ー意識の限界だ、もう俺は死んでしまうのかー
世界の東の大陸、その森林が生い茂るほぼ未開拓の地で、まだ年若い少年が疲労困憊といった様子で森の中をさ迷っていた。持ち物はほとんど無い。ぼろぼろになった鞄の中に、水の切れたペットボトル、刃がほとんどこぼれた小型のナイフ。それ以外に持ち物はない。
ー一体なんで俺がこんな目にー
それは数日前に遡ることになる。
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数日前、この少年、シーク・クラップは帰路についていた。
彼はこの街、『セントルビィザリオ』のごく普通の中学生だった。しかし普通と違うといえば並外れた頭の持ち主だったということだろうか。
学校では全ての教科で最高評価。
外では彼の手の器用さを活かし、機械工業にも手を出していた。
しかし常に一人で生きていた。そのいわば天才と言われる故か、人が近づき難かったのである。
「…ん?あれは…?」
彼はその日の帰路で奇妙なものを見つけた。
それは公園のベンチの下で鈍く輝いていた。
「綺麗な水晶玉だな…持って帰るか…?」
彼はその紫色に輝く水晶玉に手を伸ばした。
そしてそれに触れた瞬間。
「…ッッ!!!」
「それ」は激しい光を放ち、彼の「体内」に入ってしまった。しかし彼自身はそれには気づかなかった。
「消えた…?なんだったんだアレは…」
敢えてその疑問に答えるなら、それは彼にとって「災厄」なのだろう。しかし今の彼にそれを知る術はない。
「…帰るか。」
そして彼はまた彼の家へと歩きだした。
「こんばんは、クラップくん。」
「神父様。こんばんは。」
今、彼に話しかけた男は、この町の大聖堂の神父、
アレン・レンフィールドだ。
大柄な男でローブを身につけ、メガネを掛けている。
「さっき、邪悪な気を感じてね。今教会から出てきたんだよ。」
「まさかこの辺りにも「魔物」が?」
「わからんね。しかしこの辺りにはいなさそうだ。」
「なら良かったです。それではまた」
「また明日。クラップくん。」
…………
家路に…もとい、彼の大聖堂が支援している孤児院へと向かうシーク・クラップをアレンは注意深く見つめていた。
「アイツが…気の主か……。
しかし何故彼が…?どうでもいい。「化物」になったのが分れば出て行ってもらうしかないな…。」
彼は悲しいような、覚悟を決めたような複雑な表情でクラップの家路を見守った。
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事件は起こった。
彼の家、孤児院で取っ組み合いの喧嘩が起こった。
理由はさておき、クラップと同じ年くらいの男が取っ組みあっていた。
「このっ…しつけぇ!!!」
クラップが男を殴ろうとしたその時…
クラップの体から紫色の霧とも光とも言えるものが噴出した。そしてそれは男を壁に向けて吹き飛ばした。
「……ッ!!!???」
彼は戦慄した。自分の体から得体の知れない物質が出てきて今それが目の前の男を吹き飛ばした。
訳が分からない様子で周りを見れば、いつの間にかアレン神父が背後にいてーーーーーー
そのまま彼は意識を失った。