龍燕は管理局側にお願いをした。内容は『フェイトとなのはのジュエルシードを賭けた戦い』だ。
結果は少し長くなったが了解してくれた。多分管理局側にいると思われる虎牙となのはも同様のお願いしたのだろう。
そして今はフェイトに色々と『戦い』を教えている。フェイトは覚えが速く、龍燕はきっと勝てるだろうと考えている程だ。
「フェイト、とうとう明日だな」
「うん」
「大丈夫だよ。フェイトなら絶対に勝てるさ」
アルフは言った。
「そうだな」
龍燕は笑った。
「明日の戦いで、まず一段落だな」
「うん」
フェイトは頷いた。
「身体、休めろよ」
「うん」
早朝。龍燕とフェイト、アルフは指定された場所に着いた。なのは達もいた。
五分遅れて管理局執務官、クロノが現れた。
「揃ったな。じゃあ始めるぞ」
「周りに被害がでないよう結界を張らしてもらおう」
龍燕は千変結界を、海上を中心に掛けた。
「君は本当にめちゃくちゃな……」
クロノが龍燕の強力過ぎる結界を見て驚きを通り越して呆れていた。
「始めの合図はクロノ執務官が頼む」
「わかった」
フェイトとなのはが海上で合図を待った。
「開始」
試合が始まった。
なのはの魔力弾の誘導は前より優れていた。フェイトはその対策を龍燕に教わり、問題なく防いでいく。しかし、後半戦に入ると魔力の消耗、体力の消耗も上がり、動きのキレが段々と低くなってきた。
と、その時フェイトはなのはを捕らえた。
フェイト最大の切り札。初めて龍燕に使った時は全く効かなかった。そして、龍燕に対なのは戦の為にその切り札を更に強力発展した切り札。
その切り札の技、全てをなのはに当てた。しかしなのはは全てを受けきって見せ、さらに技を用意していた。フェイトは避けようとしたがバインドを掛けられた。
「受けてみて!ディバインバスターのバリエーション!」
なのはの前に大きな桃色の球が現れた。
「あれは何処から現れた?なのはは尽きかけてたんじゃないのか?」
龍燕は疑問に思い虎牙に聞いた。
「あれはなのはの切り札、『スターライトブレイカー』だ。辺りに散布された残留魔力を収束した技らしい。俺もあれに撃たれた時防ぎ切れず落ちた」
「落ちた?お前がか」
龍燕は予想以上のなのはを見て、まずいなと感じた。
「全力全開!」
なのはは杖を振り落とした。それを見てフェイトは最後の抵抗にとシールドをいくつも張った。
「スターライトッ……ブレイカーーー!!」
スターライトブレイカーはフェイトの張ったシールドを消し進み、フェイトを包み込んだ。
戦闘終了と見た龍燕は虚空瞬動を使い、海面に落ちる前に受け止めた。
「フェイト…、決したな」
「…うん」
「フェイト、勝負は…負けてしまったが、よく頑張った」
「……うん」
『プットアウト』
バルディッシュからジュエルシードが出てきた。それを取りに出たなのはがフラフラで飛び寄ってきた。その時、フェイトの上に紫色の雲が現れた。
「フェイトを頼む!」
そう言った龍燕はフェイトをなのはへ投げた。その直後に紫色の雲から落ちてきた雷をまともに龍燕は受け、海に落ちた。
「龍燕!」
フェイトは身体を震わせ、なのはの腕から飛び降りて龍燕を追った。
無防備となったジュエルシードの一部はプレシアにより移転された。
虎牙は龍燕とフェイトを引き上げ、安全のところへ移動した。
「龍燕!大丈夫か?」
「虎牙、か?身体が少し痺れているが。フェイトは?」
龍燕の手を見てやると痙攣していた。
「アースラにいる」
「そうか」
龍燕もアースラに向かった。リンディ提督に会った時、丁度そこに通信が入った。潜入したアースラの部隊のようだったが皆倒れていた。
そして、次に映されたのは……。
『消えなさい!私の娘、アリシアにはさわらせない!』
映されたのはプレシアと…、カプセルで眠るフェイトと瓜二つの少女だった。
「アリ、シア……?」
フェイトは口を半開きにしている。
『聞いているんでしょう?フェイト……』
フェイトは身体を震わせた。
『貴方はこの子、アリシアの代わりに作り出した人形・・・・』
「プレシアが作り出した死者の蘇生秘術…当時研究がなされていたプロジェクト『F.A.T.E』のことだな。それにあやかって、フェイトにその名をつけたか」
『その声、龍燕ね?』
「……ああ」
龍燕は頷き、プレシアを見た。
『アリシアは……いつでも私に優しかった……。フェイト、やっぱりあなたはアリシアの偽物よ…。せっかくあげたアリシアの記憶もあなたじゃダメだった……』
「やめて…やめてよ!!」
『アリシアを蘇らせるまでの間に私が慰みに使うだけのお人形』
そこでプレシアさんは言葉を止めた。何かを思い止めた顔を手で隠した。
「プレシア……、もう話すな」
「龍燕、その目…」
虎牙が龍燕の目を見ながら言う。龍燕は炎之瞳という技を使い、プレシアを見ていた。
そこで映像は途絶えた。フェイトはショックな言葉を聞き、正気を失っていた。
リンディ提督に一室を借りて、フェイトを寝台に寝かした。
「フェイト」
目は開いているがフェイトは反応がなかった。それでも龍燕は言った。
「これを預けておく」
龍燕は右に付けた籠手を外した。
「煉」
外した籠手から少女が現れた。
「はい」
「俺が戻るまでフェイトを、護ってくれ」
煉は頷いた。
龍燕は部屋から出ていき、リンディ提督を捜した。