ポケットモンスター・騎士道   作:傘花ぐちちく

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忙殺されそうでしたので許してヒヤシンス


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 我が家の住所は実質公開中である。

 

 住居という点ではそうとも言えないのだが、私有地に入るだけなら山を越えれば誰でも出来てしまう。

 

 ALS○Kでも居れば良いのだが、一々山越えをしては資産を守れない。そうなると人間の警備員が必要になるが、求める条件が厳しすぎるので断念した。

 

 従順で、優れたポケモントレーナーでなく、物分りが良く、仕事を真面目にこなし、経歴に一点の曇もなく、口が堅く、ネットに疎く、僻地での一人暮らしに対応でき、物欲の薄い人間。ついでに言えば俺に対する忠誠心や信仰心を持っていて、立場をわきまえた人間であれば尚良い。

 

 が、居るわけ無かろう。奴隷の所持は禁じられているし、仮に、適当に拉致して一から奴隷を育て上げたとしても、いつかバレる。このだだっ広い敷地への侵入を防げるわけがないのに、情報を遮断するなど無理。人手なしに、資産を一箇所に集めて防衛する方がまだ現実的だ。

 

 俺はたった二畳しかない「家」でウンウンと唸る。

 

 二週間後、シロナと会うことになった。常識的な範囲の日程だ。だが悩ませるのは日程ではなく、出会う人物――シロナだ。シンオウ地方のチャンピオンだ。

 

 イッシュ地方に来るという設定は知っていたし、予測しなかったわけではないが、直接アプローチを掛けてくるとは毛ほども考えていなかった。それもこんな早期に。

 

「なんてこったい」

 

 まぁ、見た目だけなら誤魔化せなくもない。今履いている靴は上げ底だし、服には肩パッド、おまけにマントで体格も隠し、万が一覆面を剥ぎ取られても良いように付け髭とカラコンを付けている。

 

 完璧だ。

 

 ボロを出さなければ、の話だが。

 

 シロナとそのポケモンに面識のあるポケモンを連れて行くことは万が一を考えれば出来ないし、酒に飲まれないようにしなければ。

 

 シロナとの接触はなるべく絶たなければならない。その為の方法は一つある。

 

 まる一。フウロとの関係を友達からランクアップさせ、「彼女以外の女性とは遊びません」の呪文を唱える。ある種非常識な行動を取る彼女だが、そういう人種は真っ当な行動な理由には強く出れない。

 

 ……デジャヴか?

 

 強引に連れて行かれそうだ。

 

 まる二。逆に、シロナを攻略する。

 

 無い。有り得ない。可能性として論外。考える必要すらない。

 

 暗殺者疑惑のある奴を攻略すれば、顔を見せた時に首を狩られかねん。シロナに限ってそんな事は無いだろうと思うが、一応。一応である。彼女の結婚相手としての条件は魅力的だが、命の危機があるのはNG。

 

 だがしかし、俺は公的には死んだ人間だ。今更命を狙うだろうか?

 

 …………。

 

 唐突な予定変更は止めたほうが懸命だ。二兎追ってどちらか一羽を都合の良いタイミングで捕まえるのは至難の業だ。最初の予定通りフウロを攻略しよう。

 

 そもそも、シロナが俺=エイジを導き出すには材料が足りなさすぎる。声を直接聞いたわけでもないし、会話をしたわけでもない。第一、エイジの時代にシロナとはあまり話していないのだ。分かるはずもなかろう。

 

 精々、俺が居なくなった後に騎士道にハマった、などという下らない理由だ。フウロと接点のある――ついでに記録更新も期待されている――俺と話をしたいというのは何ら不思議ではない。

 

 だが、話す意味は無い。彼女が一体何の理由で俺に近づくのか。

 

 どのように考えても、ジョン・スミス=エイジと知っていなければこの行動は出来ない。高々二十連勝の新人、まだ珍しくもない。

 

 ……脱出に何か瑕疵があったのか?

 

 証拠が残っていたか? 控室に監視カメラがあったりするのか?

 

 国家ぐるみで俺を追っている? ……これはないな。シロナとの遭遇で俺に悟らせる意味が無い。

 

 何らかの手段で、シロナは俺の事に気づいた。そう考えるとお宅訪問の際、盗聴器か監視カメラを設置した可能性がある。だが、そうだとすると何故今更になって接触してくる?

 

 ダメだ、思考のドつぼにはまっている。訳が分からない……。

 

 であれば、発想を転換して、防衛する方向に意識を向けよう。

 

 防御はゲンガーを影の下の地面に潜らせておくのがトレンドだ。ゴーストタイプは物理的接触を避けることが出来るので、咄嗟に身を守らせるにはうってつけの人材だ。

 

 ゴーストタイプに限らず、ポケモンを常時外に出して連れ歩く場合は、スタンガン同様警察に届け出を出さなければならない。ポケモンを連れ出すことはおろか、牧場で飼っているという体もあるのでその辺の抜かりはなかったが。

 

 これは(あらかじ)め申請しなければ、親友だろうが相棒だろうが普通にお縄or罰金なので注意しなければならない。サ○シもちゃーんと書類を書かなければ、ピカさんと離れ離れになってしまうのだ。

 

 暗殺を防ぐ為のポケモンなら、キノガッサや鋼タイプは非常に便利である。昏睡&肉盾に加え、対ポケモン・対人間に於いて大変優秀な成績を収められる事は間違いない。

 

 ただ、一つだけ欠点を上げるとするならば、胃痛には何の気休めにもならない所だ。正体の見えない仮想敵(シロナ)に怯えて暮らすのはストレスが掛かるらしい。

 

 

 

 シャッターを切る。

 

 サンダーは口に咥えたヤチェのみをパクリと食べ、籠を背負ったグレイシアが荷物を振り落とした。実を付けた低木が延々と写る風景を納めると、彼らに労いの言葉とおやつを渡す。

 

「ギャーォ」

「腹の肉が増えてないか?」

「ギャ」

 

 ほぼ日課と化した写真撮影だ。ブログにサンダーと他のポケモンの写真を上げているのだ。流石伝説と言うべきか、アクセス数はそれなりに伸びている。

 

 しかし、未だに「写真を取らせて下さい」などと、自称プロカメラマンのカスどもがメールを送ってくるのだ。中には本物が混じっているのだが、彼らに好き放題撮らせてはサンダーの価値が下がる。

 

 今俺が使っているカメラは大したものではないし、画像は意図的に解像度を悪くしている。許せないのだろうなぁ……だが、一銭にもならないオナヌーに付き合う気はサラサラないのだ。

 

 ヤチェのみを出荷している企業から、是非とも使わせて欲しいというオファーもあった。それは勿論受けた。少なくない報酬が支払われるし、お互いの良好な関係にも繋がるだろう。

 

 真のカメラマンは偉い人の伝手で現れるのだ。

 

 コミケでコスプレを撮る感覚でホイホイと公開していいサンダーではない。尤も、そんな事したら企業に怒られる。

 

「贅肉を減らさないと威厳がなくなるだろう」

「ギャーォ!」

「騎士道の試合に出てもらうからな」

 

 翼をバタバタと羽ばたかせて抗議するサンダー。この数週間で随分と堕落したものだ。手伝いの報酬にお菓子を提供するのは控えたほうが良さそうだ。カタログを利用する制度を導入しようか。

 

 それとも、Poketubeに上げた動画の広告収入で報酬を決めようか。

 

 

 

 

 

 フウロは騎士道の試合会場に来ていた。サングラスで変装をバッチリと決め、待ち合わせの場所でシロナを待っていた。

 

 ライモンシティのドームにはサンダーの出場を謳う横断幕がデカデカと表示されており、チケットを求めて無数の人が(たむろ)している。

 

「遅いなぁ……」

 

 かれこれ三十分ほど待ち続けているが、シロナは来ない。事故にでも遭ったのか、それともプラズマ団のような連中に襲われているのか。

 

 気が気でないフウロだったが、呑気な声が聞こえれば振り返ってシロナに詰め寄った。

 

「ごめんなさい、アイスを選ぶのに時間がかかっちゃって」

「もー! 心配したんですよ……って、後ろにいる人は?」

 

 アイス片手に微笑むシロナの後ろ、ちょこんと小動物のように佇む少女――四天王が一人、カトレアだ。ウェーブのかかったロングヘアーを揺らし、小さく欠伸をした。

 

「あら、フウロさん」

「カトレアちゃんも来たんだ。やっぱりサンダー?」

「いえ、今日はちょっとした用事の、そのついでです」

 

 三人はスムーズに入場を済ませる。チケットは希少であったらしいが、シロナはきっちり三人分揃えていた。

 

「よく手に入りましたね」

「知り合いに譲ってもらったのよ」

 

 シロナは近頃引きこもってばかりだと聞いていたフウロとカトレアだが、元気にいつも通りやっている様子を見れば、杞憂だと分かった。

 

「それにしても凄い熱気ですね。よくジョンさんの試合は見に来ますけど、ここまで盛り上がってるのは初めてですよ」

「フウロちゃん、ジョンさんの事、もっとよく聞かせてくれないかしら」

 

 フウロは蛇に睨まれた心地がした。何となく恐ろしい雰囲気がしたのだ。カトレアに助けを求めて視線を送れば、彼女はパンフレットをパラパラと捲って気づかない。

 

 絶体絶命? のピンチであったが、二人の間を遮るような大歓声が割って入った。会場を揺るがす声にカトレアは顔をしかめ、フウロは咄嗟に試合が始まりますね、と誤魔化した。

 

『伝説を手に入れた男、デュゥゥ――ック仮面んっ!!』

 

 爆発のような音、それが声だと気付くのにフウロは少々の時間を要した。ペスト医師のような不格好なマスクと、サンダーをモチーフにした黄色と黒の覆面を被った男が入場してくる。

 

 見下げているはずの観客は遥か上空を覗き込んでいるような錯覚に囚われ、大した記録を打ち立てた訳でもないのに王者の風格を身に纏わせていた。

 

 相手は過去に十七連勝を成し遂げた老練な男。名前はバーナビー。騎士道歴は三十四年とトップクラスで長く、生半可な新人ならば意表を突かれ、戦術に飲み込まれてしまう。

 

 つまり天候パである。意表を突かれるというのも、単純に晴れオーバーヒートでHPが飛ぶ事を指す。対策を取れば、裏選出でボコボコに……という流れだ。

 

 対するデューク仮面。ポケモンは鍛え抜かれたタフさを持ち、『受け出し』を成立させない程の攻撃力を発揮する。彼自身の蓄えた知識は生半可なものではなく、的確な指示を出して相手を粉砕する。

 

 膨大な知識の城塞と鍛え上げられたポケモンの組み合わせを攻略できる者は、今のイッシュ地方はおろかこの地球上には居ないはずだ。

 

 分かりやすく例えるのならば、昆虫魚類爬虫類両生類鳥類哺乳類等二百種類以上の動物が持つ身体的特徴(わざ)特異的能力(とくせい)を記憶し、尚且つそれを組み合わせて戦っている正真正銘の化物。同じ舞台に立つならば、チャンピオンや四天王級の知識量が要求されるだろう。

 

 この世界には勿論レベル技という概念は無い――遺伝で元々覚えている事があるからだ――ため、「このポケモンは某という技を覚える」といった情報が不確定なのだ。尤も、それは流動的な試合において、大半のトレーナーは使うかどうかも分からない技を暗記するのは労力の無駄だと――本音は面倒だからと――割り切っている。

 

 ポケモンバトルを制するのは技の組み合わせだ。三次元空間で組まれた相手を倒すためのコンビネーションが勝利を決める。しかし、騎士道を制するのは技単体の威力とその使い所だ。バトン等も確かに有効な戦術だが、成功した者は居ない。

 

 デューク仮面を知れば知る程、彼の試合を目に焼き付ければ目に焼き付ける程、その恐ろしさが理解できるのだ。シロナはそういった意味で大きな期待(・・)を寄せていたし、カトレアはサンダーという客寄せパンダに目が向いていた。

 

 選出の時間になると、カトレアはパンフレットから目を離して会場に目を向けた。

 

 バーナビーのパーティーはロズレイド、ジュゴン、バクフーン、キュウコン、ボーマンダ、ゼブライカ。サンダーのお披露目バトルと銘打ってはいるが、彼の手持ちに地面、岩を持つポケモンは居ない。恐らく、この六匹のポケモンが彼の全力なのだろう。

 

 デューク仮面の手持ちはサンダー、ナットレイ、ギャラドス、サザンドラ、メガチルタリス、ヒートロトム。メガシンカをするとは分かっていないものの、炎タイプの一貫性が悪い事は一目瞭然だ。

 

「シロナさん、カトレアちゃん。どうやって倒しますか」

「……倒す?」

「ふぅん……そういう見方もあるのね」

 

 突然投げかけられた質問に、シロナはやや困惑する。

 

「バーナビーさんのポケモンを使うとしたら、どうやってデューク仮面さんを倒すか、ってことです」

「なるほど……難しいわね。どっちのポケモンも強いわ」

 

 試合が始まり、ギャラドスとキュウコンが向かい合う。

 

「交代ね。ゼブライカが居ればそちらにしたほうがいいですわ」

「彼は「にほんばれ」を使うんじゃないかしら。元々、キュウコンをサポート役にするパーティーよ。それに水タイプの技の威力を少なく出来る」

 

 夢特性と呼ばれるほど珍しい「日照り」を持つキュウコンは、その存在そのものが希少であるため、滅多なことがなければ育てることは出来ない。そもそも日照りキュウコンは最近になって発見された、所謂突然変異種ではないかとされており、年老いたバーナビーが手持ちとして選んでいる事は可能性として有り得ない。彼は長年連れ添ったポケモンと戦っているのだ。

 

 キュウコンは「おにび」でギャラドスを火傷状態にさせ、アクアテールをその身で受けて耐えた。次のターンで場の天候を日照りにするとアクアテールを受けて退場した。

 

「流石に、熟練者(・・・)同士の試合にもなれば、技を外すことは無いわね」

 

 シロナがボソリと呟く。

 

 鬼火、アクアテール、ゲーム内であれば命中率は百%ではない、外す要素のある技だ。だが現実のバトル――騎士道では、物理的にダメージを与える技を除き基本的に敵との距離を二十メートル空けなくてはならない。

 

 当然、シャドーボールだろうがなみのりだろうが、外す可能性は存在する。けれども思い浮かべてみてほしい。素人が拳銃を六発的に撃つとして、全弾命中させるのにはどれくらいの練習が必要だろうか?

 

 加えて、それを本番で成功させるための胆力、集中力。ルーチンをどれだけ一発に込められるかが問われる。ポケモンには相手を倒しうるのに十分な威力も求められ、当てるだけではいけない。

 

 であれば、本番での試行回数が置ければ多いほど、ゲーム風に言い換えるのなら「熟練度」が高ければ高いほど、ポケモンの技というものが当たりやすくなるのは道理だ。

 

 レートで、ゲーム内存在として、現実世界でなら精密機械とも例えられる攻撃を行えるデューク仮面のポケモンが、技を外すということをするだろうか。現実に当て嵌めれば、命中率というものはポケモンバトルにも騎士道にも全く関係のない――数値化など出来ない信用ならない数であることも加味すれば、自ずと答えは出てくるだろう。

 

 シロナは「卓越した」命中精度を持つポケモンを知っていた。手元のタブレットを操作して、『【エイジ】生存説検証スレ27【騎士王】』にまとめたデータを振り返る。

 

 まずは()。エイジは三十一種類の靴を周期的に履いていた。百二十戦もの試合で確認された靴と、デューク仮面の履く靴の種類――色や形――は今の所四分の三ほど合致している。残りはイッシュ地方で流行した、若しくは独自のメーカーが販売しているものだ。エイジの履く靴のメーカーの傾向としては高級志向にあり、デューク仮面が新たに履いている靴のどれもがその条件を満たしていた。

 

 二つ目は体格。エイジの公式プロフィールには身長174cmと記され、デューク仮面の身長は177cmと表されている。しかし、彼は上げ底をしている。外からでは分からないように隠されているが、スレッドの検証班が重心の移動の仕方を分析し、導き出した。そのデータを会社の靴のカタログが証明しており、例外はあるものの信用できるデータである。

 

 続いて、身体のバランス。肩幅――勿論肩パッドは見抜かれている――腕の長さ、足の長さ、顔立ち、その多くが合致している。このデータはデューク仮面が上げ底をしている説を裏付ける証拠にも成りうる。

 

 四つ目は上記にも記した通りのバトルに関する項目の幾つか。

 

 五つ目はエイジとデューク仮面の背景である。彼らは共通して、少数しか出回っていないはずのメガストーンを豊富に所持している。法整備が追いついていないため違法などではないが、彼らの出生がどちらも不明であり、およそ豪邸が建つほどの大金を十分用意できるとは考えられないからだ。同一人物ならば、デューク仮面が元々持っていたかのように使用しているのは何ら不思議ではない。

 

 六つ目、声紋。スレッドが5まで到達してしまい、狂気的なスレッドとして知名度が上がってしまった(・・・・)ために人が集まった。元々研究者肌のシロナが書く根拠というものには論理的で真に迫る物があり、一定数の人間は居たが、本格的な調査というものは行われていなかった。

 

 が、自称音大の学生を名乗る者が「教授の機械使ったったwww」などという書き込みとともに貼った声紋データ。これがデューク仮面=エイジ・生存説を勢い付けた。

 

 最早集まったデータはデューク仮面=エイジを裏付けるものとなった。シロナは直感として予測はしていた。それこそ、デューク仮面の元に押し掛けて一言「違う」と言われれば、諦めるつもりであったが、科学的な根拠が集まってしまったがために来ざるを得なくなった。

 

 バーナビーのロズレイドをヒートロトムが吹き飛ばし、ボーマンダをギャラドスが下せば勝負が着いた。

 

 デューク仮面の勝利だ。

 

「アラ、サンダーは使わないのですね」

「あっれー? まぁ、試合は三回行われるみたいだから」

 

 シロナが目を離しているうちに一回目の試合が終わってしまった。カトレアとフウロは「相手のパーティーでデューク仮面の手持ちを倒す」という会話に熱中しているようだ。

 

 第二試合。ポケモンの回復時間の間に行われた騎士道についての催し物が終われば、二人目のトレーナーが出て来る。

 

 彼は順調に勝ち、無事サンダーも選出できたため、成功で終わった。興奮冷めやらぬ様子の客が出ていく最中、シロナは結論を出した。エイジが何故逃げたのか、デューク仮面として何故生きているのか、自分の死を装って地位を投げ出して何をしたかったのか。

 

 答えを出した。

 

 ジョン・スミスとシロナ――ついでにフウロとカトレア――は、ジョッキを片手に視線を交わす。シロナは無言の圧力で連絡先を交換すると、ジムリーダーと四天王を放って液晶に怒涛の勢いで文字を入力し始めた。

 

『オレンジ諸島の果て、ルギアの伝承が残された地について知っているかしら? アナタが住んでいた絶海の孤島、人間ですら住むのを諦めた島、関連がないとは言い切れないわ。そこでアナタはルギアに関する秘密を守ってきたのでしょう?

 サンダーを捕まえたにしては、あの映像にはいくつか不自然な点が残るわ。――エイジ君。安心して、私はこれ以上深入りするつもりはないから。だけどその上で言わせてもらうわ、力になる』

 

『人違いです』

 

 


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