仕事を辞めたい。
 そう思い続けて早数年。
 いつものように仕事場へに向かう為、アイドルを引き連れ事務所を出ると――そこは異世界だった。

 騒ぐアイドル、

 ブレない美城常務(少佐)。

 常務に命令されたまま、俺、日野、高垣、財前、二宮は近くの町を訪れる、

――その町の女性は、全員魅力的な服を纏っていた。

 絡んできた商隊曰く、それは「魔衣」と呼ばれる特別な服で、着ると女性のみが不思議な力を生み出せると言う。

 何故か言葉は通じるが、通貨はない。
 異世界にて、一文無しとなったプロダクション。
 その商人へ常務が提案する。

「その服、ウチのアイドルで宣伝してやろう。売れた分け前は半分で良い」

 自信満々に言った後、続けて俺に言い放つ。

「君に仕事を頼みたい。受けてくれるな?」

 嫌です。
 とは言えない状況だった。

 でも、どう売り出すかは俺が考えるんですよね。



――あぁ、こんな事なら早く辞めておくべきだった。

第一章
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