ベルが流派東方不敗継承者なのは間違っているだろうか? 作:友(ユウ)
『ダンジョンファイトォォォォォォォォォッ!!』
『『『『レディィィィィィィッ…………!』』』』
『『『『『ゴォォォォォォォォッ!!!』』』』』
バベルで『
「な、何や今のは…………?」
ロキが震える声で呟く。
その呟きはこの場にいる殆どの神の心の声の代弁だった。
「あっちの世界のドチビ! 今のは一体何なんや!? 何でいきなり半分の冒険者が吹っ飛んだんや!? あんな魔法ウチのリヴェリアでも無理やで!?」
ロキがヘスティア(不敗)に説明を求める。
すると、
「何って…………………気合い?」
少し考えた後、ヘスティア(不敗)はそう答えた。
「ふざけとんのか!? 言え! あれはどんな魔法何や!?」
「いや、だから気合いとしか言いようがないんだけど…………」
ヘスティア(不敗)は内心、武闘家のやることに一々突っ込んでいたら身が持たないと半ば考えることを放棄していた。
そんなバベルでの騒動を他所に、シャッフル同盟の快進撃が始まった。
「【グラビトンハンマー】!!」
リリ(不敗)がそう叫ぶと、直径が50cmほどもある鉄球が具現され魔力の鎖がいつの間にかリリの手の中にあった取っ手と繋がる。
「はぁあああああああっ!!」
リリ(不敗)が小さい体に似合わない巨大な鉄球を振り回すと冒険者を次々と吹っ飛ばしていく。
「ぐほぁっ!?」
「た、大枚叩いて買ったアダマンタイトの鎧がぁああっ!?」
「俺の盾がぁああっ!?」
相手の防具を無意味とばかりに砕いていく。
しかし、ガアァァァンとけたたましい音を上げて鉄球の一撃が止められた。
「うぐぉぉぉぉっ…………!? ッハアッ!! ぎ、ギリギリだが耐えたぞ………流石は【
1人の冒険者が大盾を全身で支えながらそこにいた。
「うぉおおおおおっ! 流石は【鉄壁】の兄貴だ! あの攻撃を受け止めたぞ!」
「よし! お前ら! 攻撃は兄貴が受け止めてくれる! 俺達は攻撃だ!」
「「「「「ウォオオオオオオオオッ!!」」」」」
士気を上げる冒険者達。
だが、リリ(不敗)がテクテクと兄貴と呼ばれた冒険者の前に歩いていくと、
「【炸裂! ガイアクラッシャー!!】」
右の拳を振り被ってその盾に叩き込んだ。
「………………………は?」
その事実に呆然となる兄貴。
そんな兄貴に向かって、
「残念でした」
リリ(不敗)がいたずらっ子のような笑みを浮かべて右腕を振りかぶっていた。
その右腕が兄貴の腹部に叩き込まれる。
「ぐほぁっ!?」
堪らず悶絶し、気絶する兄貴。
それを確認したリリ(不敗)はゆっくりと他の冒険者達の方へ向き直ると、
「さあ、続きをやりましょうか?」
鉄球を振り回しながらそう言うリリ(不敗)の背後には、恐ろしい笑いを浮かべる
「おぉぉらあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ベート(不敗)が大きく回し蹴りを放つとそこから巻き起こった衝撃波が複数の冒険者を吹き飛ばす。
「な、何だこの【凶狼《ヴァナルガンド》】の強さは!?」
「蹴りの一発だけで人がゴミの様に吹き飛んでいきやがる!」
その光景に驚愕する冒険者達。
「ハッ! 向かって来る気概のある奴だけ掛かって来な! そうじゃねえやつは………………とっとと尻尾巻いて逃げかえりやがれ!!」
踵落としの様に振り下ろした足が地面を陥没させながらベート(不敗)はそう叫んだ。
「【行け ローゼスビット】!!」
ヴェルフ(不敗)の紡いだ言霊と共に、薔薇の形をした無数の魔力スフィアが空中を飛び回り、そこから放つ光線で冒険者達を撃ち抜いていく。
「ぎゃっ!?」
「あ、足を撃たれた!」
「あぐっ!?」
ローゼスビットが舞い踊るその中心で、ヴェルフ(不敗)が大刀を地面に突き刺した状態で仁王立ちしている。
「くあ…………もうちょっと手応えがねえと欠伸が出ちまうな………」
いや、普通に暇そうにしていた。
しかしその間もローゼスビットは的確に迫りくる冒険者達を仕留め続ける。
「せめて俺の元まで辿り着いてくれよ」
そう呟き、鋭い眼光で冒険者達を睨み付けた。
「はぁああああああああっ!!」
アイズ(不敗)が赤い炎のような闘気を剣に纏わせ一振りすると、赤い斬撃が飛び、射線軸上に居た冒険者達を一掃する。
しかし、それを逃れた冒険者達が、
「アイズさん! 僕とお付き合いしてください!」
そう叫びながらアイズ(不敗)に駆け寄ってくる。
「ごめんなさい!」
その冒険者にその言葉を贈ると共に一振りして吹き飛ばす。
すると、
「アイズ殿! 拙者の伴侶になってくだされ!」
「嫌!」
「アイズちゃーーーーん! 好きだーーーー! 結婚してくれーーーーーーーーーーーー!!!」
「お断りします!」
次から次へと告白する冒険者が続き、その度にアイズ(不敗)はお断りの言葉と共に斬撃を送る。
更に、
「アイズ様! あなたのような可憐な御方にあの様な下賤な男など似合いません! 是非とも貴族であるこのわたくしの…………………」
そう言ってきたイケメン冒険者を、その言葉が終わる前に今までで一番巨大な赤い斬撃が呑み込んだ。
「ベルを悪く言う人は許さない!」
不機嫌そうに表情を顰めたアイズ(不敗)がそう言い放った。
一方、ベル(不敗)は一人の冒険者と対峙していた。
ベル(不敗)の周りには今までに返り討ちにしたであろう冒険者達が何人も転がっていた。
そのベル(不敗)の前に立つのは猪人の大男。
このオラリオで唯一のLv.7を誇る【
「フレイヤ様のご命令だ…………俺の相手をして貰おう」
オッタルは背中から無骨な大剣を二本引き抜き、威圧感を出しながら大剣の二刀流として構える。
それを見たベル(不敗)は平然とその威圧を受け流しながら、
「構いません。向かって来るのなら迎え撃つのみです」
その場に立ちながらそう答えた。
「……………………………」
「……………………………」
一瞬の静寂に包まれ二人の視線が交差する。
そして次の瞬間、オッタルが大剣を持つ腕の筋肉がミシッと軋みを上げ、地面に罅が入るほどの強さで地面が蹴られた。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
大剣であるにも関わらず、軽々と片手で扱うオッタルの膂力は並ではない。
その一撃は、第一級冒険者ですら一撃で致命傷を与えるであろう一撃。
しかし、それは普通の冒険者が相手だったらの話。
ベル(不敗)は、その一撃を事も無げに片手で掴み取った。
「ッ!?」
その事実にオッタルは一瞬目を見開くものの、
「むぅううううううんっ!!」
反対の手の大剣を繰り出す。
しかし、それもベル(不敗)は反対の手で同じように掴んで止めた。
「ぐぅうううううううう………………」
そのまま鍔迫り合いのような形になり(ベルは素手だが)オッタルは力で押し切ろうとする。
しかしベル(不敗)は真剣な表情こそしているものの、オッタルの様に呻き声や気合いの声を漏らしてはいない。
やがて、ビキッという音と共にオッタルの剣に罅が入る。
ベル(不敗)の握力にオッタルの大剣が耐え切れなかったのだ。
そして、バキィという音を立ててオッタルの剣が砕けた。
「ッ!」
オッタルは即座に折れた剣を手放すと、
「はぁああああああああっ!!」
拳を握り、ベル(不敗)に向けて繰り出した。
だがその瞬間、同じようにベル(不敗)も拳を繰り出し拳と拳がぶつかり合った。
大きな体躯を持つオッタルと、小柄なベル。
旗から見れば大人と子供が戦っているようにも思える。
しかしその実態は、
「うぐぁっ!?」
ビキッと骨が軋む音を立てながら腕の各部から血が噴き出る。
オッタルの腕から。
逆にベル(不敗)の腕は全くの無傷だ。
完全にベル(不敗)の拳の威力がオッタルを上回ったことを証明していた。
「ぐっ…………おおおおおおおおおっ!」
オッタルは反対の腕でも拳を繰り出す。
ベル(不敗)の顔面目掛けて放たれたその拳は、ベル(不敗)が首を逸らすことであっさりと空を切った。
その瞬間、ベル(不敗)は一歩踏み込み、
「はっ!」
オッタルの腹部にボディーブローを叩き込んだ。
「がはぁっ!?」
オッタルの巨躯が宙に浮き、十メートルほど吹き飛ばされて大地に倒れた。
「ぐぅぅ…………まさか、これほどの差があろうとはな…………」
オッタルは首だけを何とか起こし、ベル(不敗)を見据えながらそう語る。
しかし、それに対し、
「確かに実力の差もあったんでしょう。でも、それ以外にもあなたの敗北の理由があります」
ベル(不敗)がそう言った。
「何…………?」
オッタルが怪訝そうな声で聞き返すと、
「あなたは………いったいどれほどの間ダンジョンから…………『戦い』の場から離れていたんですか?」
「ッ!?」
「あなたの体は『戦い』の場から離れすぎた所為で完全に錆び付いているんです。もし万全の状態だったならもう少し善戦出来ていたでしょう。【
そう言い放ったベル(不敗)の言葉にオッタルは思い当たることがあり過ぎた。
「フッ…………最初から俺が勝てる要素などありはしなかったわけか…………」
オッタルは素直に負けを受け入れた。
やがて、大した時間を掛けずに冒険者はほぼ全滅した。
「もうこれで全員か?」
ヴェルフ(不敗)がそう呟く。
すると、
「いや、もう一人いるよ」
ベル(不敗)が後ろを振り返りながらそう言った。
そこには、
「………………………」
この世界のベル・クラネルが立っていた。
「何やってるんだベルくぅぅぅぅぅん!!??」
バベルから見ていたこちらの世界のヘスティアが驚愕しながら叫んでいた。
因みに他の神々はあっという間に冒険者達が全滅したことを受け入れられずに未だに放心していた。
ベルはベル(不敗)を見据え、
「僕は……………【僕】と戦ってみたくてここに来ました」
ベルは腰に携えてあるヘスティア・ナイフを抜きながらそう言った。
ベル(不敗)は少しの間ベルの目を見ると、
「………………いいよ、やろうか」
そう言ってベルの方に歩み寄った。
「皆、ここは手出し無用でお願い」
ベル(不敗)がそう言うと、
「ベル様ならそう言うと思いました」
「ああ、いいぜ」
「好きにしな」
「ベルのしたい様にすればいいよ」
それぞれが肯定の意を示した。
ベル(不敗)は再びベルへと向き直る。
「いつでもいいよ」
ベル(不敗)はそう言って構えも取らずにその場に立ち続ける。
一方、ベルはヘスティア・ナイフを構えてベル(不敗)を見据える。
ベル(不敗)は棒立ちのまま微動だにしないが、ベルはそれがベル(不敗)の絶対の自信の表れだと理解していた。
以前、ダンジョン探索について行ったときに感じた彼の遥かな高み。
ベルも今彼に勝てるとは思っていない。
せめて一太刀。
一矢でも報いたいというのがベルの本音だ。
「…………………行きます!」
ベルは初めからトップスピードでベル(不敗)へと向かい、ナイフを振るう。
しかし、それはほんの少し下がったベル(不敗)に紙一重で届かなかった。
「ッ!?」
ベルは一瞬驚くがすぐに気を取り直してナイフを何度も振るう。
だが、その全ては一歩動いたり僅かに体を反らすだけの動きで紙一重で避けられる。
「くっ…………!」
ベルは更に体術も組み合わせながらベル(不敗)に果敢に攻める。
「よっ………ほっ………はっ!」
ベル(不敗)は余裕を感じさせる声を漏らしながらベルの攻撃を完全に避けていた。
(くっ! 攻撃が全然当たらない………! 完全に見切られてる………!)
ベルは否応なしに実力差を感じさせられる。
(普通に攻撃しても当たらない………! それならっ!)
だが、ベルには秘策があった。
それはベル(不敗)の前では見せたことが無い【魔法】。
ベルは再びナイフで斬りかかった。
当然それはベル(不敗)には当たらない。
だが、ナイフを回避したベル(不敗)に向かってベルは左手を向けていた。
「【ファイアボルト】!!」
「ッ!?」
こちらの世界のベルが有する詠唱の要らない速攻魔法。
威力こそ詠唱の必要な魔法に劣るものの、その真価は速さにある、
詠唱の要らない発動の早さもさることながら、炎属性の魔法でありながらその軌跡と速さは雷を連想させる。
それを至近距離で放ったのだ。
ベルは当たることを確信した。
発動から着弾までコンマ一秒掛かるかどうか。
初見では恐らく第一級冒険者でも躱すことも防ぐことも不可能だろう。
だが、
「はっ!」
その僅かな時間にベル(不敗)は反応した。
向かって来る炎の雷を裏拳を放って弾くように四散させる。
「なっ!?」
その光景を見て、ベルは思わず驚愕の声を漏らした。
必中だと思われたベルの攻撃はあっさりと防がれたのだ。
「今のは悪くない攻撃だったよ。もう少しうまく隠して発動してたら防げなかったかも。だけど流派東方不敗に同じ手は二度も通用しない。それだけは言っておくよ」
ベル(不敗)はそう言うがベルは内心手詰まりを感じていた。
まともにやっても掠りもせず、隠し玉だった【ファイアボルト】にもあっさりと対応された。
「…………………………」
ベルの頬に冷や汗が流れる。
「…………………降参する?」
ベル(不敗)はそう問いかけた。
(降参……………?)
ベルは心の中で呟く。
(…………確かにそうするべきなのかもしれない。元より絶対に敵わないと分かっていた相手。降参しても仕方ないのかもしれない…………………)
相手は数々の冒険者を倒し、挙句にオラリオ最強のオッタルすら完封した相手。
ここで降参したとしても、誰もベルを非難することは無いだろう。
(………………………………だけど!)
だが、
「自分に降参だけは…………したくない!」
ベルは折れなかった。
確固たる覚悟を持ってベルはそう言い放った。
その言葉を聞いてベル(不敗)は小さく笑みを浮かべた。
すると、ベルは再びヘスティア・ナイフを前方に構え、
「次の攻撃に、僕の全てを込める!」
「受けて立つ!」
真っ直ぐに応えたベル(不敗)に、ベルも笑みを浮かべ、
「【ファイアボルト】!」
再び魔法を発動させる。
だが、その対象はベル(不敗)ではなく己が持つヘスティア・ナイフ。
そして同時にベルは己の【スキル】を発動させる。
ベルが持つ【スキル】、【
その特性を生かし、【ファイアボルト】の炎が四散する前に光粒が炎を包み込み、ナイフの刃に留める。
リンリンと
その間、ベル(不敗)はじっとベルの行動を黙って見ていた。
まるでベルを待つように。
一分。
それが通常のベルの【
だがベルは短剣の長さへと至った炎の剣を見て悟る。
(足りない………これじゃあ全然足りない…………!)
これではベル(不敗)に勝つどころか一矢報いることすら出来ないと直感で理解する。
(負けたくない…………自分自身には負けたくない……………! いや、違う……………負けたくないんじゃない…………!)
「勝ちたいんだ!!」
ベルが叫んだその瞬間、リンリンという
限界突破。
【
二分。
炎の剣の長さが長剣の長さへと至る。
三分。
炎の剣は大剣の大きさへと至る。
かつてこの世界でも現れた黒いゴライアスを討伐した際、同じ出来事が起こり、三分まで【
しかし、
(まだだ! もっと力を振り絞れ!!)
ベルは更なる限界を突破する。
四分。
炎の剣は更に伸長する。
五分。
ベルは悟った。
これが本当のギリギリの限界だと。
炎の剣は天を貫くと錯覚するほどに長大になっていた。
「はぁ………! はぁ………!」
ベルはこの炎の剣を維持するだけでも意識が飛びそうなほどに消耗していた。
だが、それを気合で繋ぎ止めている。
「これが……………僕の全身全霊です…………!」
ベルはベル(不敗)に向かってそう言う。
ベル(不敗)はその姿を見つめ、
「ならばこちらも!」
真正面から受けて立つことを選択した。
ベル(不敗)は懐から剣の柄を取り出すと、全身に闘気をみなぎらせる。
「僕のこの手に闘気が宿る! 英雄目指せと憧れ吠える!!」
その闘気を取り出した剣の柄に集中させる。
「愛と絆と友情の……! アルゴノゥトフィンガーソーーーーーーーーーード!!」
闘気を刃と化し、光の剣となって天を貫いた。
そしてベル(不敗)は真っ直ぐにベルを見据えると、
「勝負だ! ベル・クラネル!!」
自分の名を呼んだベル(不敗)に応えるように、ベルは渾身の力で炎の剣を振り下ろした。
「
ベル(不敗)もそれに応えるように光の剣を振り下ろした。
「メン………メン…………メェェェェェェェェェェェェェン!!!」
互いの中央で炎の剣と光の剣が交差する。
その瞬間、ぶつかり合ったエネルギーが大爆発を起こして辺りを光に包んだ。
『神の鏡』でも映像が白く染め上げられ、状況が分からなくなっていた。
「べ、ベルくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
こちらの世界のヘスティアが思わず叫んだ。
やがて光が収まり、映像が回復する。
そこにはモクモクと爆発によって立ち昇った煙が未だ状況を覆い隠していた。
オラリオ中の人々が結果を見守る中、風が吹いて煙を吹き飛ばしていく。
まず最初に現れたのは、剣が激突したであろう中央。
そこは、激突の余波だけで大きく陥没し、クレーターとなっている。
そして、同時に互いのベル・クラネルが居た場所の煙が晴れた。
そこには自分の足でしっかりと立つベル(不敗)と、仰向けに倒れたベルの姿が現れた。
「はぁ………! はぁ………! 悔しいなぁ…………!」
ベルは指一本動かせないのか仰向けに倒れたままそう呟く。
すると、
「確かに今回は僕が勝った………だけどね………」
ベル(不敗)はそう言いながら親指で頬を拭った。
そこには小さな傷が出来ている。
「君の刃は、確かに僕に届いたよ……………お見事!」
ベル(不敗)は純粋にベルを称賛する。
ベルはその言葉で嬉しくなり、笑みを浮かべた。
その時、
「見事な戦いであったぞ! 2人とも!!」
突然の大声がその場に響いた。
ベル(不敗)が聞き覚えのある声に驚いて辺りを見渡すと、最初にリリ(不敗)が隆起させた大地の切っ先に人影が立っていた。
それは、
「師匠!?」
ベル(不敗)の師匠、東方不敗 マスターアジア。
「ベルは元より、こちらの世界のベルも見事であった! まだ未熟ながら我が弟子のベルに傷を負わせるとは大したものよ! 実に見事であった!!」
東方不敗はそう称賛する。
「そんなお主に敬意を表し、真のファイトというものをこの世界の者達に見せてやろうでは無いか!!」
更に東方不敗の影からシュバルツが現れ、
「お前達の成長………確かめさせてもらおう!」
シュバルツもベル(不敗)達に向かってそう言い放った。
そして東方不敗とシュバルツは構えを取り、
「さあ掛かって来るが良いシャッフルの紋章を継ぐ者よ! この儂、元キング・オブ・ハートが相手をしてやろうではないか!!」
東方不敗はそう言い放った。
外伝十四話です。
何か蹂躙の筈がベル君が出張ってきて盛り上がってしまいました。
しかも最後には師匠とシュバルツがファイトを申し込んでしまいました。
さあどうなる次回?
恐らく次で外伝終了です。