【完結】東方袖引記 目指せコミュ障脱却!   作:月見肉団子

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冬と春だよ 袖引ちゃん

 ひらひらと舞う雪の中突き進むのは、ひらひらとした服着た二人。風がぴゅーと吹く度に雪も服も巻き上がる。

 

 そんな天候の中、進んでおります春探し。寒風吹きすさび、木も草も真白く染めた、銀世界の空の上。

 さてさて、皆様にお話いたします二つ目の異変でございますが、果たしてどうなる事やら。

 

 

 私、韮塚 袖引 引き続き春探しをしております。

 

 

 

 ついに、ついに一線を超えたやら、なんとやら。和製妖怪の誇りは何処に行ったのか、お洋服召して雪の中。

 

 偶然神社で出会った咲夜さんと春探しの真っ最中。ひらひらはためく、すかーとをどうにか抑えつつ雪に紛れて空中を闊歩しております。

 しんしんと降る雪の中、飛び回るのはなかなかに趣深いともいえますが、それは自身に余裕があればこそ。

 私、只今能力まで使い、ひらひらする腰回りを何とか抑えられぬかと格闘しつつも気が付けば、魔法の森のすぐ近く。

 

 不本意ながら、お洋服にも慣れ始め、すかーとに諦めがついた頃でございますが一向に春は見えない。

 そもそも霊夢さんも魔理沙さんも動いているこの事態、炬燵でぬくぬくとしていればいつの間にか冬を越していた。という事も出来そうです。

 まぁ、こうして動いている以上はきちんと春探しをしたいと思っておりますが、やる気も和服も体温も冬の厳しさがどんどんと奪いとっていきます。と、いうよりも先程からどんどん寒くなって行っている様な気さえ致します。

 

 すると何かに気づいた咲夜さんが、ふと、止まりました。後ろでひらひらを気にしつつ飛んでいた私は、あわや衝突という所で急制動。無事ギリギリ止まる事が出来ました。

 それから何事かと咲夜さんの肩越しに覗き込みますと、元気そうに飛び回る一人の妖怪さんが目に入ります。

 

 目に飛び込んで来たのは銀の髪が銀世界によく合わさる、楽しそうに飛び回っておりましたレティ・ホワイトロックさん。

 びょうびょうと吹き付ける雪の中、薄着物のみで元気に飛び回れるのは、この人ぐらいなものでしょう。

 

 冬の異変に、冬の妖怪。裏で糸を引いているとするならこの妖怪さん位な物でしょう、と当たりをつけていた妖怪さんではありましたが、素直に見つかりちょっと驚いております。

 咲夜さんもレティさんを見て何か思ったのか、戦闘準備を始め、レティさんはレティさんで此方に気づき、ふわふわと降りて参りました。

 疑いの余地だらけなのは横に置き、とりあえずとばかりにご挨拶。

 

「楽しそうですね」

「えぇ、冬ももう終わるもの。今のうちに遊んでおくわ」

 

 少しばかり機嫌が良さそうなレティさん。黒幕だか白幕だかは存じませんが異変最中に元気にしていらっしゃるので少なくとも無関係ではない筈。

 こんな格好で外に出続けるのもアレですし、単刀直入とばかりに問いかけました。

 

「春がどこにあるかご存知ですか?」

 

 ずばりと問い掛けたつもりでありましたが、レティさんは呑気な様子で答えます。

 

「そぉねぇ? 私に勝ったら教えるわ。博麗の巫女に、普通の魔法使いさん。あの程度じゃ遊び足りないもの」

 

 

 ふふふ、と呑気にしつつも妖艶な笑い。敵意はどうやら満々のようで寒気の勢いが強まります。

 もう既に異変解決の達人二人には既に遭遇済みの様子。でしたらこの方はきっと黒幕ではないのでしょう、と思っておりますと、咲夜さんが口を開きます。

 

「で、あなたは結局黒幕なのかしら?」

「くろまくー」

「袖引きさん、この妖怪が黒幕だって」

「えぇ……」

 

 咲夜さんは分かっているのかいないのか。レティさんの返事を天然発揮し真面目に取る咲夜さん。

 まぁ、どっちであれ倒してしまえばいいと考えているのかもしれませんが、真相は雪の中にございます。

 なにはともあれ、先ほどから敵意むき出しなレティさんも寒気を更に吹き出します。肌に触る空気は突き刺さるように痛み、まるで剣山を押し付けられているかの様。

 ぱたぱたと服もはためき、すかーとも……って気にしている場合ではありませんね。

 その寒風の元凶たる、レティさんは頬に手を当て、げに恐ろしい笑みを浮かべております。

 

「うふふ、後もう少しで冬もお仕舞い。だったら最後に好きに暴れないとねー」 

 

 冬の妖怪の全盛期、こんな時期の彼女と事を構えるのは極力避けたい事態でありますが、というよりも絶対にやりたくない事だったのですが、咲夜さんもレティさんもやる気は十分。

 お互いにやる気が漏れ出しているまでもあります。

 

 こんなのに挟まれては逃げるに逃げられず、かと言って参加するほどの実力を持ち合わせてはおりません。

進退窮まっている様な、今の状況。出来たら助けて頂きたいものです。

 しかしながら、こんな寒い時期に出掛ける人なんてほとんどおらず、ましてや空を飛ぶ方なんてごく少数。思わず泣きたくなってきます。

 

 まぁ、泣いた所で涙すら凍ってしまいそうですし、泣き出しても到底状況が変化するとは思えません。

 こうなってしまってはやるしかないと肚を決め、私に出来る事をやりましょうか。私は先程からの努力の副産物を片手に集め始めました。

 

 レティさんと咲夜さんの戦闘ではございますが、始めは咲夜さんが押しておりました。

 時を操り、色んな場所に現れては、刃物を大量に投げつける。初見のレティさんは何が起きているのか、わからず困惑している内にガンガンと押していきました。

 もう、私の助太刀は要らないのではないかという位の勢いでございましたが、しかしながら相手にしているのは私よりも遥か格上。一筋縄ではいきません。

 

「ふふっ、やるわね」

 

 そんな一言を呟いたレティさん。彼女は何かを思いついたようで、びょうびょうと、更に容赦ない冷気を振りまきました。

 空気すらもカチコチ凍る攻撃は、容赦無く私たちに突き刺さります。人間である咲夜さんはもちろん、妖怪の私すらも凍ってしまいそうなそんな冷気。 

 

「……っ!?」

「これはっ……」

 

 咲夜さんも私も空気が変わった事に気づきおのおのの反応を示します。

 当然それだけには収まらず、影響が出始める。それは劇的なものでは無く、真綿で締めるようにじわじわと進行していきました。

 吐く息が更に真白に染まり、思わず身体を抱えてしまいたい程寒くなり、咲夜さんの表情も曇ります。

 しかし、それでも彼女はそれ以上に反応を見せずに苛烈に攻撃をしていきます。

 

 吹きすさぶ寒風なんのその、その手元は狂いが無く。といったのは先程までのお話。

 髪の毛は半分凍りつき、明らかに変調をきたしたその表情。そして、だんだんと咲夜さんの行動は鈍っていき、ついには構えた刃物を取りこぼしてしまいました。

 自身に起きた事に理解が追いついていないようで、寒さで震える手を眺め驚愕の表情を浮かべました。

 

「咲夜さん!?」

「……こ……れは?」

「あなたの能力がいくら凄くても、あなたはただの人間。肺が凍れば息も苦しいし、寒さで感覚すら失う、頭すら鈍っていくかもね?……終わりよ、メイドさん?」

「っく!?」

 

 レティは氷弾を咲夜さん目掛けて発射。避けられぬ程に弱った咲夜さん。ふらつきながらもどうにか避けようと致しますが、もう間に合いません。

 ぎゅん、と迫った氷弾はあわや、咲夜さんの命を刈り取った!

 

 

 と、いう事になる前に私の元まで思い切り引っ張り上げます。

 

 

「袖……引さ……?」

 

 

 グっと引っ張られた身体は見事に私の胸中へと収まり、抱きすくめるようなかたちになります。抱えた身体はこれでもか、とまでに冷たくなっており、随分と無理をしていたという事が嫌という程伝わってきました。

 

「お待たせしました。お外は寒かったでしょう? ちょっと休んでてください」

 

 と、少しでも体温を分け与えられるようにギュッと抱きしめます。そんな事をしていてレティさんの方が反応しない筈も無く、邪魔された事を憤るようにこちらを威圧してきました。

 

「あらぁ? さっきからコソコソとやっていたようだけど終わったのかしら。おちびちゃん?」

「む、おちびちゃんとはいただけないですね……」

「だって本当の事じゃない? 袖引ちゃん?」

「失礼な! 私とて成長しますとも!!」

「……どれくらい?」

「い、一分(いちぶ)位……」

「誤差って言うのよ、それ」

 

 他愛無い話を交えつつ、も自分の距離へじりじりと近寄っていきます。まだ、()()がバレない限りは……こちらに勝機がありますので。

 

「でさ、袖引ちゃん」

 

 ざわっ、と産毛が総立ちになりました。向けられたのは明らかな敵意。しかも先程の咲夜さんに向けたものよりも強大な威圧感がこちらに向けられます。

 それは妖怪が自尊心を刺激された時に起きる怒りの様な物。

 

「なんで、私の冷気の中でそこまで()()()()()のかしら? あなた寒さは苦手なんでしょ?」

「子供は体温が高いんですよ」

 

 まだ、まだバレてはなりません。力の差は歴然。だからこそ、切れる札は最後まで握るべきです。

 飄々と嘘を吐きつつ、更に近づきます。私の能力上接近しなければ十全には発揮できません。それに気づいているのかいないのか、レティさんは目を細めます。

 

「まぁ、良いわ。どんなカラクリがあっても、あなたと私では勝負にならないもの」

「じゃあ、見逃すというのも……」

「無いわねぇ、春まで氷漬けになりなさい!」

 

 その言葉を皮切りに、レティは私目掛けて物凄い密度の弾幕を放ってきました。

 冬を意識した弾幕はとても美しく、いつまでも見ていたい程。当然、只今そんな余裕なんぞ、これっぽちもございませんが。

 

 右へ左へと、回避していきます。思えば本日弾幕ごっこのやり過ぎでは無いでしょうか!? そろそろ酷使した身体も悲鳴を上げそうなのですが! と誰も聞いていない叫びを心の中で上げつつも懸命に避けていきます。

 咲夜さんを抱えておりますが、人一人っ子位軽いもの。ただこの状態で咲夜さんに弾幕が行くのは少し拙いと思い、避けるのに少し注意を払いつつ避けていきます。

 ぎゅうぎゅう抱きしめていると、咲夜さんにも体温が移った様で、ほんのり体温が戻ったのを感じます。ぴくりと動きがあり、無事が確認でき一安心。

 なんて胸を撫で下す暇も無く、回避に専念していきます。

 

 あともう少しで触れる距離なのですが、なかなか届きません。そうやって焦れているとレティさんがだいぶお元気な様子で言葉を投げかけて来ます。

 

「避けてばっかりじゃ、弾幕ごっこにならないわよ?」

「じゃあっ、もう、少しっ、いっ!? て、手加減を!」

「嫌よ、私が楽しめないじゃない。それに私の冷気を喰らってピンピンしているのを見ると、なんだか腹が立ってきちゃうのよ!」

「そっちの都合じゃないですかぁぁぁ!!」 

 

 今日も昨日も幻想郷は理不尽が横行する素敵な場所でございます。

 そして避け続けることちょっとの間、遂にレティさんも終わらせに掛かってきました。力を集約し決め技を放ってきます。

 

 

「そろそろ終わりかしらね? 白符 アンデュレイションレイ!」

「ぐっ、これは、ちょっと……」

 

 

 咲夜さん抱えてではちょっと避けられない量の弾幕が目の前を覆います。

 右を見ても左を見ても、埋め尽くすのは弾幕の嵐。でしたらもう、心を決めるしかありません。

 

「これは、もう……仕方無いですよねっ!!」

 

 右も左もダメならと、私はレティさん正面切って飛び込んでいきました。

 

 当然、正面にも弾幕は配置され、私を飲み込まんと覆い被さってきます。弾幕の向こうには勝ちを確信したレティさんの笑み。

 それを少し驚かせましょうか。と親友の付喪神の事を思い出し微笑み、そのまま右手を突き出しました。

 

 バチバチと弾幕と私の右手が干渉し合い、美しい空間を作ります。

 私の周りには桃色の花弁が舞い散り、雪と混ざりあう。まさしく幻想的な風景がそこに顕現しました。

 

 私の予想通り、というかなんと言いますかレティさんは驚きで顔を歪めながら、その花弁の名前を叫びます。

 

「それは、……桜っ!?」

「えぇ、今年の春の欠片です!!」

 

 すかーとに悪戦苦闘をしていた頃、私はどうにか出来ないかと、能力まで使いすかーとを引っ張っていた際に、たまたま空を舞う桜が引っ付いて来るのを見つけました。

 冬に桜とは珍しいと、まじまじ見ますと私が探していた春の香り。

 どうやら力を秘めているようでして、持っているとほんのり身体が暖かくなり、これは縁起物だと楽しく集めつつ、すかーとと格闘を繰り返していたら咲夜さんがレティさんを見つけた訳でございます。

 

 本来事を構える気など全くありませんでしたが、戦闘になるなら話は別。弱小である私は知恵を絞ります。

 レティさんは冬の妖怪。でしたら冬を終わらせる、春のものは効果抜群。咲夜さんが戦っている内に桜の力を使い結界やらを作成していた訳でございます。

 幸いにも本当に効果は抜群だったようで、私の弱弱しい結界でも、なんとか異常な寒さを凌げる位にはなっておりました。故にすいすいと吹きすさぶ冷気の中を移動できていた訳です。

 更に切り札だったのは、右手に集約した春の欠片達。これをレティさんに直接ぶつけることで倒そうと思ったのですが……なかなか万事上手くは運びませんね。……どうしましょう。

 

 さて、場面戻りまして、雪と桜。花より団子な方々ですら手を止め見惚れてしまう程の綺麗な光景ではございますが、そろそろ決着でございます。

 

 固めた春の欠片達はまだまだ健在。対し、全方位に散らした弾幕達は力を失っていきます。まるで冬が終わり春を告げる時の様に。

 そして、遂に長かった弾幕を抜け、そのまま私はレティさんに矢の様に一直線に突進します。レティさんも来る事が分かっておりまして、迎撃の準備は万端。それを分かっていながらも私は一直線。

 

 成功しますようにっ! と祈りを込め、左手を付き出しました。それに対しレティさんは口から息を吹き掛けます。すると見る見る内に私の左腕は氷つき、見事に氷像に。

 

「あぐっぅ……」

 

 感覚が急速に無くなっていくのを感じ、思わず呻き声を上げてしまいます。

 辛うじて肩を掠めただけに留まった私の捨て身の突進を見て、レティさんは勝ち誇りました。 

 

「残念だったわね? 袖引ちゃん」

「いえ……まだです! 咲夜さん!」

 

 突進の勢いのままレティさんを通りぬけ、レティさんもこちらを向く。空中で逆さまになりながら、それを見た私は、右手をぐいと()()()()()()()

 すると、突然レティさんの背後に咲夜さんが刃物を持ち、浮かび上がる様にスッと現れました。はっと気づいたレティさんは振り向き声を上げる。

 

「えっ!?」

「終わりね、冬の妖怪さん?」

 

 先程の弾幕の打ち消し合いの最中に目を覚ました咲夜さん。

 一瞬にして状況を把握したのか、こちらの目を見て頷き、フッ、と何処かへ身を隠しました。

 そして、レティさんと交差した瞬間。私は隠れた咲夜さんを引き寄せました! これで勝ち、でしたら良かったのですが、レティさんはただじゃ転ばない。

 

「惜しかったわね? あともうちょっとだったのにね。メイドの人間さん?」

 

 振り向いたレティさんは、瞬時に氷の壁を作り刃を防ぎました。防いで、しまいました。

 これが冬の妖怪の全力全開。とんでも無い底力です。ですが……

 

「流石ですね! 私だけでは到底及びません!」

 

 ですが……ですが、ここまでは想定しておりました!! 弱小なら最悪の事態を想定してこそです。

 私は掠めた左腕を使い、レティさんを思い切り()()()()()()()。ぐいと引っ張られたレティさんは今度こそ度肝を抜かれた表情で此方に振り向きます。

 

「なっ……!?」

 

 私は暖めてきた右腕を思い切り、振りぬきました。

 

 冬の妖怪さんの背中にぶち込まれた春の欠片は、きっちりと全て使い切り、レティさんはようやく森へと墜落していきました。

 

 

 ようやく倒せたという実感と、徒労感でぼーっとしておりますと、咲夜さんが近寄ってきてくれます。

 さすがに冬の妖怪の全盛期の力はとんでも無いとしか言いようが無く、咲夜さんや、春の欠片を集めていなければ万が一にも勝利はあり得なかったでしょう。……その前に戦闘になったか疑問ではありますが。

 

 まぁ、しかしながら向かい合うとお互いにボロボロで、プッと、どちらとともなく笑い出しました。

 

「まさか勝ってしまうとは、驚きです」

「袖引さんが抱きしめてくれなかったら危なかったわ。ありがとう」

「私も楽しかったわー」

「いえいえ、こちらこ……あの?」

 

 いつの間にか会話に混ざるレティさん。さっきの戦闘何処へやら、傷んだ服も弾いた帽子も元通りと、改めて冬の妖怪の力の強大さには驚くばかり。

 まるで軽い運動でもおこなったかの様に爽やかな笑みを浮かべております。

 そんな格の違いに戦々恐々しつつも、咲夜さんの前に立ち問いかけます。

 

「あの、まだやる、つもりです、か……?」

 

 正直に申し上げるとこちらはボロボロ。もう一戦なんてまっぴら御免被ります。

 故に少しだけ声が消え入りそうになっているのも仕方の無い事なのです。仕方無いんですからねっ!!

 そんな問い掛けに欠伸交じりで返してくるレティさん。

 

「ふぁぁ、もう満足したわー。それにあんな春の陽気を当てられちゃ眠くなるのー」

「本当に眠そうね……」

 

 咲夜さんも脱力した様にレティさんの様子を呟き、空気が弛緩。ゆるゆるとした空気の中、レティさんが口を開きます。

 

「久しぶりにこんなに暴れられて楽しかったわー、来年もやりましょうね」

「「結構です!!」」

「あらそう、残念ねー。じゃあ、眠いからそろそろ眠るわー。また来年会いましょう?」

 

 と、レティさんはふわふわと行ってしまいました。レティさんが眠るからと言っても雪は留まる事を知らず、しんしんと降り積もっていきます。

 とは言っても、先程の激しい寒さに比べればいくつか良心的。まだマシだと言えるでしょう。

 

 辺りを見回すといつの間にか、魔法の森付近だったのが魔法の森の真っ只、の空の上へと移動しており、忙しい戦いだったなと再認識するばかり。

 

 ともあれ、春探しよりも何よりもレティさんが去った今、やることは一つです。

 

「着替える場所探しましょうか? 腕も暖めないとまずいですし」

「そうね、紅魔館に一旦戻ろうかしら?」

 

 ボロボロの服を見て、私の左腕を見て咲夜さんも頷いて下さいます。お互いにこのままでは風邪をいくつ引いても足りないようなそんな状態。

 そそくさと引き上げようとしますと、いつの間にか小さな影に囲まれている事に気が付きました。

 

「ちょっと、うちの上でドンパチやるならまだしも、屋根に落下物落としておいてそのまま直帰とはいい度胸じゃない?」

 

 そして声が響き、そのまま人影が飛んできました。

 

「アリスさん……?」

 

 

 

 さてさて、ここいらで一旦お開きをば、強大な冬の妖怪を倒したと思っていたら、次は金の髪持つ素敵な女性が顔を真っ赤にして飛び出してきてしまいました。

 ボロボロな我々に降りかかる物とは一体……?

 

 そんなこんなで本日ここまで。

 

 次回も()()続きお楽しみ下さる事を願っております。


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