤツが言う―――――
『そこで寝ていろッ。貴官への意趣返しなど後でも出来るッ』
……ナメたことを言ってくれるなァッ……!!
どこまで人間見下してやがんだプログラムの分際で!!!
「主任……は、早く応急処置を……誰か、医療担当は―――――」
「いい!!」
この時の俺は怒りで痛みがトんでいた。どっちにしろ右腕が使い物にならないのは即座に判断して、拳銃を左手で握り直した。
「子供向けのアニメにこんなモンで割り込むにゃ無粋だがなッ……!この一発はよォッ……!これは俺の……いや、人間の……大人の意地ってヤツだ……!!」
震える左腕を"デカブツ"に向け、俺は
叫び終わったそこで、俺は瞠目していた。
―――――外した
"デカブツ"の先端部から、僅かに左上に射線がずれたのが、"手応え"で理解できた。
……だよな。
目の前の連中は、いわば"現出したアニメーション"。こんな黒光りする物騒なモノが、『通用していい』相手じゃないんだよな―――――
俺とあの連中の間には、見えないカベがあるらしい―――――"2次元"と"3次元"のカベってヤツが―――――
だが―――――その時―――――
失意を喰らった俺の視界―――――ずれた"AXV弾"の射線上に、ピンク色の輝きが割り込んだ。
そしてあろうことか、俺が放った"AXV弾"を、右手で掴んで、空中でくるりと一回転して着地した―――――
昨日の、あの時と同じように―――――
「お前…………ッ!?」
何を考えているんだ―――――
お前のその手に掴んだモノは、まだ子供が―――――『夢を持ってる』お前が見るには、早すぎる『現実』だ。
それを―――――
「どうしようってんだ!?」
その問いに、さも当然とばかりに、"P1"は答えて見せた―――――
『言ったよね?"オジサンの想い、キュアっと受け取った"って……だから、オジサンの『みんなを守りたい』って想い……それが込められたこの弾は、無駄にはできないよ』
「…………!」
すると、握られた"P1"の右手の中から、ピンク色の光が漏れ出始めた。そして、"デカブツ"をずいと見上げると、右腕を大きく振りかぶった。
『だから―――――全力でぶつける!私の想いも、いっしょにして!!』
ダン!!と、左脚で踏み込み、全力のオーヴァースロー―――――
投げられた"AXV弾"は超常の運動エネルギーを受け、一条の光線と化し、"デカブツ"の巨大口紅を真っ向から貫通し、夕方の黄昏空へと消えていった。
刹那―――――
『デ……デ……デルルィィィィィトォォォォォ――――――――――!!』
"デカブツ"は4本脚を擱座させ、全身から光が溢れさせ、内部から破裂するように爆発し、光の粒子が周辺へと降り注いできた。
俺はその光景を―――――茫然として見つめるしかなかった。
"デカブツ"がいた場所に落ちていた真っ赤なメモリーカードを拾い上げる"P1"に、俺は絞り出すように投げかけた。
「―――――なんでだよ」
『?……』
「なんでそこまで―――――"戦える"んだよ」
命を張って、体を張って―――――自分よりも遥かに巨大な敵に―――――
勝てる保証なんざ一ッ欠片もないヤツに、どうしてそこまで戦えるんだ?
それに、戦ったところで、給料だの謝礼だの、何の見返りもあるわけじゃないってのに。
そんな"曖昧なナニカ"に、どうして一つしかない命を懸けられるんだよ―――――
"P1"は、少し考えるように空へと視線を向けてから、俺にこう笑いかけた。
『"そうしたいから"、です!』
……!
―――――愚問だった、のかもな。
昨日も言ってたっけか。
―――――『出来るコト』があって、それを『やりたい』って想い―――――
―――――『スキをやりたい』って気持ちがあるなら!―――――
―――――『護れる力』があるなら!!―――――
―――――それは大人だって子供だって、同じだよ!!!―――――
『……オジサンたちにとって、お節介とか、余計なお世話かもしれないけど―――――でも―――――』
"P1"は、満面の笑みを浮かべていた。
『"それ"が、"プリキュア"ですから!』
「――――――――――…………」
胸の中にガン詰まりになっていたモノが、すべて吹き出るようなため息が、俺の口から出ていった。
もはや俺は―――――こう言う他無かった。
「―――――……、負け、だ」
もう何も言えねぇわ。少なくとも俺個人の事情や感情やら、持てる全てを尽くしたところで、この"究極のお節介少女"を『曲げる』ことは出来んらしい。
何よりも、『この件』に入れ込んで、『解決してやろう』って気概が、俺を含めた電調の連中よりも格段に強い。
『やりたいから』やってるこいつらと、『給料のため、生活のため』にやってる
加えて、"連中"の事情に俺達よりも詳しく、その上"連中"に対抗する手段も完璧なまでに構築済み―――――
…………いいトシした大人がアホらしくなってくる。
…………つまらんプライドや使命感に縛られて、何意地張ってんだか―――――
「俺はもう、とやかく言わんことにする。そっちはそっちで好きにやれ」
『……!』
「とっととあいつらブッ倒して、とっととフツーの学生に戻っちまえ。学生は勉強と部活が本分だろ。危ない事はさっさと終わらせるんだな」
それに、―――――言葉には出さなかったが、見てみたくもなった。
『子供の理屈が大人の理屈に勝つ』―――――そのカタルシスとやらが、果たして現実でも通用するかどうかを。
まぁ、大人の言ってること、やってることがが全部正しいとは限らんというのは世の理だ。『間違ってる大人』なんざ、この世に腐るほどいる。
鬱屈した現代の『大人社会』を突き付けてくる"連中"を、この2人の
『……オジサン……』
「だぁからオジサンはやめろっつってんだろ……俺ゃまだ32だ。……それとだな」
しかしながら、俺は電調の一員として、こうも付け足した。
「俺達電調がこの件を追うのを諦めたわけじゃないぜ。俺以外の連中が、お前たちをどう思ってるかは知らんからな……あぁそうだ、住所氏名年齢中学……それだけはハッキリさせろ。こちとらとしてもお前らが身元不明なのも色々と困るんでな」
『ぎくっ……!』
視線をそらし、あからさまにしどろもどろしだす"P1"。矢張りバラせない理由があるのか?
『ええと、それわ―――――』
"P1"がそわそわとしだしたその時―――――
『ぬぅぅぅぅぅッッッ!!!またしても
野太い野郎の怒りの叫びがこだました。
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オジサンに身元を問い質されてどうしようかと思ったその時、スパムソンが怒声を放った。
振り返ると、指揮棒を右手に、私とデーティアに向かって身構えるのが見えた。
『こうなればッ!!この小官自らが出陣しッ!!単身にてこの基地を制圧してみせようッ!!』
ま、まさかこのヒト、たったひとりで私とデーティアや、ここにいる100人以上のヒトたちを相手にするつもり!?
一見無謀だ。でも、仮にもコイツはジャークウェブ四天将のひとり、つまりは『敵幹部』だ。間違いなく、ザコッチャーやバグッチャーよりも、圧倒的に強い。
幹部相手に、こんな序盤で戦うなんてめったに無かったハズ……勝てるの……?今の私とデーティアで―――――
『往くぞッ!!ぬゥぅぉぉぉぉォォォォォッッッッ―――――!!!』
スパムソンの吶喊が、私達に向けられた、その瞬間だった。
スパムソンの足元に、赤紫色の光の弾丸が、私から見て左斜め上方向から撃ち込まれ、小さな爆発を起こした。
私を含めて、その場の誰しもが、光弾が飛んできた方向を見上げると、その先には―――――
『……!?』
私は思わず瞠目し、息を呑んだ。
別のビルの屋上に、黒をベースに、ところどころにメタリックカラーを配したメカニカルな鎧を着た人物が、こちらに左腕を向けて立っているのを見た。
ヘルメットの後ろからは、膝上まで届くくらいの長い金色の髪が二房伸びていた。ヘルメットはほとんどフルフェイスだけど、口元だけは見えていた。
その体つきから、女性……それも、私達と同じくらいの『女の子』だということはわかるけど……
『誰……!?』
『あからさまに敵だね……ナイトローグにそっくりだ』
デーティア―――――ほくとくんは、バグッチャーや四天将のみなさんを仮面ライダーの悪役に例えることが多いけど、今回も似たような悪役が仮面ライダーにいるみたい。
でも―――――
『……よくわかんないけど……今までのプリキュアに出てきた幹部でも、誰にも似てない!コワッ!!』
『フィッシンッ!?四天将の末席である貴官がッ、単独でリアルワール
やっぱり、アイツも四天将ってこと!?
アラシーザー、ネンチャック、スパムソン、そして―――――フィッシン。
これで、ジャークウェブ四天将全員が、私達の前に一度は姿を見せたことになる。
『状況は圧倒的に不利だ……どうする……!?』
デーティアが、まるで自分に問うように
確かに……ここで敵幹部ふたりを同時に相手するのは絶対にキケンだ。
でも、ここにいるオジサンたちを逃がすこともしなきゃいけないし、どうすれば……!?
《PULL OUT》
フィッシンが、
『ッ!?撤退しろと言うのかッ!?冗談ではないッ!!小官は御大将
《FORCE COMMAND:PULL OUT,SPAMSON》
スパムソンは反論したけれど、フィッシンはまたしても人間離れした声で何かを言った。その時、フィッシンの目の部分のバイザーがチカチカと、赤い光を点滅させた。
『!』
瞬間、スパムソンの表情が硬直したように強張って、そして無表情に戻ったと思うと、直立不動でフィッシンに敬礼すると、
『了解。直チニ撤退シマス』
と棒読み口調で言って、闇色の光に包まれてその場から消え去った。辺りにたくさんいたザコッチャーたちも、たちどころに消え去るのを見た。
『どういうこと……??』
『意味はよく分からないけど……アイツの言葉を聞いた瞬間、スパムソンの様子が変わった……アイツ、ただの敵幹部じゃないかも知れない』
あの『自分が一番エラい』って思ってるカンジのスパムソンに、ああも簡単に言うことを聞かせられちゃうなんて……
それに、明らかに『自分の声でしゃべってない』のも気になる。口をずーっと閉じたまま、腹話術みたいにしゃべってる。それも、何か英語っぽい言葉を。
まわりでは黒服の人達が一斉に、ビルの上にいるフィッシンに銃を向けて、警戒するのが見えた。
しかしフィッシンは全く意に介さず、左腕を曲げて指を揃えて空へと向ける、手術前のお医者さんのようなポーズを取った。片手だけで。
油断せず、警戒を解かずにフィッシンを見据えていた私は、フィッシンが右手で取り出したモノに衝撃を受けた―――――
『キュアチップ……!!』
―――――だった。見間違えるもんか、あのカタチ。しかもフィッシンは、右手の指の間に挟むように、5枚ものチップを取り出していた。
色は―――――ピンク、黄色、青、紫、赤―――――
現時点で、私達が取り戻せていないプリキュアの中で、あの5枚の組み合わせは―――――ひとつしかない。
そしてまるで見せびらかすかのように、フィッシンは5枚のチップのラベルをこちらに提示した。
《『プリキュアアラモード』……!!》
《アイツ……5人
悔しげなメモリアとデータの声。その声を聞いてか聞かずか、フィッシンは5枚のチップを上へと放り投げた。5枚のチップは回転しながら宙を舞うと、引き寄せられるように、フィッシンの左腕に備えられた、金属感バツグンのツールのスロットへと、次々と吸い込まれていった。
《CHIP EXTRACTION."CURE-WHIP","CURE-CUSTARD","CURE-GELATO","CURE-MACARON","CURE-CHOCOLATE"―――――》
暗い電子音声が『プリキュアアラモード』の5人の名前を読み上げていく。そして―――――
《CHAIN IGNITION》
左腕のツールが、5色の輝きにスパークした。するとそのツールから、5枚のチップが次々と、勢い良く排出された。さながら、前にアクション映画で見たアサルトライフルの薬莢のように―――――
そう―――――まるで―――――
『もう用済みだ』―――――と、言わんばかりに。
そしてフィッシンは、左手をグッっと握り込み、天へとその拳を向けた―――――
底知れないほど冷たい声で、その『呪文』が唱えられるのを聞いて、私の背筋を悪寒が奔った。
間違いない―――――これは―――――……!!
ダメ……ダメだよ……!それを―――――
"それ"を、ヒトに向けたら―――――!!
『みんな!!逃げてぇっ!!!』
「なに!?」
『いいから、早く!!デーティアも、みんなを避難させて!!』
『う、うん!』
やがてフィッシンの左の拳から、5色の光が天空へと放たれた。
黄金色の泡状のエネルギーが、渦巻く水色のエネルギーと混ざり合って、紫色のエネルギーの円盤がそれを5つに切断する。切断されたエネルギーが、今度は赤いエネルギーに包まれ、さながら太陽のように燃え上がった。
最後に、ピンクの光が5つの円盤を包み込み、真っ赤な宝石のようなモノが"デコレーション"されて―――――
私達の頭上に降ってきた―――――!!
『!はやく!出来るだけ遠くに!!走ってぇっ!!』
―――――ド!ド!!ド!!!ド!!!!ドン!!!!!
さっきまで私とデーティアが立っていた場所に、『5段重ねのデコレーションケーキ』が完成した。
それを見た私は、いよいよもって切羽詰まって、ただ他の人達を避難させるのに走り回っていた。
文字通り―――――それは時限爆弾のカウントダウンだった。
『わっ!?』
『デーティアっ!!』
デーティアが転んで倒れるのを見て、私はデーティアをかばうようにヘッドスライディングで地面にうつぶせになった。そして―――――
閃光が四方八方へと散って、虹色の大爆発が巻き起こった―――――
――――――――――
NPC Dr.G
――――――――――
ワタシがせっせと旅支度を進めていたその時、ワタシのパソコン画面からけたたましい警告音がこだましました。
まるで、何かの叫びをあげるように―――――
「なにが!?」
ワタシがディスプレイに駆け寄ると、3つある"Cプログラム"のうちの、最後に閉ざされたひとつ―――――
『No.50 PARFAIT』が、緑色の光を激しく明滅させていたのです。
「"パルフェ"……!?アナタ、ついにナニカを……!?」
ディスプレイに、様々な文字の羅列が書き殴られていきます。よく見ると、フランス語らしき文字が雑じっていますが……
やがて、意味の解らない単語がディスプレイにびっしりと―――――
KIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARUKIRAKIRARU
「……"KIRAKIRARU"……"キラキラル"……??」
いったい、なんのことやら……??何を言わんとしているのですか、アナタは……???
でも、最後に書かれたこれだけは、意味の通じるもので―――――
――――――――――
EX PLAYER CHANGE
⇒ CURE-MEMORIAL
CURE-DATEAR
??????
??????
――――――――――
鼓膜と背筋を、轟音が震わせる。
あたりに、色とりどりの星型の光の粒が降り注いでくる。
これは―――――"キラキラル"……だ。
『プリアラ』の世界で、プリキュアの力になる、スイーツに込められている不思議なチカラ―――――その結晶。
さっきフィッシンが放った技で、キラキラルがあたりにばら撒かれたんだ―――――
―――――何よ、"コレ"。
―――――何よ"コレ"は……!?
私が心の中で燃やしていたのは、憤りだった。
今の技は―――――見間違えるもんか。
『プリキュアアラモード』の5人が、本来はキャンディロッドを使って放つ合体キメ技―――――
『スイー・ツー・ワンダフル・アラモード』だ。
本来は、闇の力に囚われた敵やモノを『浄化』するための技。それなのに―――――!
こんな、ヒトを『傷つける』ための手段にするなんて!
轟音が鳴り止み、私はおそるおそる、"そこ"に目をやった。
『……!!』
その"結果"から―――――今度は、『恐怖』を感じた。
直径30mほどの巨大なクレーターが、アスファルトの地面に穿たれていたからだ。
幸い―――――誰もあの爆発には巻き込まれなかったみたいだけど、何よりも怖ろしく感じたのは―――――
『プリキュアの技を"破壊"に使うとこうなる』ことを、生々しく見せつけられたコト―――――
「おい!?アイツはどこだッ!?」
誰かの叫びで私は我に返って、ビルの屋上に視線を移した。さっきまでそこに立っていたはずのフィッシンは、影も形もなく消えていた。
つまりさっきのは、煙幕かおとり代わりだったってこと……?
『アイツ……キュアチップを……"使った"……!』
デーティアの言葉がすべてだった。
今までジャークウェブは、キュアチップをバグッチャーの『材料』としてしか使ってこなかった。
でもフィッシンは違った。私達と同様に、キュアチップを『攻撃手段』として、その力を引き出して使ってきた。
フィッシンの左腕のあのツール―――――形は違うけど、私達のネットコミューンと同じ、キュアチップの力を使うツールなのかも。
だとすれば、とんでもない事だ。
敵が―――――ジャークウェブが、私達『インストール@プリキュア』と同等の力を、手に入れたことになるのだから―――――
《りんく……アイツを……フィッシンを見た時なんだけど……あたし、なんか"ヘンな感じ"がした……》
《お前もかよ……アタシもだ。なんっつーか……あのチリチリした感じはジャークウェブなんだけどよ……ちょっと"違う"ってゆーか……》
メモリアとデータが、フィッシンへの違和感を次々に口にする。
『どういうことなの?』
《う゛~ん……ジャークウェブなんだけど、"それっぽくない"ってゆーか……なんだろ、このモヤっとした感じ~~……》
《だよなぁ~……あ゛~、アレだ、ノドまで出かかってるけどなかなか出てこねぇ的な……》
『まさか……アイツを知ってるの!?』
《知ってるよーな……初対面のよーな……クッソ~~、なんなんだコレはよォ!?》
メモリアとデータの感じるもどかしさが、私にも伝わる。
つまりふたりにとっても、あのフィッシンは『特殊』なんだ。
今までのジャークウェブ四天将と違った、『何か』を感じるほどの―――――
「君達―――――そこで動かず、大人しくしていてもらおうか」
厳かな男の人の声が辺りに響いて、私の思考は強制終了させられた。
あたりを見回すと、いつの間にやら私とデーティアは、たくさんの黒服のヒトたちに完全包囲されていた。
しかもその全員が―――――拳銃を私達に向けていた。
「安心したまえ、すべて麻酔銃だ。もっとも、少し『強力』なものを用意させてもらったがね。しかし、これが何を意味しているかは君達でも理解できよう」
ザッ!と、その声のした方向の黒服のヒトが、一斉に一歩退き、『道』を作った。まるでモーゼの十戒だ。
その奥から、銀色の髪の、初老のおじいさんが姿を見せた。なんというか―――――
スゴい目つきをしてる……!!
アレだよ、アレ!……タダモノじゃない系の目!こんなコト言ったらスッゴく失礼だから地の文だけにさせてもらうけど―――――
"何人か殺っちゃってそうなヒト"キターーー(゚∀゚)ーーー!!!!
「自己紹介をしなければならんな。内閣電脳調査室室長……青山雅明だ。はじめまして、と言うべきかな―――――プリキュアの諸君」
『室長……さん……』
さっきからの声は、このヒトの声みたい。それにしても、ちょっと気を抜いただけで圧し倒されちゃいそうな、モノスゴい気迫……!
こんな私に反して、デーティアはさすが男の子と言うべきか、室長さんの視線を真っ直ぐに受け止めている。
こういう時……やっぱり頼りになるなぁ……と思ったのはほんの数秒、私がデーティアの手とヒザに視線を移すまでだった。
―――――
恐怖を押し殺しているんだ。怖いのは……デーティア―――――ほくとくんも同じなんだ―――――
そんな中で、絞り出すようにデーティアが問うた。
『どういうことですか』
「君達は確かに、正体不明のテロリストと戦い、人々を救ってくれた。それは確かに我々としても感謝すべきことだ。だが―――――それだけの驚異的な力を、未成年である君達が持つのは少し問題があるんだ。それにその力に目をつけているのは、何も"連中"だけではないのだよ。君達をそんな奴等から守るためには、身元を明かしてもらい、我々の保護下に入ってもらわねばなるまい」
保護って言ってるけど……それって、こんな風にテッポー突き付けて言うセリフじゃない……
つまりは―――――私達を捕まえるってこと……!?
私達、何も悪いコトしてないのに……!?
『そんな……』
「無論、素直に我々に従ってもらえば、穏便に事を進めさせてもらう。君達を悪いようには決してしない。だが、抵抗すると云うのならば―――――」
そこから先は、室長さんは何も言わなかった。だって、今の光景を見たら、容易に想像がつくから。
『お、オジサン……』
この時の私は、オジサンにすがるような視線を送っていたに違いない。オジサンは目線を逸らし、小さく言った。
「悪いな……俺も組織の一員だ。上からの命令である以上―――――逆らえん」
そして、オジサンもまた、私に銃口を向けたのだった。
『……!』
デーティアは、私と背中合わせに立った。少しでも、死角を無くすためだろう。
どうしよう……私達、捕まっちゃうの!?
プリキュアが逮捕とか補導とか、正直想定外なんですけど……!?
こんなの、第11話でやるような展開じゃないよ~~!!
『念じなさい』
……!?
気のせいじゃない、誰かの声。
ふと視線を落とすと、右手に握ったままだった真紅のキュアチップから、光が漏れていた―――――
『"空を飛びたい"と―――――心の底から!』
キュアエースの―――――亜久里ちゃんの声が―――――きこえる―――――
『……デーティア―――――』
『―――――うん!』
エースの声に従って、私は―――――私達は、念じた。
―――――空を、飛びたい!
すると―――――
《Wi-Fi WING! EXPANSION!!》
電子音声が響くと同時に、首の後ろのうなじのあたりから、ギュイイィィィィィン、という、何かが猛烈に回転するような音がした。
そして、コスチュームの全体に張り巡らされたLEDファイバーのようなラインが、ひときわ強い光を放った。
「!やむを得んか……発砲を許可する!」
無数の銃声が耳を劈いた。まさか、本当に撃ってくるなんて!
でも、発射された無数の銃弾は、私達の目の前でぴたりと止まった。
いや―――――よく見ると、その銃弾は例外なく、先っぽがつぶれたようになって止まっている。つまり、『何か』に押しとどめられたんだ。
『な……なんなの……??』
《りんく、背中……!背中を見て!》
メモリアに促されて、私は肩越しに背中に目をやる。そこに見たのは―――――
『…………"
私の背中―――――厳密には、うなじにくっついているHDDのようなモノから、光のラインで形作られたピンク色の、妖精のような翅が生えていた…………!?
ハネが生えるって……『ハピプリ』のコスチュームとかそうだったけど、それとは別の……なんっていうか、SF的な『光の翼』だ。
『メモリアル……もしかして、これって……!?』
デーティアの背中からも、水色の光の翼が生えていた。ちょっとだけ、私のと形が違う。
『うん……!出来るかどうかわからないけど……やってみよう……!!』
ここにいるオジサンや、黒服のヒトたちには申し訳ないんだけど―――――
私は、室長さんに向き直って、そして―――――
『あの……その、ごめんなさい!お邪魔しちゃって、すみません!……私達、』
深々と頭を下げて―――――
『帰りますっ!!』
「!?」
室長さんが面食らった表情を浮かべるのが見えた―――――のは一瞬だった。
私が『翅』に意識を飛ばすと、それこそ一瞬で、景色が『下』へと流れていった。
10秒もしないうちに、私の視界は夕闇の空―――――雲が同じ高さに見える高度まで―――――
『ふわぁぁ…………!!』
風が、私の全身を撫でるのが、わかる。
遠くの水平線に、ゆっくりと太陽が沈んでいくところ。
そしてその反対側からは、まんまるの満月が顔を出す。
空の真ん中で―――――赤と青―――――『昼』と『夜』の境界を見た。
『僕達……本当に飛んでる……プリキュアには、こんな力があるんだ……』
背中合わせのデーティアが、驚きの表情を浮かべながら、辺りの景色を見回している。
言われてみれば―――――たしかに、こんなに『至れり尽くせり』なプリキュアって、いなかった気がする。
ビルを跳び越すような大ジャンプ、車よりも速く走れるスピード、大柄な相手も吹っ飛ばせるパンチとキック、思いっきり強く叩きつけられても立ち上がれる頑丈さ―――――
ここまでは、私がアニメで見てきたプリキュアたちとほとんど同じだけれど―――――
私とデーティア―――――『インストール@プリキュア』は、明かに"違い過ぎてる"―――――
―――――スマホを使わずに別の誰かのスマホにメッセを送れたり、
―――――キュアネットの中と行き来出来たり、
―――――無線を傍受出来たり、
―――――プリキュア同士、テレパシーみたいに会話が出来たり、
―――――身体一つで空まで飛べたり、
―――――そしてなにより―――――
―――――『過去のプリキュアの力を使うことが出来たりする』―――――
『私達って……スゴい力をもらっちゃったのかもしれない……』
『え……?』
思ったことが、自然と口から出ていた。
そう―――――これは現実。
私達の使っている力は、政府の人達が警戒してもおかしくないほどの力なんだ。
『―――――逆にそこまでの力を以ってしなくては、ジャークウェブに打ち勝つことは難しいという証左でもあります』
その声に、私は思わず握ったままの右手を見た。慎重に、手のひらが上向きになるようにゆっくりと手を開くと、紅いイーネルギーの粒子をフィルターに立つ、キュアエースの姿があった。
『エース……!』
『りんく……
『…………エース……あ、ありがとうございますっ!!』
思わず深々と頭を下げてしまった。こんなお褒めの言葉を戴いて、恐悦至極というか……
『それから、ほくとと仰いまして?』
『は、はいっ!……あの、ごめんなさい!……僕、一方的に僕の考えを押し付けてしまったみたいで……その、プリキュアのこと、よくわかってなかったばかりに……』
『いいえ……"ウルトラ5つの誓い"……わたくしもいたく感銘を受けました……あれは貴方が『男の子』でなければ伝えられないコト……わたくしたちプリキュアも忘れかけていた大切なコトを、もう一度思い出せた気がします』
『そんな……僕はただ、"誓い"を捻じ曲げるあいつらを許せなかっただけで……』
ほくとくんの"ウルトラ5つの誓い"も、エースの心に確かに伝わっていたみたい。
同じ"5つの誓い"同士、通じるものがあったのかも。
『ねぇ、エース……さっき、『そこまでしなきゃジャークウェブに勝つのは難しい』って言ってたけど、それって……?』
さっきエースが言ってたことが少し引っかかってた。エースは頷いて答える。
『貴女達『インストール@プリキュア』が、『見習い』であるにもかかわらず、様々な能力を持つ理由……それはプログラムクイーンが貴女達を、あらゆる事態に対応できるポテンシャルを持った、ジャークウェブに対する最大のカウンターパワーとしようとしたから……と思われます。貴女達がキュアチップを使えるのも、クイーンは最初から、今のような事態にわたくし達が陥ることを想定していたのかもしれません……』
《つまりプログラムクイーンは、ジャークウェブがみんなをキュアチップにしちゃうってコトを、最初から知ってて……!?》
《どういうコトだよ……》
メモリアとデータにとっては信じられないかも知れない。っていうか、そこは私も疑問だった。
本来ジャークウェブが必要としているキュアチップを、どうして私達『インストール@プリキュア』が使えるのか、ということを。
『クイーンとジャークウェブの首魁……カイザランチュラには、何かしらの因縁があるのかもと、わたくしは考えております……以前、カイザランチュラのことをクイーンにお伺いした時……あの時の物憂げな表情を、わたくしは忘れられなくて―――――』
『……亜久里ちゃん……』
正義と悪の因縁―――――それは、プリキュアの戦いでは切っても切れない縁。
愛、友情、絆―――――些細な感情のすれ違いや、ボタンの掛け違い、考えの違いで道を違えて、光と闇に分かれて交錯する。
キュアエース―――――円亜久里ちゃんほど、数奇な『因縁』に翻弄されたプリキュアはいないだろう。
彼女は、キングジコチューの実の娘―――――アン王女が二つに分けた『心』―――――"プシュケー"の片割れなのだから。
『善』と『悪』に分かたれたうちの『善』だからこそ、プログラムクイーンがカイザランチュラに向けている『何か』を、鋭敏に感じ取っているのかもしれない。
『プログラムクイーンの危惧が現実となってしまった今、貴女達だけが頼りです……世界の壁を越えて、"誓い"を受け取った貴女達なら、きっと……。わたくしの期待に、見事応えて見せてくださいね♪』
そう言い残して、エースはチップの中へと消えていった。私は『昼と夜の境界』に、真紅のキュアチップをかざした。
『キュアエース、キュアっと、レスキューーーーーー!!!!』
思いっきり叫んだ。エースの期待に応えなきゃという想いと、これだけの力を与えてくれたクイーンを、絶対に助け出すという、新たな"誓い"を込めて―――――
『ーーーっ…………っと、もうすぐ陽が沈むね……みんなが心配するから、早く帰ろう?』
『うん―――――……あ』
『?どうしたの?』
きょとんとする私に、デーティアは顔を青くして言った。
『…………ここ、ドコ…………??』
そーいえば私達、そもそもキュアネット空間を通ってさっきの場所に来たんだから、トーゼンだけど『現在地』がわからないんだった。
でもねほくとくん、スマホって便利なんですよねぇ~(ドヤ顔)
この間までガラケー使ってたほくとくんは知らないかもだけど、スマホには便利な地図アプリが入ってるんですよ。
これを使って、ふたりで大泉に帰ろう。その間、短いけれど空中散歩。
『大丈夫』
『え……?』
『大丈夫、だよ♪』
デーティアにそう笑いかけると、ちょっとだけ面食らって、顔を赤くして視線を逸らしたけど―――――
『……うん』
自然と、笑ってくれた。そして、ふたりで『昼と夜の境界』を見つめた。
今こうして感じてる風と、幻想的な光景―――――私がプリキュアにならなかったら―――――
メモリアに出会わなかったら、感じられなかった風。見られなかった光景。
そうだ―――――私も、唯一無二のこの光景に"誓おう"。
メモリアを通して、クイーンから授かったプリキュアの力で、必ず私は……私達はこの世界を守る。
この、太陽と月のコントラストをつくりだす、ひとつしかないこの地球を―――――
光の翼に、私達は背負う。
―――――みんなが託した『願い』を。
――――――――――
NPC MITSUAKI MASUKO
――――――――――
「……動ける者は動けぬ者の救護を!……"プリキュア"には追跡班を回せ!」
はるか上空へと飛び上がったプリキュアに、流石の室長も面食らったようだ。
各所に指示を飛ばしながら本部ビルへと戻る室長の背中を見ながら、俺もホルスターに銃を納めた。
室長はプリキュアの正体探しに躍起になってる。当然俺も、それは重要だと思う。
そして、"奴等"に対抗する力も―――――
「主に~ん!!」
「おう、佐藤……」
「おう佐藤じゃないッスよ!腕ブチ抜かれてるんスから!!救急車が来てるッス、早く!」
「わかったわかった……ったく、大ゲサなヤツ……」
「大ゲサって……バイキン入ったらどーすんスかッ!?」
佐藤は慌てて、俺に肩を貸した。口では俺も強がったが、出血多量で流石の俺も気が飛びそうだ。素直に、佐藤の肩を借りることにした。
救急車に向けて佐藤と歩きながら、俺は心中で今回の『騒乱』の総括をしていた。
"AXV弾"―――――あれの量産体制が整わない段階で襲撃を受けた
だが、AXV弾が量産されて各班に配備されれば、状況は一変する。
Dr.Gも今回の醜態を黙っちゃいないだろう。AXV弾に続く更なる対策を練る可能性もある。
―――――さてプリキュア、ここからは競争だ。
俺達とお前達、どっちが先に"奴等"を倒すかの、な。
それから―――――こっちのほうがDr.Gにとっても重要だと思うが―――――
お前たちがどこの誰なのか……そして、そのアニメじみた力をどこから得たのか―――――
それもいずれは突き止めさせてもらう。
―――――そう思ったところで、俺は思わず笑っちまった。
結局、俺の『真実を求めたがる』性分は、まったく変わっちゃいねぇじゃねぇか。
それとも、どんな立場になろうとも、『真実を求める』ことを、運命が俺に強いるのか?
―――――これも"増子家の呪い"か。
俺はプリキュアが去っていった天を仰いで、小さく呟いた。
「待ってな、プリキュア―――――じきに追い付く」
――――――――――
NPC TIMOTHY FRANCIS
――――――――――
ウチは最後のシャッターを切って、立ち上がった。
ビルの上から今までず~っと
ほとんど、特撮ヒーロー
最近のCGはデキが良すぎるやさかい……どこの新聞社に持ち込んでも、合成写真思われるんがオチかもなぁ……
「アカンなぁ……これホンマ、世ン中出してえぇんかなぁ……?」
「精が出るようですね」
「!?」
いきなり背後から掛けられた声に、ウチは思わず振り返った。
そこには、白衣を羽織った、何ともまぶしいスキンヘッドのニイちゃんが、微笑みながら立っとった。
「な、なんや?!イキナリ気配殺して現れおってからに……」
「いやぁ、あまりにも御仕事熱心な御姿だったもので、声を御掛けするのも
「……ってか、ニイちゃんなんなん?誰やったっけ?」
そう言うと、ニイちゃんはニコリと
「いやですねぇ。昨日、日電研で御会いしたではないですか。東堂博士の助手を務めさせていただいております非常勤研究員の、
言われて思い出して、あわててポケットの名刺入れから名刺を取り出した。
〈日本電脳工学研究所 東堂研究室 非常勤研究員 坂下 駆〉
「あ……あ~……、せやったなぁ、昨日、名刺交換したのになぁ……アハハ、今日ものゴッツい出来事が起こりすぎてなぁ……記憶までトんでまっとるなぁ」
「確かに……私達の前で起きた出来事は、あまりにも常識からかけ離れています」
「せやなぁ。でも、この件をヒミツのままにしとくんはアカンことやと思う。キュアネットから出てきたいう連中、明らかにヤバ過ぎるわ……せやから―――――」
「秘密の
「……!?」
坂下クンの声のトーンが変わった気がした。思わず、ウチは彼に振り返った。
「そら……どーゆー意味や……?」
「
「ジャークウェブって……アンタ、どこまでこの事知っとんねん……!?」
「秘密、です♪……さて、この事を知ってしまった貴女には、口封じをせねば
坂下クンは右手で指パッチンをした。すると―――――
―――――パキッ!!
「な……ッ!?」
ウチの使とるデジカメのSDカードスロットが勝手に開いて、その中から、真っ二つに割れたSDカードがボロリと落ちてきた。
「あ゛~~~!!!今日撮った
せっかく撮ったメモリアルちゃんとデーティアちゃんの恋人つなぎ
こーなるんやったらスマホで撮っとくんだった……
いやいや!?―――――ちゃうやろ!?ツッコみどころ!?
「い、今アンタ、何したん!?」
「……何って、御写真を消させてもらったんですよ。流石に、『いっぺん、
「……ミョ~な言い回しやなぁ」
「済みませんねぇ。私が非常勤なのは、住職を本業としている者でして。御仏の教えを説いていると、どうにも言い回しが難解になってしまうのですよ。檀家さんからも説法が難しすぎると苦情が……」
「いやいやいや
「う~ん……ちょっとした手品、ですね。……貴女の『雇い主』の方にも御伝え頂けませんか?……『もうプリキュアに関わらないで下さい』……と」
なんなん……このニイちゃんは……!?
丁寧な物腰の中に、なんや得体の知れへんモンを感じる……
東堂博士の助手言うたけど……明らかにタダモンやあらへん……!
坂下クンは、静かにビルの屋上の端まで歩くと、沈み行く夕陽を見つめて、静かにこう呟いた―――――
「……"彼女"が出てきたとなると……急がなくては……!」
―――――STAGE CLEAR!!
RESULT:CURE CHIP No.26『CURE-PEACE』
CURE CHIP No.33『CURE-ACE』
プリキュア全員救出まで:あと40人
TO BE NEXT STAGE……!
『澄みわたる海のプリンセス!』
―――――りんくの『今回のプリキュア!』
りんく「今回のプリキュアはだ〜れだ?」
『愛の切り札!キュアエース!』
メモリア「『ドキドキ!プリキュア』のひとり、"
りんく「アン王女の『善の心』から生まれた円亜久里ちゃんが変身した、トランプの『
メモリア「そんなエースのキメ技は、コレ!」
『彩れっ、ラブキッスルージュ!ときめきなさい、エースショット!ばきゅーーーん!!❤』
メモリア「ラブキッスルージュから撃ち放つ、エースショット!!悪いヤツを浄化するだけじゃなくって、動きを止めたり、いろんなことが出来るんだよ!」
りんく「ここだけの話……『ドキプリ』の5人の中で一番年下なの、エースって知ってた?」
メモリア「マヂ!?え?で、でもエースだよ!?一番お姉さんに見えるエースが一番年下!?」
りんく「亜久里ちゃん、やっぱりサーバー王国のみんなにはバラしてなかったかぁ……まぁ、変身が解けないんじゃ仕方ないよねぇ……」
エース「りんく、そこまでに致しません?……わたくしにもサーバー王国におけるイメージというものがありましてね……」
りんく「どっひゃぁ!?今回に限ってご本人来ちゃったぁ~~!!」
エース「お待ちなさいっ!!ここは一人前のプリキュアに導く先達として、特別指導いたしますっ!!メモリア、貴女もいらっしゃい」
メモリア「…………エースのお説教って長いんだよね」(ボソッ)
エース「何か言いまして?」(満面の笑み)
メモリア「!!な、なんでもありましぇ~ん…………」(半泣
エース「それではご覧の皆様、りんくとメモリアにお説教いたしますので、この辺でご機嫌よう……って、何処に行くのですメモリア!?おふたりとも待ちなさぁ~~い!!」
―――――ほくとの『レッツゴーライダーキック!!』
ほくと「なんだか久しぶりの気がするね、このコーナーでライダーを紹介するのも」
データ「前回はビルドのネタだったからな、久々にビリッと行くぜ!!今回のライダーはコイツだぁ!!」
『天が呼ぶ!地が呼ぶ!!人が呼ぶ!!!悪を倒せと俺を呼ぶ!!!!聞けッ、悪人共!!俺は正義の戦士!仮面ライダーストロンガー!!』
ほくと「城茂さんが変身した、改造電気人間『仮面ライダーストロンガー』!!昭和ライダーの中でも屈指のパワーと電撃攻撃を得意とする、パワフルなライダーだ!!」
データ「コイツさえいればエネルギー問題も解決だな」
ほくと「でも、自由に電気を使えるわけじゃなくって、常に垂れ流しの状態なんだ。だから彼は、変身前でも絶縁体で出来た手袋を外せなくなってしまったんだ……」
データ「今回ほくとがピースの力を使って再現した技は4つだが、今回はその内2つを紹介するぜ!まずはこれだ!!」
『エレクトロファイヤー!!!』
ほくと「電気エネルギーを地面に流して離れた敵を攻撃する、ストロンガーの代名詞的必殺技、それが『エレクトロファイヤー』だ!」
データ「今回までに色んなライダーのDVDを見たけどよ、ストロンガーが出てるほどんどの映画でこの技を使ってるな」
ほくと「それだけ、ファンの印象にも残った技なんだ。ちなみにこの後、『宇宙刑事シャリバン』に出てくる宇宙犯罪組織マドーの『ガイラー将軍』も似たような技を使ってるね」
データ「見栄えがいいから東〇も演出使いまわしたんじゃねーか?」
ほくと「こっ、こら!!そんなコト言っちゃダメだよ!?……つ、次はこの技!」
『ストロンガァァァ電!キィィィック!!』
ほくと「ストロンガー最大の必殺技、それがこの『ストロンガー電キック』だ!!10万ワットの電撃をまとったキックによって、敵の奇械人を内部組織から破壊するんだ!戦車も一撃で破壊できるほどの威力があるぞ!!」
データ「スペックだけ見りゃ相当だがよ、それで倒せなかったデルザー軍団の改造魔人ってマジでバケモンだな……」
ほくと「デルザー軍団に重傷を負わされた城茂さんだったけど、正木洋一郎博士から超電子エネルギーを発生させる超電子ダイナモを埋め込まれて、パワーアップに成功したんだ。それが、今の平成ライダーにも受け継がれている『フォームチェンジ』の元祖―――――」
データ「『チャージアップ』、だろ?へへん、アタシも情報仕入れてるんだぜ♪」
ほくと「そういえば……最近DVDデッキの電源が入れっぱなしになってたのって……」
データ「スマンほくと!何枚か開けてないDVD開けちまった!!」
ほくと「データ……ウチの誰かに見られたらどーすんのさぁっ!?それに電源入れっぱなしだと電気代が……」
データ「……フッ、そんな事俺が知るか!」
ほくと「データが知らなくても僕が知ってるんだからねぇっ!!!」
データ「やっべ、逃っげろ~♪」
ほくと「もう、東堂さんとメモリアの方もそうだったのに、こっちもこのオチ~!?そ、それじゃ次回も、お楽しみにっ!!」
次回予告
ほくと「東堂さん、紹介するよ!僕の妹!」
ののか「八手ののか、5さいです!りんくちゃん、にぃからきいたけど、『プリキュアはかせ』なんだよね?だったらほらほらみてみて!おもちゃいっぱいだよ~!」
りんく「お……おおおぉ……(恍惚)ほくとくん、あなたの妹さん、サイコーすぎる!!決めました!私、この家の子供になりますッ!!」
ほくと「ウチの子供って……!?そ、それって、その、ええと……///」
データ「ノロけてんじゃねぇほくと!!のんのこども園がバグッチャーに!!」
メモリア「このままじゃこども園のみんなが……!」
ほくと「な゛に゛ッ!?おのれジャークウェブめ……ののかの通うこども園を襲うなんて……!キサマ達だけは絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛ッ!!!」
インストール@プリキュア!『狙われたののか!燃え上がれ@ほくとの拳!』
ほくと「つらぬけ!キミだけのプリキュア道!!」
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長々とお付き合いいただき、誠にありがとうございました……
新たなる敵、新たなる謎のキャラ……盛りに盛った結果の『年末大増刊号』だったわけで……
次回はほくとくんメインのヒーロー回!!妹を守るために奮闘する彼の頑張りに注目です!
そんなワケで、これが今年最後の更新です。
それでは皆様、よいお年をお迎えください♪