ガールズ&パンツァー 短編集(仮)   作:まもる

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 文章が短いですが楽しんで貰えれば嬉しいです。


 開かずの第一船倉

 

 何故、20年前に大洗女子学園の戦車道が何故、急に廃止になったかは未だに私は知らない。

 

 それは、私達には突然だったから

 

 何故、大会直前になって、私達は大会を辞退しなければならなかったか知らない。

 

 私にも分からない。学園長の指示だったから

 

 でも、これだけは今なら言える。

 

 相棒達が、彼女達の為に使えなるなら喜んで引き渡そう。

 

 それが、大洗女子学園戦車道の元隊長の私の役目だから・・・・・

 

 

 

 私は娘が寝静まった部屋の中、懐かしそうに一枚の写真を見ていた。

 

 写って居るのは大洗女子学園のマークが入っている、ティーガーIIポルシェ砲塔タイプとあの学園の制服を纏い若かかりし日の私とのツーショットはとても懐かしく思う。

 

 そして、引き出しに有るのは学園艦のとある船倉の電子錠の鍵だ。

 

 船倉の中身は本来、私達が43回全日本戦車道大会で使うはずだった8両の戦車の他に決勝戦に向けてレストア中だった、ティーガーIIの改造案の一つで105ミリFlak41を搭載したティーガーIIヘンシェル砲塔タイプだった。

 

 その九両の戦車の中にも、もちろん、私が使っていたティーガーIIもある。

 

 だだし、私は正直者だ。

 

 内容を明かせば

 

 ティーガーII(ポルシェ砲塔とヘンシェル砲塔)が全部で三両

 

 パンターF型61口径88ミリ戦車砲搭載型が二両

 

 ストームティーガーが一両

 

 そして、対黒森峰のマウスとE-100重駆逐戦車対策に用意していたVII号戦車レーヴェの150ミリ38口径戦車砲搭載型だった。そして、強行偵察と着弾観測を目的にミニパンターこと、レオパルドを二両を用意していた矢先に学園の戦車道が廃止になったのだ。

 

 私達は大会に出る事も叶わず、廃止になった事が悔しかった。

 

 あの大会に出て出来るなら私のかつての隊長(西住しほ)が率いた黒森峰に勝ちたかった。

 

 あの時、私が救助に向かったことを正しいと西住しほに認めさせる為に・・・・

 

 そして、当時の副隊長にして生徒会長の角谷弘美会長の協力の下、学園艦の内部でも学園長やOB会ですら存在を知らない第一船倉にそれらの九両を隠す事にしたのだ。戦車道が復活して戦力を必要とするなら引き渡す為だけに・・・・ただ、私達が卒業した後に再び学園が戦車道を始めたらと言うことが気掛かりだった。そこで、私達はヒントになるように練習用の戦車達を第一船倉の真上にある沼の中や第一船倉入口の通路に戦車を隠したのだ。ドイツ系の戦車で・・・・

 

 

 

 ところが、運命とは残酷だろう。

 

 20年が経ち、当時の副隊長の角谷弘美会長の娘、角谷杏さん達によって学園の戦車道が復活したのだ。私達にしたら嬉しいこともそうだったが、弘美会長は娘には何も教えずにいたのだろうか?あろう事か後輩達は目印にしていた三号突撃砲を沼の中からサルベージし、けがの功名なのかポルシェティーガーも回収。そして、売れ残っていた操縦訓練用の戦車で優勝してしまったのだ。

 

 嬉しかった。

 

 私達の悲願を叶えてくれたのだ。

 

 私は興味が湧いた。

 

 それをまとめ、指揮した隊長に・・・・

 

 私はその隊長の素性を調べていたら知ってしまった。

 

 その隊長は西住流の家元の一族で名前は西住みほだった。

 

 かつて、私が学んだ西住流にして、かつて黒森峰の私の隊長だった西住しほの娘だった。

 

 彼女の試合を全て見てしまった。

 

 同じ隊長だったからだろうか?

 

 同じ、西住流だからだろうか?

 

 いや、違う。

 

 私には無かった何かに惹かれたのだ。

 

 私は彼女に惹かれる様になったのだ。

 

 彼女達になら託せるとそう思ったのだから・・・・・

 

 私は彼女に探されたかのように角谷 杏と出会ったのだ。

 

 

 

 

 

 私は三年生になると、新しい生徒会長に呼び出された。

 

 理由は簡単だった。

 

 優勝し、廃校を阻止した私達の愛車だった四号戦車を学園の奇跡の象徴として展示して保存することと自動車部が廃部になる事で整備面で問題になりつつあったポルシェティーガーの使用禁止、さらに、九六式重戦車、ルノーが強襲戦技の為に大洗女子中学へ貸出をすると決定事項として言われたのだ。

 

 戦力の低下なら補強するしかない。

 

 優勝した事で大量の助成金と優勝賞金で資金もあるから新しく戦車を購入するしか無かった。

 

 だが、それさえも新しい生徒会は許さなかった。

 

 優勝賞金も助成金も戦車の維持費だけを残し、全て学園の維持費の為に生徒会が没収したのだ。

 

 杏ちゃん達、旧生徒会が卒業した段階でそうなることは判り切っていたのに・・・・

 

 今の生徒会は戦車道に非協力的である事。

 

 生徒会長が戦車道が嫌いだった事

 

 学園も戦車道に優先して居られない事も・・・・

 

 新しい生徒会長は優花里さんが調べてくれたから知ったけど、20年前に戦車道を廃止した当時の学園長の孫である事が分かった。

 

 それでも、私達は戦車道が好きだった。

 

 戦友達と再戦をやりたかった。

 

 エリカちゃんとの約束を果たしたいと思っていたのに・・・・

 

 今のままでは、戦力不足で大会も難しい。

 

 今有るのは、三号突撃砲、M-3リー戦車、三式中戦車、ヘッツァーだけだった。

 

 大会規定は最低、五両だ。

 

 四両だけでは・・・・・・

 

 そんな時だった。

 

 私の携帯が鳴ったのだ。

 

 ディスプレイには『角谷 杏』と表示されていた。

 

 「もしもし?」

 

 「ヤッホー!西住ちゃん、元気してた?」

 

 「杏ちゃんも元気そうだね」

 

 「いやぁ~これでやっと、西住ちゃんに恩が返せるよ。今の現状、大会に出るのも厳しいのも知っていたからさ、当時のこの学園の最後の戦車道の隊長を探すのに苦労したよ」

 

 「えッ?最後の隊長?」

 

 「そう、だから会って貰えるかな?その人が西住ちゃんに会いたがって居るんだ」

 

 私は二つ返事で約束すると、放課後に約束したファミレスで待っていた。

 

 杏ちゃんと一緒に来た女性には見覚えがあった。麻子さんを向かえに行った時に子供と一緒に二階の窓から手を振っていた女性だった。

 

 「はじめましてかな?西住みほさん」

 

 「いえ、以前に見た記憶がありましたので・・・・」

 

 弾まない会話。

 

 「飛騨さん、西住ちゃんにお話が在るんでしょ?」

 

 「はい、西住さんには元隊長として渡したい物があります。そして、私達の無念を晴らしてくれて、ありがとうございました」

 

 飛騨さんは深々とお辞儀をしたのだ。

 

 理由は直ぐに話してくれた。

 

 私のお母さんが率いた黒森峰が優勝した年、大洗女子学園は大会を辞退した。理由も不明でそのまま戦車道も廃止になったらしい。当時、飛騨さん達は再び戦車道が蘇ると信じてレギュラー陣の戦車を全て学園艦に隠した事を話してくれた。杏ちゃんのお母さんも当時の生徒会長だったらしく、副隊長も務めていたらしい。杏ちゃんのお母さんが書類でレギュラー陣の戦車の紛失届けを作製し、紛失した事にしたらしい。

 

 飛騨さんから渡されたのは一つの電子錠と学園艦の地図だった。

 

 「これは?」

 

 「学園では開かずの倉庫の話を知りませんか?」

 

 「うちは聴いた事があるよ。ただ、場所までは知らないけどね」

 

 私も以前、沙織さんから話を聴いた事があった。船舶科の生徒が管理している船倉の鍵があって唯一、鍵が無いのが第一船倉の鍵らしい。過去に第一船倉を開けようとしたがマスターキーでも開けられない様に電子錠に替えられていた由来から開かずの倉庫と言われている。噂では宝が在るとか、財宝が在るとかないとかあるらしい。

 

 飛騨さんと別れた後、杏ちゃんと帰り道を歩いていた。

 

 内心、戦力増強は嬉しい。

 

 飛騨さんの無念を考えたら使わない手は無い。

 

 でも・・・・

 

 本人から聴いて驚いたのは飛騨さんが一年生の時に元黒森峰の副隊長で西住流の門下生だったことと私と同じく決勝戦で事故を起こした仲間を助けた事で護衛しなければいけなかった隊長の戦車を守れずに決勝戦を敗退。西住流からは破門され、学園でも孤立した飛騨さんは逃げる様に大洗女子学園へと転校したのだ。

 

 それは、内容は違えど過去の私を見ているようだった。

 

 

 

 

 翌日、私は戦車道の仲間達全員と共に第一船倉に向かっていた。

 

 飛騨さんが教えられたルートは昔、戦車を隠す為に使ったルートでバスが通れる広さのルートだった。杏ちゃんが用意してくれたバスとガソリンとエンジンオイルを満載したタンクローリーの2台で第一船倉に向かったのだ。

 

 第一船倉の入口は脇道には去年、一年生組と沙織さんが迷子になった場所でそこにはポルシェティーガーが隠されていた場所だった。反対側の通路にも戦車で塞がれており、優花里さんが見に行き確認したところかなりボロボロだがエレファント重駆逐戦車である事が分かった。

 

 入口には電子ロックされた重々しい扉。

 

 私は鍵を刺したのだ。

 

 電子ロックが解除されると、倉庫の中では酸素の入れ替え作業のマークが出ており、中の戦車はモスボール状態だった事がわかる。

 

 油の切れたギアの様な鈍い音を立てて重々しい扉が開き始めた。

 

 中にあったのは飛騨さんから言われた通り、九両の戦車だった。戦車の状態はかなり良好で燃料とエンジンオイルさえ入れれば直ぐに稼動可能な状態だったのだ。

 

 「凄いじゃあないですか!幻のVII号戦車のレ-ヴェはこれは・・・・150ミリ戦車砲搭載型ですね。さらに、パンターの最終生産型のパンターF型しかも、ティーガーIIと同じ88ミリ戦車砲搭載型ですよ!こっちなんか、強行偵察を目的に開発されたミニパンターこと、レオパルドまでありますよ!あれ?このティーガーIIは主砲が太い・・・・あっ!?こっ、これは・・・・・105ミリ戦車砲ですよ!凄いですよ!」

 

 九両の戦車を見てハイテンションの優花里さんだった。

 

 

 私達、あんこうチームが選んだ戦車は飛騨さんが隊長時代に使っていたティーガーIIポルシェ砲塔タイプを選んだ。状態もかなり良く、チームが生かせる技術をフルに出せる様にチェーンされていたからだ。全ての車両に燃料とエンジンオイルの補給が済み、エンジンをかけるとあの体に響く様なマイバッハエンジンの鼓動が体を揺らした。

 

 こんなに良いエンジンの鼓動・・・・

 

 私達は隊列を組み、船倉から全ての戦車を学園に向けて出発したのだ。

 

 「Panzer vor」

 

 あんこうチームの新しい仲間になったティーガーIIはゆっくりと始動し走り始めたのだ。船倉に眠っていた戦車達はまるで出番が来たかのように甲高いエンジン音を上げて喜びを上げていたのかも知れない。

 

 

 ただ、それは始まりなのかも知れない。

 

 倉庫の前に並んだ戦車達。

 

 夕日を浴びてそびえ立つ主砲。

 

 私達がやることは沢山ある。

 

 まず、やることは洗車だ。いくら、モスボール状態だったといえども車内も外装も埃塗れでは可哀相だ。そして、みんなと協力しての整備。それに関しては卒業生で旧レオポンチームの旧自動車部の皆が細かい整備をしてくれる事になったのだ。理由はどうやら、杏ちゃんに頼まれたらしいく快く引き受けてくれたのだ。

 

 ただ、塗装だけは飛騨さんの思いを引き継ぎたいと言う事で、光と闇の迷彩はそのままになった。

 

 新たに戦力の増強した私達は再び、あの大会に出場したのだ。

 

 かつての戦友達と激戦を繰り広げ勝利を手にして行ったのだ。

 

 そして、決勝戦はやはり、黒森峰女学園だった。

 

 隊長はお姉ちゃんから引き継いだエリカちゃんだった。

 

 緒戦からの激しい砲撃の応酬だった。

 

 やっぱり、決勝戦にレ-ヴェとストームティーガーの投入は正解だった。

 

 ストームティーガーのロケット弾で吹き飛ぶマウス。

 

 それは偶然の一撃だった。

 

 ストームティーガーを担当したのは一年生、七人のチームでチーム名はマングースチームだった。ロケット弾を装填して指示した座標に発射させようと調整したが間違えてロケット弾を水平射撃をしてしまったのだ。

 

 発射したロケット弾は地面をえぐるように進み、偶然に射線上にいた黒森峰のマウスに直撃したのだ。直撃したマウスは380ミリのロケット弾の爆発に耐え切れずに横転したのだ。

 

 レ-ヴェの主砲で側面を叩かれ横転するE-100重駆逐戦車

 

 これは、作戦勝ちだろうか。 

 

 三号突撃砲、ヘッツァー、三式中戦車を囮に黒森峰の戦車を誘導し、レ-ヴェを先頭に重戦車による側面攻撃を敢行したのだ。

 

 草原は恐竜対恐竜の戦いだった。

 

 そして、広い草原では私達、あんこうチームが駆るティーガーIIポルシェ砲塔タイプとエリカちゃんが駆るティーガーIはお姉ちゃんから引き継いだ戦車だった。

 

 二人は真剣な眼差しでも、再び戦えた喜びに心を踊らせたのだ。

 

 「「撃て!」」

 

 重なる砲撃

 

 そして、勝ったのは・・・・・

 

 『黒森峰女学園、フラッグ車走行不能!よって、勝者大洗女子学園』

 

 私は再び優勝したのだ。

 

 皆の思いを乗せて・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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