SIDE
リニスは行ってしまった。
俺は行くならフェイトに伝えてからでもと言ったが、リニスは首を横に振り伝えなかった。理由は別れづらくなるからだそうだ。
フェイトはリニスが行ってしまってから部屋に閉じ籠ってしまい、何日かが過ぎた今も出てくる気配はない。いくら声をかけても返事が戻らなかった。
「今日も…フェイト出てこないね」
フェイトの使い魔のアルフが寂しい声で言った。食事量もかなり減ってしまったことも合わせ、フェイトのことをかなり心配していた。
「ああ」
アルフも俺と一緒にリニスが出て行く直前に会っていた。俺はその時リニスと約束した。『この世界にいる間、フェイトを必ず守る』と。
俺は椅子から立ち上がった。
「シエン?」
「フェイトの部屋に行ってくる」
そう言って俺は食堂を出た。そしてまっすぐフェイトの部屋へ向かう。
「フェイト、聞こえるか?」
しかし、返事はなかった。
「そのままずっとそうしている気か?何もせずそのままじっとしていて、リニスがそれを見たら何と言うか思い浮かべてみろ」
それでもフェイトはだんまりだった。
「お前は何がしたいんだ?お前がしなければならない事はなんだ?閉じ籠って出来る事なのか?自分でよく考えてみろ」
そう言い残した俺は食堂に戻る。
食堂に入るとアルフはまだ座っていた。
「あ、シエン。フェイトは…どうだった?」
俺は静かに首を横に振った。
「そう…」
「言ってやりたいことは言った。あとはフェイト次第だ」
数時間後。フェイトは部屋から出てきた。そしてアルフや俺に微笑みを見せた。だがその微笑みは少し違った。どこか無理をしているような…そんな微笑みだった。
SIDE OUT
食事を終え、また久しぶりの修業の再開しようかという時だった。
プレシアに呼ばれ、フェイトと共に向かった。
「来たのね」
「何でしょう?」
「取って来て欲しい物があるの」
フェイトの前に空間モニターが浮かび、そこにジュエルシードと書かれたデータが映っていた。
「そのジュエルシードっていうのをたくさん取って来て欲しいの。どっかの誰かが輸送中に事故ってしまったみたいで…場所はあなたのデバイスに送っておいたわ。急いで準備を済ませて行きなさい!」
「はい。行ってきます」
フェイトはお辞儀をして部屋を出て行った。しかし、プレシアは何も言わずに立ち上がった。
「プレシア、フェイトが行くと言ったが?」
「……」
それでも何も言わず奥の部屋へ足を踏み出し始める。
「!!いつの間に?どきなさい!」
驚きながら言い放ってくるプレシアに、
「俺の質問にまだ答えてないが?」
「…それは必要ないからよ」
「必要がない?」
意味がわからなかった
「さぁ言ったわ。どきなさい!」
プレシアは強く言った。
「もう一つ、プレシアに聞きたい?」
「なにを?」
「『フェイト』の事だ」
「…私は忙しいn「人と少し違うな」!」
「あまり言いたくはないが…な」
「あなたまさか…」
プレシアは
「それにそこで眠っているのはフェイトの『
「……いつから」
殺気を飛ばし、プレシアは聞く。
「少し前だな。リニスの異変に気づき、それで突き止めた」
「…そう。それで?」
「プレシアはボロボロになってまであの子を蘇らそうと考えているのか?」
「ええそうよ。あの時の約束を果たすために」
「約束?だが無理してあの子が蘇ったとしても、プレシアが死ぬかもしれない」
「私が死んでもあの子に生き返って欲しい」
「あの子が生き返ったとして、プレシアが死んでしまったらあの子はどう思うか予想できないか?」
「そ、それは…」
プレシアは顔を歪めた。きっと蘇らす事ばかり考えてその先の事を考えていなかったのだろう。
「それにフェイトはどうなる?」
「……なさい」
プレシアは何かを言ったが
「フェイトの事も何も考えてないのか?」
「黙りなさい!」
途端プレシアは
「私の気持ちも知らないくせに何も言わないで頂戴!」
さらに雷を放って来た。しかし三つ目を放った直後にプレシアは咳込み始めた。
「プレシア!」
慌て
「私には…時間がないのよ……」
「癒し火」
「これは?」
炎に包まれ苦しさが消えていき、プレシアはこの不思議な感覚に驚いた。
「自分の体の事も少しは考えろ。フェイトもあの子も心配する」
「私はあなたを殺そうとしたのに、あなたは私を助けるなんて…ね」
プレシアは小さく笑みを浮かべた。
「プレシアが死んでしまったらフェイト達が悲しむ。それに俺の…」
「何?」
プレシアは顔を上げ、
「恩人でもある」
「恩人?」
「そうだ。ここに泊めてもらえなかったらどうなっていたかわからない」
「…そう。でも私はあなたを利用して…」
「それでもここにいさせてくれた」
「……そう。おかしな人ね。ありがとう、
「よかった」
しかし、プレシアはいつもの顔に戻して言った。
「あなたもできたら、フェイトに付いて行ってあげて」
「ああわかった。プレシアも無理だけはしないように、な」
「…わかったわ」
そう言って奥の部屋に消えた。
「さてフェイトのところに行くかな」
フェイトの部屋に行くとアルフとともに準備していた。
「よし、準備もできたし、行こか」
「うん」
「ああ」
フェイトは準備を終え外へ行き、ジュエルシードが散らばったという現地名『地球』に向かった。