ファイアーエムブレムif 白夜王族と暗夜王族の血を引く者 作:コッコ
セルスとギュンターは数日掛けて倉庫から家具を全て引っ張り出し埃をはらって徹底的に磨きあげた。そしてカムイの部屋となる場所まで二人で階段を上りつつ家具を運ぶ事、数回に及びセルスとギュンターは体力の限界だった。
「はぁはぁ、やっと運べた・・・」
「はぁはぁ、もう少し段差の低い部屋にすれば良かったのでは・・・?」
セルスは息を整えるとギュンターと共に何時もカムイが待つあの部屋へ行った。扉を開けると部屋にカムイはいなかった。
「いない!」
「探すぞまだ近くにいるはずだ!」
セルスとギュンターは別れて北の城塞にいる筈のカムイを探した。食堂や使用人の部屋そしてケイルの集めた沢山の本を置いた図書室。探したが何処にもいない。
「まったく何処に・・・」
セルスは建物内を出るとそこに北の城塞の出入口の門の前にいた。セルスは安堵しカムイに近づいた。
「カムイ様探しましたよ。一言も無く外に出るなんて駄目じゃないですか」
「ごめんなさい・・・」
「うん、よろ・・・」
セルスは一瞬、時が止まったかの様に動きが止まった。それはカムイがこの数日間は今まで一言も発してはいなかった。セルスはこれは大きな一歩とも取れた。
「どうしました?」
「あ、いえ何でもありません」
セルスはカムイに微笑んだ。例え一言でも喋ってくれて嬉ししかった。
「それにしてもどうして部屋を抜け出したのですか?」
「外に誰かが倒れてたから」
カムイは指を指して門へと向けた。セルスは驚いた顔で外に出るとカムイと同じ銀髪でカムイと同年代位の少年が倒れていた。セルスは急いで担ぐと北の城塞へと引き返した。
「まさか倒れている者がいるとはな・・・」
「この顔は確か見た事がある」
ギュンターがこの少年を見た事があると言った。セルスは静かに聞いた。
「元は貴族の子息だが前に暗夜の王城に使用人として出された失敗ばかりする奴だ」
「王城にいるなら何故ここに来る?まさか左遷か」
「させん?」
セルスの左遷と言う言葉にカムイは首を傾げた。セルスは笑顔で左遷の意味を教えた。
「左遷は責任を取らされた者が不毛の地に移動させられて働かされる事だ。今まで王城にいたのにここに来たんだあり得なくはない・・・」
セルスは話終えると少年が目を覚ました。カムイは少年を覗きこむかの様に見てギュンターは見下ろすように少年を見ていた。
「ここは・・・」
「北の城塞だよ。お前は運が良いなカムイ様がどうやって見つけたのか知らんがお前が倒れていると言われたな。助けたんだ」
セルスの言葉に少年が体を上げた。
「所でお前は何をしにここへ来た?こんな辺境な所に来て倒れる何て余程の事だろ」
「左遷された・・・」
「何だって・・・?」
少年の小さな声にセルスは聞き直した。すると少年は怒鳴り声で叫んだ。
「ここに左遷されたんだよ!わからねぇのか!!」
「あぁ、やっぱりか・・・と言う事はお前の上司になるのか」
少年が困惑した様子で眺めた。セルスもその様子に無理はないかと思った。何しろ寂れた城塞に人がいるとも思ってなかったのだろう。
「俺はセルスこの北の城塞の主と言いたいが今は彼女カムイの物だ。俺は今カムイの世話役としてギュンターと共に働いている」
「ギュンターだ。もうセルスに言われた通りだ」
「わたしカムイです!」
セルス達は新しく入る少年に自己紹介した。少年も唖然としたがっ慌てて身なりを整えた。
「失礼しました!私はジョーカーと言います。この度ここに配属されました!!」
ジョーカーはそう言うと震えていた。最初にやらかして追い出されるのではと思っているのだろう。セルスはそんなジョーカーの肩に手を置いた。
「あぁ、これからは気をつけろよ。そう言えばお前は家事はどれくらいできる?」
「えっと・・・全然」
ジョーカーは正直に出来ないと言った。それを聞くとセルスは深く頷いた。
「ギュンターお前にこいつの指導役を任せる。ビシバシ鍛え上げて家事が出来るようにしてくれ。こいつの仕事はそれからだ」
「わかった・・・」
ギュンターはセルスの言葉にあきらめた口調で了承した。セルスは仕事やカムイが関わると何処までも尽くすタイプらしくスイッチが入ると暗い雰囲気から一転して明るくなり気合いの入った口調になる。ギュンターはそれを数日の間に見て来たが止められた事は無かった。
「では、解散!」
セルスはそう言うと部屋を出た。残された三人はその姿を見ている事しかなかった。