第01話 金髪の少女
SIDE
気づくと俺は、寝台で寝ていた。渦に入ってしまってから一体どのくらい経ったのだろうか。みなは大丈夫だろうか?等を考えたが、今のこの状況……俺は助けられたのだろうかと思ったとき、扉が開いた。開けたのは金髪の少女だった。
「あ、目が覚めたんですか?」
「え、ああ。君は?」
金髪の少女はよかったと小さく呟きながら入ってきた。
「私はフェイト・テスタロッサって言います」
「俺は
「ここは「どうしました?」あ、リニス」
もう一人、リニスという女性が現れた。龍燕はすぐに気配で人と違うことに気づく。
「目が覚めたみたいですね?私はリニスといいます。貴方が庭で倒れていたのをフェイトが見つけて、私がベッドに寝かせたのですが……」
「助けてくれたのか?ありがとう」
俺が礼を言うと、リニスは近づいて言った。
「聞きたい事があるのですが…いいですか?」
「聞きたい事?ああ」
警戒をしていると俺は気づくが、まぁ仕方ないことだと思う。
「貴方は管理局の方ですか?」
「管理局?」
初めて聞く言葉に俺は顔を変えた。
管理局…この国にある組織かなにかか、と龍燕は思った。
「…違う、というより俺はその組織を知らない」
「そうですか。ではもう一つ。貴方はどの世界から来たんですか?」
「どの世界?」
俺は悩んだ。よく解らなかったが恐らく、国の事を世界と呼んでいるんじゃないかと思った。
「…多分貴女の知らない世界だ」
「知らない世界?」
「俺は仲間達と任務をしている際に、事故に遭い、目が覚めたらここにいた」
「そう、ですか。貴方は行く宛てはありますか?」
「正直ここまでの道程もわからない。だからその逆、帰る事も難しい。もしできたら少しの間ここに居させてもらえないか」
「えっ」
「少しの間でいい。頼む」
俺は頭を下げて言った。
「リニス…」
フェイトもリニスの後ろで心配そうに呟いていた。
「貴方は何か出来ますか?」
「俺に出来る事……か。料理と…戦いくらいかな」
そう答えるとリニスは腕を組み、右手を顎に置いた。
「戦い、ですか?教えるのは得意ですか?」
「俺は戦闘技術教導官の資格を持っていた」
「そうですか……なら」
リニスは何か思い着いたようだった。
「ではどれほどの力があるか、フェイトと模擬戦をしてみてください」
「なに?」「え?」
俺とフェイトは同時に驚き、言葉を漏らす。
「合格したらフェイトの戦技教導官として置いて差し上げます。では移動しましょう」
俺はリニスについて行った。
SIDE OUT
移動し着いた場所はいつもフェイトが戦いや技の練習をしているという場所だった。
「ではここでお願いします」
「…決まり事は?」
「ルールは相手を気絶させるか、ギブアップさせたら勝ちです」
「了解した」
「バルディッシュ、セットアップ」
[セットアップ]
フェイトはセットアップした。
「それは?」
「この子はバルディッシュ」
「そうか。こいつらは俺の武己の
左右に着けた
「はじめまして。私は
「…はじめまして
「えっとよろしく?」
「ひ、人になった?」
リニスとフェイトは驚いていた。
「君のは実体化しないのか?」
「…しません」
「えっと…模擬戦を…、この子達も参加するんですか?」
「いや見学だ」
「そうですか。では貴方もバリアジャケットに…」
「バリアジャケット、というのはない。だが
両手の籠手から桜の花弁に似た紅の炎が溢れ、龍燕の身体を包み込み、紅色を基調とした鎧を形成した。
「武装兵装、ですか。わかりました。では始めますので距離を取って構えてください」
「了解」
フェイトと距離を取った。
「では始めますよ?レディ…ゴー!」
先に動いたのはフェイトだった。フェイトは黄色い銃撃のようなものを数発飛ばし、その後ろを追うようにしながら龍燕に接近していく。
龍燕はその銃撃に興味をひかれた。飛ばしてきたのはビーム、レーザーといったものではないと見てすぐにわかる。銃撃を手の甲で打ち突く、眞炎流でいう
「はっ!」
龍燕は黄色い刃を右の人差し指と中指で挟み止めニヤリと兜の内で笑った。そして少しばかり力を込めて容易く折った。
「なっ」
驚きの表情を出したフェイトは一旦後ろへはねて距離を取り、折られた刃を生成し直して体勢を立て直す。
「武装兵装、解除」
武装兵装を突然解除した龍燕にフェイトとリニスが驚きの声を漏らす。
「あの…何故?」
「武装兵装だと差があり過ぎるからだ。それに力加減がほとんど自動だから難しい。俺は本来、鎧を纏わずに生身で戦う」
そう言って龍燕は左半身を前にした構えをとる。
「さぁ続きをしようか」
龍燕はわくわくとさせながら笑う。
「えっと…」
フェイトは不安そうな顔でリニスを見る。リニスも不安そうな顔だったがフェイトに頷いて返す。それを見たフェイトは視線を向き直した。
「わかりました。行きます」
「ああ」
フェイトは構え直す。
「フォトンランサー…」
フェイトの回りに砲台が三つ生成させ、龍燕を狙う。一方龍燕は構えを崩さず炎を身体に纏わせた。身体強化系腕力強化の技だ。
「ファイアッ!」
バルディッシュを龍燕に向け振り下ろし、さっきの銃撃……ランサーが龍燕に目掛けて放たれた。
「
龍燕も炎球を三つ生成し、それはランサーとすれ違いまっすぐフェイトへ向かう。龍燕は固打でランサーを破壊し、フェイトは炎球を鎌で斬り裂く。
「アークセイバーッ!」
声とともに鎌の黄色い刃が切り離され、弧を描いて回り、龍燕に向け飛んでいく。龍燕は右腕に炎を絡めた。
「
腕を振るい、炎がその勢いで放たれ、アークセイバーに当たり爆発した。
「…なかなか、だな」
爆発の煙りが晴れ、息が上がりかけているフェイトの姿を見ながら龍燕が言う。
「貴方の方が凄いです」
フェイトも龍燕を見て言うが、少し…いや、かなり驚いていた。『自分の息が上がっているに龍燕の方は上がっていない』ということにだ。
「体力の差か。なら次で決めるか?」
フェイトはチラリとリニスの方を見た。リニスは何か目で合図しているのが見え、龍燕は何か来るなと思い動こうとした。しかし動かない。両手足に違和感を感じ見てやると黄色い輪にしっかりと留められていた。
「拘束か…」
龍燕は視線を戻しフェイトを見ると、最初の砲台をかなり増やしていた。
「行きます!」
フェイトは何か呪文を唱え始めた。
「ほぅ…大技か」
辺りに電流が走った。龍燕は少し手足に力を込めれば簡単に輪を砕くことはできたがあえてまだやらなかった。
「フォトンランサー、ファランクスシフト!」
数機の砲台がさらに増えていく。
龍燕は面白そうだとまたニヤリと笑ってしまった。ここで拘束を難無く破壊して、フェイトを見た。
「どれほどの力か…来い!」
「ファイアー!」
何十発ものランサーが放たれた。龍燕は深呼吸を一度やって、次々と素手で打ち落とした。
やがてランサーが止んだ。龍燕の周囲に煙りが立ち込める。
「凄いな」
煙りの中で龍燕がそう呟く。煙が晴れ、胴着や羽織にも傷、汚れすらない龍燕の姿が見えた時フェイトは一言「降参」と言った。
それを聞いた龍燕はそうかと返し、リニスの方へ戻った。
「どうだ?」
戻った龍燕はすぐに聞いてみる。リニスは驚いた顔を浮かべている。
「えーと…まず、貴方は人間ですか?」
「何?」
リニスのいきなりの妙な発言に龍燕も驚く。
「いえ…なんでもありません。合格です」
妙な発言に驚いた龍燕だが合格を貰ってよかったとほっとする。
「有難う。それにしてもフェイト」
龍燕は戻ってきたフェイトの方へ振り返る。
「強いな」
「…龍燕に比べればとても…弱いです……」
「いや、フェイトは素質もあるし、もっと強くなると俺は思うぞ」
俺はフェイトの頭を撫でながら言った。
「えと、あのその…」
顔を赤らめながら下を向いた
「それに銃撃にも驚いた。アレは魔力だったが、魔力にあんな使い方があったのは知らなかった。俺のいた世界では魔力を使っての戦闘は刀や剣用の属性付与用ぐらいだ」
「そうなんですか。私は炎を纏ったり、放ったりしていたのに魔力を感じなかったのに驚きました」
お互いに驚いた事を言い合う。それからリニスと少し話し、龍燕はいくつか使える技を披露したり、精神力の操作を使えるようになればフェイトにも使える技を見せた。一通り見せた後は屋敷に戻り、今後の話をした。