空と白...二人の主に仕える天翼種であるジブリールが何やら企んでいるようです

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ポッキーゲーム

白「Zzz...」

 

空「...白さーん白さーん起きてますかー」

 

白「Zzz...」

 

空「...よっし!」

 

人類種を主体とするエルキア連合の勢力はだんだんと広げつつあり、凄まじい功績を残してきた「 」(くうはく)は、外交のほとんどをステフに委ねているのはもはや周知の事実である。

 

それゆえ自由に使える時間というものも結構多くあるのだが、最近は熾烈なゲームが続いたため、その時間の多くをそれらに費やしていた。

 

「 」(くうはく)にとってゲームに時間を費やすというのは極めて自然なことであり、別に苦とも感じていないのだが、18歳かつ童貞街道を全力で突っ走ってるナウの空には一つ重大な問題があった。

 

そう...イタしてないのだ!!!

 

空「さすがに3ヶ月はきついわ...しかぁし!ようやくありつけるというもの。テンション上がってきたァァァァァ!!!」

 

今空の手元には大量の風呂写真があった...溜まりに溜まったそれらをフルに活用して情事に臨もうとしているその姿はさながら獣人種のようだった。

 

空「...いざ!」

 

???「マ、マスター。その、夜分遅くにすみません」

 

空「おっほおおおおおおお!??ど、どしたジブリーーーーール!?」

 

ジブ「も、もしかして取り込み中...でしたか?」

 

空「いやいやいやいや、全然そんなことはないないない!!!」

 

扉を開けることなく部屋に入れる天翼種が割り込んでくる状況は百戦錬磨の空といえども考慮していなかったようだ。なんとか普段の落ち着きを取り戻し、問うた。

 

空「で、なんの用だ?ジブリール」

 

ジブ「不躾ながら、近頃学んだゲームをマスターとやりたいと思いまして♪」

 

空「わざわざ、夜中に?」

 

ジブ「夜中でなければ意味がありませんので。」

 

空「ほほう...」

 

なにやらイケない妄想が繰り広げられる言い回しに童貞力を全開で発揮させつつ、再び問うた。

 

空「で、そのゲームって?」

 

ジブ「ポッキーゲームにございます♪」

 

空「.....ふぁ!?!!??!?」

 

 

予想の斜め上をいく回答に平静を取り乱した空。今の彼の心中はこう。

 

空(落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け相手は6000歳オーバー、年増なんてレベルじゃない。さらに感情はないとか自分で言ってたし他意はないないないないない俺のこと好きなんじゃねとか絶対ないただの服従心だけのはずだ落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け)

 

ポッキーゲームという単語に過剰反応してしまい、駆け引きに強いという長所は完全に機能していなかった。

 

ましてや現実世界でのトラウマが尾を引いており、いわゆる『勘違い男』のレッテルを貼られるのはごめんだとする精神から、空を慎重かつ臆病にさせていた。

 

空(そ、そうだ!どうしてポッキーゲームなんて天翼種が知ってるんだ!?)

 

空「ど、どこでポッキーゲームなんて知ったんだ!?」

 

ジブ「マスターの私物からです♪確か、白様曰く『えろげ』というやつらしいですが...」

 

空「なんでお前勝手に俺の私物漁ってんの!??」

 

ジブ「以前マスターがやっているところを見て興味を抱いたと白様に話したところ、快く貸してくださいました」

 

空「マイシスタァァァァァァ!」

 

空「いや待て!いつ俺がやってるところ見たんだよ!!」

 

ジブ「共感覚というやつです♪正確にはマスターの視覚を通して見ました♪」

 

空「天翼種なんでもありかよォォォォ!」

 

完全にチートだった。現実世界なら犯罪。プライバシーの侵害とかいうレベルじゃなかった。ていうか服従を誓った主の私生活監視は明らかにおかしい事実だったが、そのことに頭が回らないほど空の気は動転していた。

 

ジブ「それではマスター♪そろそろ始めませんか?」

 

空「いや待て待て!そもそもポッキーはどうするんだ?」

 

ジブ「それなら私が生成しておきました。試しに食べてみますか?」

 

モグモグ

 

空「なんで味まで完璧なんだよォォォォ」

 

ジブ「ではそろそろよろしいですか?」

 

空「待て!挑まれた側には要求権があったはずだ!」

 

ジブ「忘れておりました。不肖このジブリール、喜んでマスターの子を孕みましょう。」

 

空「まだ何も言ってないんすけど!?俺そんな鬼畜じゃないからね!?」

 

ジブ「ですが、マスターの勤しんでいるゲームの中にそのような代物が」

 

空「悪かった!俺が悪かった!」

 

ジブ「で、要求は孕む、でよろしいですか?」

 

空「いやいやいや!今考えるから!ウェイトウェイト!」

 

18歳童貞といえどシチュは選びたいという思春期男子らしい習性から別の案を考えるが、どうもいい要求が思いつかなかった。

 

ジブ「マスター、提案なのですが」

 

空「ん?なに?」

 

ジブ「私が挑まれたことにして、私から要求させていただけませんか?」

 

空「ほほう、内容によるな。あっ、孕むはなしな?」

 

ジブ「...残念ですが、仕方ないですね。」

 

空「本気で残念がるな!girlはもっと恥じらいをもつべき!」

 

ジブ「それではマスター...私が勝ったら、『コイビト』という関係になっていただけませんか?」

 

空「ぶふっ!!?」

 

ジブ「マスター、ダメですか?」

 

空「待て待て待て待て。俺には妹という大事なヒトがッッ!」

 

ジブ「聞いたところによると、マスターの世界では『ふりん』という制度があったのでしょう?それをすれば良いのでは?」

 

空「おいこらァァァ!どこで知ったァァァ!」

 

ジブ「もちろんマスターの私物です♪」

 

空「くっそおおおおおおお!」

 

ジブ「嫁が30人いる獣人種もいるようですし、マスターだって側室を設ける権利はあるはずです♪」

 

空「いやでもな、ジブリール。そういうのは愛がないとダメらしいぞ?服従とは違う、本物の愛が」

 

ジブ「だったら、問題ないですね。私はマスターのことを心から愛しています♪そうだ!こうしましょう!私が勝ったら、服従関係を無くして『コイビト』になりましょう!」

 

空「ぐふぉッ!!?」

 

何度もいうが、空は童貞である。彫刻品のように美しいジブリールからこのように迫られてしまっては完全にアウトであり、実際心は揺らぎかけていた。

 

ジブ「もちろん、マスターにとっての一番が白様であることは重々承知しております。わたくしめはあくまで『2番目』、いや最悪ドラちゃんの次で『3番目』でも構いません。愛するマスターに付き添って生きたいのです。」

 

ここで、空には一つの疑問が浮かんだ。今これを断ったら、自分は男としての器が小さい最低人間ではないかと。こんなに美しい(6000歳オーバーだが)少女が間接的に告白してくれているのに、自分は誠意を見せなくて良いのか、と。

 

さらに、すっかり失念していた。『「 」(くうはく)に黒星はありえない』のだと。ジブリールにより一つだけついてしまったものの、そのコンセプトは変わっていないのだと。

 

ならば、勝てばいいじゃあないか。勝てば何の問題もない。そう思いついた空は返答した。

 

空「いいだろう、その勝負のった。」

 

ジブ「ではマスター、」

 

2人「盟約に誓って(アッシェンテ)!」

 

そうしてジブリールが生成したポッキーの端を互いに加えた2人だったが...空はようやく気づいた

 

空(あ、このゲーム俺勝つ要素ないじゃん)

 

ポッキーゲームというのはいつの間にか夜に広がっていたいわゆる『リア充の遊び』だが、世界の共通認識であるそのルールは、『先に口を離した方が負け』である。

 

それは裏を返せば、『口を離す気がないものにとっては必勝のゲーム』とも言えた。

 

そして、少なからず空に好意を抱いていると思われるジブリールには離す理由は特になく、空には引き分けか負けしか残されていないのだった。

 

空(引き分けっつってもな...)

 

このゲームにおける引き分けというのはもちろん互いに口を離さない、すなわちキスをしてしまう事にほかならない。

 

別にそれが嫌という訳ではないが、発情状態の自分がいったいどうなってしまうのか、空には予測がつかなかったのだ。

 

空(まあ、為せば成るってやつかな...)

 

ゲーマーとしての誇りだとか、神霊種すらも下した威厳はそこにはなく、真の童貞力がいかんなく発揮されているようだった。

 

空(ゴメンな白...お兄ちゃん1個引き分けちゃううえに大人の階段登っちゃうぜ...)

 

ポッキーはその3分の2がすでになく、なにやら頬を赤らめたジブリールと顔が若干とろけている空は、もうその結末を受け入れていたのだった。

 

空(ええい、ままよっ!)

 

ジブ(空様の『ふぁーすときす』とやらをいただける幸せ...もう思い残すことはありません)

 

両者目を閉じてラストスパートを一気にかけ、ついに...

 

chu‥♡

 

空(ジブリールの唇柔らかいな...でもなんか表面積広くないか?タラコ唇だったっけか?)

 

ジブ(ああ...幸せ。でもなんかひらべったいですわね?)

 

疑問を感じたふたりが目を開けるとそこには...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...2人の唇の間に手をはさむ小さく真っ白な修羅がいた

 

空「し、白さん?いつの間に起きたのでございましょう?」

 

白「...そん、なの...どうでも...いい」

 

ジブ「あ、あの、その」

 

白「...ぼけ...あほ...ちにかえれ...」

 

完全におこだった。激おこプンプン丸だった。

 

白「...にぃ...しろの、こと...うら...ぎった」

 

空「め、面目ない」

 

白「...じぶ...りーる?」

 

ジブ「な、なんでございましょう?」

 

白「...つぎ...おんなじこと、したら...ころす」

 

ジブ「は、はいいいいいっ!」

 

 

 

...結局勝負は有耶無耶になり、罪悪感に苛まれる空、そして申し訳なさに相まって残念がっている様子のジブリールは延々と白様の説教を正座で聞かされるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

──別の夜

 

ステフ「そ、空!その、ポッキーゲームとやらを、私とやりませんこと!?」

 

空「お、おいステフ!それは!」

 

白「....てめぇ、の...つみを...かぞえな」

 

ステフ「ええっ!?理不尽ですわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

 


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