龍燕達は今、クロノ達と話しをしていた。
「潜入なんだが」
「俺は行くぞ」
「俺もだ」
龍燕と虎牙は聞き行くと言うとクロノは頷いた。
「頼む」
「あの…」
なのはは口を開き、真剣な顔で言った。
「私も行きます!」
「なのは?」
虎牙は驚いた顔でなのはを見た。
「危険だぞ」
「それでも!」
真剣な顔でクロノや虎牙に言い返すなのは。
「わかった、俺から離れるなよ」
「お、おい」
虎牙の言葉にクロノが目を見開いた。
「こうなったら止められない」
クロノはなのはと虎牙を交互に見て溜め息をついた。
「全く…好きにしろ。艦長には僕から言っておく。突入隊の編成は僕と龍燕、虎牙、なのはでいいな」
皆は頷いた。
「二時間後に突入するから、それまで休んでいてくれ」
簡単な作戦会議を終え、龍燕と虎牙は特務機動隊制服を着用した。
「その服装は?」
「眞羅暁帝王国、特務機動隊の制服だ」
「もしかして虎牙もか?」
「すまんな。龍燕は課長で、俺は補佐だ」
クロノは苗字が同じだった事を今更思い出した。
「そうだったか…」
龍燕は一室を借りて虎牙と話した。
「虎牙」
「どうしたんだ?」
「俺、アリシアを蘇生しようと考えてる」
虎牙は顔が険しくなった。
「蘇生は…」
「禁術なのはわかる。分かってはいるが…」
龍燕は悩んだ。
「龍燕がしたいならやればいいだろ」
「……」
「禁術は確かに悪い事、だが良いことに使うならきっと龍神様だって龍王様だって許してもらえるさ」
「…虎牙。ありがとう」
突入する時間が近づき、龍燕と虎牙、なのははクロノのいる転送ポートに移動した。同時に次元震と思う揺れが船を襲った。
「早く行こう、クロノ」
「ああ」
転送ポートからプレシアのいる時の庭園に移転した。
時の庭園は変わり果てていた。廊下のあちこちは抜け落ち、黒い空間が覗かせていた。
「ここは虚数空間。あらゆる魔法が一切発動しなくなる空間だ。落ちたら重力の底まで落下する。二度と上がってはこれないから気をつけろ」
クロノが走りながら説明した。
「精神力を使う俺や虎牙でも心配だな。気をつけよう」
虎牙は頷いた。
長い廊下を駆け、広間に着くと沢山の傀儡兵が待っていた。
「俺と虎牙で片付ける。クロノとなのはは力を温存していろ」
二人は頷いた。
龍燕と虎牙は虚空瞬動を使い一分程で傀儡兵全てを蹴散らした。
「なんて速さと力だ」
「どうって事はない。次はどうするんだ?」
「二手に別れる。虎牙は僕について来てくれ。なのはは龍燕と一緒にプレシアの方へ」
「わかった」
「了解」
二手にわかれた。
次の広間にも傀儡兵は沢山いた。
「龍燕君、私も行くよ」
「わかった」
大型の傀儡兵になのははディバインシューターを撃ったが全く通用しなかった。
「くっ」
なのはは次にディバインバスターを放つがシールドが固く、届いていなかった。
その時、その傀儡兵に雷が落ちた。見上げると龍燕の篭手を付けたフェイトがいた。
「なのは…」
「フェイトちゃん」
なのははフェイトの近くへ寄った。
「あれ、シールドが固いよ。でも、二人でなら」
フェイトは無言で頷き、二人は大型の傀儡兵に攻撃した。二人の攻撃は見事にシールドを破り、本体を貫いた。
「そっちは終わった、か…フェイト?」
「龍燕、私も行くよ。母さんに言いたいことがあるから」
龍燕は笑って答えた。
「わかった。行こうフェイト、なのは」
三人はプレシアのもとに向かった。
SIDE プレシア・テスタロッサ
「………侵入者?執務官達かしら。でも私は構ってあげられない」
この不治の病に侵された身体……、もう駄目ね…。
(フェイト……あなたは、幸せに生きなさい。いつでも見守っているわ)
そう心に思い、目を閉じた。
次元震の揺れが治まり始めるのを感じて周りを見回した。
「プレシア・テスタロッサ」
そこにいるのは緑色の髪に、管理局員の服装をした女……来たわね。
「終わりですよ。次元震は、私が抑えています。駆動路は直に封印…あなたの元には執務官が向かっています。……忘れられし都アルハザード…そしてそこに眠る秘術は存在するかどうか曖昧なただの伝説です」
「……夢物語でも構わない。滅び行く身体に与えられた最後の希望……それを邪魔する人間は全て消し去るわ!」
ただのハッタリ。私にはもう、立っているのも精一杯。もう限界だわ……。
「……随分と効率の悪い賭けだわ」
「そんなこと知れている。でもやらなければいけない。こんなはずじゃなかった、この過去をやり直す!」
私が消えることで、あの子が幸せになれるのなら……。
近くの壁が破壊された。
(執務官かし、!)
崩れる瓦礫から入って来たのは執務官ではなく、龍燕だった。
「……龍燕」
「周りに認識障害等を張った」
「何しに来たの?」
龍燕は私に近づき、アリシアを見つめた。
「蘇生しに来た、と言う前に二つ質問する」
「蘇生出来るの?」
「執務官が来ると厄介な事になり、間違いなく止められるだろう。質問に答えてくれ」
私は質問に答える事にした。
「その質問は?」
「アリシアは間違いなく『事故による死』なんだな?」
「そうよ」
「そうか。『寿命による死』でなければ禁術が通用する」
「二つ目の質問は?」
龍燕はアリシアを見て頷いた。
「もう一つは元の身体があるかだが、大丈夫だな」
龍燕は私に、アリシアをポットから出すように言いい、服も着させるように言う。
「これでいい?」
龍燕は頷き、儀式を始めようとした。が龍燕の壊したところとは別の壁が爆発した。
「くっ、遅かったか」
龍燕の顔が険しくなった。
「龍燕…そこで何をしているんだ?」
「龍燕は悪くないわ!」
私は残った魔力を使って九つのジュエルシードを発動させた。
「プレシア…」
「龍燕…ここは危険だから離れげふっごほっ……うぅ」
私は手で咳を受け止めた。手には赤い…血溜まりがあった。
(私はもう……)
「母さん!」
私のもう一人の娘、フェイトが歩いて来た。
「母さん、助けに来ました」
私は…酷くショックを受けた。私はフェイトに酷いことを続けてきた。それなのにフェイトは……私を笑いながら『助けに来ました』と言ってきた。
涙が零れそうな目を私は必死に堪えた。
「虎牙!いるか!」
龍燕の声に虎牙がクロノの隣をすれ違って下りてきた。
「ああ。すまん、わざと遠回りしたんだがクロノも結構優秀だった」
龍燕はコソッと虎牙に言うと何かを手渡した。
「『これ』があれば管理局は無茶な事は出来ないだろう。あとフェイトに煉を預けたから隊舎のことを聞いてくれ。そこなら安全だろう」
虎牙は頷いた。
「龍燕…、あなたは何故私を助けるの?」
私はとても気になった。何故こんな私を助けるのかと。
「人が人を助けるのに御大層な理由や理屈を並びたてる必要はない。ただ助けたい。放ってはおけない。人を助ける理由はただそれだけの想いがあればいいんだ。俺はプレシア達を放っておけない。プレシアが死んでしまったらフェイトも、アリシアも悲しむ。それに……俺にも娘が二人いるんだ。もし娘が死んでしまうような事があったら、その時俺はどうなるか……。でも、それでも娘を助けるために俺も禁忌を犯すかもしれない」
私は涙を堪え切れずに涙が溢れで出た。
その時、次元震が激しく揺れ始め、床にはあちこちに亀裂が走った。
「あ……」
私とアリシアは虚数空間に出されてしまった。
「母さん!」
「……フェイト」
私は虎牙に助けられた。フェイトは白い魔導師に。アリシアは?
アリシアの方を見ると龍燕が必死にアリシアを助けようとしていた。
「龍燕!」
私は叫んだ。龍燕はアリシアの手を捕らえ、虚数空間の中で振り返って言ってきた。
「プレシア!約束だ!アリシアと一緒に戻ってくる!虎牙、お前の癒し火でプレシアの病気を治してくれ!」
「龍燕!」
龍燕はもう……虚数空間の中。助かる可能性もゼロに等しい。私のせいでこんな事になってしまった。私がジュエルシードをお願いしな…けれ……ば。
私の視界はここで真っ白になった。