ゆめまぼろしの皇帝と楽園の住人   作:あだもすてー

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繁栄その代償そして序奏

 ロムルス、フランドールの二人は浴場からでて着替えた後、そのままもといた寝具の元へと直行した。

 ロムルスが紅魔館へきたのはちょうどその地域ではちょうど春に入るほどのころ合いだったので、二人で、かけ布団に体を包むには十分なほどの室温であった。

 紅魔館の高級感あふれるその寝具はしっかりとその使用者を温める。だが、ここに例外がいた。――薄っぺらい嘘を引き下げ、不満げにうめき声をあげて。

「ちょっと寒いかも…?抱きしめて寝てほしいなぁ…」

「…どうぞ。フランは案外、寒がりなのか」

「うーんそうかもー」

 ロムルスはそんな誘いを断るほど、無下なことをする性格をしていなかったからか、はたまた、ただ甘えたいだけということを見透かしてかフランドールをしっかりと抱きしめてしまった。

 人は母親の胎内の中での環境が一番落ち着くといわれている。人が眠りから覚めた時に何かに抱き付いてしまっているのも、胎内での縮こまった体制に無意識のうちになろうとするからだ。

 そしてフランドールは姉のレミリアと同じく、500年ほどの年月を生きてきた吸血鬼の中でも長生きの部類に入る。彼女も、人の体の性質からかその無意識の内におこる感情を抑えることはできなかった。これまで彼女はこうして抱きしめてもらって眠ることがなかったのか、この感情はとても新鮮なものとして受け取った。

「あっ…」

 思わず彼女は驚きとも、喜びともいえない声を――ほとんど声になっていないが、をあげた。風呂上りからか、はたまた抱きしめられたからか、少し顔が紅くなっているようにみえる。

 ロムルスはあえてそれについて問うことはせず、もう少し、気持ち強めに抱きしめなおす。まるで娘か妹ができたかのようにとても優しげな抱擁に思える。

 そうしているうちに二人は眠気の波に揺られ、静かに眠りについていった。

 

 

 

 

 眠りから覚めたロムルスが今いるのは、紅魔館の食糧倉庫であった。今の彼はレミリアにしっかりと従事する執事としてまじめに働いている。その姿は奇抜な色をした館とは違って、標準的な執事用のものであった。

「やっと起きたわね執事。さぁ、仕事の時間よ」

 起きてレミリアの部屋へと向かったロムルスは入ってすぐにそう言われてしまった。なお、フランドールは彼が起きたころにはもうベットにはおらず、書置きされた紙にかわいらしい文字で先に起きてるね、と書いてどこかへと去ってしまっている。

 彼が最初に命じられていたのは「紅茶をもってこい」というものであった。倉庫から紅茶の葉を探し当て、それを淹れてくるところまではとても良い流れで事が進んでいった。だが、問題はそれをレミリアに渡した後であった。

 

 …気に食わないわ。

 

 そんな一言をカップを見下すようにし鬱陶しそうにレミリアは言った。あからさまに不満げなレミリアにそして、少し得意げな顔のロムルスという全く違う表情をこの紅茶は生み出してしまった。

「…あなた、こういうの得意なの?」

「嗜み程度にだ。結構覚えてるものなのだな」

「いい趣味だことね…」

「口に合わなかったか?少しは自信があったんだが…」

 ロムルスはそう、皮肉めいた言葉を呟くように、だがしっかりと彼女に聞こえるように言った。おそらく彼はレミリアが何を言いたかったかは察しているのだろう、そんな風にいたずらめいての発言であった。

「…ええ、おいしいですわ皇帝さん。…はぁ」

 裏目に出すぎね、と溜息とともにレミリアは呟き、その紅茶をふたたび口にした。

「味は大丈夫なようでなによりです、お嬢様」

「ふっ、教えないでもこれくらいできるなら文句ないわ」

「はは…声が震えているぞ、レミリア」

「…うっさいわね。おいしいわ、ありがとう、執事」

 そうぶっきらぼうにレミリアが言うと、ロムルスは少し口角を吊り上げながら感謝しますと、そう一言言って何も言わなかった。

「…ロムルス。他にもあなたがやることはあるわ。私に従事するのもそうだけどここの見回りとか、色々やってもらうわ。掃除とかもね」

「なるほど。そこは追々確認していかないとな」

「まっ、次第に慣れていってちょうだい。あと私が呼び出したらすぐ来なさい。とりあえず今日は見回りでもしてなさい」

「わかった、そうするとしよう」

 そうやり取りを終え、ロムルスが部屋を出ようとしたとき、レミリアは何かを思い出したかのように声をあげ、彼を呼び止めた。その理由は形式を重んじるような貴族的なふるまいをよしとする彼女ならではのものだった。

「忘れていたわ。せっかく私の部屋にいるのだから形式的な契約でもしてもらおうかしら」

「契約か。確かにそうだな」

「理解が早いようで何よりだわ。じゃあ…」

 レミリアが次の発言をしようとする。だが、ロムルスはその言葉が出る前に彼女の座る高価そうな椅子の前へたどり着いている。そのままロムルスはレミリアの前で膝を曲げ、傅くような体制になった。そしてレミリアに有無をも言わせず彼女の手を取り、

「幾何か貴殿の館へ滞在する間、ここに忠誠を誓おう。…」

彼女のその甲の色のつやつやした小さな手に、ロムルスは自身の形の整った唇をふれあわせた。

 突然の彼のその行動に驚いたか、レミリアは狐につままれたかのような、素っ頓狂な表情をして気の抜けたような声を上げた。

 そんなレミリアの様子を見たロムルスは少し苦笑したような顔になり、こういった。

「こんなことをするとは思わなかったか?」

「…ええ、自尊心のそれなりにありそうな感じだったから正直な話、おどろいたわ。というか前にやってたこと的にあなたはこういうのされる側でしょう。よくやれたものね」

「もう肩書きだけさ。それに、レミリアの反応も見てみたかったしな。いい表情をしてくれて何よりだ」

「はぁ、また…。もうどうでもいいわ。さっさと行きなさいよ」

「では行かせてだきますよ、お嬢様」

彼は笑いながらそういって部屋を後にした。そして部屋に残ったのは今しがた忠誠を誓ってくれたはずの執事に化かされたみじめな主が残ってしまった。

 彼が出て行って足音が遠ざかるのを聞き、もう一口紅茶を口にするレミリア。そうして深呼吸して大きな声で一言、心からの雄たけびを上げた。

「なんなのよあいつ!」

 

 

 

 

 フランドールはロムルスが起きる前に、すでに部屋を後にしている。そんな彼女はロムルスがレミリアの部屋にいる間、今度は一人で紅魔館の館内と館の庭を見て回っていた。

 初めに彼女は久しぶりに(‘‘‘‘)美鈴に会おうということで紅魔館の門へときていた。今回、美鈴はしっかりと起きている。そんな美鈴を見たフランドールは一言、彼女の名前を呼び美鈴を振り向かせた。

「あ、妹様。えーとおはようございます、でいいんでしょうか…?」

「ふふ、おはよう美鈴。今日はしっかり起きてたんだね」

「はい、起きていましたっ。この時間帯は大丈夫です!」

「この時間だけじゃだめだと思うんだけどな…」

 フランドールがそういうと美鈴は詰まったようなうめき声をあげて困り顔になり何も言い返せなかった。フランドールはそんな美鈴の顔を見て、

「まぁそんなとこが美鈴って感じよね。変わりないみたいで何より・・・なのかな?」

と言って彼女に頑張ってね、と励ましの言葉を残して館へと戻っていった。

 

 

 

 

 フランドールは館の中へと戻ると、今度は特に目的もなくふらりと歩みを進めていった。目的もないというそんなこともないようではあるが特にどこへ行こう、という意味では目的はないのである。ただただ館の中をぼうっ、と見て回りたかったのである。まだまだ呪いから説かれて日は浅いので、ここは前と同じ、ここは少し違う、などと確認して回っているようである。

 そうしてフランドールが館内を見回っていると、前から一人の人物が歩いてきた。長めの金色の髪を纏ったその人物は先程までレミリアをからかっていた人間であった。

 フランドールが声をかけようとする前に先にその男が声をかけてきた。

「これはフランドール様。気持ちよくお眠りになれましたか」

「うん…うん?」

 その男、ロムルスが先に話しかけらたのまではよかったが、フランドールはその話し方に頭の中に疑問符を思い浮かべた。それが明らかに敬語なうえに他人行儀であったからだろう。

 だが、そういいながら彼の顔はどう見ても真剣な、従者のような恰好の良さは持っておらず馬鹿にしていると言ったら聞こえが悪いが、どうみてもからかいが顔にくっついた様子であった。フランドールもそれに悪乗り、というよりもそれを利用しようと考えたのか特にケチをつけることもなく、

「任務ご苦労」

とこちらもふざけたように無理した低い声で返した。

 ロムルスはそう返されることは想定だったか、苦笑するしかなくどういたしまして、とありきたりな言葉を返すことしかできなかった。

 フランドールはそんな彼の姿を見て勝ったような気分のまま、そんな執事(‘‘‘)に指令をだした。

「色々歩き回って疲れたから、部屋まで運んでくださるかしら?」

 まだ先のやり取りをつづけたような言い方でフランドールはいるが、彼からしたら少し負けた(‘‘‘)ような気分が募るばかりであった。そんな心情を彼は行動に乗り移らせることで晴らそうとした。

「かしこまりました。妹様」

「わっ」 

 ――一瞬のことであった。正確には一瞬、というよりひどく緩慢であった動きだがフランドールからすればロムルスが歩みを進め、自身の目の前に立った後の動きはまるでその通り一瞬であるのだろうか。

 彼が何をするのか。フランドールがそう考えていると彼女の視界は突然、ロムルスの姿から天井へと塗り替わった。そう、ロムルスはいわゆる「おひめさまだっこ」をフランドールに敢行せしめたのだ。

 フランドールが考えていた彼の行動としては、どう運ぶのか自分に聞いてくると踏んでいて、突然のだっこ(‘‘‘)は想定外のようで顔の表情がとてもせわしない様子になった。

「い、いきなり?」

「お気に召しませんでしたか。これは失礼を…」

「いや別に大丈夫、だよ。ほら、はやく連れて行ってね、執事さん」

 その彼女の返答を聞いてロムルスは短く、かしこまりましたと答えて彼女の部屋へと向っていった。

 

 

 

 

 ロムルスはフランドールを部屋に連れていき、先ほどのことの顛末を彼女に伝えるとレミリアに淹れたものと同じ紅茶をフランドールに出した。彼女は一口飲んで少し驚いたような顔になったが、そのあとは美味しそうにその紅茶を飲んでいった。

 半分ほどその少し熱めの紅茶を飲み終えるとフランドールはロムルスに、へぇと小さく相槌を打った。そのあとに彼女は続けるようにして言った。

「じゃあこの後は館を見回る、と。あ、もうあの口調はいいからね」

「そうなるな。掃除や使用人の妖精たちにも指示を出したりすることもあるそうだから、館の構造を覚えなくてはいけないみたいだ」

「だったら私もついていくよ、うん。案内とかも多分…できると思うし」

 少し自信なさげにフランドールがそういうが、ロムルスはそれを見て表情を崩しながらよろしくな、と短く答え彼女を引き連れて歩き始めた。

 

 

 フランドールと共に紅魔館の内部を探索し終えたロムルスは彼女と別れ、そのことを今の主であるレミリアに一応報告しにふたたび彼女の部屋へきていた。その報告を聞いたレミリアは少しだけ上機嫌になったのか多少喜ばしげにそう、と答えてそれにつなげるように言った。

「じゃあ明日からほかのこともお願いしても大丈夫そうね。よろしく頼むわ」

「ああ、任せてくれ」

 そうした短い会話のあと、もうすでに夜も深まりロムルスは眠気がさしてきていたのだろう、足早に部屋を後にし、自室へすぐさま眠りにいった。

 ロムルスがベッドにもぐりこむと眠気の悪魔はすぐさま彼の意識を、連れ去っていった。

 

 

 

 

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☆☆おまけ☆☆

登場するキャラの予想的なステータスを書いていきます。

本編もこんな感じで考えています。

書き方としてはロマサガ2の方式として、筋力 器用さ 魔力 素早さ 体力の5個に分け、それを1~25の数字で表します。(1と言いましたが実質の最低値は10です)

技レベルというのもありますのでそれについても書いていきます。これは50が最大値です。

 

※標準的な人間のステータスとして、ロマサガ2本編に登場する、帝国重装歩兵ベアの能力を上げておきます。

  筋力 器用さ 魔力 素早さ 体力

ベア 16  12  15  11  23

 

今回は最終皇帝の、ゲーム中のステータス(=この物語本編のステータス)を上げます。

   筋力 器用さ 魔力 素早さ 体力  所持技能

皇帝  25  23  23  24  21   全てLv50

 

ロマサガ2内での最高値25を持つキャラというのはそれぞれのステータスごとに全味方189キャラ中大体2人しかいません。

私的には25は最高、23~24が超有能、20~22が有能、18~19が少し有能

15~17が普通、11~14が弱い、10はゴミ以下のように考えています。




以上になります。
月一程度になってしまっているので次からはペースを上げたいと思います。
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